緋弾のアリアW   作:グラニ

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ハーメルンでは初めまして。

他のサイトではいくつか小説を投稿していました、グラニと申します。

この度投稿しました緋弾のアリアW 、緋弾のアリアと仮面ライダーWのクロスオーバー作品となっております。

過去にモバゲーの小説サイト(エブリスタになる前)に同じものを投稿したので、「見たことある」という方がいらっしゃるかもしれません。
それは同作者による作品です。

……………見たことあるって言ってくれる人いたらウレシイナー。


と、言っても同じ探偵物のため他にも同じコラボ作品があっても不思議ではありませんが。









Wの物語/序章

夜。全てを等しく暗闇に突き落とす時間帯。

 

どこか広場のようなその場所だが、とある事情で人気のない所。

 

そんな所に唯一あるもの。異様であるはずの俺達以上に、ソレは異様な存在感を放っていた。

 

目の前には神秘的で、ありえない光景。

 

水晶のようなソレは外部の骨格らしきものを含めて見れば、塔のように見えなくもなかった。規模はそれでも小さいけど。

 

その中にはさらにありえない事だが、同い年くらいの、さりとてまだ幼さが残る顔立ちの少年がいる。

 

さきほど、俺が突き飛ばして変な装置な入れてしまった、今回の依頼目標。

 

ありえない。そんな言葉を口に出来ないほど、この場所はソレで満ちている。

 

そして、さらにありえない事だが。

 

俺はそんな事に浸っている場合ではないとわかっていながら、その光景に目を奪われていた。

 

この子が運命の子か。

 

俺の前で、おやっさんがそう嘯きながら手を掲げる。

 

それに習うように、運命の子と呼ばれた少年も手を掲げる。

 

そして、2人の手が水晶越しに触れた時、固体であるはずの水晶に波紋が広がる。

 

ありえない。

 

本日何度目になるかわからないその言葉を胸の中で呟き、事の成り行きを見守る。

 

見守るしか、出来なかった。

 

やがて波紋は振動となり、水晶が砕け散る。中の少年は支えを失い、重力に従って倒れ込む。

 

それを俺は反射的に飛び出し、身体で受け止めた。

 

倒れまいと支えると、彼は自分の足で立つ。特に怪我した様子もない。

 

そして、そんな俺をニヤニヤと笑うおやっさん。

 

そしておやっさんは、周りを警戒しつつ言う。

 

キンジ、その子に肩を貸してやれ。

 

もとよりそのつもりだ。あの状態ではない俺の戦力はそこらのチンピラに体術のイロハを捩った程度の小僧でしかない。

 

だからこそ、おやっさんはいつでも動けるようにしておかなければならなかった。

 

けれども、後は脱出するだけ。

 

そう、どこか心で安堵していたのだろう。安堵は油断を生む。帰るまでが依頼だ、といつもおやっさんに釘を刺されていたというのに。

 

突然の銃声。

 

同時に、俺は弾き飛ばされた。

 

運命の子と一緒に床に倒れ込み振り返れば、背中を撃たれ崩れ落ちるおやっさんの姿。

 

その向こう側に、黒服達が拳銃を構えているのが見える。

 

抜かった。ここにきて、おやっさんの言い付けを破った返しがきたのか。

 

おやっさん!

 

運命の子を放り出し、倒れる師に駆け寄る俺。

 

しかし、背中から流れる血は致死量を越えており、こんな場所じゃ治療なんで出来やしないし知識もないし、道具もない。

 

どうする事も出来ない。俺のせいで、おやっさんは死ぬ。

 

絶句している俺に、おやっさんは最後の力を振り絞るように言う。

 

キンジ、お前がこの依頼……引き継いでくれ。

 

む、無理だよ……俺は半人前で…………帽子はまだ早ぇよ…………!

 

帽子は半人前には似合わない。それは男の目元の冷たさと優しさを隠すためにある。

 

そのどちらも欠けている俺に、帽子はまだ早い。そう言ったのは、おやっさんだ。

 

フッ、と笑いおやっさんは自分の帽子を俺に被せてきた。

 

なら、似合う男になれ。お前にしか出来ない事だ………風都を、たの、んだ……ぜ………

 

そして、今度こそ。

 

ことりと、力尽きる。

 

すまねぇ、アリア…………

 

最後の独白は、俺でさえ聞いた事のないくらいに優しい声色で、誰に向けられた言葉なのかは俺にはわからなかった。

 

だが、俺はこの日。

 

してはいけない事をしてしまったのだろうか。

 

「おやっさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやっさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっっ!!!」

 

ごとん、同時に身体に打ち付けられる痛みが走る。

 

そこで視界が明確になり、そこには見慣れた天井。

 

ようやく俺は、寝惚けてベッドから落ちたのだと理解した。

 

「………………ゆ、め……?」

 

俺は大きく深呼吸をして、肺の中の酸素を入れ換える。

 

コロンコロン、と。耳元で何かが転がる。

 

目を向ければ落ちた際の衝撃で、寝台に置いてあった弾丸が散らばったらしい。

 

昨晩、銃のメンテナンスをしていたのを思い出し、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。

 

普通じゃねぇな。この環境も、俺自身も。

 

 

ピンポーン。

 

 

慎ましいチャイムに、俺は顔を上げて時計を見上げる。

 

壁に掛けられている時計は7時00分を指しており、まぁ丁度いい時間どな、と頷く。

 

そして、そのチャイムに慎ましさを感じるという事は、きっと『彼女』なのだろう。決して恋人などではない。

 

寝癖がついたままだったりスウェットにシャツとかなりだらしのない格好だが、俺は遠慮なく玄関まで行きがちゃりとドアを開けた。

 

「あ、おはよーーーー」

 

がちゃんと、速効でドアを閉めてみた。

 

いや、特に意味はないのですぐに開けると、そこには今にも泣きそうになっている女の子が。

 

目をうるうるさせている姿は可愛らしいが、俺はそんなのにときめきもせずに告げる。

 

「よぉ」

 

「キンちゃーん、酷いよー」

 

キンちゃん、というのはこいつなりの俺の呼び名だ。ガキの頃からずっとそれだったのだから、何度も注意しても直しはしないのだろう。

 

なので、いつものやつだ。

 

「ふんす!」

 

「うきゃぅ!?」

 

軽くではあるが、頭にチョップをかます。

 

「誰がキンちゃんか。いい加減、その呼び名どうにかしろ。ハードボイルドには似つかわしくない」

 

「…………ハーフボイルドって、相棒に言われてる癖に」

 

ほぅ、まだそんな事を言うのか………。

 

と、俺は再度、チョップをかます。

 

「ふんす!」

 

「みゃおぅ!?」

 

また可愛らしい声を上げて、彼女は再び頭を押さえて踞ってしまう。

 

その際に、短いスカートの中が見えそうになって、俺は慌ててそっぽを向いた。危ない危ない、セーフだ。

 

さて、そんな彼女の名前は星伽白雪。キンちゃんという呼び名などから察する通り、俺とは幼馴染みな関係である。

 

外見は名前のごとく雪肌とでも言うかのように白く、黒髪は人形のごとく前で切り揃えられており、それが彼女の第一印象を日本人形と位置付けているのかもしれない。

 

ガキの頃からずっと一緒、というわけではないが、まぁ時間がある時はこうして朝やってきては、

 

「うぅ、キンちゃん酷いよぉ……私はただコンビニ弁当などで済ませようとしている食生活を救うためにやってきたのに」

 

ちらりと、鞄から風呂敷に包んだ大きな弁当箱を見せてくる。

 

こうして白雪は、甲斐甲斐しく朝御飯を作ってきてくれたりするのだ。

 

そして、それはお世辞抜きで旨いのだ。一度あの味を覚えてしまえば、いかにハードボイルドな俺の胃袋でさえも、降伏せざる得ない。

 

「…………卑怯な」

 

「そっか、キンちゃんのためにせっかく作ってあげたのに………いらないなら、あの子に上げよう」

 

と、言ってドアをしめようとしてくるので、俺はさっと足を出して閉じるのを阻止する。

 

「………食べないとは言ってない」

 

計画通り……と白雪に悪い顔された。

 

どんなハードボイルドであっても、腹が減っては戦は出来ぬだ。

 

「ところで、お前確か伊勢神宮へ合宿に合宿とか言ってなかったっけ?」

 

招きながらこの前まで頻繁に来ていたメールを思い出し、尋ねる。おかげで毎晩メールやら電話やらが来るので寝不足が絶えない日々だった。

 

目の前にいなくとも面倒をかけてくれるな、こいつは。

 

「うん。昨日までだったよ。だから、キンちゃんのお世話出来なくて心配で心配で………」

 

そう言いながら「お邪魔します」と、きちんと入ってくる前に90度ほどお辞儀をするあたり、流石はリアル巫女だ。

 

外見からしても大和撫子という感じの白雪だが、実家は星伽神社という列記とした神社で、本物の巫女さんだ。

 

なので彼女が巫女服を着ている、というのは珍しくない。流石に始業式である今日はないようだが。

 

そんな彼女が広げた風呂敷は、さしずめ朝食の宝石箱やー。

 

ハードボイルドなら洋食だろうって? 腹が減っては(ry

 

「………相変わらず旨そうだな」

 

「ふふっ、そう言ってもらえて幸いです。どうぞ召し上がれ」

 

そう言ってご丁寧に箸まで付けてくれるので、俺は遠慮なく食べ始めた。

 

うん、めっちゃ旨い。

 

なにせ、中学の時点であのおさっさんの舌を唸らせたのだ。もっとも、そこまでじゃないか中学生でコレなら将来が楽しみだ、と。

 

「………………」

 

「キンちゃん………?」

 

少ししんみりとした雰囲気になったからか、不思議そうに白雪が首を傾げている。

 

彼女はおやっさんを知る数少ない人物だが、俺がその事で思い耽っていると知ったら情緒不安定になるのだ。

 

だから、決まって「キンちゃん言うな………」と話題を変えている。きっと彼女と何となく察しているだろから、その露骨な話題変えにのってくれる。

 

…………ハードボイルドじゃねぇな。

 

自分で淹れたブラックコーヒーを一気に胃へ注ぎ、息をつく。

 

女々しい気持ちを吹き飛ばすようにコーヒーの苦味が口に広がり、若干だけ涙目になる。

 

すると、クスクスと白雪が笑った。

 

「砂糖、使えばいいのに」

 

そう、俺は無糖が苦手だ。どんなに強がっても中身は高校生の小僧。そりゃ中には確かにそういうのもいるが、俺はせめて微糖は必要だ。

 

というか、和食にコーヒーはねぇべ。

 

と、言ってもこの部屋にはコーヒーか水しかないのだが。

 

今度、簡単に作れるお茶パックでも買ってくるか。

 

そんな事考えていると、白雪がもう1つの重箱を持ってベランダへ行くのが見える。

 

「…………あ、そーいや」

 

誰にでも言う訳ではなく、ぼそりと。愛車であるバイクが定期メンテナンスのため、自転車かバスで通学しなければならない事を思い出した。

 

バスの時間は58分。今は20分、バス停は学生寮の目の前なので、5分前に出ても十分間に合う。

 

「はい、キンちゃん。今日から2年生だね。拳銃と防弾制服(・・・・・・・)は忘れないようにしないとね」

 

ぼうっとしてながらも箸が進んで食べ終わるのを待っていたかのように、幾分か物騒な言葉のあとに白雪が差し出してきた。

 

それは風都武偵高校の防弾制服と拳銃だ。偽物なんかじゃない、本物の。

 

ご丁寧に折り畳んだ制服の上に愛銃でもあるベレッタ・M92Fを置いてあるあたり憎らしい。

 

「……………拳銃の携帯を義務づける、ねぇ」

 

普通じゃねぇな。ほんとに。

 

「なぁ、始業式くらいいいじゃねぇか。拳銃持たなくても」

 

「なら、ドライバーとメモリは没収だね」

 

ぐっ、と俺は押し黙るしかない。

 

渋々とホルスターを制服に巻き付け、そこにベレッタを仕舞う。

 

すると、ヒーロー劇を見る子供のように、白雪は目を輝かせる。

 

「かっこいい……やっぱり、キンちゃんは先祖代々『正義の味方』だね」

 

「やめろよ、白雪」

 

その褒める言葉に、俺は有頂天になるわけでも照れるわけでもなく、真っ向から否定するために口を開く。

 

立ち上がってツリーハンガーに引っ掛かっている、黒塗りの帽子を手に取る。

 

半人前に帽子は似合わねぇ。

 

そう言われてしばらく経った。一人前かどうかなんてわからない。だけど、少なくともこの街の涙を拭うハンカチにはなれているはず。

 

まだ早いと言われるかもしれないけど、これが俺の希望。

 

けれども、例えハンカチでありえたとしても、一人前になったとしても。

 

「俺は正義の味方なんかじゃない。そんな資格もねぇよ」

 

俺なんかが、ヒーローを名乗っていいはずがなかった。

 

「…………そんな事ないよ」

 

白雪は、はっきりと言ってきた。オドオドするわけでもなく、彼女にしては珍しく。

 

「キンちゃんは正義の味方だよ? この街の人達にとって違っても、少なくとも私にとっては」

 

「…………なら、そんなヒーローなら拳銃は必要な」

 

「ならドライバーとメモリは没収」

 

今なら押しきれると思ったのに。むぅ。

 

「それに、また『武偵殺し』のようなのが出るかもしれないし………」

 

心配そうなかな表情で告げたワードに、俺は目を細めた。

 

ーーーーーーー『武偵殺し』。

 

教育科(マスターズ)からの定期メールでも告知され警戒を呼び掛けていた、年明けくらいから発生していた連続殺人事件。

 

武偵の車などに爆弾を仕掛けて自由を奪い、短機関銃(マシンガン)のついたラジコンヘリで追い回し、海に突き落とす。そんな手口だったはずだ。

 

しかし、犯人はすでに逮捕され終わったはずだった。

 

「ないだろ。もう犯人いないんだし」

 

「でも、模倣犯が出る可能性も少なくないし。今朝の占いでキンちゃん、女難の相出てたし……」

 

女難の相、か。それは確かに当たっているかもしれないな。朝から白雪が押し掛けてきているし。

 

白雪はどんどん瞳を震わせているし、内申点が下がったらとりあえずの目標でもある普通の高校への転校がやりにくくなるし。

 

「……わかったわかった、わかりましたよ」

 

俺は帽子を被り、棚から兄さんの形見でもあるバタフライ・ナイフを懐に仕舞う。

 

それを見てようやく安心したらしく、ほっと白雪は息をつく。自然と瞳が揺れるのも止まった。

 

「じゃあキンちゃん、早くしないと遅刻しちゃうよ?」

 

「何たわけた事言ってんだ。ここは男子寮だぞ。女子禁制の場所から女子が男子と一緒に出てきたら面倒な事になるだろ」

 

ましてや白雪は生徒会長。生徒の模範となるべき存在である。いや、その模範が率先して規律破ってんだけども。

 

「それに前の依頼の報告書、まだ書ききれてないんだ。メールチェックがてらUSBメモリに移すから、先行ってろ」

 

強くそう言われてか、白雪は名残惜しそうにしながらも頷き出ていった。

 

やっと落ち着ける。と、俺はコーヒーを再びコップに注ぎ、パソコンの前に座りメーラーとワードを立ち上げる。

 

カタカタと、一通りのメールをチェックして報告書をUSBメモリに移してパソコンの時計を見ると、50分に差し掛かった所だ。

 

「…………?」

 

俺は、特に意味のないはずなのに違和感を感じた。

 

辺りを見回しても特に変わらない、いつもの部屋だ。

 

なのに、何かが気になる。それが何なのかまではっかりとわからない。

 

直感めいた何かを感じた俺は、まだ時間的に余裕があるというのに。

 

鞄を持って家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一見、正解を引いたような選択だが、結果は変わりはしなかった。

 

何故ならバスに乗ればいいものを、直感とやらで自転車に乗って登校しようとして、

 

出会ってしまったのだ。

 

後に『緋弾のアリア』として、世界中の犯罪者から恐れられる鬼武偵。

 

神崎・H・アリア。

 

おやっさんの忘れ形見に。

 

 

 

それはきっと、どんな選択をしてもこのルートに繋がっているんだ。

 

相棒に言わせたら、ハーフボイルドらしい言い回しだね、って言うかもな。

 

俺は、これから大きな物語に巻き込まれていく。

 

この物語を題名つけるなら、俺ならこう名付ける。

 

 

 

 

 

 

 

緋弾のアリアW

 

 

 

 

 

 

ってな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と、いうわけで緋弾のアリアWの序章となります。

目を通して頂ければわかる通りキンジは断固女子嫌いというわけでなく、翔太郎成分が入ったので「女は凶器を隠し持ってるがカッコつけたい」というハーフボイルドとなっております。

そのため白雪を原作ほど毛嫌いしているわけでもなく、関係も軽口を叩ける程度には良好です。

さて、やっとメインヒロインのツンデレカドラの登場……

この翔太郎キンジはどう対応するのか………?





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