だが! 数々の批判を受けた俺は! 読み専の低評価ぐらいでは沈まんのだよ! むしろこれを糧に連日投稿だコノヤロー!
お騒がせしました… それでは本編をどうぞ。
ガギィン!
鉄と鉄がぶつかり合う独特な音が周囲に響く。恐る恐る目を開けると私の目の前には手に持ったハンマーの盾を展開して先輩の攻撃の前に立ちはだかるクアドリガさんの姿があった。
「ご主人…アンタ、いくら暴走してるからって、自分のこと一番心配してくれる子を真っ先に攻撃するのはどうなのさ…?」
「グルゥオアアア!」
先輩は槍を引き戻し、左手を振りかぶる。振り被られた腕の籠手が展開してそこから炎が漏れ出す。漏れ出した炎は見る間に大きくなり巨大な火球となる。
「マズッ!?」
「『
とっさに間に入った祐斗先輩が作り出した渦潮のような水の盾が火球を打ち消すものの、水の盾は蒸発して消えてしまう。それは、その火球の威力がはっきりと物語っていた。しかし、安心したのも束の間、先輩は再び火球を作り出していた。その大きさはさっきの物より大きくなっていて、水の盾では防ぎ切れるかどうかわからなかった。急いで逃げようとするが突然、先輩が火球を私たちとは別の方向の空へと投げつける。放たれた火球は、先輩に迫っていた光の槍とぶつかり爆発する。自分の槍が火球と合い討ちになったのをを見たコカビエルの顔は苦々しげだった。
「バカな…全力ではないとはいえ、俺の最大級の攻撃を軽々と…!?」
「グルル…」
先輩は標的を私達からコカビエルへと変更したみたいで、コカビエルへと禍々しい角から黒い電撃を放つ。コカビエルは翼を大きくはためかせて電撃を回避すると、再び魔方陣を複数出現させる。
「やれ! オルトロス! ケルベロス!」
魔方陣から現れたのは双頭の怪犬と三つ首の番犬だった。怪物はそれぞれ天高く遠吠えを上げ、先輩に襲い掛かる。先輩は翼のような腕からエネルギー弾を放ち一匹を吹き飛ばす。続けざまにブースターを使い急接近すると、右手の槍で他の一匹を貫く。胴体を貫かれたことで絶命したケルベロスに、槍の付け根から生えてきた口が噛み付く。肉と骨が千切れたり砕けたりする不快な音が校庭に鳴り響くと、他の怪物たちは恐れをなしたのか、後ずさりを始める。コカビエルもあっさりとやられたことに驚き固まっている。へたり込んでいる私の近くにサリエルさんが来て呟く。
「ハンニバルをベースにウロヴォロスの角、ボルグ・カムランの尻尾の槍にマルドゥークの籠手、ディアウス・ピターの脚、シユウの翼腕にカリギュラのブースターとはねー…それに加えて常時オラクルの過剰放出、これまた豪勢だねー」
「サリエルさん…あれは本当に…」
「アラトだよ。正真正銘間違いなく、神代荒斗だよ」
「そん、な…」
信じたくなかった、否定してほしかった。あれが先輩によく似た偽物であるならば、まだ納得できた。安心できた、私を殺そうとしたのは先輩じゃなかったんだ、って…
「先輩はどうして、あんなふうに…?」
「腕輪がなくなったからだよ。いっつもアラトが付けてた腕輪は、リミッターでもあったんだよ。それがなくなってしまったから、アラトは今暴走している」
「元に戻す方法は、ないんですか?」
「あるよ。私たちが、アラトの意識を呼び戻すの」
「そうすれば、先輩は…!」
「けど、私たちに出来るのは、あくまで呼び起こすことだけ。そこから先は、アラト自身がやらなくちゃいけないんだよ。それにすごい危ないんだよ? それでもやる?」
先輩を元に戻す方法があるのなら、どんなに危険だって、私は…
「やります…先輩の為ですから…!」
「りょーかい、クアドリガ」
「準備万端だよ!」
「じゃ、がんばりましょーか、ね!」
二人はそれぞれ武器となるものを構え先輩へと接近する。先輩も近づいて来た二人に気が付いたのか、二人へと向き直る。
「ガルル!」
「いーかげん目を覚ましなさいな!」
「さっさと起きた方が身のためだよ!」
二人は果敢に先輩へと挑みかかる。
「私も負けてられません…!」
待っててください先輩。すぐに元の優しい先輩に戻して見せます…!
* * *
「ここは…どこだ…?」
意識が暗転した後、目が覚めるといつの間にか、花々が咲き乱れる美しい草原にいた。そして俺はその草原に立つ、一本の大きな木の木陰で、その太い幹に寄りかかっていた。立ち上がって辺りを見渡しても、誰もいない。俺一人だけだ。
「ここは、一体…?」
『認めよ…』
「っ!?」
後ろから聞こえた低く重い声に驚き振り返れば、今まであったはずの草原は半分が消え失せ、昏い闇へと変貌していた。そしてその闇の中に佇む一つの影、マントにも鬣にも見える器官を生やしたトラに似た、しかし漆黒に染まった姿。
「ヴァジュラ…」
『認めよ…』
『己の中の衝動を…』
ヴァジュラの横に現れたのは同じように漆黒に染まった、龍と人を掛け合わせたかのようなフォルムをした、俺が長らくお世話になっているアラガミ、ハンニバル。
「衝動、って一体…」
『牙を剥き、爪を立てよ』
次に現れたのは、全身を漆黒に染めているという違いはあるが、岩のような装甲を身にまとった、狼のような姿のアラガミ、ガルム。
『『『全てを引き裂き、喰らい尽くせ』』』
次々に現れる、漆黒に染まったアラガミ達。アラガミ達は、口々に言葉を放ってくる。俺はアラガミ達に近づこうとするが、草原と闇の間を超えようとした瞬間、見えない壁にぶつかる。
「いつっ!? なんだ、何が起きて…!?」
『欲せ、全てを』
『其の為の力は既にある…』
「力…」
『さらなる力を求めよ…自らの飢えを、渇きを認めよ…』
「飢え、渇き…」
もしも俺に力があれば、今頃俺は足手まといにならず、みんなとともにコカビエルと戦えたのかもしれない。いや、それ以前にイッセーが悪魔になることもなかったのかもしれない…俺の心を段々と闇が蝕んでいく。あたりの草原も少しずつ少しずつ、闇に侵食されていっているようだった。そんな時だ。
『アラト!』
ふと聞こえてくるのは、ひどく懐かしい声。記憶の彼方へと忘れ去られようとしていた、仲間たちの声。
『今の私に出来ることなど、これぐらいしかありませんが!』
『手伝ってもらった恩がある。見捨てるわけにはいかないさ!』
『貴方には聞きたいことが山程あるんです…!』
自分を受け入れられない女王と、情に厚いけど少し天然な剣士、冷たく感じるけれど、根は優しい少女の声…
『君には助けてもらったからね、今度は僕が助ける番だ!』
『あなたも大切な部員の一人なの。誰一人として欠けさせはしないわ!』
『俺の全力で! お前を叩き起こしてやるよ!』
聞こえてくる、未来へと歩き出した騎士の声、優し過ぎる王様と、バカで熱血な、龍を宿す幼馴染の声…
『さっさと起きてよねー!』
『ご主人は寝すぎなんだよ!』
自らの分身である、歌が好きな優しい少女と、豪快で太陽のような少女の声…
『絶対に、助けます…!』
そして、自分のことを慕ってくれる、小さな少女の声…
「…すぐに行くよ、みんな…」
『友情など下らぬ、力こそが全てなのだ』
「お前たちの言う『力』っていうのは、ただの暴力だ」
『何…!?』
今、分かった。この草原は俺という
「『力』は闇雲に振るえば、ただ物を壊すだけの暴力になってしまう。けど、誰かを守りたい、救いたい、そんな思いがあれば、『力』は何倍にも増すんだ!」
『力に種類など無い! この世界は強者と弱者、その二つでしかないのだ!』
「確かに、強い者と弱いものに分けられてしまうのかもしれない。けど、人の思いはその境界すら超えていけるはずだ!」
昏い闇へと一歩足を突き出す。しかし、今回は見えない壁に阻まれることなく、踏みしめた闇は消え、そこには草原が現れる。一歩、また一歩と歩みを進める。
『来るな…! 来るなァァァアアア!』
アラガミ達の、オラクルたちの口から、手から攻撃が放たれる。しかしその攻撃は俺に届く前に見えない壁に当たり消滅してしまう。
『何故だ、何故なのだ!?』
「言っただろ? 思いの無い攻撃に本物の強さは宿らない」
俺はどんどん突き進み、ついにアラガミ達の前へとたどり着く。
「思いの強さ、ってやつを見せてやる。だから、俺についてきてくれ」
『…どの道、我らは既に敗北者だ。いいだろう、主よ。貴様の言う強さがどんなものか。見せてもらおう…』
アラガミ達の姿は薄れ、小さな光の粒子となっていく。そして光の粒子は俺の体の中へと入ってくる。それと同時に、世界は再び鮮やかな草原へと戻っていった。
「帰ろう…俺たちの居場所に」
* * *
突然、今まで暴れまわっていた先輩が動きを止める。呻き苦しむような声を上げ、ドサリと地面へと崩れ落ちる。そして暴走した時と同じようにエネルギーが溢れ出し、その巨体を覆い隠す。その奔流が収まるとそこには
「先輩…!」
「ただいま、小猫ちゃん…」
前書きではいろいろお見苦しいことになってしまい申し訳ありません。ただオリジナリティの欠如は何となく感じていたのでちょっとショックでした…
ま、まぁとにかく! 感想で以外にも擬人化アラガミのアイデアを書いて下さっている方々がいて、これはもうまだまだ出すしかないなと。ご希望のアラガミが出るかどうかは運次第ですけどね。
それでは、感想等お待ちしております。