ハイスクールD×D 転生者はアラガミ   作:オラクリオン

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閑話 DATE&CHASE

「…随分と、変な夢見たな…」

 

今日の寝覚めは最悪と言っていいレベルだった。何せ夢の中で自分が世界を滅ぼしかけていたのだから。気分のいい朝を迎える方が難しいだろう。なぜ今日に限ってこんな夢を見るのだろうか。

 

「今日は小猫ちゃんとデートなのに…」

 

そう、今日は小猫ちゃんと前々から約束していたケーキをごちそうになる日なのだ。そして、どうせ休日なのだからと二人で遊ぶことになっている。これはもう立派なデート…だよな? 俺だけがデートだと思って空回ってないよな? 急速に芽生えだした不安を押し殺して着替えを始める。まだ少しばかりの肌寒さが残るので長袖の黒い上着を白いTシャツの上から羽織り、ジーパンを履く。下に降りるとまだほとんどが寝ているのか誰も居なかった。トーストを数枚食べてから書置きを残して、家から待ち合わせの場所まで早歩きで向かう。こういう時は男が先にいるべきだと思ったからだ。まぁ実際、待ち合わせの時間の10時まではまだ一時間近くあるし大丈夫だろうと思っていたのだが…

 

「ねぇねぇ君さ、今何年生? 歳は?」

「お兄さんたちと遊ばね?」

「………」

 

なんと、待ち合わせ場所に着くと小猫ちゃんが如何にもなナンパ男たちに絡まれていたのだ。小猫ちゃんは鬱陶しそうにしているが、男たちは気づいていないのかひたすらにしゃべり続けている。よし、殺るか。

 

「おい」

「ちょっとぐらいいいじゃんか、ってなんだよお前?」

「先輩…!」

「邪魔だ、失せろ」

「んだと!」

「邪魔だって言ったのが―――」

「おわあっ!?」

「―――聞こえなかったのか?」

 

殴りかかってきた男の腕を掴み相手の力を利用して噴水の中へと投げ飛ばす。周りの男たちは茫然と投げ飛ばされた男と俺を見ている。小猫ちゃんはこちらに駆け寄ってくると俺の後ろに隠れる。そんな小猫ちゃんを庇うように一歩前へ出て、

 

「もう一回だけ言うぞ、失せろ」

「「「ひ、ひいいっ!?」」」

 

男たちは噴水でずぶ濡れになってしまった男を放って逃げ出す。水浸しの男も仲間の後を追うかのように逃げて行った。

 

「ありがとうございます、先輩」

「ん、小猫ちゃんは大丈夫?」

「はい」

 

そう言って微笑んでいる小猫ちゃんは、普段見ない私服姿なので少し印象が違う。白のワンピースの上からベージュ色のカーディガンを羽織っている。にしても…

 

「ずいぶんと早いんだね? 時間までは一時間近くあるけど」

「そういう先輩こそ」

「ハハ、それもそうだね」

「それにしても助かりました」

「なんていうか、ああいう奴等ってホントにいるんだね…」

「私も驚きましたよ」

「まぁいいや、それじゃ早いけど行こうか」

「はい!」

 

一時間早めとなったがフラフラと街を歩いていく。普段は俺が入らないような洋服店に連れ込まれて、何着も試着させられたり、小猫ちゃんが試着した服の感想を聞かれたりした。実際にはないだろうと思っていたイベントを体験することになったおかげで辟易し、小猫ちゃんおすすめのケーキ屋に着いたころにはグッタリしてしまっていた。

 

「つ、疲れた…」

「私としてはもう少し見ていたかったんですが…」

「お、女の子の買い物が長い理由が何となくわかった気がするよ…」

「???」

 

女の子ってすごい目移りするみたいなんだよな。これもいいあれもいい、ってなるから長い訳で、しかも女の人たちは自覚がない。いや悪いとは言わないが、男にはかなりの覚悟というか忍耐が必要だなぁ…

 

「ご注文はお決まりですか?」

「食べ放題Cコースを二つお願いします」

「かしこまりました。取り皿をお持ちしますので少々お待ちください」

「小猫ちゃん、Cコースって一番高い奴じゃ…」

「これでも私、悪魔の仕事で稼いでいるので結構貯金あるんですよ。だから先輩は気にせず食べてください」

「…りょーかい」

 

運ばれてきた取り皿に山盛りケーキやスイーツを盛り、周囲からの目を気にしないようにしながらどんどんと食べ進めていく。なんか途中から厨房の方が慌ただしかったような気がするんだが…「急いで材料買ってこい!」とか「奴らの胃袋は底なしか…!?」とか聞こえてきたし…気にしたら負けだな、うん。二人で店から出ると空は夕日で茜色に染まっており、空気も少し肌寒くなってきていた。

 

「どうする? 今日はもう解散にする?」

「時間としては中途半端ですけど、そうしましょうか」

「じゃあ、送るよ」

「ありがとうございます、先輩」

 

俺の家と小猫ちゃんの家の方向はほとんど同じなので送って行ったとしてもそんなに遅くなることはないし、俺なら例えはぐれ悪魔が出てもどうにか出来るだろうし。商店街からそんなに離れていない自宅まで他愛ない世間話をしながら歩いていく。途中で一度、とてつもない力のオラクルを感じたが、俺たちをどうにかしようというものでもなさそうだったし、どうせキュウビとヴァジュラが喧嘩でもしたんだろ、と思って気には留めなかった。その後は特に何も起きることなく無事に小猫ちゃんの家の前にたどり着いた。

 

「送ってくれてありがとうございます」

「気にしないで。ああ、それと、これ」

「なんですか? コレ?」

「開けてみてよ」

 

俺が手渡したのは白い厚紙でできた長方形の箱。小猫ちゃんは不思議そうにしながら箱を開ける。

 

「これって、ネックレス、ですか?」

「そうだよ」

 

箱の中に入っていたのは先端に虹色に光る石のついたネックレスだ。ただし、普通のネックレスとは違う。

 

「その石、オラクルの結晶なんだ」

「え…?」

「正確にはオラクル輝晶っていうんだけどね。そこに俺のオラクルの力を込めておいたから。まぁ、お守りみたいなものかな」

「………」

「あ、あれ? 迷惑だったかな…?」

「いえ…すごい、うれしいです…」

「ならよかった」

 

大事そうにネックレスを胸元で抱きしめる小猫ちゃんを見てホッとする。

 

「それじゃ、また明日学校で」

「はい、また明日」

 

こうして、俺と子猫ちゃんのデートは幕を閉じた。

 

 

*                    *                     *

 

 

一方、アラト達二人がデートしている間ずっと後ろからついてきていた者たちがいた。

 

「うううぅぅぅ~!」

「むぐぐぐぐ…!」

「二人とも唸らないで欲しいんすっけど…」

「いいな~、二人とも、あのケーキおいしそうだな~」

「サリエルはサリエルで見るとこ微妙に間違ってるっすよ?」

「ミッテルトは突っ込み役が定着してきたねぇ」

「ほとんどアンタらの所為じゃないっすか…」

 

二人がデートすると聞いたキュウビとヴァジュラは後を追いかけると言い出し、二人が暴走しないようにするためのストッパーとしてミッテルト、サリエル、クアドリガが付いてきている。

 

「私もご主人様とラブラブデートしたいのにぃ~! あ、でもぉ新婚旅行でもいいかなぁ~なんてキャー!」

「お前が行くのは失恋旅行だろうに…」

「うっさいですよバカ虎」

「黙れ生涯独身狐」

「「…もっぺん言ってみろ!」」

「うるさいっす」

「「ふぎゅっ!?」」

 

取っ組み合いにまで発展しそうになった二人の言い合いを、ミッテルトはアラトから渡されていたハリセンで叩いて止める。

 

「おー、ほんとに効くんすね。この『アラガミ鎮静用ハリセンmark-1』」

 

ミッテルトは感心したように自分の手の中にあるハリセンを見つめる。実はこのハリセンは、アラトが開発した発明品の一つなのだ。アラトはゼロオラクル細胞に目覚めてからというもの、いろいろなものを開発している。小猫に渡したオラクル輝晶のネックレスもその一つである。その中でもこのハリセンは特別仕様で、叩いた相手のオラクル細胞を一時的に不活性化させ、アラガミを鎮静させるという代物なのだ。『ただしそこまで強力に不活性化させるわけではないため、改良の余地はある』らしい(アラト談)。

 

「おや、あれは…?」

「どうしたのー?」

「いえ、ご主人様の居る店の近くにいる、あの男…」

「ありゃあ、堕天使みたいだねぇ」

「あれはアラト、いや猫の小娘の方を狙っておるのか?」

「おそらくそうっすね。堕天使は基本的に悪魔のこと嫌いっすから」

「………」

「キュウビ?」

「許せませんね…みなさん、あいつは私たちで片付けましょう」

「アラトも前々から楽しみにしていたようだしな。仕方ない、手伝ってやるとするか」

 

五人はアラト達を追っていこうとする堕天使の前に立ちふさがる。

 

「…退け、貴様らに用はない」

「貴方がなくとも、こちらにはあるんです」

「あの二人のデートの邪魔はさせんぞ」

「…あの悪魔の仲間か、ならば貴様らも死ぬといい」

 

堕天使から殺気が放たれると同時に五人は商店街から出て山の方へと向かっていく。堕天使はアラト達のことを無視して五人を追いかける。ある程度山奥まで来ると五人は後ろを振り返り、臨戦態勢となる。光の槍を出した堕天使に対してキュウビが前に一歩出て言い放つ。

 

「女の子にとってデートとは至福の時間。ましてや、それが好きな人であればなおのこと。それを邪魔しようとした貴方には、きつめの制裁が必要ですね!」

「知ったことか!」

 

堕天使が攻撃に移ろうとした次の瞬間には、堕天使の視界いっぱいに移りこんだ多数の光弾、ミサイル、電撃、光の矢が堕天使に殺到していた。名前すら出てこなかった堕天使は、断末魔を上げることすらできずにこの世から消滅したのだった。

 

「これにて一件落着、ってあああ!」

「ど、どうしたの!?」

「ご主人様たちがどこ行ったか分かりません…これじゃもう追っかけられないじゃないですかぁ!」

「…はぁ」

 

そんなこんなで、実は裏で頑張っていたキュウビたちだった。この後帰ってからアラトにお礼を言われて舞い上がったキュウビと、煩いと怒ったヴァジュラがケンカになったのは、余談である。




デート回とか書いたことないんでわかんないんですけどこんなでいいんですかね?

それはそうとレイジバーストのエンディング、あそこまでご都合主義なのによかったと思えるエンディングも久しぶりでした。今は絶賛武器強化中です。

それでは感想等お待ちしております。
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