放課後、部長から急ぎ部室に来てほしいとの連絡がありイッセー、アーシアさん、木場とともに部室へと向かう。途中でサリエル、小猫ちゃんと合流し旧校舎の部室前にたどり着く。おそらく今朝の三人組からして教会関係者だろうから、堕天使のミッテルトは家で待ってて貰うことにしていた。すると中から今朝感じた強力な聖なる力を感じる。他のみんなも感じるのか四人はわずかに顔をしかめていた。中に入ると今朝見たローブ姿の三人組が部長と姫島先輩に向かい合うように座っていた。
「来たわね」
「これで全員か?」
ローブ姿の一人が部長へと問いかける。部長はうなずくことで肯定し、俺たちにコットへ来るよう手招きをする。俺たちはそちらに寄りながら、三人のことを警戒する。特に俺は、一人からアラガミと類似した力感じる為、気が気でない。
「それでは始めようか」
一人がそう言うと、全員がフードを脱ぐ。青髪に緑のメッシュが入った少女と、栗色の髪をツインテールにしている少女。そして、銀色の髪を左右で結んだ、青みがかったグレーの瞳…その少女は本来ならこの世界にいるはずのない少女、GE2のキャラクター、シエル・アランソンだった。
「協会より派遣されてきたゼノヴィアだ」
「同じく紫藤イリナです」
「シエル・アランソンです」
「い、イリナァ!?」
「ヤッホー、イッセーくん、アラトくん、久しぶり!」
「あ、あぁ、久しぶり、イリナ…」
幼馴染のあいさつに半ば呆然としながら返事をしながら、驚愕を表に出さないように、あくまで平静を装いながらシエルを見ていると、部長が三人に質問する。
「協会の人間が悪魔の領地までわざわざ何の用かしら?」
「実は先日、各地の教会から聖剣エクスカリバー三本が奪取された」
「何ですって!?」
「え? エクスカリバーが三本…?」
「そうだったわね、ごめんなさい、うちには新人がいるの。説明しても構わないかしら?」
「あぁ、もちろんだ」
「イッセーくん実はね、もともとのエクスカリバーは昔の大戦で折れちゃったの」
エクスカリバーは悪魔、天使、堕天使の三種族による大戦で折れてしまい、そのうちの欠片を集め作られたのが現在ある
「折れたエクスカリバーの欠片を使って生み出されたうちの一本がこの、
そういってゼノヴィアが持っていた布をほどき中身を見せると包まれている巨大な大剣から放たれる暴力的なまでの聖なる力に悪魔のみんなは冷や汗をかいている。
「私のは
イリナが腕に巻いている紐を見せながら、得意気に能力を説明する。
「おいイリナ、わざわざ説明する必要はないだろう」
「いいじゃない、説明したって負けるわけないんだし」
「そういう問題ではないのですが…」
わざわざ能力まで説明するイリナをたしなめるゼノヴィアとシエル。それにしてもイリナはすごい自信だな、説明しても負けるわけないとは…
「私のはこれです」
そういってシエルが見せた剣は『ブルートハウル』に似た形状の聖剣だった。しかし、その剣からは聖なる力だけでなく、アラガミやゴッドイーターの発するオラクルの力も感じられた。
「この剣は
特殊な細胞というのはおそらく、いや、十中八九オラクル細胞だろう。しかしなぜオラクル細胞がこの世界に? 俺は特典によりアラガミ、すなわちオラクル細胞を持っているが、ほかにもオラクル細胞を持つ者がいるのか?
「そういえば貴方」
「っ!? な、なんだ?」
突然、シエルに話しかけられ驚きながらも返事をすると、シエルの眼は細められ、まっすぐに俺を射抜いていた。
「貴方はなぜ、この聖剣と同じ力を持っているのですか?」
「「「っ!?」」」
見抜かれている? 俺が荒ぶる神の聖剣と同じオラクルの力を持つことを? グルグルと頭の中を思考が駆け巡るが、いつまでも黙っているわけにはいかない。
「な、何を言って…」
「誤魔化さないで下さい。私はこの荒ぶる神の聖剣に適合するため、教会で発見された細胞を移植しています。なので、私の中にある細胞があなたの物と酷似していることぐらいわかります。説明していただけますか? なぜあなたがその細胞を持っているのか?」
ここまで来たら、どうしようもないだろう。隠したり、嘘を言っても、納得はしてもらえないだろうから。
「…それは俺の方が聞きたいね。どうして君たちがオラクル細胞を持っているんだ?」
「オラクル細胞…? この細胞のことですか?」
「え、いや、知らないの?」
「この細胞はまだ正式な名称が決められていないので…」
「そ、そっか…しかしそうなると、どう説明すれば…」
「あの、アラト、その細胞とやらの関係も気になるのだけど、エクスカリバーの件に戻ってもいいかしら…?」
「あ、すいません…」
ついオラクル細胞をなぜ持っているかの方に話がそれてしまったが本題はエクスカリバーが盗まれたことだ。
「それで、犯人は誰なのかしら?」
「堕天使コカビエルだ」
「コカビエルですって…!? 聖書にも出てくる上級堕天使じゃない!?」
コカビエル、旧約聖書偽典に登場する堕天使で、人間に天体の
「そしてもう一人、『皆殺しの大司教』の異名を持つバルパー・ガリレイだ」
「それとほか数人のエクソシストです」
「バルパーは『聖剣計画』の首謀者よ」
聖剣計画という言葉を聞いた瞬間、木場から殺気が溢れ出る。何とか抑えてはいるようだが、近くにいる俺たちにはバレバレだった。シエルは気づいているのかいないのかわからないが、それを気にせず説明を続ける。
「コカビエルはこの駒王町に潜伏していることがわかりました。そこであなた方には我々の聖剣奪還への一切の干渉をしないでいただきたいのです」
「それは私たちが堕天使と協力している、と疑っているのかしら?」
そう問いただす部長の声にはわずかに怒気が感じられる。自分たちが堕天使と組んでいると思われているのが嫌なのだろう。
「いえ、そういうわけではありません。あくまでこれは我々教会と堕天使との問題ですので、悪魔である貴女方は介入しないでいただきたい、ということです」
「…わかったわ、私たちは堕天使にも、貴方達にも協力もしないわ」
「ありがとうございます、それでは我々はこれで失礼させていただきます。そうそう、いつか貴方のことも聞かせていただきますので」
後半は俺に向かって言いながら、ソファから立ち上がり、ドアへと向かう途中、ゼノヴィアがふと足を止める。その視線の先にはアーシアさんがいた。
「君は魔女アーシア・アルジェントか?」
「っ…!」
ビクリと体を震わせるアーシアさん、だがゼノヴィアはそんなアーシアさんの様子を気にも留めず、淡々と言葉を放っていく。
「悪魔を治療し、協会から追放されたとは聞いていたが、こんなところで悪魔になっているとは。君はまだ、神を信じているのか?」
「まさか! 悪魔になっているんだから信仰を捨てているに決まってるわ!」
「…まだ、捨てられません…ずっと信じてきたものですから…!」
「そうか…ならその不浄なる悪魔の体を斬り捨ててやろう。神は罪深い君でも、救いの手を差し伸べてくれるだろう…ならばせめて、私が断罪してやろう。神の名においてな!」
ゼノヴィアは背中の聖剣へと手を伸ばし、アーシアさんを斬ろうとする。だが、その前にイッセーがアーシアさんとゼノヴィアの間に立ちふさがる。
「なんだ、貴様は?」
「アーシアの仲間で、友達で、家族だ! 黙って聞いてりゃアーシアが不浄? ふざけんな! この子は必死に神とやらに仕えてきたんだろうが! 悪魔を治したのだってこの子が優しいからだろ!」
「その優しさは神の信者にのみ向けられればいいのだ。教会の敵である悪魔を治療するなど、もってのほかだろう」
「なんだと…! 上等だ、かかってこいよ!」
「イッセー、やめなさい!」
部長の制止も聞かず、今にも戦いが始まりそうな一触即発の空気の中、木場がフラリと、幽鬼のような足取りで前に出る。
「イッセー君の言うとおりだよ…僕も相手になろう…」
「祐斗…!」
「誰だ、貴様は?」
「君たちの先輩だよ…『失敗作の不良品』だけどね…!」
木場の両手に炎と氷の属性を持つ二本の魔剣が生み出される。目の前の三人を睨み付けながら、低く押し殺した声が喉から漏れる。
「やっと…やっと目の前に…壊してやる、エクスカリバー…!」
「祐斗…」
寂しげな部長の声は、復讐と憎悪に滾った木場には届かなかった…
* * *
旧校舎の裏で俺とイッセー、木場はエクスカリバーを構える三人と対峙していた。イッセーはイリナと、木場はゼノヴィアと、そして俺はシエルとそれぞれ向き合い臨戦態勢を取っていた。
「イッセー君が悪魔だなんて…運命はなんて残酷なのかしら…でも安心して! 私がさばいてあげる! アーメン!」
「勘弁してほしいぜ…」
「よろしくお願いするよ、先輩…」
「やっと僕の復讐が遂げられる…!」
「貴方の力、試させていただきます」
「こっちも調べさせてもらう!」
その力がほんとにオラクル細胞の力なのか、もしそうならどうしてこの世界に存在するのか、できる限り教えてもらう!
ということで登場したのはGE2よりシエル・アランソンでした。教会関係が彼女の初期の態度と合っているかなぁ、と思いましたのでこういう役回りになりました。ちなみに余談ですが八本目のエクスカリバー、これ結構重要な役回りになります。
感想、評価、誤字脱字報告お待ちしております。