夜天のウルトラマンゼロ   作:滝川剛

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第35話 錯綜-ベルミスティング-

 

 

 

 時空管理局本局

 

 今日フェイトの全ての裁判が終了した。予想通り無罪が確定し、フェイトは一息吐く間も惜しんでアルフとユーノと供に、整備中のアースラへ向かっている所である。

 なのはに少しでも早く、この事を伝えたかったからだ。クロノは用事で途中で別れている。急ぎ気味に通路を歩くフェイトは、ふとある少年の事を思い浮かべた。

 

(ゼロさんにも、伝えられたらいいな……)

 

 心の中でそっと呟く。だが叶わないだろうと。もう自分の住む世界に帰ってしまった可能性もある。別次元世界では電話も掛けられない。

 連絡が付いたとしても、もう此方とは関わり合いにならない方がきっといいのだろうと、フェイトは自分なりに思う。静かに暮らしているかもしれない。

 

 そんな事をつらつら考えている内に、整備ドックに着いていた。アースラ艦内に入るとクルーはほとんど出払っており、整備関係の書類をチェックしていたエイミィと、丁度艦から出ようとしていた孤門だけが残っていた。

 

「うんっ、なのはちゃんへの連絡ね?」

 

 話を聞いたエイミィは、2つ返事で引き受けてくれた。別の次元世界への通信は、専用の通信機器が要る。

 

「孤門も、なのはに紹介するから、一緒に行こ う……?」

 

「そうですよ、孤門さんも来て下さい」

 

 フェイトとユーノに促され、孤門は苦笑しながら後を着いて行きながら、

 

「なのはちゃんって、前に聞いた友達の事だね?」

 

「うん……少しでも早く知らせたくて……」

 

 質問にフェイトは微笑して応えた。彼女達の前歴は孤門も大方の事は聞いており、別に隠す事でも無い。尤もクローン人間などの事は話していないが……

 

 通信室に入ったフェイト達は、機器を手馴れた手付きで操作するエイミィを囲むように、モニター前に陣取った。

 エイミィはしばらくの間キーを目まぐるしく叩いていたが、怪訝な顔をして手を止めた。フェイトは首を傾げ、

 

「エイミィ? どうかしたの……?」

 

「それが……連絡が取れないのよ……」

 

 エイミィはただ事では無いと表情を引き締め、素早くコンソールを操作しセンサー類を起動させる。空間センサーに異常が表示されていた。

 

「これは……広域結界……? 何で街中に?」

 

 なのはにはまだ結界魔法は使えない。ユーノは此処に居るとなると、なのは以外の魔導師が張っている事になる。

 普通なら有り得ない。ただ事では無い事態。フェイト達の間に緊張が走った。

 

 

 

 

 

 

 時間は少しだけ巻き戻る。ヴィータと狼形態のザフィーラは異世界での『蒐集』を終え、海鳴市上空に転移していた。ヴィータは抱えていた『闇の書』掲げて軽く伸びをし、

 

「あ~あ……すっかり遅くなったなあ……早く帰って、はやてのギガ美味ご飯を……?」

 

「むっ……?」

 

 ヴィータとザフィーラは、同時に周囲の異変に気付いた。様子がおかしい。鉄槌の騎士は見覚えのある光景に目を凝らし、

 

「これは封鎖領域……? 何でこんな所に張ってんだ?」

 

 見覚えがある訳だ。古代ベルカ式の結界の一種『封鎖領域』だった。ミッド式とは術式が異なるので直ぐ分かる。色を失いゴーストタウンと化したビル街を見下ろす2人は、不審に思わざる得ない。

 

「シグナムかシャマルが張ったのか? でも何でだ……?」

 

「妙だな……?」

 

 ヴィータは思念通話を試みるが、何故か通じない。ザフィーラも同様であった。小さな騎士は警戒する。歴戦の戦士としての勘が警報を告げていた。

 

「こいつは何かあるな……」

 

「ウム……」

 

 ヴィータの言葉にザフィーラは頷く。鉄槌の騎士は『グラーフアイゼン』を前に掲げ、周囲の様子を探索魔法で探ってみる。本来は『蒐集』で魔導師の魔力反応を見付ける為のものだが、こうした時も役に立つ。

 

「見付けた! 離れた別々の場所に魔力反応2つ、シグナムでもシャマルでも無い……?」

 

 ハッキリとは判らなかった。どうも反応が弱すぎる。まるで妨害でも受けているようだ。不穏だった。

 しかしこのままじっとしていても埒があかない。シグナム達で無いなら相手の正体を突き止める必要がある。何しろ此処は皆が住む世界なのだ。確かめる必要がある。

 

「ザフィーラはあっちの反応を見て来てくれ、 アタシはそっちに行ってみる」

 

「心得た……『闇の書』は預ける……」

 

「OKザフィーラ何か変だ……油断すんなよ?」

 

 ヴィータはザフィーラと別れると、紅い魔法光の軌跡を空に描き、高速で反応に向かい飛び出した。

 

 無音の街をヴィータの風を切り裂く音だけが響く。彼女にはお馴染みの筈の封鎖領域の中が、やけに寒々しく不吉に感じられる気がした。

 彼女は気付いていなかった。この封鎖領域内には魔法とは別種の力が満ちており、中の人間にある作用をもたらしている事を。

 

 ヴィータはしばらく飛行を続け、もう少しで魔力反応があった地点に辿り着こうとした時だった。アイゼンが警報を発した。

 

《Gegens tand kommtar》(対象接近中)

 

「何っ!?」

 

 ヴィータが急制動を掛けるとほぼ同時だった。突如桜色の砲撃魔法の連射が襲った。

 

「チイッ!」

 

 辛うじてヴィータは砲撃を避ける。不意を突かれた形だが、彼女は素早く態勢を立て直し、砲撃が飛んで来た方向に視線を送る。その顔色が変わった。

 

「お前っ!?」

 

 高層ビルの谷間に浮かぶ白いバリアジャケット。醒めた目で『レイジングハート』を構えているのは誰であろう、何と『高町なのは』であった。

 

「お前! 何のつもりだ!?」

 

 ヴィータは怒鳴るが、正直訳が解らない。何故なのはに攻撃されねばならないのか。

 

(まさか……『蒐集』が見付かって『闇の書』の事がバレたのか!?)

 

 可能性はある。焦りでギリッと奥歯を噛み締めるヴィータに、なのははレイジングハートをおもむろに向け、

 

「……貴女達だけ幸せになれるとでも……? そんな価値が自分達にあると……? あんな得体の知れない怪物に乗せられて妙な夢でも見たのですか……?」

 

 淡々と感情を感じさせない声だった。言葉使いこそ丁寧だが、慇懃無礼と言う言葉がピッタリだ。それを聞いたヴィータは血が沸騰するような気がした。

 

「お前……怪物とは誰の事だ……? 妙な夢だ と……!?」

 

 声が怒りで震えていた。爆発寸前だ。しかしなのはは、あくまで冷静な態度を崩さず、

 

「ウルトラマンゼロの事に決まっています…… 得体の知れない上に彼の力は危険過ぎる……管理局は彼を捕獲封印し、貴女達『害悪』もマスター共々捕らえるように命令が出ています……」

 

「ふざけんなああっ!!」

 

 その血も涙も感じられない言葉で、ヴィータは怒りに我を忘れていた。害悪呼ばわりされた上、家族であり自分達が住む世界を命懸けで救ったゼロを怪物扱いされた事に。

 

「てめえええっ!!」

 

 紅の鉄騎はグラーフアイゼンを振り上げ、砕けろとばかりになのはに殴り掛かる。恩知らずがと許せなかった。しかしなのはは急に方向を変えると逃げに入った。

 

「てめえっ! 言うだけ言って逃げるつもりか!?」

 

 ヴィータは絶対にぶっ飛ばしてやると心に決め、闇夜を飛ぶ白いバリアジャケット姿を追った。

 

 

 

 

「ティトリヒ・シュラアアクッ!!」

 

 ヴィータがグラーフアイゼンをなのは目掛けて降り下ろした。なのははもう1つの防御魔法の盾を形成し、砲撃とその一撃を同時に受け止める。

 反発する魔力同士が凄まじいスパークを放った。しかし恐るべき攻撃力に抗しきれない。なのはの足元のコンクリートの屋上が、先に衝撃に耐えきれず陥没してしまう。

 

「ああっ!?」

 

 ついには圧力で弾け飛ばされてしまった。瓦礫と共に空中に投げ出され、ビルの屋上から真っ逆さまに墜ちて行く。なのははペンダント状のレイジングハートを握り締め叫んだ。

 

「レイジングハートお願い!」

 

《Standby.ready set up》

 

 その身体が桜色の光に包まれ、白いバリアジャケットが全身に装着される。杖状に変型させたレイジングハートを手に、飛行魔法を発動させたなのはは宙に舞い上がった。

 

 その様子を屋上から無言で見ていたヴィータは、きびすを返すと掻き消すように姿を消した。

 

 

「てめえっ! 待ちやがれえっ!!」

 

 ヴィータは淀んだ封鎖領域の空を、嘲笑うかのように飛び回るなのはの後を追っていた。白い魔法少女は時々振り返ると、挑発するようにジグザグに飛び回る。まるで鬼ごっこでもしているようだ。

 

「ふざけやがってえっ!!」

 

 ヴィータが撃ち落としてやると、鉄球を取り出した所で、なのはは此方を向き桜色の光を連続して発射して来た。魔力誘導弾だ。

 

「クソッ!」

 

 ヴィータは防御魔法で誘導弾を弾くが、その間になのはの姿が見えなくなっていた。

 

「何処へ逃げた!? 出て来い!!」

 

 出て来る様子は無い。ヴィータは辺りの魔力反応を注意深く探る。また不意打ちを仕掛けて来るかもしれない。

 彼女の魔力センサーに反応が有った。直ぐ近くの高層ビルの裏手に反応、間違い無い。

 

「其処だあっ!!」

 

 ヴィータは貰ったと、ビルの谷間に浮かぶ 『なのは』目掛けて鉄球をアイゼンで打ち出した。

 

「はっ!?」

 

 なのはが咄嗟に張りめぐらした防御壁に、魔力附与された鉄球がぶち当たる。魔法爆発の爆煙が上がった。だが魔力の盾で彼女にダメージは無い。だが……

 

「おらあぁぁっ!!」

 

 ヴィータは一発くれてやろうと、グラーフアイゼンを降り下ろした。無論手加減はしてあるが、食らった相手はしばらく動けなくなる程の一撃だ。

 しかし攻撃は空を切る。いち早くなのはは残煙を利用し、その場所から離脱していた。

 

「誰? 何処の子? いきなり襲い掛かられる覚えは無いんだけど、一体何でこんな事するの!?」

 

 距離を取り態勢を立て直したなのはは問うて来るが、ヴィータは馬鹿にされているようにしか思えない。撹乱を狙っていると判断する。

 

「どの口で言うかあっ!? その手は食わねえ ぞ!!」

 

 もう一度鉄球をお見舞してやろうとした時、背後から桜色の光の玉数発が彼女を襲った。なのはが攻撃を受ける前に放っていた誘導式の魔力弾だ。

 虚を突かれたヴィータだが、防御魔法で光弾を受け止める。アイゼンを持つ両手が衝撃で震えた。

 

「この野郎おおおぉっ!!」

 

 鉄槌の騎士は懐に飛び込んで、アイゼンを降り下ろす。なのはは間一髪で後方に飛ぶのと同時に、レイジングハートを砲撃モードに変化させた。

 その足許に魔方陣が展開され、レイジングハートの先端に魔力が集中して行く。

 

(ヤバい!)

 

 ヴィータが危険を感じる程の魔力だ。とんでもない才能の持ち主とは思っていたが、稀に見る天才と言うヤツかもしれない。

 

「話を聞いてってばあぁっ!!」

 

 なのはの叫びと共に、凄まじい桜色の砲撃が放たれた。彼女得意の砲撃魔法『ディバインバスター』だ。 並の魔導師などとは比べ物にならない強烈な光の奔流が、轟音と共に鉄槌の騎士に襲い掛かる。

 

「くっ!」

 

 身をかわし辛うじて砲撃を避けたヴィータだったが、帽子を吹き飛ばされてしまった。紅い生地が散り、のろいウサギの着いた帽子は地面にはらはらと落下して行く。

 ヴィータの青い瞳の瞳孔が、怒りのあまり開いていた。 はやてに一生懸命に考えて貰った騎士服と、ゼロが欲しい物を我慢して買ってくれたウサギのぬいぐるみ。

 拷問のようだった人生の中で触れた人の優しさと愛情。ヴィータの大切な宝物。2人の気持ちそのものを、土足で踏みにじられたようだった。

 

 今まで辛うじて抑えていたヴィータの我慢も限界に達した。その鬼の形相になのはは思わずたじろいでし まう。それ程までにヴィータの怒りは凄まじかった。

 

「グラーフアイゼン! カートリッジロー ド!」

 

《Expiosion!》

 

 グラーフアイゼンの柄の部分がスライドし、余剰魔力が蒸気のように噴出した。シリンダー 内のカートリッジの魔力が、アイゼンに更なる力を与える。

 

 アイゼンのハンマー部がナノレベルで組み換えられ、スパイクと噴射ノズルが形成された。『殺し屋超獣バラバ』とも競り合った『ラケーテンハンマー』だ。

 ベルカ式のカートリッジシステムを、一度も見た事の無いなのはは目を見張った。

 噴射ノズルが唸りを上げ、勢い良く推進剤が噴射される。ヴィータは真紅のスカートをなびかせ、独楽のようにアイゼンを振り回す。

 

「ラケーテン・ハンマアアアァァッ!!」

 

 推進剤のパワーに遠心力を上乗せし、ロケットのように加速して、なのはに怒りの一撃を叩き込んだ。なのはは防御魔法の盾で攻撃を受け止めるが、アイゼンは桁違いのパワーで盾に食い込んで行く。

 

「!?」

 

 驚くなのはの眼前で、ドリルのように高速回転するスパイクが障壁をぶち抜き、レイジングハートを抉る。そして彼女を襲う圧倒的パワー。

 

「きゃああああっ!?」

 

 痛烈な一撃に、なのははボールのように吹っ飛ばされた。向かいのオフィスビルの窓を突き破り、中の事務室に叩き付けられてしまう。

 魔法で防御はしたが、衝撃と魔力ダメージでもう身体が動かない。

 

 ヴィータは様子を見ようと、割れた窓から中に入ってみた。頭には来ていたが、手加減は忘れていない。

 直接打撃を与えるのでは無く、魔力ダメージとショックによる攻撃である。怪我は無いが、しばらくは満足に動けないだろう。

 それでもなのはは、ボロボロになったデバイスを震える手で此方に向けようとしているが、無駄な事だ。

 

(ざまあみろ……)

 

 一発お見舞し幾分落ち着いたヴィータは、動けないなのはを見下ろし鼻で笑ってやった。

 散々言いたい放題された上に、問答無用で攻撃されて頭に来ていたが、これ以上攻撃するつもりは無い。

 これは人を襲った事になるのだろうかと思ったが、これはどう考えてもいきなり襲って来た向こうが悪い。正当防衛ってヤツだとヴィータは自分を納得させると、なのはをジロリと見下ろし、

 

「おいっ、この恩知らず! 少しは自分の薄情さを思い知ったか!?」

 

 なのははヨロヨロとレイジングハートを向けながら、眉を不審そうにしかめ、

 

「……な……何を言ってるの……? 最初に襲って来たのは……そっちじゃない……」

 

 それを聞いたヴィータはカチンと来た。散々罵倒した挙げ句、負けそうになると今度は惚けるつもりかと腸が煮えくり返った。

 

「お前! どこまで腐ってやがる!?」

 

 少しは見所のある奴かと思っていたら、とんだ眼鏡違い。魔法を手にした事で勘違いでもしたのかと、ヴィータは思わずアイゼンを振り上 げていた。

 

 だが我を忘れてまではいない。戦闘不能に陥った相手を攻撃などしない。腹立ちついでに脅かしてやろうと思っただけである。

 なのはは殺られると思い込んで、思わず目を瞑った。その時である。突然黒い影が2人の間に割って入った。金属同士がぶつかり合う、鋭い激突音が響く。

 

「お前!?」

 

 ヴィータは繰り出された一撃を、アイゼンで受け止めながら声を発した。影が飛び込むと同時に、鋭い打撃を放って来たのである。影はヴィータの言葉を問いと受け取ったのか、

 

「……友達だ……」

 

 なのはを庇い『バルディッシュ』を構え敢然と対峙するは、金髪をなびかせた黒いバリアジャケットの少女『フェイト・テスタロッサ』 であった。

 

「民間人への魔法攻撃……軽犯罪じゃ済まない罪だ……」

 

 冷たく言い放つフェイトの口許が、ニヤリと歪むのをヴィータは見た。確かにそう見えた。そこで彼女は思い当たる。

 

(まさかコイツら……最初からアタシを嵌める気で!?)

 

 そうとしか思えない。罠に掛けられたくらいで弱味を見せてたまるかとフェイトを睨み付けるが、更に3つの転移反応を察知し奥歯を噛み締めた。

 

 

 

 

 

 その少し前。八神家ではゼロとはやて、シャマルとで夕飯の仕度をしている所であった。

 はやてはふと調理の手を止め、リビングの時計を見上げた。もう結構な時間になっている。

 

「ヴィータとザフィーラ遅いなあ……」

 

 心配そうに呟くはやてに、テーブルセッティングをしていたシグナムが微笑んで、

 

「きっと道草でもしているのでしょう……其処まで迎えに行って来ます」

 

 直ぐにコートを羽織り、外出の仕度を始める。

 

「じゃあ……頼むわシグナム」

 

 はやてが拝むように両手を合わせていると、ゼロが担当料理を完成させてテーブルに置き、

 

「それなら俺も、ちょっとコンビニで買いたいもんがあるから付き合うぞ」

 

「ほんなら、ゼロ兄もお願いな」

 

 ゼロは任せろと片手を挙げると、しっかり着込んで仕度する。はやてには心なし急いでいるように見えたが、ゼロはそれに気付き、

 

「早く帰って飯にしねえとな、行って来る」

 

「それでは行って来ます、主はやて」

 

 シグナムがフォローするように空かさず挨拶する。はやては考え過ぎかと手を振り、

 

「2人共、気い付けてなあ」

 

 見送りを受け、ゼロとシグナムは玄関へと向かった。

 外へ出た2人は、途端に夜道を駆け出す。ゼロは並走するシグナムに、

 

「向こうの様子は判るか?」

 

「街中に結界、それもベルカ式の封鎖領域が張られているようだ。今はそれしか判らん……ヴィータともザフィーラとも連絡が付かん、どういう事だ……?」

 

 シグナムは手短に、今判っている事を教えた。つい先程異常を感知したシャマルから、こっそり念話を受けたゼロとシグナムは、示し合わせて外へ出たのである。

 ゼロはテレパシー回線を使っての念話とのやり取りに慣れ、今では普通にシグナム達と話せるようになっていた。

 

「嫌な予感がするぜ、急ぐぞ!」

 

 ゼロは内ポケットから『ウルトラゼロアイ』を取り出すと両眼に装着し『ウルトラマンゼロ』へと変身する。

 シグナムも『レヴァンティン』を、待機状のペンダントから剣モードに変え騎士甲冑を纏う。ウルトラマンゼロとシグナムは、街中に張られている封鎖領域目指して高速で飛び出した。

 

 

 

*******

 

 

 

『それ』は深い闇の中に潜んでいた。

 

 『それ』の発する催眠波動は、死人をも操る程強力なものだ。その波動は、封鎖領域内全ての者に影響を与える事が出来る。

 『それ』は巨体を僅かに震わせ、鋭い牙を剥き出しにした。 指示通りの結果に満足し、双頭と腹とで計3つ有る顎(あぎと)に、おぞましい嗤いを浮かべたかのようであった。

 『それ』は強烈な殺戮本能と捕食欲求以外にも、狡猾な知性も併せ持っている。指示命令にも正確に従う事が出来るのだ。

 そして『それ』は、最後の仕上げをするべく催眠波動を強めた。

 

 

つづく

 

 

 




混迷する事態の中、遂にゼロの前に銀色の超人が現れ、光が溢れる時、謎の空間が現出する。

 次回『亜空間-メタフィールド』
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