夜天のウルトラマンゼロ   作:滝川剛

72 / 105


前回から直ぐのお正月のお話ではなく、次のお正月のお話です。


幕間
番外編1 八神家餅つき大作戦や


 

 

 大晦日。仕事が立て込んでいたヴィータは残務の書類を片付け、ようやく八神家に帰って来ていた。

 

「お帰りヴィータ」

 

「お帰り紅の鉄騎……」

 

「ヴィータちゃん、お帰りなさい」

 

 先に帰っていたはやてとリインフォース改めアインスに、シャマルが温かく出迎えてくれた。はやてとアインスは年越し料理の支度に勤しみ、シャマルは下ごしらえなどの手伝いである。

 着着と料理の腕『だけ』は上げつつあるアインスはともかく、シャマルを味付けに関わらせないのは正解だなと、ヴィータは心の中でのみ呟いた。口に出すといじけて面倒くさい。

 シグナムとザフィーラは買い出しに出ておら ず、ヴィータより少し先に戻っている筈のゼロの姿が見えないようだ。ヴィータはテテテッと料理支度中のはやてに駆け寄っていた。

 

「はやてはやて、餅つきだよ! 餅つきをやろうよ!」

 

 鼻息も荒く、キョトンとする主に提案した。

 

「餅つきかあ……」

 

 はやてはう~ん……と首を捻った。そう言えば去年は『冥王事件』の事後処理やゼロが帰省していて、正月行事と言えばかなり過ぎてから、皆でお節料理を食べたくらいである。

 だがそれは別にして、ヴィータがいきなり餅つきと言い出したのには訳があった。既に日本のお正月を体験したゼロから、餅についてこんな感じで力説されたのである。

 

「いいかヴィータ……日本では新年に餅と言うものを食べるんだぞ」

 

「へえ……どんな食べ物だよ?」

 

 ゼロは何だかとても幸せそうな顔で、明後日の方向を見上げる。(別に何か見えてる訳では無い)

 

「蒸した餅米って専用の米を、粘りが出るまで突いたもんでな……アンコとかきな粉とかに混ぜて食べたり、具だくさんの汁に入れて食べたりする、新食感の日本伝統の食べ物だぞ」

 

「おおお~っ!」

 

 目を輝かせるヴィータにその時ゼロは、ダメ押しとばかりに吊り目に力を込める。

 

「更には冷えて固まった後も油でカラッと揚げて醤油で食べたり、チーズとベーコンと一緒にオーブンで焼いたりすると、外はカリッと中身はフワッとな美味になり、極めつけは細かく切って油で揚げてスナックみたいにした熱々のやつに塩を振ってあられ餅! 

正に口の中をブラックホールが吹き荒れるぜぇっ! な食べ物だ!」

 

 使い方が明らかにおかしい、厨二台詞で力説するゼロであった。尤も一昨年はがっつき過ぎて、しばらく動けなくなってしまったのは内緒だ。

 

「すっげえっ! 食べたい~っ!」

 

 と言ったやり取りがあり、ヴィータはすっかりお餅を食べたくなってしまったのである。それなら餅つきもやってみたくなったようだ。

 テレビなどで餅つきの映像などを見て、自分でもやりたくて仕方なくなったらしい。餅つきの杵(きね)がアイゼンっぽいのが気に入ったのかもしれない。しかしはやては困ったように苦笑した。

 

「餅つきかあ……ちょう遅かったなヴィータ……」

 

「えっ?」

 

 ヴィータが首を傾げた時、ゼロが何か大きなものを抱えて帰って来た。

 

「はやて、餅ここに置いとくぞ?」

 

 ゼロはビニール袋に入っている一抱えもある大きなものを、ドスンとテーブルに置く。中身を取り出すと、丸く平らに纏められた洗面器サイズの真っ白な餅が7個もある。まだ突き立てらしく柔らかい。

 

「ゼロ……それお餅……?」

 

 聞いて来るヴィータにゼロは、嬉しさを隠しきれず口許をムズムズさせる。

 

「アリサん所で餅つきがあってな、これは貰い物だ。これでたらふく餅が食えるぞ」

 

「ちぇ~っ、餅つきしたかったなあ……」

 

 ヴィータは残念そうに肩を落とした。無論お餅も食べたかったが、餅つきもやりたかっただけに残念なのだ。はやてはそんな彼女の頭を撫でてやる。

 

「そんなんしたかったんか……? ほんなら今度改めて臼(うす)と杵を借りてきて、みんなでお餅つきやろうな? 突けない分、美味しいお餅料理作ったるから」

 

「うんっ、餅つきは今度の楽しみに取っとくよ」

 

 ヴィータは聞き分け良く頷いた。はやての美味しいお餅料理が沢山食べられるのなら、餅つきが出来なくてもお釣りが来ると言うものだ。

 

 機嫌を直したヴィータは大晦日を満喫する事に集中する。年越し蕎麦に料理を全員でワイワイ食べ、絶対に〇ってはいけないにお腹を抱え、一部の歌手の時だけ紅〇をみる。(お察しください)

 初詣にも出掛け、おみくじを引き破魔矢を買って今年1年の無事を祈ったりし、「あけましておめでとう」の新年の挨拶をし合った。

 大満足のヴィータは、帰るなりパタンと寝入ってしまった。小学生のはやても同様で、完全に寝てしまったヴィータと、うつらうつらするはやてをシグナムとアインスが抱き抱えて、部屋のベッドに寝かし付けてやる。

 他の者も流石に眠くなり、八神家全員床に就き深い眠りに落ちていた。

 

 

 

 

 ガチャーンッッ!!

 

 まだ寝静まっていた午前8時過ぎの八神家に、何かが割れるような派手な音が響き渡った。

 

「何だ? どうしたぁっ!?」

 

「何や!?」

 

 何事かと全員が起き出して、音がしたと思しきキッチンに駆け付けた。見るとサッシ窓が割られガラスが散乱し、食卓がひっくり返っている。

 

「何が有ったんや……? 泥棒でも入ったんやろか……?」

 

 訝し気に辺りを見回すはやての目に、妙なものが映った。割れたサッシの向こう、緑色の大木みたいなものが家の前の道路にそびえ立っている。

 

「何や……あれは……?」

 

 勿論家の前にそんな大木など無い。はやて達は外に出てみた。すると其処には……

 

「臼(うす)ぅぅぅ~っ!?」

 

 はやてはビックリして、素っ頓狂な声を上げ てしまった。其処に在ったのは有り体に言うと 『臼』であった。

 餅つきに使う臼である。 しかしサイズが途方もない。数十メートルはあるバカでかい臼に、緑色の大木のような手足が付いた臼の化け物が、デンッとばかりにそびえ立っていた。

 赤くギラギラ光る三白眼に、長い2本の牙を下顎から生やしている。子供の落書きがそのまま実体化したような冗談のような姿だ。

 

「怪獣モチロンっ!?」

 

 覚えがあるゼロは驚いて怪獣を見上げた。

 

『ふははははははははぁぁっ!!』

 

 モチロンが野太い声で笑うと、その巨体がフワリと空に舞い上がった。飛べる訳では無く、黒い飛行船にロープでぶら下がっているのである。モチロン専用飛行船だ。

 

「待てぇぃっ!」

 

 ゼロは変身しようと『ウルトラゼロアイ』を取り出し、はやて達もバリアジャケットを纏って追おうとするが、モチロンはあっという間に空に消え去ってしまった。

 姿を見失ってしまったゼロは、慌ててシャマルに追跡を頼む。早速湖の騎士は『クラール・ ヴィント』を起動させるが、

 

「駄目だわ……何で? クラール・ヴィントに全然反応が無い……?」

 

 シャマルは焦って色々やってみるが、やはり反応が無い。

 今までの蓄積と改良を受けたクラール・ヴィントなら、大抵の怪獣の反応を追える筈がモチロンを追跡出来ない。

 そう言えばゼロや守護騎士達にも気付かれず、家に近付かれたのも不思議であった。 空に飛び上がったシグナム達も、結局モチロンの愉快な姿を発見する事は出来なかった。見事な逃げ足である。

 

 仕方なく割れたガラスを片付けサッシを応急措置で塞ぎ、業者を後で頼む事にしたはやて達は、モチロンの情報をゼロから聞く事にした。

 

「で……ゼロ兄……何やの? あのおもろい顔したでっかい臼は……?」

 

 はやては流石にサッシを割られて少しカチンとしていたが、モチロンの顔を思い出して吹きそうになるのを我慢する。あれは反則だと思った。ゼロは真剣な顔で説明を開始した。

 

「奴の名は……臼怪獣モチロン……」

 

「まんまやな……」

 

 はやては素直に感想を述べる。ゼロはそうかな……? と首を捻りつつ、

 

「奴は臼怪獣で、大好物が……」

 

 そこまで言ったところで、ヴィータの悲痛な叫びがリビングに響き渡った。

 

「お餅が全部無いっ!? アイツ餅泥棒だっ!!」

 

 鉄槌の騎士は怒りを顕(あらわ)にして絶叫している。ゼロは怒り狂うヴィータを横目に、 至って真面目な顔で一言。

 

「大好物は餅だ……」

 

「ほんまに分っかり易いなあ……あはは……」

 

 はやては乾いた笑い声を上げるしか、リアクションの取りようが無い。

 

「奴はなんでも……人が月ではウサギが餅つきしてるって信じた伝説が怪獣化したもんで、その体は特殊な元素で出来てるから、気配も消せるしセンサー類にも反応しないらしい……」

 

「ファンタジーやなあ……って言うか何でも有りやな……」

 

 ツッコミ所が有り過ぎて、そうとしか言えないはやてである。

 

「それで誰も接近に気付けなかったし、クラール・ヴィントでも反応を追えなかったの ね……?」

 

 シャマルは一応真面目な反応をしておく。そうでないと、限りなく笑い話になりそうだったので。そこでシグナムも気になった事を聞いてみる。

 

「で……奴は一体此処に何しに来たのだ……? まさか餅を盗みに来ただけと言う事はあるまい……? どんな企みが?」

 

 まっとうな疑問である。普通はそう思うだろう。何度となく恐るべき怪獣とやり合い、撃破もして来た烈火の将は油断などしないのである。

 アインスもザフィーラも同意して頷く。だがゼロはキョトンと不思議そうな顔をした。

 

「何って……餅を食いに来ただけに決まってるだろ……? モチロンと言えば餅、餅を食べるだけに来たに決まってる! このままだと日本中の餅が全部食われちまうぞ!!」

 

 断言した。おふざけ無しの大真面目である。ゼロが気が付くと、シグナムもアインス、シャマルもザフィーラまで頭を抱えていた。

 

「どうかしたのか……?」

 

 不思議そうなゼロにシグナムは、何時もはクールな表情を引きつらせた。

 

「……何か……頭が痛くなってな……」

 

「奇遇だな将……私もだ……」

 

 アインスもひどく疲れたように表情を引きつらせる。

 

「ゼロの居る世界は……何と言うか……色々と自由だな……?」

 

「そこはかとなく馬鹿にしてないか……?」

 

 ゼロは心外だとばかりに返す。彼の出身 『M78星雲』の在る世界では、ハードSF張りの事件が有るかと思うと、思わずツッコミたくなるような事件も沢山起こったりするのである。

 しょうもない理由に皆が微妙な顔をしていると、はやての携帯電話が鳴った。表示を見るとなのはからである。

 

「もしもし、なのはちゃん?」

 

 何となく予感を感じながら電話に出たはやての耳に、

 

《はやてちゃん、大変! うすのお化けが!》

 

《何か変な怪物が!》

 

 なのはと遊びに来ているユーノの声だ。案の定である。高町家にも現れお餅を全部食べてしまったらしい。

 なのはに一通りモチロンの説明をし、フェイトにも連絡を入れようとした矢先に本人から着信が来た。出てみると、早速フェイトの慌てた声が耳に入る。

 

《大変はやてっ! 大きな怪獣が、せっかくのお餅を全部食べてしまって母さんが……》

 

 フェイトの話す声とは別に、低くリンディの慟哭が聞こえて来た。日本文化大好きの提督はウルトラ級に甘々なお汁粉の為に、同じくアリサの所からお餅を貰って来ていたのである。

 

「あちゃ~っ」

 

 はやては楽しみを奪われてすすり泣くリンディの声をバックミュージックに、フェイトにもモチロンの情報を伝え一旦集まろうと話をしていると、

 

「主、これを!」

 

 アインスがテレビの画面を指差した。この地方の報道番組である。

 そこには女性リポーターが大袈裟に真剣な顔をして映っており、背後には滅茶苦茶になっている餅つき大会の会場が映っていた。

 

《海鳴市にて、大規模な餅強奪事件が連続して起こっています! 目撃者は口を揃えて、臼の化け物が餅を全部食べたなどと証言しており、 警察では何かの悪戯ではないかと……うんぬんかんぬん……》

 

 などとリポーターは仰々しく説明している。あまり本気にしてないのが見え見えの過剰演技だ。

 まあ……臼の怪物が餅を食いまくっているでは、冗談にしか聞こえないのも事実ではある。既にモチロンは市内で餅を食いまくっているようだ。

 アリサ宅にも現れて餅を全部食べてしまっている。現状を聞きゼロは拳を握り締めていた。

 

「大変だ! このままだとお汁粉も雑煮も只の汁になっちまうぞ! 鏡餅まで無くなったら正月じゃねえ!!」

 

 真剣に力説す。大変なんだか、そうでもないのか微妙だが……だがヴィータはその瞳に怒りの炎を燃やす。

 

「あのうす野郎~っ、アタシのお餅を~…… ぶっ潰す! ゼロッ、あのうす野郎を追うぞ!!」

 

「言われるまでもねえっ!!」

 

 ゼロは阿吽の呼吸で応えた。げに食い物の怨みは恐ろしいのである。

 

「ちょう、2人共っ?」

 

 はやてが止める間も無く、ゼロとヴィータは疾風の如く家を飛び出して行った。通常の3倍くらいのスピードである。トランザムでもかけたようだ。

 

「しゃあないなあ……私らもなのはちゃん達と合流したら後を追おう?」

 

 はやてはやれやれといった風に苦笑し、ペンダント状の『シュベルトクロイツ』を取り出した。それを見たシグナムは少し困ったような顔をする。

 

「しかし主はやて……管理外世界で、大掛かりな魔力使用は問題では……?」

 

「ああ、そんなら心配要らんよ」

 

 はやてはニッコリ笑って携帯を示す。

 

「リンディ提督から、後の辻褄は合わせるから、バレないようにあの臼とっちめてだって」

 

 リンディも相当怒っているようである。新年祝いで酒も入っているのかもしれない。

 ちなみにクロノは頭痛がするから寝てるそうである。気持ちは良く判るはやてであった。クロノはあの舐めくさった怪獣に、拒否反応が出たと思われる。

 まあ……そんなこんなで、全員でモチロンを追う事になった。

 

 

 

 

「どっちだゼロッ!?」

 

 ヴィータは座った目で辺りを探しながら、ペンダント状の『アイゼン』を握り締めた。モチロンを追って住宅街にやって来たヴィータとゼロである。

 

「さっきのニュースで見る限り、こっちの方に来た筈なんだが……」

 

 ゼロはその超感覚で周囲を探るが、モチロンを発見出来ない。やはり反応が薄い。目視で見付けるしかないようだ。

 2人共変身はしていない。さすがに真っ昼間に変身した姿で空を飛んだり、その辺をうろつき回っていたらとんでもなく目立つ。まずは見 付けて、結界に閉じ込めるのが先決だ。

 すると突然回りの景色が色を失い、通行人の姿が消えた。結界が張られたようである。同時にはやてからの念話が入って来た。

 

《モチロンを撃ち落としたわ。下敷きにならんように気い付けてな》

 

 先にはやて達が発見したようだ。上空を揃って見上げるゼロ達の目に、何かがヒュルル ~ッ、と墜ちて来るのが入った。

 

 

 

 

 

 数分前、なのは、フェイト達と合流したはやて達八神家は、目撃されないように雲の上を飛んでいた。ゼロ達と同じく、被害のあった場所から目星を付けてモチロンを追って来たのである。

 

「はやてちゃん、あれっ!」

 

 シャマルが指差した方向に、変なものが浮かんでいた。黒い飛行船に太いロープでぶら下がっている巨大臼。勿論モチロンである。

 しかし……何とも呑気な光景だった。新年の空をふよふよ飛んでいる大きな臼……それを大真面目に追い掛けているのが、バカらしくなる光景である。

 

「はやてちゃん……」

 

 はやての隣を飛ぶなのはが苦笑を浮かべている。このシュールさが判るのは、日本で生まれ育った2人だけであろう。

 フェイトは真面目にモチロンを追っている。リンディの仕返しをしようとしているようだ。

 

「あの飛行船を狙おう!」

 

 気合いが入っているフェイトは、『バルディッシュ』を構えた。はやてもデバイスを構えるが、あの飛行船で別の宇宙の月から来たのか? 真空の宇宙空間をどうやって?

 などともの凄くツッコミを入れたかったが、まずはあの悪戯者を撃ち落とすのが先である。

 

「一丁行くでえっ、ブリューナク!」

 

「プラズマ・ランサァァァッ!!」

 

「アクセルシューターッ!」

 

 はやて、フェイト、なのはの砲撃魔法が飛ぶ。3色の光が見事に飛行船に炸裂し、ポンッと間抜けな音を立てて破裂した。

 

『またかあああああぁぁぁぁぁ~……』

 

 ドスの効いた悲鳴を上げ、モチロンはヒュルル~と地上に墜ちて行く。これでタロウの時も含めて2度目である。そこでユーノ素早く結界を張り巡らした。

 

 

 

 

 

「おっ? 墜ちて来たぞ」

 

「ほんとだ……」

 

 空を見上げていたゼロとヴィータの近くに、モチロンの巨大がドスンッいう感じで墜ちて来た。食い物の怨みとばかりに、ボコッてやろうと腕捲りして近寄る2人だが……

 

「何だあ……?」

 

 ヴィータは目を丸くした。モチロンの手足が亀のように引っ込んで行く。手足が無いと完全にデカイ臼である。

 だが呑気してる場合では無かった。巨大臼が2人の居る方向にゴロゴロ転がり出したではないか。

 

「うわあっ!?」

 

「バカッ、こっち来んなあっ!」

 

 変身する間も無い。ゼロとヴィータは慌てて逃げ出した。必死である。変身前に臼に潰されるなど、相当間抜けな死に方だ。猿カニ合戦の猿以下であろう。

 しかしモチロンの転がる速度は速い。巨大なロードローラーが迫って来るようなものである。

 

「わああっ? 潰されるぅっ!?」

 

 後ろを振り向いたヴィータの目前にモチロンが迫っていた。

 

「ヴィータ、伏せろぉっ!!」

 

 ゼロは咄嗟にヴィータを抱えて地面に伏せる。次の瞬間轟音を上げて、モチロンが2人の上を通過した。

 

「た……助かった……?」

 

 ヴィータは何ともないのを感じ顔を上げた。無傷である。ゼロはホッと息を吐いた。

 何故大丈夫なのか? モチロンは臼なので真ん中から端まで緩く抉れており、潰されずに済んだようである。この体のお陰で、今まで潰された人はタロウの時も1人もいない。

 モチロンはそのままゴロゴロ建物を壊しながら転がって行き、何か白い粉を辺りに撒き散らした。その姿は白煙の中に消えてしまう。

 

「ちぃっ!」

 

 ゼロが透視能力で辺りを探るが、もう姿が無い。既に遠くまで逃げ去ってしまったようだ。

 

「結界をすり抜けて行ったのか……?」

 

 ヴィータは残念そうに舞う白い粉を見上げた。モチロンの体は特殊なので、楽に結界をすり抜けられるらしい。 ゼロは白い粉に覚えがある。つい昨日アリサの所で見た。一口舐めてみる。

 

「やっぱりか……餅取り粉じゃねえか、新技……?」

 

「どんな新技だよ……?」

 

 ヴィータはツッコんでおく。どうやらお餅がくっつかないように付ける、餅取り粉を煙幕代わりにしたらしい。

 あくまで餅関係に拘るの がモチロンらしいと言えよう。コーンスターチでない所が拘りである。

 

 その後はやて達と合流した2人は改めて周囲を探したが、モチロンの逃走経路すら掴めなかった。

 結界を出た後は転がるのを止め、建物も壊さず餅取り粉煙幕で辺り一帯の視界を効かなくして移動したらしく、目撃者もおらず行方が分からない。

 一旦八神家に集まった全員は、さて、どうしたものやらと言う感じである。

 倒してしまうと色々と不味いらしいと、ド キュメントデータで知った。彼方の地球の月の影が無くなって、お月見が出来なくなってしまうそうだ。

 被害は餅を食われた事と、餅を強奪する際に一部ガラスやドアが壊された程度だが、やはり迷惑なのでサッサッと捕まえたい所である。

 

 しかし怪獣を追っていると言うのに、ほのぼのした空気が皆に漂っていた。まったりである。モチロンは今日散々海鳴市全部のお餅を食べたので、お腹一杯で明日まで出て来ないのだ。

 慌てる事も無いので、ついでにと持ち寄った正月料理を食べ、正月特番を観ながらの相談なので緊張感は皆無である。

 戦闘と言うより悪戯者をとっちめるのだから、レクリェーションみたいな感覚なのだ。 ヴィータなどは、食い物の怨みでやる気満々ではある。

 そんなまったり空気の中、狼姿のザフィーラが何か思い付いたらしくゼロに歩み寄った。

 

「どうしたザフィーラ?」

 

「ウム……少し思い付いた事があってな……」

 

 ザフィーラはゼロの匂いを嗅いでいるようだ。その光景を見て一部女性陣の頭の中に、妙な妄想が湧いたようだったが、それは無視して……

 

「あっ、そういう事かい!」

 

 アルフはピンと来たらしく、少女モードから子犬モードになると隣で伊達巻をぱくついていたヴィータをクンクン嗅ぎだした。

 ゼロは女性陣のいやあな感じの(ザフィーラは人間モードでそれをやるべきだと)生暖かい視線に気付かず、キョトンとするしか無い。

 すると嗅ぎ終えたザフィーラが、心なしニヤリと口許を吊り上げた。

 

「モチロンの後を追えるかもしれん……」

 

「本当かよ!?」

 

 ヴィータが勢い込む。彼女の匂いを嗅いでいたアルフが説明してくれる。

 

「服に少し残っていた粉に、独特の臭いが残ってたんだよ。これで後を追い掛けられる」

 

 最新技術や超能力でも追跡出来ないモチロンを見付けられるのは、犬……いや狼の鋭い嗅覚だったと言う訳である。

 

「はやてちゃん、何か昔話みたいだね……?」

 

 なのはがほっこりした笑顔で、はやてに感じたままを言った。

 

「ほんまやねえ……」

 

 はやても全く同感だった。自分達が昔話の登場人物になった気分である。

 

「ん……?」

 

 流石にその辺りの機微が分からないフェイト は首を捻るが、何となく昔読んだ絵本のお話のようだなと思った。

 

 

 

 

 さて……ノンビリした事にしっかりお節料理を堪能し、翠屋のケーキまで頂いた一行は、食休みまでしてからモチロンを探しに出掛けた。

 辺りは夕暮れ近い。薄く満月が出ていた。どれだけノンビリしていたのだろう……

 

 先頭ははやてを背に乗せた狼ザフィーラに、リードを付けた子犬アルフ、そのリードを持ったフェイトである。

 ゾロゾロ歩く様は、呑気に正月散歩をしている人達にしか見えない。各自レクリェーション気分なので、あながち外れでも無い。

 臭いを辿るザフィーラとアルフも、長い散歩気分で足取りは軽い。 完全に食後の腹ごなし状態の一行である。

 さて肝心のモチロンだが、人気の無い山の方に向 かったようだ。人家も途絶え人通りも無くなり、辺りも完全に暗くなってきたので、全員変身して空を飛ん で追跡を続行した。

 

 臭いはどんどん強くなり、いちいち地面を嗅がなくても充分後を追える。かなり山奥まで入ったところで、妙な音が聴こえてきた。

 

「何や……? このけったいな音……?」

 

 はやては眉をひそめた。まるで象が唸り声を上げているような轟音が、深い森にぐわんぐわん木霊している。

 

「これってまさか……いびき……?」

 

 フェイトが轟音のする方向に目をやると、案の定森の中で横になってグウグウ寝ているデカイ臼、モチロンが居た。

 ムカつく程幸せそうに爆睡している。ご丁寧にプク~ッと大きな鼻提灯を作っていた。相変わらず冗談のような姿である。

 正直はやては笑いたいのを我慢するのに苦労した。しかしその横で殺気だったヴィータが 『グラーフアイゼン』を構えて、今にも殴りかかろうとしている。

 呑気に爆睡する実物を前に、食い物の怨みが甦ったらしい。するとウルトラマンゼロがそれを制止する。

 

『まあ待てヴィータ……まずは俺に任せろ……話を付けてやる……』

 

 珍しく話し合いを試みるつもりのようである。ヴィータはすごく意外に思った。

 

「ゼロにしては珍しいな……?」

 

『フッ……腕っぷしだけじゃねえのを見せてやるよ……』

 

 兄貴風を吹かせて自分の唇をチョンと弾くと、人間サイズのままのウルトラマンゼロは、爆睡中のモチロンにフワフワ近寄って行く。有るのか無いのか分からない鼻先に浮かんだ。

 

『オラアッ! 起きろこの餅泥棒野郎っ!!』

 

 思いっきり怒鳴りつける。モチロンは一喝にビックリしたらしく、鼻提灯をバチンと破裂させデッカイ目を見開いた。

 

「結局最初から喧嘩売っとるやん……」

 

「まあ……ゼロだしなあ……」

 

「らしいと言えば、らしいですが……」

 

 やっぱりとツッコミを入れるはやてとヴィータ、シグナムである。予想の範囲内なゼロの一喝に、モチロンは怒り心頭でグオオッとばかりに立ち上がった。

 

『何だおめえは!? せっかくオラが気持ち良く寝てたっちゅうに!!』

 

『やかましい! 俺はウルトラマンゼロッ、セブンの息子だ! さっさと元の世界に帰れ! 迷い込んだってんなら送ってやる。言う事聞かねえとぶっ飛ばしてやるぞ!!』

 

 何ともストレートな物言いである。と言うか、説得する気ゼロだ。

 

『やがましいっ! セブンの息子か何だが知らねえが、嫌なこったあっ! 餅を食うのを何千年我慢して来たと思ってるんだぁっ!?』

 

 モチロンはゼロの事を知らないようだ。まだ彼方の地球に一度も現れた事が無いので、当たり前と言えば当たり前である。

 

『此処はお前の世界の地球じゃねえんだ。関係ねんだよ!』

 

 軽くセブンのくだりをスルーされて少々カチンと来るゼロだが、取りあえず言い返す。だがモチロンはせせら笑ってお腹をパンッと叩いた。

 

『んな事あ判っとる。やっばり別の世界でも地球の餅は柔らかくてうめえぞぉぉぉっ!! ウルトラの父も居ねえし、念願の新潟に行って新潟の米で出来た餅を腹一杯食うまで帰らねえぞおおおっ!!』

 

 魂の叫びである。迷い込んだのでは無く明らかに確信犯だ。以前新潟に行けなかったのが、よっぽど心残りだったようだ。

 自分の目の前の若造がどれだけ強いのかも知らないモチロンは、腰を落として大地を揺るがし相撲の四顧(しこ)を踏む。

 

『どぉすこおい~っ! 帰らせたきゃ、オラを相撲で負かしてみろ小僧が! この日の為に特訓して来ただ!!』

 

『面白えっ! 相手してやんぜぇっ!!』

 

 売り言葉に買い言葉。ゼロは巨大化してモチロンの前にそびえ立つ。その時ヴィータが前に飛び出した。

 

「ゼロッ、コイツの相手はアタシがやる! ふざけやがってぇ~っ、このウスノロ野郎っ!!」

 

 アイゼンでモチロンを指して挑発した。もうヴィータの怒りは爆発寸前である。

 

『おっ、おう……』

 

 ヴィータの勢いに押され、ゼロはつい頷いていた。紅の鉄騎はモチロンの勝手な言い種にいい加減頭に来たのである。歩き回って、お腹が空いてきたせいも有ると思われる。

 

「はやてちゃん、止めなくて良いの……?」

 

 心配したなのはははやてを振り返るが、夜天の主は少し考えるとニッコリ笑って見せた。

 

「うん……大丈夫やと思うよ。なのはちゃんなら何となく分からん……?」

 

「あっ……!」

 

 思い当たったなのはが手を叩いた。視線を決闘に戻すと、既にヴィータとモチロンは対峙していた。ゼロは行司役よろしく1人と1匹の横に立っている。

 

『グフフ……ガハハッ! このチビスケが! オラに勝てるとでも思っただか!?』

 

 モチロンは完全に馬鹿にしている。腰に手を当てて無駄に豪快な高笑いだ。

 

「煩ぇっ! アタシの楽しみを奪いやがって、 お前は潰す!!」

 

 ヴィータの瞳孔が開いている。どれだけ餅を食べたかったのだろう。

 

「轟天、爆砕っ! ギカント・シュラアアア クッ!!」

 

 頭上に掲げたアイゼンが、数十メートルのとんでもない大きさまで巨大化した。アイゼンのフルドライブバースト形態である。

 

『ひいいいっ!? ちょっと待て、オラは相撲で勝負を……』

 

 明らかに腰が引けているモチロン。ヴィータ聞く耳持たず、巨大アイゼンを思いきり振りかぶった。

 

「知った事かあっ! 今4つに叩き割ってやる!!」

 

『うひゃあああああ~っ!!』

 

 モチロンは降り下ろされるギカントから必死で逃げる。外れた巨大ハンマーが大地を爆発したように抉った。

 

「逃げんなコラァァッ!!」

 

『うわああっ!? そっ、それだけは止めてくれええ ええっ!!』

 

 ハンマー系はトラウマになってるらしい。モチロンは恥も外聞も無く逃げ出していた。なのははその光景を見て、なるほどと頷く。

 

「臼だけに、ハンマー杵系には弱いんだね……」

 

「最後まで臼やなあ……」

 

 はやては最早モグラ叩きゲームと化してい る、ヴィータとモチロンの追いかけっこを見て感心してしまった。フェイトは頭が?マークである。

 

 追い詰められたモチロンは諦めたのか、手足を投げ出して大の字に寝そべっていた。

 

『さあ殺せ! 一思いに殺してみろおっ! だがオラを殺せばあっちの月の影が無くなって、もう月見も出来なるぞおおっ!!』

 

 相変わらず往生際が悪い。ヴィータも別に殺すつもりは無いので少々困ってしまった。その時である。

 

《モチロン……いい加減にしなさい……》

 

 透明感のある女性の声が突然天から響いた。 空を見上げると純白のローブのような服を纏った女性が、天使のようにふわりと舞い降りて来るではないか。更に共に降り立つ巨大な影。

 

『ウルトラマンA!?』

 

 ゼロはビックリして声を上げた。特徴的な頭部に赤と銀の体。ウルトラマンAその人である。そうするとこの女性は……

 

「ウルトラマンゼロさん……この世界の魔導師の皆さん……私は『南夕子』……うちのモチロンがご迷惑をお掛けしました……」

 

 やはりウルトラマンAが合体変身していた時の片割れ、月星人の南夕子であった。

 

『あっ、姐さん!?』

 

 モチロンはギクリとしてしまっている。相当焦っているようだ。この上ウルトラマンAまで来ては観念するしか無い。

 

「これはご丁寧に……八神はやて言います……」

 

 取りあえず代表してはやてが挨拶した。夕子は柔らかく微笑むと、モチロンを見下ろし怖い笑みを浮かべた。

 

「さあモチロン……帰りますよ……でもその前に……」

 

 覚えがあるモチロンは、思わず後退りしてしまう。

 

『ね、姐さん……もしかして……?』

 

「はい……あなたが食べた分の餅を、あなたが臼になってつくのです……」

 

『またですかい!? やれやれ……別の世界でまで餅つかなきゃいけないなんて……まったく……』

 

 しょんぼり項垂れるモチロンである。ちょっと可愛いなと思うはやて達であった。

 

 

 さて……見事な満月の光が山中を照らす中、手足を引っ込めて巨大な臼になったモチロンの姿が在った。何処から出して来たのか、その臼の中にはとんでもない量の蒸したもち米が入っている。

 もの凄おくツッコミたいと思うはやて達の前で、夕子がギカントを持ったままのヴィータに笑い掛けた。

 

「ヴィータちゃんだったわね……? やってみたい……?」

 

「はいっ、アタシついてみたいです!」

 

 即答である。夕子は優しげに微笑むと、いきなりその体が大きくなった。

 

「えええええ~っ!?」

 

 驚いたはやて達は揃って声を上げていた。変身した訳では無く、南夕子がそのままウルトラマンクラスにまで巨大化したのである。普通に驚く。

 空は飛ぶし巨大化はするし、数千年経ってもピンピンしているし、月星人……一体どういう人達なのだろう?

 巨大化した夕子はたすき掛けで服の裾を結ぶ と、ヴィータを促した。かなりビックリしたヴィータだったが、気にしない事にしてアイゼ ンを振りかぶる。

 もの凄いスケールの餅つきが始まった。夕子にやり方を教わり、ヴィータは最初は巨大アイゼンでもち米をグイグイ捏ねる。

 一通り纏まった所で、ペッタンペッタンやり始めた。サイズがサイズなので実際音はズドンズドンで、つく度に大地が震えている。

 明るい月光に照らされ巨大ハンマーで餅をつく小さな少女と、餅をひっくり返す巨大な女性。シュール過ぎる光景であった。

 

『痛っ! 痛えよお~っ』

 

 モチロンはトホホな声を上げ、ゼロとAは後ろで餅つきを見守っている。

 

「どっから突っ込んでいいのか分からんわ……」

 

「にゃははは……私もだよ……」

 

 はやてとなのはは解脱したような顔で、スケールの大き過ぎる餅つきを見守る。

 

「これがジャパニーズファンタジーってやつなんだね……?」

 

 フェイトは日本文化を色々と勘違いしてしまったようだ。はやてとなのはは笑って友人の肩を叩いていた。

 

 

 

 

『皆さん……ご迷惑をお掛けしました……』

 

『さらばだゼロ……ルパ……モチロンは任せろ。後は頼んだぞ?』

 

 挨拶をしてウルトラマンAと巨大南夕子が、満月の夜空をモチロンを抱えて飛び去って行く。

 見送るはやてはふと、Aの声が前の銭形のとっつあんそっくりだな、などと思っていると、餅の前で呆然としているゼロに気付いた。

 ついた分の餅は綺麗に小分けされ、小山のように積み上げられている。

 

『これ……全部俺が返すのかよ……?』

 

 ゼロは海鳴市全部を回って歩く手間を想像し、ガックリと頭を垂れた。正月早々とんだ重労働である。頑張れゼロ。叔父のタロウもやった筈だ……

 

 

 

 

 つきたての餅を持って帰ったはやては、早速色々な餅料理を作り皆に振る舞っていた。なのはもフェイトも家の分を持って帰っている。

 リンディもこれで満足であろう。八神家の食卓には、様々な餅料理が並んでいる。胡麻餅、きな粉餅に定番のお雑煮、お汁粉まで用意してあった。

 

「美味しいっ!」

 

 ヴィータは念願の餅を夢中で頬張っている。他の者も同様で、餅料理に舌鼓を打っていた。

 

「こんな美味しいお餅、初めて食べたわあ……」

 

 はやても感嘆の声を漏らす。彼女の味付けも有るが、モチロンでついた餅は絶品であった。

 

「おうっ、こりゃあ美味い!」

 

「こ……これは……箸が……箸が止まりませんっ、我が主……!」

 

「やはり日本食は素晴らしいです!」

 

「美味しい~っ!」

 

 ゼロもアインスもシグナム、シャマルも次々に餅料理を空にして行く。ザフィーラは無言ながらもしっかり食べている。

 

「みんな、まだまだ沢山あるから、好きなだけ食べてな?」

 

 はやては皆の食いっぷりを眺めて目を細めた。まだまだ餅は沢山ある。モチロンでついた餅は食べられた分よりも多く、返してもまだ相当な量があった。

 

「大丈夫だよはやて、こんなに美味しいんだから全部食べるよ」

 

 ヴィータはむにゅ~んと箸で餅を伸ばしながら、満面の笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 1週間後。ゼロが外出から帰って来ると、体重計の前でガックリと項垂れている女性陣を目撃した。

 

「夢や……これは悪い夢や……」

 

「私も出来ればそう思いたいです……我が主……」

 

「馬鹿な……鍛練は欠かしていなかったというのに……不覚!」

 

「壊れてるのよ……きっと体重計が……アハハハハ……」

 

 各自打ちひしがれて、ぶつぶつ呟いている。 餅のカロリーを甘く見ていたようだ。

 確かにゼロが引くくらい食べていたので、当然と言えば当然の結果である。モチロンの餅があまりに美味しかったが故であった。

 ゼロは何となく、関わると面倒くさい事になりそうな気がしたので、そっとその場から立ち去る事にした。

 リビングに入ると、ヴィータが自家製おかきをパクパク食べながらテレビを観ている。ゼロに気付いて、おかきの入った袋を差し出し、

 

「ゼロも食べるか?」

 

 と笑う顔は鏡餅のように丸かった……

 

 

 

 

 おまけ

 

「フェイトォ~ッ? なのはが迎えに来てるよ。はやてん家に遊びに行くんだろ?」

 

「こんなのじゃ、ゼ……顔を合わせられないよ お~っ」

 

 ハラオウン家、床にへたり込んで泣き言を言うフェイトの姿が在った。ふくよかである。

 ちなみにイジけているフェイトを宥める、なのはとアルフも見事にふくよかになっていた。

 何故かリンディだけは変わりなく、甘々お汁粉のお代わりをしていましたとさ、どっとはらい。

 

 

 

つづく

 

 

 




ゼロを襲う恐怖。はやてが料理で敗北する恐るべき強敵の正体は……
次回番外編2『甘いチョコの恐怖や』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。