ハイスクールD×D 転生者はアラガミ   作:オラクリオン

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第十八話 全てを轢き潰す重戦車

「ヒャッハァッ!」

「このっ!」

 

振り下ろされた天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)をカリギュラのブレードで防ぐが、聖剣の能力『天閃』により驚異的な速度を得たフリードの攻撃は一撃では終わらず、何度も剣が襲い掛かってくる。

 

「オラオラオラオラオラァッ!」

「しつこいんだ、よぉっ!」

「おわっとっとぉ!?」

 

何とか押し返すがフリードはヘラヘラ笑いながら聖剣をグルグル振り回している。そんなふざけた動作も『天閃』の能力でとてつもないスピードになっている。さながら高速回転する丸鋸のようだ。後ろの二人も聖剣を構えジリジリとこちらににじり寄ってきている。おそらく夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)透明の聖剣(エクスカイバー・トランスペアレンシー)だろう。両方とも厄介な能力だから用心しなければ…!? そんな考えを討ちとめさせるように再びフリードが斬りかかってくる。反射的にブレードで防ごうとすると、フリードの姿がブレる。次の瞬間、背後から突き立てられた聖剣は、人間と同じ強度のままである俺の胴体を深々と貫く。

 

「ガハッ!?」

「「「アラト(先輩)!?」」」

「ドラゴン人間くん撃破~!」

 

ズルリと体から剣が引き抜かれる。剣で堰き止められていた血がドクドクと流れ出す。いくらアラガミとはいえここまで血が流れ出るとさすがにキツくなる。フリード以外の二人がサリエル達に迫り、サリエルは腕をアラガミ化させ二人をかばうように前に進み出ている。フリードは聖剣を再び構え俺を完全に殺すつもりのようだ。何とかよけようとするが『天閃』のスピードにかなわず、剣が俺に迫る。

 

「さよォならッ!」

「あんたがね!」

 

聞きなれない声がすると、ガンッ! という鈍い音とともに視界からフリードが吹き飛ぶ。何事かと声がした方に顔を向けると、銅のような色をしたショートカットの、失礼だが、かなり胸が大きい、女性にしては高身長なハンマーを持った女性が立っていた。

 

「だ、誰だ…?」

「あんたと同じ、アラガミだよ」

「え…!?」

 

一瞬硬直するが、女性から感じるこの感じは、間違いなくアラガミと同じだった。それもサリエルと同じぐらい強い… サリエルと同じ? まさかと思い周囲を見ると、さっきまでそこら中を濡らしていた俺の血液が一滴も残っていなかった。もう一度女性の方を見るとニヤリと笑いながら

 

「ご明察、アタシはさっきあんたがガンガン流した血から生まれたのさ。経験あるだろ?」

「………」

 

女性の問いに無言で頷き、肯定する。俺がかつてはぐれ悪魔に腕を斬られた時、その腕から生まれたアラガミがサリエルだ。今の状況はサリエルの時と全く同じだった。

 

「お前は…」

「初めましてご主人、あんたのアラガミ、クアドリガだ」

 

………え?

 

「く、クアドリガ?」

「ああ、そうだよ」

「マジで?」

「マジさ」

 

あの戦車がこんな美人になるの? てかなんでアラガミは変身すると女になるの? 茫然としている俺に呆れたように肩を竦めてから振り向き、フリードがやられて驚いている敵二人に急接近する。ガコンという音と共にハンマーの背部が開き、炎が噴き出す。その機構に見覚えがある俺は驚く。

 

「ブーストハンマー…!?」

「あらよっと!」

「ごふッ!?」

「ぐあぁっ!?」

 

ブーストドライブによる一撃は、纏めて二人を吹き飛ばす。吹き飛んだ二人は民家の石塀にぶつかり気絶する。ブーストハンマーを肩に担ぎなおしたクアドリガは伸びをしながら全員の安否を確認する。確認し終えると同時に、少し離れたところからこちらに向けて走ってくる音が聞こえる。少しすると他のみんなが集まってくる。みんなは胸に穴が開いている俺を見て慌てている。

 

「アラトお前っ、大丈夫なのか、その傷!?」

「平気さ、少しすれば治る…っ」

 

立ち上がろうとすると膝から力が抜け再び倒れそうになる。が、間一髪でクアドリガが俺の体を支えてくれる。

 

「大丈夫かい、ご主人?」

「ああ、悪い…っ!?」

 

ゾクリ、と背筋を悪寒が走る。振り返ればそこには悠然と五対十枚の翼を羽ばたかせる堕天使の姿があった。その堕天使の足元には神父のような服を着た老爺が立っている。ムクリと起き上ったフリードはその二人の近くへと歩み寄る。みんなは緊張しているのか身動き一つとれていない。

 

「全く、何をやっておるか、貴様ら」

「イッタタ… サーセン旦那、つい面白そうだったんで…」

「そういうな、バルパー。おかげで面白いものが見れた」

 

ふと、堕天使の視線がサリエル、クアドリガ、そして俺に向けられる。満足に体が動かせないこの状況ではこいつに、コカビエルには勝てない。冷や汗が頬を伝うのを感じながら、なんとか臨戦態勢を取ろうとするが、思っていた以上に血を流してしまったのか、力が入らない。そんな俺を嘲笑うかのように口元を歪めながら、フリードに倒れている二人を回収するように命じる。フリードは『天閃』を使うが、二人ではなく二人の聖剣のみを回収する。どうやら倒れている二人は捨てられたようだった。

 

「再び会いまみえるのを楽しみにしているぞ、異形の人間達よ。それとグレモリーとシトリーに伝えておけ。すぐに戦いは始まる、準備をしておけ、とな」

「ご忠告どうも…」

「ふっ・・・」

 

笑いながら飛び去るコカビエルとフリードに抱えられたまま逃走するバルパー。緊張が解けたのか、膝から崩れ落ちる。しかし木場と教会三人組は違った。

 

「待て、バルパー!」

「逃がさん!」

「聖剣は返してもらうわ!」

「目標の速やかな確保を行います」

 

四人は逃げて行ったコカビエル達を追いかけ闇の中に消えてしまう。追いかけて止めようとするが、背後から再び悪寒を感じる。振り向くと般若の形相でこちらを睨み付ける部長と生徒会長の姿が。その姿を見たイッセーと匙はガクガクと震えている。

 

「…何をやっているのか」

「詳しく説明してもらいますよ?」

 

一難去ってまた一難… こんなんでコカビエルを倒せんのかなぁ…?




まさかのクアドリガ擬人化回でした。次回からコカビエル戦に入れると思います。

それでは感想等、お待ちしております。
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