【完結】我思う、故に我有り:再演   作:黒山羊

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戮力協心

「最新式のN2リアクター、内骨格(エンドスケルトン)外骨格(エグゾスケルトン)の二重構造による駆動製と頑強性の両立、重力制御装置による飛行能力、充実の各種武装。ジェットアローンの戦闘能力は3号機の建造により飛躍的に高まったと言っていいだろう」

 

————だがまだ足りない。スーパーロボットの夢にはまだ遠いのだ!

 

そう気炎を上げるのはネルフ技術三課の時田課長。

 

『スーパーロボットを作る』がメイン業務という男のロマンに満ちた研究者や工学者なら変な脳汁が漏れてしまう素敵な職場を得た彼とその部下は、宇宙にすら飛び出したジェットアローンにもまだ満足していなかった。

 

何しろ彼らの作るロボットのライバルは、あのエヴァンゲリオン。ネルフが生み出した無敵の生体兵器であり、ロボットというよりは肉人形(フレッシュゴーレム)と呼ぶべき神話の巨人だ。

 

じゃあジェットアローン要らないじゃん、エヴァに任せとこうぜ。となるのが普通だろうが、エヴァンゲリオンとて無敵の巨人ではない。欠点だって普通に存在する。

 

その最大の欠点は、パイロットの心身への影響だ。起動するたびに精神と肉体の汚染リスクがあるマシンなど、創作の中であればロマンで済むが、リアルなら欠陥機としか言えないのだ。

 

が、現状人類はエヴァに頼る他なく、綺麗事では生きていけない酷い世界の生贄として、5人の少年少女がヒトを辞めてしまっている。

 

不死身の肉体、永遠の若さ。それに憧れ彼らを羨むものはいるだろう。

 

だが、セカンドインパクトの前、まだ日本が明るく、第三次世界大戦などゲームの中の話だった頃を知る時田は、中学生がヒトを辞めてまで人類に奉仕する、という行為に未だ違和感が強いのだ。

 

それは言うなれば彼の青臭さであり、『スーパーロボット』を求める心の底には、自分がかつて憧れた『子供の為のヒーロー』への思いがある。

 

そんなものが世の中に無いことは、セカンドインパクト後の地獄を知るものとしてはよく知っている。ならば造ろう、というその一心が、時田のエネルギー源なのだ。

 

そして、時田の生み出した無敵のスーパーロボットはこの日、次なる進化を遂げる事となる。

 

「そう。3号機ではまだスーパーロボットには遠い。しかし! コイツは違う。開発コードJA-04、N2リアクターによる無限の出力とネルフが今までに積み上げた技術の粋を集め、三貴神、MAGI、クリフォトの超対立思考演算によって設計案を精査した、スーパーロボット『(J.A.) 2』だ!」

 

正式名称ジェットアローンジャスティスアームズ。

 

『正義の兵器』の名を冠する最新鋭機は既にネルフ内の自動工場で建造が進行しており、各種テストについても建造済みのパーツで実行中。

 

それらは現在順調な進捗を辿っており、何やらもうよくわからない領域に突っ込んでいるエヴァンゲリオンを除けば、間違いなく人類最強の兵器であろう。

 

外骨格には特殊チタン合金の一種『スペースチタニウム』を採用し、内骨格はホウ素・ウラン・ストロンチウムを主成分とする合金、通称『B・U・Str(バスター)合金』で構成。

 

内燃機関はN2リアクターと予備バッテリーに加えて排熱変換機構として新型熱電変換素子による温度差発電システムを搭載。リアクターの排熱エネルギーを電気エネルギーに変化させて無駄なく利用する仕様だ。

 

推進機関としては二足歩行と重力制御装置を採用。巨大ロボ兵器の問題点の一つである『地盤が弱いとまともに歩けない』『周囲に地震が起きる』という問題を、重力制御装置の常時稼働により解決した(J.A.) 2は、その優れたジャイロスタビライザーや手足を使ったAMBACによる駆動能力により、ビルの上に音もなく飛び乗りロム立ちするというカッコいい真似が可能になっている。

 

重力制御を前提に組み上げた近接格闘プログラムはロボットにあるまじき超アクロバット戦闘を可能にしており、重装甲でありながら高速機動という冗談じみた仕上がりだ。

 

JAシリーズ共通の頭部の大型センサーはデザインはそのままに高機能化。最高のセンサーの情報を最高のAIが処理し最高のパワーを最高のスピードで叩き込む。

 

まさに小学生が自由帳に描く『僕が考えた最高にカッコいいロボ』の具現化のようなスペックと、ちょっと間抜けなニヤケ面。

 

そんなスーパーロボット(J.A.) 2の1秒でも早い完成に向けて、今日も時田達技術三課は熱意を持って業務に取り組んでいる。

 

「必殺技のライトニングフィンガーですが、コンデンサの高性能化により電界アーク放電の出力を10%向上————」

「追加武装のアイアンビームキャノンですが、試験稼働に成功。プロトンビームに比べ中性粒子砲ですので電離を起こさず周辺被害を抑えられる形になります。常温超電導電磁石の開発成功がやはり大きく————」

 

活発にかわされる報告は、彼らが未来に『希望』を残そうとする熱意の現れ。

 

ネルフ技術三課は、今日も浪漫に溢れていた。




おかげさまで拙作も連載3ヶ月を迎え、総合評価が16000を超えました。
これも皆様の格別のお引き立てによるものかと存じます。
いつもありがとうございます。
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