ウルトラマンヴィクロス《完結》   作:ラピス・ラズリ

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ウルトラウーマンラピスと同時投稿します!
このシリーズはラピスより少なめに完結しますが、是非最後まで読んでください!


若き未来の赤いウルトラ戦士

M78星雲光の国──

「……ふふっ」

建物の屋上で笑いながらスケッチブックに光の国を描いているウルトラマンがいた。

彼の名前はウルトラマンヴィクロス。美学を学びながら、絵を描くのが好きな未来のウルトラヒーローである。

「ヴィクロスー!」

同期の青年、ウルトラマンスフィールの声がした。

ヴィクロスを探している。

「わっ…!」

驚きながら慌ててスケッチブックを閉じてフィールの元へ向かった。

「フィ、フィール…どうしたのですか?」

ヴィクロスはどんな相手でも常に敬語の真面目マンでもある。

「オレはスフィールだっつの。ったく、エース先生がオメーのこと呼んでるぞ」

呆れたように親指を後方に向けるスフィール。

「あ、ご、ごめんなさい…スフィール……エース師匠がですか?ありがとうございます。今から向かいますね」

スケッチブックを片手で持ちながら駆け足でエースのところへ向かう。

その途中で一枚の絵を落としてしまったが、気づかず向かった。

「……ったく。……ありゃ、何だこの絵」

スフィールはそれを拾い上げ、まじまじと見た。

ブルー族のウーマンが描かれていた。このウーマンは警備隊でも噂になっている人であり、ヴィクロスが片想いしているウーマンの絵だった。他の絵とは正反対に情熱より感じるように描かれていた。

「まったく……」

スフィールはそれをヴィクロスの元に送り届けると、訓練に向かった。

「エ、エース師匠…!お待たせしました!」

呼吸を荒くしながらヴィクロスはエースの所へたどり着いた。

「……来たか、エース」

「スフィールが…僕を呼んでいると言ってましたので…その、要件はなんでしょうか?」

その場にあった机の上にスケッチブックを置いて話を聞いた。

「……マイナスエネルギーはわかるね?」

「はい。存じております」

「そして、それに近しい存在であるヤプールも」

「ヤ、ヤプール…!?ヤプールとは…エース師匠が以前倒し…ましたよね?」

「……そのはずだったんだが」

そう言ってエースはため息をつく。

「まさか……生きていた…のですか?」

「いや、復活した。メビウスの時と同じだ」

そう言うと、ヴィクロスの顔を見て、エースはこう言った。

「お前に地球防衛の任を与える」

「……地球防衛。僕が、地球へですか…?」

ヴィクロスは喜びはあるが、内心、戸惑っているようにも見えた。

「ああ。私の厳しい訓練に耐えてきたんだろう、きっと守れるさ」

ヴィクロスはそれでも戸惑っていた。『まだ半人前の自分が守れるのか』『重大すぎて、地球を守り切れるのか…』など、頭の中はいつもの美学が消えてしまい、不安だけが満ちていた。

だが、自分の師匠が直接お願いを頼まれたのなら断れないと自分に悟り…覚悟を決めた。

「分かりました。まだまだ半人前ではありますが、僕がその地球を守ってみせます!我がウルトラ族では第二の故郷である地球を!」

「ああ、その意気だ!」

「はい…!エース師匠の名を汚さないよう、弟子としてエース師匠から学んだことを活かして頑張ります!」

それでもヴィクロスの中には、不安が少し満ちていた。

「……行ってこい、ヴィクロス!」

「はい!行ってまいります!」

そう告げてヴィクロスはその場からいなくなった。

エースの目の前では見せないように、その場から離れながら大きく溜息を吐いた。

「はぁ〜〜〜…(荷が重いです…あの人も、こんな気持ちで地球で活動しているのですかね?)」

 

地球に向かう途中、ヴィクロスは小惑星帯に突入した。

「(惑星から…気配が。誰か住んでいるのですかね?でも、この気配……どこから…?)」

その場で止まり、周りを見渡し始めた。"油断は禁物"という言葉を忘れてしまうくらいに…

その時である。

何かの笑い声がしたかと思えば、ヴィクロスは背後から斬り付けられる。

ヴィクロスが気を失う直前に見たものは、それは、ワームホールの入口と、そして毒々しいムラサキ色の異次元人の姿であった。

「……ッ…(あれ、は…一体……エース師匠…誰か、助けて)」

目の前が闇のように暗くなってきて、気を失ったままワームホールに吸い込まれてしまった。

 

所変わって、平行世界の地球。

自衛隊が国防の要として認められ、無双している世界である。

そして、怪獣すらも自衛隊は倒している。

その地球に、突然光の巨人が現れることも知らずに…

「グァ……!」

ワームホールに吸い込まれたヴィクロスは偶然にもその地球に辿り着いた。

「グゥ…ッ(ここが、地球……なら急いで人間にならないと…)」

幸いにも人気のないところに着いたらしく、背中の痛みを耐えながら人間体となった。

その世界では数年前から、特殊な防衛隊を設立している。SDF──Special(特殊) defense Force(防衛軍)

その入隊者募集の張り紙が貼ってあることに彼は気づいた。

「ッ……クッ…(防衛軍……これなら…)」

ヴィクロスは痛みに耐えながらなんとか人間体になることに成功した。

好青年で瞳は海のような青より水色のような瞳だった。

だが人間体だと背中の傷がさらに目立つようになった。なんとか隠そうと上着を羽織り、痛みに耐えながら防衛軍へと向かった。

しかし人間の体に近い姿だ、彼はばたりと倒れた。

それを見兼ねた青年が、彼を担いだことは知る由もない。

 

「ッ……ッん…」

人間体のヴィクロスはようやく目を覚ました。

見覚えのない場所で困惑しながらゆっくりと身体を起こした。

「……よぉ」

「イッ…ッッ……ここ、は…一体…」

「SDTの基地、その医務室さ」

「SDT……?(あぁ、あの…張り紙の…)」

「ああ、そうだ」

そう言うと、青年はニコッと笑った。

「何故……僕がここにいるのですか?(あ、そうだ…まだ名前決めてない……後で決めますか)……イッ…」

背中の傷の痛みは未だに癒やされてないらしく、動かすだけで痛感してしまうようだ。

「今は休めよ」

「……すみません…ありがとうございます…」

青年は立ち去った。

「……偶然…なんですかね」

そう呟いて再び横になった。

扉の後ろ側で誰かが見ているのも気づかず…

「……」

「……絵を、書きたいです。持ってきたスケッチブックはどこですか?絵を…描きたい。この偶然というのを美にしたいです…」

あまりの退屈さで独り言を呟き始めた。側から見ればヤバい人に見える。

 

さて。

何時間か経過したわけだが、

 

本当に静かである。

「……スケッチブックゥ〜〜〜…」

描写に書かれてなかったが、自分の宝物であるスケッチブックが側に無くて絵が描けないスランプ状態になっている。

我慢ならず、名前を決めないまま痛みを耐えながらコッソリと病室を出た。

「……スケッチブックはどこ…ですか?」

辺りを見渡しながら歩み出す。

スケッチブックは程なく見つかる。

「スケッチブックゥ〜〜…!」

涙目でスケッチブックを握りしめた。

傍から見たらただの変態である。

「だ…誰もいない間に…戻りましょう…」

スケッチブックに描かれた絵を見ながら病室へと戻った。

ただ歩いたせいで背中の傷から血が染み込んでいたのは気づいていなかった。

「おい」

「うわっ…!?は、はい…」

 

声の方向に少し冷や汗をかきながら少しずつ振り返った。

「……だぁれだ、てめぇ」

「え、あ……えっと……」

この状況は絶望的だった。まだ名前を決めてなく、案の定助けられた身であるので普通の一般人。なので何を言えば良いのか分からず、目だけで辺りを見渡した。

「……あ…」

小声で呟き、その場で名前が思いついたようだ。

「さっさと吐け」

「あ……芥川羅衣(あくたがわらい)|と言います…!怪我していたところを助けてもらい、ここにいるんです…!それで自分の私物を探すために彷徨って…いたんです…ッ」

偶然にも扉が開いてる部屋から芥川龍之介の小説が目に入り、羅衣はその場にあった絹布が目に入り、思いついたようだ。

「芥川羅衣……変な名前だねえ。おれは睦月(むつき)優作(ゆうさく)……このチーム唯一の殺人鬼さ」

ケラケラと笑う睦月。

「さつじn…!?………さ、左様でございますか…」

羅衣は苦笑を浮かばせてそう言った。

「ヒャッハハハ!!」

「わっ!?ッ……イッ…!」

いきなり笑ったことにめっちゃビビっていたが…背中の痛みのことは忘れてもなかった。

おいおい、と言ってから、睦月は羅衣を担いだ。

「うわっ…!?あ、あの……下ろしてくれませんか?担がなくても…大丈夫ですよ?」

「嘘だな!!おれは嘘が嫌いなんだ!」

「ヒッ…!?……す…すみません。でも本当に担がなくても…ここまで1人で歩いて来ましたし…」

「なぁああに言ってんだ、てめー血ィ流してんだろーが!」

「こ、これは動いた時にやらかしたもので…!(この基地はこんな人ばかりなのですかね…)」

羅衣は入隊を決めているがこの先が不安となってしまったようだ。

 

さて。

数時間経過した。

「……あの人は怪力ですか…」

羅衣は優作に担がれた後、病室のベットで再び寝込んでいた。

「……ん?」

1人の女性が扉の後ろからでコッソリと覗き見していた。なんで覗き見なのかは不明だが…

羅衣はようやく取り戻したスケッチブックを片手にずっと絵を描いていたせいか、全く気づかない…

静寂だけがこの場を包んでいた。

ふと、羅衣はブレスレットを見つめた。ここへ来る前に、エースから渡されたものだった。

「……エース…師匠…」

ブレスレットを見つめながら呟いた。『このまま平和で良い』と、思い込んでしまった…

ちゅんちゅんと小鳥は鳴き、木々はそよ風でざわめいた。

「……美しい…」

羅衣は呟いてスケッチブックにその光景を絵描き始めた。

美学オタクはとても美しいものから目が離せないようだ。

「師匠達が…地球が好きな理由が改めて分かったようです」

羅衣はずっと絵描き続けていた…『何も起きなきゃ良いのに…』と、思い込んではいるが…その考えはすぐに消されてしまうのもわかっていた。

 

時間は刻々とすぎる。

羅衣は再び起き上がり、誰もいないか確認して病室を出た。

どうやら基地内を見てみたいと思って怪我は最初よりマシになったので、動き回るようになった。

「………広い…基地…ですね」

愛用のスケッチブックを脇に抱いて歩み出した。スケッチブックに一枚の張り紙が挟まれていた。

軍属にあるであろうピリピリとした空気は不思議と感じない。

静かで豊かな空間である。

「……誰もいない…のですかね?」

ふと、人気を感じてその部屋を覗いてみた。

「……上層部からまた始末書来たんだけど…」

齢14のように見える少女が青年3人と話していた。

「仕方ないさ」

「お前また墜落させたんだろ?しょーがねぇぜ!」

「睦月さん、そこまで言わんでも……」

「後なんか優作のせいで高層ビルが破壊されたって…」

「仕方ねぇだろ、混乱に乗じて破壊活動するテロリスト(共産主義者)が居たんだから!テロリスト(共産主義者)は殺せ!」

無慈悲だ!

「流石殺人鬼…考えることが怖い……」

少女は呆れながら呟いていたが、その背後で羅衣は完全にドン引きしていた…

「……おい、誰だ見てんのは!!」

「あ…!」

羅衣は即座に逃げ出した。

「……あの人って…」

「逃げんな!!」

睦月は羅衣を掴むと、問答無用で壁にたたきつけた!!

「グ…ッ!イッ…ッアア…!」

完治していない背中に痛感が通ったが、耐え切りながらスケッチブックを握りしめた。

「の……覗き見したのは謝ります…」

「てめぇどこのスパイだ?韓国か?北朝鮮か?中国か?ロシアか?黙ってねぇで何とか言えよこの在日ィ!!」

睦月は羅衣の顔に肘をかまそうとした。

「ッ…!」

「ストップ!!」

横から少女が睦月の肘を片手で止めた。

動かすことが出来ないくらい強い力で握り止めていた。

「……彼は、怪我人だよ?暴力は失礼だよ?それと彼は常田さんが連れてきたらしいよ…?うろ覚えだけど…」

「ああ、そうさ。僕が彼を連れてきた。きっといい力になると思ってね」

「……下ろしてもらえませんか?」

羅衣は小声で呟いた。

「力…?どんな力?」

「このSDT特捜班の強力な仲間になってくれそうだってことさ」

「あ……これの…ことですか?」

羅衣はスケッチブックに挟んでいた募集中の張り紙を見せた。

「あ、この張り紙を見て来たのもあるの?助けられただけじゃないんだね」

「……さて、メンバーの紹介でもしておくか。僕が隊長でありSDT最強戦力、常田(じょうだ)良和(よしかず)だ。で、そこのちっさいのがキャスだ」

「小さくて悪かったね…」

「………中学生…ですか?」

羅衣は指を指してそう言った。案の定キャスは切れた。

「だぁぁぁぁぁれが中学生だぁぁぁぁぁ!!!!」

「わぁぁぁぁぁごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

「ハッハッハ、殺しあえ殺しあえw」

それを見て睦月は笑った。心がない。

「ッ……で、でも…彼は一応怪我人だから今は大目に見るよ…」

「あ……はい…どうもです」

そう言った羅衣だが、キャスはそのまま背を向けてしまった。

「……お…怒らせちゃいました…かね?」

「彼女の地雷さ……さて、話を戻そう。そこにいる、人の心のない奴が副隊長の睦月(むつき)優作(ゆうさく)だ」

「殺したくて仕方がねぇ」

「はいはい、怪獣災害の時に殺しなさい。そしてそこにいる赤い髪の青年が」

谷裂(たにざき)雷斗(らいと)。よろしく」

「あ、えっと……よろしくお願いします……ッ(背中に痛感…まだダメですかね…)……あ…ぼ、僕の名前は…芥川羅衣と申します。先ほど睦月さんに教えましたが…よろしくお願いします」

「入隊する気満々だね〜」

キャスは通路の窓の外を見つめながら陽気にそう言った。

「ったくよぉ……」

「あ、えーと…なんか……すみません。どうでもこの基地内がどんなところなのか気になってしまいまして…まだ怪我は治ってませんがね……あははっ」

笑って誤魔化すな。

「……恐らく残り1分で警報機が鳴るかも」

キャスはまるで忠告、いや予知したかのようにそう言った。

「……なるほどなァ?」

「……え?…え?」

羅衣は当然のごとく困惑していた。

「でも、私の勘でもあるから本当かは別だけど…」

「……え?え?え、あの…僕はどうすれば…?」

「……臨時隊員だ。今回だけの非正規隊員として扱う」

「そ、そんな急に…!?」

「羅衣君、大丈夫だよ。君は強いって分かるから」

そう言いながらキャスは低身長なので背伸びしながら肩に手を置いた。

「……へ?」

羅衣は困惑状態がしばらく続いた。

その瞬間である。

『渋谷区一丁目に怪獣出現!同時に空が割れた模様!』

「ッ…!?」

羅衣はその言葉が耳に入った瞬間、即座に何かが現れるものがなんなのか理解した。

「空間が割れ、た…?!今までとは違う現れ方ですよ隊長…!」

「……よし。出撃用意!」

「了解!!あ、彼はどうします?」

「彼も連れていけ!」

「了解です!怪我が治ってないから無理はしないでね。こっち!」

「え、あ…は、はい!」

キャスは羅衣の腕を握ってどこかへ駆け足で向かい出した。

 

SDTの扱う物はもっぱらテレイグジスタンス(遠隔臨場感型)ロボットの『ブラスト』、そして航空機である。

「おぉ!カッコいいですね!」

「そう言ってる場合じゃないよ。はい、ヘルメット」

キャスは羅衣にヘルメットを渡してキャスはブラストに搭乗した。

他のメンツはファイラーに搭乗する。

「僕は…どうすれば?」

「うーん……何もしないで…見物するだけ?それで良いですよね?隊長」

「ああ、そうしておこう」

「わ、分かりました!」

「よし、ブラストはいつでも発進可能です!」

キャスは叫んでそう言った。

「ファイラー、ブラスト!発進!」

フォースゲート・オープン。

「ブラスト、発進します!」

キャスは操縦機を操作して起動させた。

「ファイラーも発進して大丈夫だよ!」

「ファイラー、発進!」

 

蜘蛛のごとき怪物がそこにいた。

「うわぁ……気持ち悪っ…」

「攻撃開始!」

「了解!」

キャスはミサイルを放った。

そのミサイルは、蜘蛛の糸によって断ち切られた。

「嘘っ!?糸に負けた…!?」

「強化された糸だろう!焼き払え!!」

「りょ、りょうか……ん?」

ふと、キャスは違和感を感じた。

「どうした?」

「あ…あの……臨時隊員のあの人、どこ?」

「……本当だ、いないだと!?」

「そんな事はどうだっていい!あの怪物を打ち殺せ!!」

「い、いやいや!大丈夫なの!?武器も何も渡してないのに!!」

「きっとアイツは何かやってくれるさ!」

「りょ……了解!」

キャスは攻撃を続けていた。

その頃…羅衣は何故か敵の近くまで走っていた。

「はぁ……はぁ……はぁ……ッ(アレは…超獣…!)」

『ピギュアアアアアアア』

やかましい、そうとしか言えない。

「ッ……」

羅衣はエースから授かったブレスレットを握りしめる。

「ん…?い、いたぁ!!」

キャスは戦闘中にモニターに羅衣が映ったことによってようやく見つけたようだ。

しかも、よくよく見ると、蜘蛛の超獣の足元にいる。下手したら、即死寸前だった。

「チィッ!」

その様子は良和にも把握されていて、ファイラーからミサイルの弾幕が放たれる。

「ッ……」

羅衣はそれに気づいていたが、その場から動こうともしなかった。

キャスはそれを分かっているかのように何かに気づき始めていたようだ。

そして羅衣は覚悟を決めるように瞳が海のような色なのに陽炎のように揺らいでいた。

「やります…エース師匠!」

ブレスレットが光輝き出す。

『ピギュアアアアアアア!!』

踏み潰す寸前である。

「危ない!!」

キャスがそう叫んだ瞬間、蜘蛛の足元が光輝き出した。

蜘蛛がひっくり返った。

「ヴィクローーーースッ!!」

羅衣が叫びながらブレスレットを空に向けると光に包まれてヴィクロスへと変身した。

「ジュアッ…」

この地球では最初のウルトラマンが登場したのであった。

「……ウルトラマン…?("やっぱり"……彼は…)」

「……来たか、ウルトラマン」

ウルトラマンヴィクロスの脳裏に蜘蛛の名が浮かんだ。

その名も『大蜘蛛超獣 アライダ』である。

「ジュアッ!」

ヴィクロスは先制として突撃して殴り出した。

動きは全てエースから教わったものであり、特訓の成果を今に活かして殴り続けた。

アライダの巨体が大きく揺らぐ。

「ジュアッ!(この気配…やはりヤプール…)」

ヴィクロスは人間には分からない気配に勘づいて殴り続けていた。

『ピギュアアアアアアア!!』

アライダは口から糸を放つ。

「ジュッ…!」

避けたが腕に絡まってしまう。なんとか解こうと腕を動かして外そうとしているが…

それに調子付いて、アライダはその脚でヴィクロスの腹を蹴る。

「ジュアッ…!」

「ヤバッ…!」

キャスが操縦機を動かして全速前進をした。

「はぁあああ…!!」

キャスがブラストをそのまま直進させて糸に自分から絡み付いた。ブラストが蜘蛛の糸まみれとなった。

「ジュッシュ!?」

「ッ……反逆しなっ!」

「燃えろ」

火炎放射は覿面である。

「ジュアッ!ジュッ!」

ヴィクロスは言われた通りに反逆の拳で殴り続けた。

アライダが怯むのを待ち続けていた。

火炎放射と拳で怯むアライダ。

「いまだ、ウルトラマン!」

「ジュアッ!」

ヴィクロスは胸いっぱいに力を込めて腕をL字型に構えた。

「フロージウム光線!!」

フロージウム光線とは、ヴィクロスの必殺技であり、吹雪のように冷たい光線だが凍結率は今のところ低いが、その冷たさを合わせて強力な光線である。

その光線がアライダに直撃をする。

アライダの体が凍りつき、爆散した。

ヴィクロスは勝利を確信したかのように軽く頷くと、大空へ飛び去った。

「……ウルトラマン、ねぇ〜…」

キャスは無線が入ってないことを利用してコックピットの中で小声でそう呟いた。

「……来たか、ウルトラマン」

「……あ…」

ふと、半壊してしまったビルに目が止まるキャス。全員に無線を入れてこう言った。

「……また始末書が増えるみたいだよ…」

「だな……」

 

翌日。

「……始末書…昨日の入れて今月10枚目…w」

キャスは呆れながら鼻で少し笑った。

「……さて、新メンバーの追加だ」

「あ、もしかして彼ですか…?」

キャスがそういう背後から扉の後ろから少し顔を出している青年がいた。羅衣本人だった。

「ああ。芥川羅衣隊員だ」

羅衣は少し緊張しているように見えた。少しオドオドしながら隊員服を着た羅衣が入ってきた。

「…あ、改めて初めまして!芥川羅衣と申します!これからよろしくお願いします!」

自分の宝物であるスケッチブックを脇に掲げながら元気よく挨拶をした。

「これからよろしく。そういえば私のことはフルネームで言ってなかったね。私は夢鬼(むき) |キャスだよ。よろしくね」

キャスは無邪気な笑みでそう言った。




この度新しいオリトラシリーズを投稿しました!
不定期更新ですが是非読んでください!
ウルトラウーマンラピスもよろしくお願いします!
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