「痛いです部長ぉぉぉ!?」
「やめてください会長ってぎゃあああ!」
「うるさいわよイッセー! これはお仕置きなの!」
「その通りです匙。私に黙って問題行動をとった罰です」
「二人とも、無事に帰って来てくれよ…」
イッセーと匙は、部長と生徒会長の魔力のこもった掌で尻叩き1000回を受けている。俺はダメージが大きいし眷属でないのでお仕置きを受けなくてすんでいる。サリエルとミッテルトも眷属ではないからスルー、小猫ちゃんはなぜか無事だ。というわけで代表してイッセーたちが被害にあっている。姫島先輩は止めようともせず、むしろ面白がっている。さすがに1000回は死んでしまうかもしれないので助け舟を出すことにした。
「部長、生徒会長、コカビエルからメッセージが…」
「アラト、あなた傷は…!」
「大丈夫、です… それよりコカビエルが」
「リアス、ここは彼の話を聞きましょう」
「な、何とか助かったぁ…」
「サンキュー、アラト…」
「それまで二人のお仕置きも
「「………」」
二人はその言葉を聞いて唖然としてしまっている。助けられなかったか… しかし仕方ない、今は二人に伝えなければ。
「『すぐに戦いは始まる、準備をしておけ』だそうです」
「宣戦布告、というわけね…」
「やってくれるじゃない…!」
二人とも難しい顔をしている。部長なんて今にも暴れだしそうな雰囲気だ。
「木場と教会の三人もコカビエルとバルパーを追って…」
「そんな、祐斗…」
「部長、俺たちもコカビエルを追いかけましょう!」
「…そうね、祐斗を放っては置けないわ」
クアドリガに支えられながら立ち上がる。が、やはり力が入らずうまく動けない。
「先輩、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫、全然平気さ… ぐっ!?」
「アラト!?」
悪魔を喰い過ぎたのもあるんだろう。俺の細胞は悪魔の特性を取り込んでしまっているらしい。聖剣で切られたことでそれがよくわかった。特性を取り込むのもメリットばかりじゃないな。ジクジクと体を蝕んでいる聖なる力、天使の力を取り込んでいれば無力化できるんだろうが… ないものねだりしていても仕方ない。
「アラト、あなたは休んでいた方が…」
「俺だけじっとしてるなんてできないです… 足手まといだと思うなら壁にしてくれて構いませんから…!」
俺がいないところでみんながやられてたら、そんなの考えるだけで寒気が走る。だったらせめて壁としてでもみんなに協力したいのだ。
「…わかったわ、でも無茶はしないで頂戴。壁なんかもっての他よ!」
「…はい!」
* * *
何処にコカビエルがいるかわからないので探しようがなかったが急に学園の方から強い力を感じたので、急いで学園へと向かう。そこから感じる力を危険と判断した生徒会長は眷属のみんなを集めて結界を張ることにしていた。そして俺たちは学園の校庭へと向かう。そしてそこには
「来たか」
「コカビエル!」
空中で足を組み浮遊しているコカビエルと、六本のエクスカリバーが浮いた魔方陣の前で何やら式を弄っているバルパー、そして普通の剣を持ったフリードだった。
「バルパー、あとどれくらいで完成する?」
「ほんの五分程度でエクスカリバー自体の統合は完成する。崩壊魔法陣は五分で完成して発動はさらに十五分後くらいだな」
「崩壊…魔法陣…!?」
「その通りだ。この町を丸ごと消滅させる、な」
「そんな…!?」
マズイ… そんなに早く発動するなんて…!? 考えていた以上に早い発動に焦るが、体は少し良くなったとはいえ、いまだ満足に動かせず、ジワジワと体を蝕む痛みも消えていない。
「止めたければ俺を倒してみろ。まぁ、無理だろうがな、クハハハハ!」
「くっ!」
「行くぜ!」
イッセーは
「ふん、こんなものか?」
そういっていくつもの光の剣を作りサリエル達を狙う。しかし、部長と姫島先輩の滅びの魔力と電撃が走るがすべてを防ぐことはできていない。すると途端にコカビエルがつまらなさそうにため息をつく。
「この程度か… せめてサーゼクスたちが来るまでの退屈しのぎぐらいにはなるかと思っていたが… 期待外れだ」
パチンと指を鳴らすと魔方陣が三つ描かれ、そこから三つ首の怪物、ケルベロスが現れる。
「そいつらに遊んで貰うといい。やれ、ケルベロス」
「「「グルゥアアアアアンッ!」」」
大きな牙を剥き出しながらみんなに襲い掛かる。しかしそのうちの一匹に向けて剣が飛んでくる。ケルベロスはそれをかわし、剣が飛んできた方を向き唸る。
「すみません、遅れました!」
「遅ればせながら参上したよ」
「遅れた分は働かせていただきます…!」
「木場!」
コカビエル達を追って行ったイリナ以外の三人が駆けつけてくれる。
「イリナは?」
「コカビエルにやられた傷がひどくてね。治療して予め借りていたホテルで休ませているよ」
「そうか、無事ならよかった…」
「さて、シエルの言う通り遅れた分は働かなくてはいけないな!」
そういってゼノヴィアは天に手を掲げて呪文を唱え始める。
「ペトロ、バシレイオス、ディニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ。この刃に宿りしセイントの御名において我は解放する…来い、デュランダル!」
現れた剣はエクスカリバーとは違い、暴力的なまでの荒々しい聖なる力を放っている。ゼノヴィアはその柄を握ると思い切り振りおろす。それだけの動作で剣からは猛烈な衝撃波が飛んでいき、ケルベロスを吹き飛ばす。
「キャウゥン!」
「デュランダルだと…!? バカな! 貴様、エクスカリバーの使い手ではなかったのか!?それに私の研究ではデュランダルを扱うまでは到達していないはず…!?」
「あいにくだが、私は『天然もの』でね」
「バカな…!?」
「バルパー・ガリレイお前は僕が…!」
「貴様は何者だ?」
「お前が行っていた『聖剣計画』の、生き残りだ!」
木場の顔は憤怒に包まれ、今にも斬りかかりそうだった。
「答えろ、バルパー! なんで、なんでみんなを殺したんだ!」
「ふん、用済みになったモルモットは殺すのが普通だろう?」
「モル、モット…だって…それに、用済み…?」
「教えてやろう、貴様らは聖剣の因子がなかった訳ではなく、ただ単に少なかったのだ」
「え…?」
「言葉の通り、お前たちは因子が少なかったから聖剣を扱えなかった、だが私はそこで考えたのさ。足りないなら
「そんな…!?」
「因子を抜きとり、それを一つに集めて結晶化すれば、聖剣が第三者が扱うことが出来る! そして私は研究の末に完成させた! だが! 教会は私を異端者として追放した挙句に、私の研究成果を奪い取ったのだ!」
「………」
もはや木場は茫然として何も言えないようだった。それは周りで聞いていた他のみんなも同じようで、顔をしかめて怒りに震えている。
「ほら、君の大事なお仲間の因子だ。所詮は残りカスだがな」
「貴様…!」
ゼノヴィアの怒りに震えた声が聞こえる。木場は足元へと放り投げられた小さな結晶を手に取り、大事そうに握りしめる。
「みんな…!」
『あなたは一人じゃないよ』
「え…!?」
聞こえてくるのは頭に響く人間とは違う声。いつの間にか一人、二人と木場の周りに薄く透き通った人影が現れる。
『君は僕たちの希望だ』
『復讐だとしても、私たちのために戦ってくれた』
『私たちはもう生きてはいないけど』
『あなたと共に歩んでいこう』
『一人一人は弱くても、みんなが一緒なら大丈夫』
『さぁ、歌おう』
人影たちは口々に聖歌を歌い始める。その歌声は何処までも澄み渡り、そして清らかで聞いているものの心を穏やかにしてくれた。悪魔のみんなも聖歌のはずだが大丈夫なようだった。
『たとえ神があなたを見捨てても』
『私たちは見捨てない』
『ともに行こう』
『僕たちはいつだって―――』
「―――一つだ…!」
木場の体に光が吸い込まれていく。光が収まると木場は立ち上がり、キッとバルパーを睨み付ける。
「僕はお前を許さない… 今ここで、お前の妄執を断ち切る!」
「くっ、フリード! エクスカリバーの統合は完了した! 使え!」
「あいあいさー!」
フリードはエクスカリバーを握り、木場に斬りかかる。対する木場は目をつぶり胸元に手をかざす。
「行こう、みんな… 僕たちは今、エクスカリバーを、聖剣を超える…!
「がんばりなさい、祐斗… あなたは最高の剣士よ…」
『見ろ相棒、どうやら奴は、至ったようだな』
「
天へと掲げられた木場の手には白と黒の神々しさと禍々しさの共存した美しく、力強い剣が握られていた。
「なんなんすっかそれぇ!?」
「行くよ、聖魔剣『
木場が聖魔剣を振り、エクスカリバーと打ち合う。すぐさま離れたフリードはエクスカリバーを『擬態』で鞭のように変え『透明』『天閃』の能力を使った攻撃を仕掛ける。木場はそれを難なく躱すが、『破壊』の能力も使われているのか、エクスカリバーの当たった地面は粉々に吹き飛んでいる。更にフリードは『夢幻』の効果でフリードを何人もいるように見せかけ幻と本物の入り混じった攻撃を繰り出す。
「『
木場の聖魔剣の剣に赤い模様が走ったかと思うと次の瞬間、聖魔剣からは凄まじい熱気の炎が放たれ、迫りくる剣すべてを焼き尽くす。その炎により幻のフリードは掻き消え、本物のみが残る。
「『
今度は青い模様が走り木場が聖魔剣を地面に突き立てると、氷が地面を伝いフリードを拘束する。
「なんだこりゃ!? 動けねぇ!?」
「これで終わりだ! 『
金色の模様が走り聖魔剣から雷が天高く伸びる。木場は一瞬の溜めから一気に聖魔剣を振り下ろす。
「ハァアアア!」
「ウソだろー!?」
凄まじい光とともに電撃が走ると、直撃したフリードは黒焦げになってしまい、エクスカリバーは半ばから圧し折れている。
「僕はリアス・グレモリーの
木場はヒュンと剣を一振りし、バルパーを睨み付ける。周囲のケルベロスは、ダメージがたまっていたのか、先ほどの炎と電撃で倒れてしまった。睨み付けられているバルパーは視線に気づいた様子もなく、エクスカリバーが折られたことに狼狽しブツブツとひとり呟いている。
「馬鹿な…そんなことがあり得るわけがない…聖と魔、二つの相反する力が混ざり合おうなど…」
「貴方は僕が倒す…今、ここで!」
「そうか…わかったぞ! 聖と魔、二つが混ざり合うということはつまり、神が創ったシステムは消失しているということ! つまり魔王だけでなく神もすでに…!」
しかし、バルパーはすべてのセリフを言い終える前に体を光の槍に貫かれる。その犯人、コカビエルは崩れ落ちるバルパーを鼻で笑い見下ろす。そしてコカビエルが指を鳴らすと同時に光の槍は爆発し、バルパーの体を消し飛ばす。
「バルパー、貴様は非常に優秀だった。貴様がその真理にたどり着いたのは、優秀だからであろう…だがな、お前がいなくとも、俺はすべて一人で何とかできたのだ」
「コカビエル、お前仲間を…!」
「仲間? 笑わせるな。所詮は俺が戦うための駒にすぎん。さて、ケルベロスもエクスカリバーも倒されてしまった訳だ。故に、期待はずれなお前らを俺直々に殺してやるっ!」
放たれた光の槍はまっすぐに小猫ちゃんへと向かっていく。動かない体に鞭を打ち懸命に走り小猫ちゃんを突き飛ばす。しかしそれにより俺の
「先輩!?」
「アラト!」
皆が駆け寄ってくるがそれを追い払おうとする。何故か? 飛ばされた俺の右腕には腕輪がついている。俺の
「! みんな! アラトから離れて!」
「え!?」
「みんな…逃げ、ろぉおおお!」
そして俺の意識は闇に沈んだ。
* * *
先輩の体から突然、真っ黒なエネルギーが溢れ出す。エネルギーの奔流が収まるとそこにいたのは
「せん、ぱい…?」
以前見たハンニバルという姿に似た、しかし角は禍々しくうねっており、背中からは翼のような腕と、カリギュラと呼ばれていた姿のブースターが付いている。右腕は鋭いランスのような形になっており、左腕は籠手のようなものになっている。足は獰猛な肉食獣のような形へと変化している。そして極めつけは全身が真っ黒に染まっており、唯一目の部分のみが、血走ったかのように紅く揺らめいている。体からは絶え間なく闇のようなエネルギーが出ている。その姿はいつも守ってくれる優しい先輩とはかけ離れていて
「ギイェアアアアアッ!!」
私はそんな姿に恐くなり、動けなかった。すると突然、先輩の真っ黒な槍が私へと向けられる。
「嘘ですよね…先輩…? 先輩が、そんなことするわけ…」
先輩の槍は何の躊躇いもなく私へと突き出される。そして私は…
擬人化アラガミはどれくらい出しましょうかね。出すとしたら何がいいんですかねぇ。
それと聖剣が効いた理由ですがアラガミが取り込んだものが持っている弱点があるようにアラトも取り込んだものの弱点を持ってしまうんじゃないかなぁ、と思いまして。
それでは、感想等お待ちしております。