緋弾のアリアW   作:グラニ

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はい、というわけで2話目ですが…………

どうしましょう。

まだまだWが序盤なのに、仮面ライダーウィザード×デート・ア・ライブのネタが頭に浮かんでくるwww






2弾:Wの変身/風の街の切り札

硝煙が立ち込め、火薬の臭いが充満する空間。

 

俺こと遠山キンジは『武偵殺し』という連続爆弾魔の襲撃に合い、中学生(下手をしたら小学生?)に救出される。しかし襲撃が終わったわけでもなく、こうして狭い跳び箱に追いやさられながら応戦している最中。

 

そんな狭い空間だってのに、なっちまったなぁ。これに。

 

「……………終わったか」

 

「まだよ。一端向こうの茂みに追いやっただけ。またすぐにやってくる………」

 

歯噛みしながらアリアは告げ、身を屈めて弾倉を挿し替えた。

 

まだ終わっていない。か、それは良かった。

 

この状態になって「はい事件解決ハッピーエンド!」なんてのはハードボイルドにあるまじき恥だからな。

 

「強い子だ。それだけ出来れば上出来だね」

 

「……………は?」

 

いきなしクールな口調になったからか、アリアが呆けて目を丸くした。

 

あぁ、やっちまうのか。俺よ、またそんな……確かにハードボイルドな俺にぴったりな言葉遣いだが、相手をもう少し選ぼうぜ。

 

という俺の心の声を無視し、身体は勝手に動いていく。

 

アリアの細い足と、すっぽりと収まっている小柄な背中に手を回して、簡単に立ち上がった。

 

まぁ、ベタで申し訳ないがお姫様抱っこというやつである。

 

「ひゃっ!?」

 

「ご褒美に、少しの時間だけお姫様にしてあげよう」

 

もはや冷静な突っ込みを入れる思考すら消えた俺は、ぼっと顔を真っ赤にして犬歯を見せるほど驚愕しているアリアにあまり衝撃がいかないよう気を配りながら、跳び箱から飛び出る。

 

そして積み上げられたマットの上に人形のように座らせると、俺の帽子を被せた。

 

「少しこちらでお待ち下さい、お姫様。銃なんて物騒な物を振り回すのは、ハードボイルドな俺の役目さ」

 

「な、なななななななっ!? ど、どうちゃったのよアンタ!? ていうか、帽子……!」

 

帽子を取った事によりへちょっとなっている髪型を、わさわさと直しながら俺は告げる。

 

「男の目元の冷たさと優しさを隠すのが、そいつの役目さ。そして、俺達に襲いかかってきた奴等には、冷たさを隠す必要はない」

 

俺の言葉に驚いたように息を飲むアリアに背を向け、ホルスターからベレッタを抜き取る。

 

こちらからの銃撃がなかったからか、セグウェイ達が再び銃を乱射してくる。サーモスコープでも搭載しているのか、的確に俺を狙ってくるが防弾製体育倉庫の壁に阻まれて弾丸は届きはしない。

 

弾薬の無駄だな、とニヒルな笑みを浮かべているだろう俺は、ベレッタの安全装置(セーフティーロック)を解除する。

 

「う、撃たれるわよ!」

 

「アリアが撃たれた方がよっぽど辛いさ」

 

「な、何なのよ!? 何でいきなしキャラ変えてるのよ!?」

 

「アリアを守るために、ちょっとだけ本気を出すだけさ」

 

アリアにそうウィンクし、俺はドアの外へと身を晒す。

 

同時に横一列に並んだセグウェイが射撃を開始した。7つの死の塊が迫りくるというのに、俺に思考の中にはまったく死に対する恐怖という言葉が浮かんでこない。

 

まるで思考が麻痺しているようだ。

 

否、否である。

 

麻痺しているのではない。すでに俺の思考ではその結果が目に見えている。

 

その狙いは全て、当たらない。

 

当たるはずがない。

 

視えるからだ。

 

今の俺には、弾丸がスローモーションのような動きで捉える事が出来る。

 

悪くない狙いだ。全部が俺の頭を狙っている。寸分と狂いのない、正確な射撃。

 

これが通常の俺だったら撃ち抜かれて終わっている。だが、残念だったな。

 

今の俺は通常の俺じゃない。俺が軽蔑し、畏怖し、禁忌としている力。

 

この『ヒステリアスモード』の俺ならば、マトリックスよろしくの上体を反らして避けつつ攻撃するなんて、造作もないんだ。

 

フルオート射撃で、弾丸を避けつつセグウェイの銃口を撃ち抜く。実際に見えている訳じゃない。

 

だけど、その放った7つの弾丸()は、寸分狂う事なくセグウェイの銃口へと吸い込まれていき、

 

 

 

------バババババババン!!

 

 

 

内部に入り込んだ弾丸によりセグウェイはキャタピラから各パーツが吹き飛び、ただの鉄塊へと変貌していく。

 

その様を見届けて俺は、周囲の気配も一緒に探る。これ以上の追撃はないらしく、駆動音も聞こえてこなかった。

 

ようやく安全になったらしい。俺は念のためベレッタの弾倉を挿し替えて、ホルスターに収めて体育へと戻った。

 

アリアはどういう訳か再び跳び箱のなかにおり、ピョコピョコとピンク色のツインテールを覗かせている。

 

律儀に俺の帽子を被っているというアクセント付きだ。妙に可愛らしいと言えば可愛らしいが、やはり子供の可愛いだな。

 

「…………何してるんだい?」

 

不思議に思って声をかけると、アリアは跳び箱から顔を出しギロッと俺を睨んできた。そして、何かにはっとなって、顔を赤くするとまた引っ込む。

 

………何なんだよ。

 

何かに怒っているってのはわかるんだが。

 

「お、恩になんかに着ないわ。あんなオモチャ程度、あたし1人でも十分対応出来た。本当よ、これは本当の本当なんだから」

 

そう強がってみせて、何やらもぞもぞと。

 

そういえば、さっき跳んだ時ちらっと見たんだが、アリアの制服。スカートを止めるホックが、爆風のせいで壊れていた。

 

それを直しているのか。えっ、まさかホックを壊したの俺のせいにされないよな? 弁償はセグウェイの持ち主にしてくれよ。

 

「それに、これでチャラにしたなんて思わない事ね! あれは強制猥褻! れっきとした犯罪よ!」

 

「………それは悲しい誤解なんだよ、アリア」

 

何時までも四苦八苦しているアリアに、俺はベルトを外して投げ渡す。

 

「あれは不可抗力というか、あぁなったのは自然の成せる業なんだ」

 

「あれが不可抗力ですって!?」

 

お返しよと言わんばかりに俺に向かって帽子を投げ付けてくるアリア。

 

おいおい、人のモンは大切に扱いなさいってお母さんから教わらなかったか?

 

帽子が地面に着く前にキャッチしてかぶり直すと、目の前にふわっとアリアが着地する。

 

……………あ?

 

えっ、立ったの?

 

というレベルで、アリアは小さかった。俺の胸くらいまでしかないという事は、145あるかないかくらいだぞ。

 

「あ、アンタ……ハッキリと………あたしが気絶している間に、ふ、ふふふ服を脱がそうとした! さらにむ、むむむ胸まで………!」

 

わなわなと肩を震わせた後、だんだんと地団駄を踏み始める。

 

「だから、不可抗力なんだって。吹き飛ばされた時の爆風で目くれ上がったんだ。俺も気絶から回復して驚いたぞ」

 

「それ! でも! 胸を! 見た事に! 変わりはない! 責任! 取りなさいよ!!」

 

一言一言言う度に地団駄を踏み、威力が凄まじいのか地面がボコッとへこんでいく。

 

そして、俺は腕を組んで思案しようとする。が、止めた。

 

「………そう、だな。疚しい気持ちもなく不可抗力に違いはないが、見たのは事実だ」

 

この時俺は、ヒステリアスモードでありながらも遠山キンジの本音として言葉にした。

 

どんなにキザな言葉を使おうと、やはり相手を不快な思いにさせてしまった事に違いはないのだから。

 

そこから言い訳をして逃げるのはハードボイルド云々以前として、男として間違っていると思う。

 

だから、俺は帽子を取り胸に当て、頭を下げた。

 

「悪かった」

 

素直に頭を下げられたからか、ヒートアップしていたアリアがうっと地団駄を踏むのを止める。

 

そして、がるるぅと吠えたというか唸り、やがて大きく息を吐いて肩を竦めた。

 

「………もういいわ。本気で反省しているようだし、実際にセグウェイを片付けたのはアンタだったんだから、許してあげる」

 

年下のくせに偉そうに、と口にすればまた面倒事になるのは目に見えているのでやめておく。

 

で、助けてもらっといてアレなんだが、お前の苗字………

 

と、おやっさんとの関係を訊ねようとした時、俺の鼻孔が異臭を感じ取った。

 

女の子特有の匂いじゃない。硝煙の、それよりさらに危険な香り。

 

次の瞬間、俺は反射的にアリアに手を伸ばし、体育倉庫の外へと連れ出した。

 

「えっ、ちょ、何す………!」

 

 

 

グワァァァァン!!

 

 

 

驚いたアリアの叫びを遮るように、爆音が轟いた。

 

その爆風に晒されて、俺とアリアの身体は吹き飛ぶ。しかし、今度は気を失う事はなかったし、アリアの服がめくれる事もなかった。

 

「っ、なに………!?」

 

アリアは起き上がって炎上する体育倉庫を見やる。

 

黒煙を吐き出しながら炎上している体育倉庫は、防弾製で出来ているものの発火材などは置いてなかったはずだ。

 

「これも『武偵殺し』………? いえ、でも………」

 

「違うね」

 

アリアの自信無さげな言葉に、俺は優しい口調ではっきりと否定した。

 

「俺がこの第2グラウンドに逃げ込んだのは人気がないという事を予想すれば自然と誘い込めるけど、体育倉庫に避難する、という点では難しい」

 

このグラウンドには体育倉庫以外にも防弾製の物はたくさんある。そこに入り込んだのは爆風に晒されてたまたまだ。

 

そもそも追われているのに自分から袋小路に入り込むバカはそうそういない。

 

「なら……」

 

と、アリアは拳銃を取りだし、構える。

 

その瞬間、炎の中から炎に包まれた岩がこちらへ飛んできた。

 

俺とアリアは左右に展開するように避け、のしのしと体育倉庫から出てきた相手を見据える。

 

それは、マグマ。

 

岩石のような体躯は恐らく溶岩を現し、それを包み込む炎が表すのはマグマ。

 

そんな容をした怪人とも言うべきものが、体育倉庫から出てきた。

 

通常ならば悲鳴の1つでも上げて逃げるべきなんだが、生憎と俺はソイツから逃げる訳にはいかなかった。

 

「ドーパント……!」

 

俺のぼやきが聞こえたのか聞こえなかったのか、マグマドーパントはさらに体躯の炎をたぎらせた。

 

熱気がこちらまでやってきて思わず後ろに下がるが、ばっと前に飛び出したのはアリアだ。

 

「ちぃっ、流石はドーパント発祥の地、風都ね。草むらから出てきたのはドーパントって諺、本当だったのね!」

 

何だ、その嫌な諺は。

 

アリアは通常の弾倉を投げ捨て、少し装飾の施された弾倉を挿し、マグマドーパントに向かって射撃する。

 

ドーパント。

 

ガイアメモリというUSBメモリ型の生体感応端末を使う事で普通の人間が変身する怪人の名称だ。

 

アリアの言う通り、ここ風都で発見され、今や世界各地にばらまかれている。それを使った事件が今最も被害件数の多い犯罪事件となってしまっている。

 

ガイアメモリには地球の記憶が封じ込まれており、それによって変身するドーパントは決まってくる。

 

例えばこのドーパントはマグマの記憶を封じ込めたマグマドーパント。故に身体の至るところにマグマを思わせるような容になっているのだ。

 

ドーパントになれば身体能力が上がる、通常兵器が効かないなどの超人さを得る。

 

それに対抗するべく開発されたのが、『対ドーパント弾』と呼ばれる、今アリアが装填した弾丸だ。

 

それを各国の武偵及び軍隊に配備する事により、突如として出現したドーパントに対抗している。

 

だから、アリアの取った行動は間違いではない。ただ間違っているのは、

 

「なっ………」

 

アリアが絶句する。撃った対ドーパント弾が命中したはずなのに、マグマドーパントかままったくダメージを受けた様子もなく平然としているからだ。

 

「ど、どういう事!?」

 

「ここ、風都のドーパントには対ドーパント弾は通用しないのさ」

 

困惑するアリアを庇うように前に立ち、俺はマグマドーパントを見据えた。

 

「効かない………!?」

 

「留学生の多くが勘違いしているけど、ここのドーパントが特別なんじゃない。むしろ、風都で変身するドーパントこそが(・・・)本来のドーパントの強さなんだよ」

 

ドーパントに変身するのに使用されるエネルギーはガイアエナジーと呼ばれ、それは風都のみで源泉のごとく湧き出ている。と、いっても目に見えないので実感はないが、この風都でガイアメモリを使う事こそが、本来の力を発揮する。

 

つまり、風都外のドーパントは劣化している、と言ってもいい。

 

「な、ならどうするのよ………!?」

 

「そのために、俺()がいるのさ」

 

一度帽子を深く被り、マグマドーパントを睨む。

 

否。憎むべきはマグマドーパントに変身している、この街の人間だ。

 

「この街は俺の庭だ。だから、この街を泣かせる奴は許さない」

 

ヒステリアスモードでありながら、俺は身体が、頭が熱くなるのを感じた。

 

この街を、俺が生まれ育ったこの街で誰かが泣いている。

 

その泣かせる者を、俺は憎む。

 

それは、怨恨ではなく正しき怒りだ。

 

故に、俺はなる。この街の涙を拭う、2色のハンカチに。

 

俺は懐から赤い端末、ダブルドライバーを取り出す。2つのメモリスロットが備わっており、丁度バックルのようなものだ。

 

それを腰に当てると、ベルトが自然と伸びていき腰に巻き付いた。右腰にマニシマムスロットが出現し、これで『相棒』とも繋がった。

 

「やぁ、相棒。ご機嫌如何かな?」

 

『………何? 今、雪ちゃんのお弁当食べてるんだけど………というか、キンジ。今は始業式のはずだよね? しかも何でヒスってるの?』

 

誰となく問い掛けると返答が頭に響いた。

 

相変わらずのマイペースさに苦笑を浮かべながら、俺は制服の内ポケットに忍ばせてある黒いガイアメモリを右手に持ち、スイッチを押す。

 

 

『JOKER! 』

 

 

甲高いガイアウェスパーが響き、アリアが困惑の顔をする。

 

しかし、今は説明している暇はない

 

 

「話しは後でする。今は……」

 

『………わかったよ。手早く済ませて雪ちゃんの弁当の続きだ』

 

 

『CYCLONE! 』

 

 

脳内に相棒が掲げたガイアメモリから発せられたガイアウェスパーを聞き、俺は笑みを浮かべる。

 

そして、この言葉を叫ぶ。今までも、これからも叫び続ける。

 

俺が、俺達がこの街の涙を拭う2色のハンカチであり続ける限り。

 

 

「『変身!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





まだ変身しません!!


ようやく次話にてダブルの戦闘。昔から戦闘描写は苦手だったので不安ですが、頑張ります。

しかし、キザな口調って難しい・・・・初キザ野郎を書くのでキンジの扱いが難しいwww
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