閑話 少女たちの会合
神代家二階、かなり広いキュウビの部屋には今、何人もの少女たちが詰めかけていた。
「さてと、それでは始めましょうか…」
キュウビのその一言に居合わせた少女たちは息を呑む。
「第一回! 種族も何も関係ねぇ! 女子会開催でっす!」
「「「いえーい!」」」
先ほどまでの緊迫した空気はどこへやら、打って変わって盛り上がる少女たち。キュウビはコホンと咳払いをすると話を始める。
「今回が初となるこの女子会ですがメンバー同士の自己紹介から行きましょうか。ほとんどの方が知り合いだとは思いますけどね。それじゃー私の隣から時計回りに行きましょー!」
「じゃあ私が最初だねー、えっと、サリエルです。どうぞよろしくー」
「普通すぎませんか!?」
「えー? 他に話すことあるー?」
「いや特にないと思いますけども!?」
普段はふざける側のキュウビが突っ込みに回っている。これだけでも他の少女たちからすれば面白いことだ。それと同時にサリエルの大物っぷりがわかる。
「ま、まぁいいです、それじゃ次の人!」
「クアドリガだよ。なんかあったらアタシに相談しな!」
「おー! 頼もしいですね!」
「全部力尽くで解決してやるからさ!」
「ただの力任せだった!?」
あっはっはと豪快に笑うクアドリガを疲れた様に見ながら次の紹介に回す。
「次の人、お願いしますぅ…」
「ボルグ・カムランです。気軽にカムランとでもお呼び下さい」
「やっとまともな紹介ですね…」
「ちなみに趣味は決闘です」
「貴方達わざとやってませんか!?」
キュウビの突込みなどまるで聞こえてないかのように出されていたお茶請けと紅茶を啜る。
「あぁもう…次の人、は飛ばしていいですね」
「おいふざけるな! 余を無視しようなど許さんぞ!」
「はいはい、わかりましたよ」
「余はヴァジュラじゃ! 控えるがいい、凡人ども! フハハハハ!」
「うるさいバカは無視して次の人どうぞー」
「っておい!」
ぎゃーぎゃーいがみ合っているキュウビとヴァジュラを無視して次の番である小猫が紹介を始める。
「塔城小猫です。皆さん、よろしくお願いします…」
「はっ! バカ虎と争っているうちに終わっている!?」
「誰がバカ虎だ!」
「あんたに決まってるでしょうが!」
「あーあ、これじゃ進まないねー。悪いけどシエルちゃんたち、あの二人は無視して一気に自己紹介お願いできる?」
「え、ええ、分かりました」
ここまで騒げる二人に驚いているのか、若干引き気味なシエルが自己紹介を始める。
「シエル・アランソンです。この前は助けていただきありがとうございました」
「ミッテルトっす。よろしくお願いするっすよ」
「リアス・グレモリーよ。ところであの二人は本当に止めなくていいのかしら、なんか電撃とか出してるんだけど…」
「気にしないでいいよー」
「姫島朱乃ですわ。それにしても、向こうは面白そうですわねぇ」
「ゼノヴィアだ。よろしく頼むよ」
「アーシア・アルジェントです! よろしくお願いします!」
「ほら、アバドンちゃんも」
サリエルは自分のの後ろに隠れ、怯えた様子の少女を半ば無理やり前に出す。
「あ、アバドンです…よろしく、お願いしますぅ…」
何とか自己紹介をするとやはり怖いのか、それとも単純に憶病すぎるだけなのかサリエルの後ろへと逃げて行ってしまう。
「ごめんねー、この子かなりの人見知りで」
「あぅあぅ」
「はぁはぁ、もうやめましょう、ヴァジュラ…私たち完全に置いてけぼりです」
「そ、そうじゃな…」
「ふぅ、それでは今回の女子会の目的ですが、ズバリ! 皆さんの好きな人調査です!」
キュウビの一言に集まっていた少女たちの間に電撃が走る。それはつまり、ここにいる全員の前で愛の告白をしろ、と言っているようなものだからである。
「もちろん! 私はご主人様とラブラブな相思相愛ですので!」
「アラトは余の婿となるのじゃ! 貴様のような女狐なんぞとラブラブな訳無いであろう!」
「あぁん!? んだとこのアホ虎!」
「黙れ女狐!」
再び喧嘩を始めてしまう二人を置いておいて話はどんどん進んでいく。
「ミッテルトと私はアラトのこと大好きだもんねー?」
「突っ込むのも面倒っすよ…まぁ事実っすけど」
「その、いつの間にそんなふうになっていたのか聞いてもいいかしら?」
「あー、アレっす。助けてもらって、しかも優しくされたからコロッと惚れちゃったチョロインなんすよ。ウチ」
「自分でチョロイン、って…」
「自覚してるっすから」
カラカラと笑うミッテルトの姿には気恥ずかしさなどまるでなく、むしろ清々しさすら感じるほどに、惚れているという事実を誇っているようだった。そしてそんな姿を見て他の少女たちは私たちもあんな風に堂々とできたらなぁ、と考えていた。
「それじゃあ次はクアドリガとアバドンちゃんだねー」
「ん? アタシはご主人だよ。それが愛だの恋だのというのかどうかはわからんがね」
「わ、私は…アラトさん、のことが…あぅぅぅ」
「よしよし頑張ったねー」
クアドリガはあっけらかんと言った後、自分の感情がどうなのかはわからないと後を濁し、アバドンは何とか最後の『好きです』まで言おうとしたようだったが、恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらうつむいてしまった。
「私はあまり恋愛というものを意識していませんのでわかりませんね。気になる人を強いて言うならマルドゥークさんでしょうか」
「「「おお!」」」
「一度手合わせ願いたいものです!」
「「「えー…」」」
カムランの言葉に一度は盛り上がる一同だったが、続けられた言葉にすぐさまがっくりとうなだれる。全員の心の中は『気になるってそういう意味かよ!』というツッコミが入っていた。
「私は彼、アラトさんですか…彼には助けられた恩もありますしね」
「そっかー、リアスちゃんとアーシアさんはイッセー君のこと好きだしー」
「ひ、否定はしないけど…」
「はぅぅぅ…!」
「ああ、私もイッセーのことが好きだぞ」
「「え!?」」
ゼノヴィアからの意外なセリフにリアスとアーシアは驚く。
「神が死んだと言われ、傷心の私に彼は光をくれたのさ。神が死んだことを物ともしないあの精神、あの強さに惹かれたのさ」
「私は特には、まぁイッセー君はかっこいいと思いますけれど、ね」
「あ、朱乃まで…!」
「こんなにいっぱい…」
「アラト程じゃないけどイッセー君も倍率高いねー。で、小猫ちゃんはどうなのかなぁー?」
「ム…」
サリエルは、一人で黙々とお菓子を食べ続けていた小猫に対して、ニヤニヤと笑いながら近寄り、わざとらしく聞く。
「ねぇねぇ、誰なのかなー?」
「知ってるくせに…」
「んー? わかんないなぁー?」
「ムゥ…分かりましたよ」
「それでぇー? 誰なのかなー?」
「…先輩、アラト先輩ですよ…」
「あーもー、かーわーいーいー!」
「にゃっ!?」
恥ずかしそうに俯きながら呟くように言った小猫の姿に興奮したサリエルは、すぐさま飛びつき、小猫を撫でまわす。
「そういえば小猫ちゃん、今度アラトとデートするんだって?」
「「何っ!?」」
「ええ、前から約束してたケーキをご馳走する約束のついでに、一緒に遊ぼう、って」
「「なん…だと…!?」」
戦慄する二人を置いて、他の少女たちは小猫をからかったりしながら話の花を咲かせる。少女たちの会合はまだまだ続く。
甘ったるいよぉ…でも次はデートだからもっと甘いよぉ…
それとアバドン出しましたよ、さぁ喜ぶがいい!…調子のってすんませんでした。こんな感じでいいですかね?
感想等お待ちしております。
…コーヒー飲も…