魔法少女リリカルなのはVivid~私のパパは魔法剣士~ 作:ピーナ
試験が終わった日に家を出発し、カルナージへの臨行次元船の出ている次元港でティアナさんとスバルさんに合流して、私達は次元船に乗り込んだ。
ミッドの次元港から、今回の目的地のカルナージまでは約四時間。時差が大体七時間位だから、お昼前には着く。
着いたら、初めてのリオやアインハルトさんを皆に紹介する。ここで言う皆はルールーやエリオ、キャロの事だ。
三人は同い年なんだけど、キャロは他の二人に比べると小柄。男の子であるエリオはともかく、同姓のルール―の事はやっぱり気になるみたい。
私も、ヴィヴィオやリオ、コロナに比べると少し小柄でそこを気にしている。
ママ曰く「成長も人それぞれやからなー。私も中学くらいまではなのはちゃんやフェイトちゃんとそこまで身長変わらんだし。と思ったら八雲君は今のエリオ位の歳にはもう今の身長くらいはあったよ。逆にクロノ君みたいに後で一気に伸びる人もおるから気にせんでええよ」との事。まあ、確かに成長期に入ってないしそこまで気にする事無いかな?
その後は大人組はパパを含めてアスレチックでフィジカルトレーニング。パパはこういう時を使って自分が鈍ってないかを確かめる。
私達子供組は川遊びをすることになった。
「アインハルトさん、大丈夫ですか~?」
いつも通り遊んでいたら、結構お疲れのようなアインハルトさん。心配になったので話しかけてみる。
「はあ……はあ……大丈夫です。咲耶さんも皆さんも元気というか……元気すぎるというか」
「まあ、水の中の経験が無いと体力が持ってかれるからな」
そう言うのは私達の保護者役をしていた、ノーヴェ。
「じゃあ、ヴィヴィオさん達は……」
「何だかんだ週に二回くらいのペースでプールで遊びながらトレーニングしてるよな。な、咲耶」
「はい! それに、私とヴィヴィオは家の目の前が海ですから、そういう場所には困りませんし」
もちろん、保護者が居る時だけだけど、クラナガンは暖かい時期が長いから、海で遊べる時期も長い。
本格的に『八神家道場』が始動した頃から、体力をつける意味もあって、外で遊ぶ機会が増えた。その時にパパが「楽しめて、体力が付く方法」として教えてくれたのが海で遊ぶ事だった。
「怪我の心配が少なくて、リラックスも出来るし、柔らかくて持久力のある筋肉も出来る。結構理にかなってるんだ。どーだい、ちょっと面白い経験だろ? こういう事はただトレーニングしてるだけじゃ得られない物だからな。役に立つならそれでいい」
「はい……」
「んじゃ、せっかくだし、もう一個面白い物見せてやろう。ヴィヴィオ、リオ、コロナ、それに咲耶にミウラも! ちょっと、『水切り』見せてやってくれよ!」
「「「「はぁーい!」」」」
ノーヴェに言われた、『水切り』をするために、私達四人は等間隔に離れる。それから、全員が右の正拳突きの型を行う。すると、私達の身長の倍くらいの高さの水柱が前へ進みながら起こる。パワーファイターのミウラさんは5メートル近くは行ってるかな?
「アインハルトも格闘技強いんでしょ? 試しにやってみる?」
一緒に遊んで、さっきまで見守っていたルール―がそう言った。
「はい」
さっき、私達がしたモーションにアインハルトさんが入る。歳が上だから、どうなるのか楽しみ。皆もワクワクを隠せていないし。
次の瞬間、凄い音と一緒に大きな水柱が上がる。
「あはは、すごい天然シャワー!」
「水柱、5メートルくらい上がりましたよ、アインハルトさん!」
流石はアインハルトさん、ミウラさんと同じくらい大きな水柱を一回目で上げるなんて。
「……あれ?」
しかし、本人は思っていたのと違うみたい。多分、私達のと違って、その場に水柱が起こったからだと思う。
「アインハルト、お前の場合はちょいと初速が速過ぎるんだ。始めはゆるっと脱力して、途中はゆっくり、んで、インパクトに向けて鋭く加速。この一連の流れを素早くパワーを入れて行うと――」
見本として、ノーヴェは水切りをやって見せた。勢いで川底が見えるくらいまで水が上がる。
「こうなる。ちなみに、師匠の八雲さんがやると、一瞬、川が逆流する」
「海でやると、10メートルぐらい海を割りますよ」
「そんなにですか……」
大人と子供、男女差もあるだろうけど、パパは凄い高いレベルまで鍛えられている。元『管理局の切り札』の異名は伊達ではない。
「……もう一度やってみます」
ノーヴェのアドバイスを踏まえて、アインハルトさんがもう一度モーションに入る。次の瞬間、さっきと同じくらいの水柱が上がる。しかも、
「あ! さっきよりちょっと前に進みました!」
「すごいっ!!」
一発で修正してくるあたり、流石アインハルトさんって感じだ。やっぱり凄い。
「も……もう少しやってみても良いですか?」
「「「「「もちろん! どんどん、どうぞ!」」」」」
そこから、アインハルトさんと途中からヴィヴィオが二人でひたすらお昼ご飯になるまで水切りの練習をしていた。
良いと思うんだけどさ、お昼の時プルプル震えるくらいまでやるのはやめようよ……。
八雲サイド
お昼ご飯の下準備をメガーヌさんと一緒に済ませた僕は大人組がトレーニングしている、アスレチックコースに向かった。
到着して様子を見ると、普通に談笑しているなのはとスバル、息切れをしているエリオとキャロ、バテバテのフェイトとティアナという三組に分かれていた。
「バテてるね~、フェイトにティアナ。六課の頃じゃこれ位平気だったんじゃない?」
とりあえず、執務官組をからかう事から始める。
「バ、バテてなんかないよ!」
「だ、大丈夫です!」
「まあ、口だけは元気みたいだね。でも仕方ないよ、執務官になるとデスクワークが増えて体力が落ちるのは。維持するのも大変だもんね」
ハードワークの執務官でなおかつ体力維持まで出来てたらそれは凄すぎる。
「八雲君もアスレチックやるの?」
「日頃から維持は心がけてるけど、こういう時にガッツリトレーニングしないとね~」
「いつも、妹達がお世話になってます、八雲さん」
「いやいや、ノーヴェとディエチには楽をさせてもらってるよ」
準備運動をしながら、そう僕は答える。
喫茶店も道場も二人が来るようになってから、僕の負担は格段に減っている。むしろ、お世話になっているのは僕の方かもしれないね。
「んじゃ、スバル、これ持ってて」
僕は手首に付けていたリストバンドを外してスバルに渡す。
「重っ⁉ 八雲さん、これ一体何キロですか?」
「えーっと、ちょっと前から10キロかな。それが両手首と両足首にあるよ」
「40キロってキャロぐらいあるよ、八雲君⁉」
「そういや、なのはにも言ってなかったっけ? まあ、色々仕事があって自分のトレーニングに回す時間が無いから、日常生活で出来る事をやってるだけだよ」
これは、2年位前から始めた。最初は両手両足に1キロずつ、そこから少しずつ増やしていって今は10キロなった。
「一応、非常勤で管理局に籍置いてるからね。ちゃんと動けるようにはしとかないと」
「体力面だけなら問題なさそうだけどね」
「そこは自信がある。後、何だかんだシグナムの剣の相手もしてるからね。大丈夫だとは思うよ。流石に辞める前みたいな無茶は出来ないけどね」
流石に実戦の勘は鈍ってるだろうけど、実力自体は落としていないと思う。まあ、僕が復帰するような出来事が起こらない方が平和で良いんだけどさ。
「無茶ってなんですか?」
「キャロは知らないんだ。八雲さんの退局前最後の戦いはね、AAランク以上の魔導師50人との複数対一なのよ。私もフェイトさんに教えてもらって観たんだけど……無茶苦茶だったわ」
「だねー。参考になりそうな所無かったもん」
「へえー、見てみたいです」
「その反応はエリオも見てないんだ。あの映像ってアクセス権限低いから、誰でも観れると思うよ。八雲さんの名前で調べればすぐに見つかるし」
「ソニックフォームに対応されるのは分かってたけど、まさかなのはのスターライトブレイカーを耐えながら突撃するとか」
「その後、シグナムさんとヴィータちゃんの全力を受けきって勝つとか、無茶だよね。近くで見たけど信じられないもん」
「若さ故の無茶だね。流石にあんな真似は出来ないし、しないよ」
必要に迫られない限りはね。
「そうだ八雲さん、久しぶりに稽古、お願いします」
「はいよ。それくらいお安い御用さ。どれくらい成長したか見せてもらうよ。さて、午前中にやる事やりますか」
僕達はなのは監修のフィジカルトレーニングのメニューをこなしていく。
……流石、鬼教官。午前中でも結構厳しいの盛り込んでくるね。
初日午前が終わりました。次は午後に行きます。