ウルトラマンヴィクロス《完結》   作:ラピス・ラズリ

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正反対な性格の相棒

入隊して数ヶ月が経ったが羅衣は少しずつ仕事に慣れてきたが、まだおどおどした雰囲気は変わらなかった。人間生活や社会に未だに慣れてないせいである。

そんな中、うざいほどに絡む男が一人。

「ナァナァナァナァ羅衣羅衣羅衣羅衣羅衣羅衣羅衣ヨォオオオ!」

無ツ木である。

「うわぁぁぁぁ!!?な、なななななななんですか!!!??無ツ木さん!!?」

叫びながら慌てて振り返って顔を見せた。

「そろそろ昼休みだ!飯食いに行くぞ!!俺の奢りだから安心しなァ?」

「え、あ、は、はい!分かりました…!そうしましょうか!」

一応、彼はマトモな成人男性である。

殺人癖があるだけで。

「……あ。奢ってくれるなら1番高いの注文して良いですか?」

「無論だァァァ……」

ただのイケメンである。口は悪いが。

「……あ、ありがとうございます」

羅衣の本心はとてつもなく、嫌がっていた。奢ってくれることには感謝しているが、性格と馴れ馴れしさに…慣れないようだ。

とはいえ空腹なのは明らか。

このままでは餓死してしまう、ので飯を食うとしよう。

「今日も色々とありますね…」

メニューを見つめながら小声で呟いた。

「オレは肉そばにすっかねぇ」「foo↑ビーフ!ビーフ!」「お、中華そばあんじゃーん!」「蕎麦があるゾ^~」

喧騒の中、無ツ木はケラケラ笑っていた。

「でも無ツ木さんが好きなのスナック菓子でしょ…?」

クスリッと笑いながらそう言って自分のを決めていた。

「思ったら今日は麺類系なんですかね?」

無ツ木はクツクツと笑うと、

「肉そばの肉ダブル大盛りと洒落込むぜェ」

と言った。エンゲル係数こわれる。

「脂質と油のオンパレード…ですね」

「この後闘うんだから大丈夫だろ!」

「任務が入ればですけどね…」

そんな結果、羅衣は真冬なのに冷たい蕎麦を決めたようだ。いやなんで真冬なのに…

冷と温。やはり相容れない。

「真冬でも冷たい蕎麦は美味しいですね」

「くぅーっ、空きっ腹に染みる……」

羅衣も気になっているのか、チラ見で肉そばを見ていた。それでも無言で蕎麦を食べ続けていた。

「ん?食うか?」

「ッ……!い、いいえ、大丈夫です…!」

あらそう、と言って再度啜る無ツ木。

「(いや本当は気になるけど一応先輩だから無理!我慢するしかない…!次出た時に食べれば良いんだ…!)」

内心、物凄く我慢していた。

ズルル、と音を立ててかっ食らう。

その音を聞きながらまた肉そばに目が入る。

「ッ…ゲホッゲホッ!」

よそ見したせいでむせてしまったが。

「おい大丈夫かよ」

「ゴホッ、ゴホッ…だ、大丈夫です。ゴホッゴホッ…」

むせたまま言ったせいか、声がガラガラとなってしまった。

水を飲んでなんとか冷静を取り戻しながら蕎麦を食べ続けた。

「……(人間の身体は不便ですね。もう寒さを感じる…)」

身体を震わせながらそう思いながらも食べ続けた。

そもそも真冬に冷たい蕎麦を食べているのが馬鹿だ。

「っくー……うめぇわァ……」

冬には暖かい肉蕎麦だ!と言いつつ、チラリと羅衣を見る。

無ツ木は思った。

羅衣はもしや、人間では無いのかもしれないと。

「……あ、温かい、お茶…」

羅衣は身体を少し震わせながら立ち上がって真冬に合う温かいお茶を取りに向かった。気がつけば真冬には普通は食べないだろう冷たい蕎麦が既に完食されていた。無ツ木より一足先に食べて終えていたのだ。

「ふぅー……」

カラン。

そんな乾いた音とともに、無ツ木は肉そばを食い終えたのだった。

「美味かったァァァ……」

「お茶、飲みますか?」

湯気が出ているお茶が入ったコップを飲みながらもう一つのお茶を渡そうとしている。

「……《人間が作った》お茶、美味しい…」

羅衣は全身から感じる温もりを感じながら呟いた。寧ろ、地雷を踏んだようなセリフを呟いてしまったような…

「ハッ……」

「どうかなさい…ました?」

「気にすんなよ」

「?……分かりました。ごちそうさまでした」

羅衣は手を合わせて礼儀良く挨拶をした。その直後に立ち上がり、食器を戻しに向かった。

「あ、持っていきましょうか?」

「おう、任せる」

「はい」

羅衣は礼儀良く返事をした直後、片手で自分の皿と無ツ木の皿が乗ったおぼんを手にしながら向かった。

よく絵を描くからか、指先が器用で皿がグラついたりしていなかった。

「副隊長である殺人鬼さんと新人く〜ん。報告書はどうしたの?」

食堂の入り口からキャスが書類を手にしながら2人に声をかけてきた。

「ンなもんもう報告済みだわクソガキ」

「あ、キャス、さん…!」

羅衣は慌てて2つの皿を返却口に置いて報告書を渡す。

「す、すみません…!遅れてしまい…」

「ん、大丈夫だよ。渡して隊長に見せるだけだからね。あ、パトロールは今日は2人で行きなって隊長が言ってたよ、無ツ木」

副隊長を呼び捨てしかもタメ口をする自称ロリ女である。

「ちゃんと立場は弁えろやゴミ」

相変わらずの暴言である。

いつ首を絞めてもおかしくない。

「……説得力無いですよ副隊長」

「あ、あの…お二方…喧嘩はやめましょう?」

間に羅衣が入って慌てて2人のことを止めた。羅衣の眼中に怒りに燃えた隊長が見えたからか、羅衣はこの後の行動に察しがついた。

「はいはい、そろそろ自重しようね二人とも。それからキャス!しばらく減給するよ」

「なぁぁぁぁ勘弁してくださいすみません!!」

慌てて叫びながら謝るキャス。その背後で呆れながら溜息を吐いた羅衣であった。

その時だ。

『台東区浅草に怪獣出現!前回同様ヒビ割れを確認!!』

「出撃準備だ!!」

「ヒビ割れ…ッ」

羅衣は返事をせずに何が現れたか分かったかのように小声で呟いた。

「りょ、了解!!」

キャスは焦り口調を現したが返事をし、ヘルメットを手にして機体に向かった。

「……あ、まだ僕…操作不可ですか?」

羅衣は入隊して時がかなり経ったが、未だに自分の手で機体の操作をしていなかったのだ。

「銃火器のみ許可する!操縦はほかのメンバーに任せろ!」

「りょ、了解です…!」

羅衣の表情は何故か少しだけ悔しそうに見えた。だが本人は身を乱さずに道具を持ち、外へ出た。

「出動可能です!!」

遠くからキャスがそう叫んだのが耳に入ったが、羅衣は時空のヒビ割れまで走り向かった。

「出撃!!」

 

サンゴと宇宙生物が合体した姿、その名はベロクロン。

ベロクロンは、行軍していた。

「ギャグルルラルゥ……」

ベロクロンは恐ろしい超獣だ。

なんと全身が武器なのである。身体から放つミサイルが街を焦土に変えていく。

「……こっちのミサイル効くかな〜?」

キャスは弱音を吐いてしまったが操縦機を強く握りしめてのブラストに付けられた武器を構えた。

「こっちです!このまま真っ直ぐ進んで逃げてください!」

羅衣は地上で市民を避難誘導をしていた。それでもなお、超獣が眼中に入っているせいか、冷静が欠けて慌てながら避難をしていた。焦りは禁物という言葉が、羅衣の頭から抜けていた。

「はぁー…はぁー…はぁー……こっち!!ここから真っ直ぐ!そこへ行けば避難所があります!」

「ギャグルルラルゥ……」

口腔内のミサイル発射機関が火を噴いた!街がどんどん瓦礫になっていく。

「キャァァァーーーッ!!」

「うわぁぁぁぁ!!」

悲鳴がさらに増えていく。子供の泣き声も耳の中に入り、聞こえてくる。

「ッ……!なかなかこっちのミサイルが効きませんよ隊長…!」

キャスが悔しそうにそう告げながらも攻撃をし続けた。

「くっ……」

羅衣は全員がピンチだということが状況からして理解はできていた。超獣は普通の怪獣とは違い、慈悲などは無く、完全なる凶暴そのものだからだ。師匠であるウルトラマンエースから厳しく教えられているので悪戦苦闘してしまうことはよく分かっていた。

一部の区域の市民避難は完了したものの、これ以上の破壊で被害が増えてほしくない。既に被害を増やしている人が一名いるが…

「オラッッッ!!!コッチだ!!」

「あ!またビルの一部倒壊した!!無ツ木副隊長!何しているんですかぁ!?」

「あちゃー……」

キャスと地上にいる羅衣は呆れていた。しかも必ずしもベロクロンに当たってはいるが、まだ健在の状態だった。

「オラッッッ!食らえ!」

「ギャグルルラルゥ……」

羅衣はこれ以上瓦礫が増えて街の破壊や怪我人が増えてほしくない気持ちが増えていき、ついにその気持ちが爆発したのか。

まだ無事であるビルの屋上に駆け上がり、ベロクロンの目に向けて自分の手持ちの武器を放って片目を攻撃した。

「ギャグルルラルゥ……!?」

これにはかのベロクロンもタジタジだ。

「こっちだ!お前はヤプールに作られたただの化け物なんですよ!」

羅衣はベロクロンをおびき寄せてどこかへ逃げ走り出した。途中で普段大人しい羅衣が罵倒言葉を言いながらベロクロンの怒りを増やし続けた。

「え、ちょ…何する気?」

「良いですか皆さん…攻撃しないでください。ベロクロンの集中を途切らさない為にも。あ、特に無ツ……副隊長は…!」

無線で全員に連絡するも、既に遅かった。

「くそがぁッ……!!」

無ツ木の乗る機体に損害が生じる。

「副隊長ッ!!」

羅衣は走る足を止めずに叫んだ。ふと気づけば、人気のない森林まで走っていた。

「はぁー…はぁー…はぁー………時間がかかりましたが…やりますよ。いざ、尋常に!!ベロクロン!!!」

羅衣はベロクロンに向かって隊服の袖に隠していたブレスレットを見せながら、ブレスネットが光り輝いた。

「ヴィクローーースッ!!」

そして羅衣は、光に包まれながらヴィクロスへと変身した。

「ジュァ…」

損害している無ツ木が乗った機体をいつの間にか両手で手にしていた。どうやら『これ以上は動かしてはならない』という忠告をしているようだ。

「……チッ。任せたぜ、ウルトラマン」

「ギャグルルラルゥ!」

『とうとう来たなウルトラマン……!今日こそ貴様の命日だ!』

ヤプールの声がした。

ヴィクロスは無言で頷き、その声の方向に身体ごと向けた。

「その声…まさかヤプール…!お前は何故またこんな愚かなことをするのですか!?」

『ウルトラマン……貴様らを亡き者にする為よォ!!行けベロクロン!!』

「ギャグルルラルゥ!!」

ベロクロンは突進した。

「ッ…ジュァッ!!」

ヴィクロスはベロクロンの突進を止めるためにしがみついて膝で反発も攻撃をした。その後からは殴りまくりでまるでヤンキーの喧嘩みたいに。ヴィクロス自身に関してはヤンキーではないが…そのように見えてしまうのだ。

しかしベロクロンも負けてはいない。

その長ぁーーーーい爪から放たれるミサイルをヴィクロスの腹にぶちかまし、4万4440トンの重みでボディープレスだ!

「ジュァァァッ!?」

ヴィクロスは何も抵抗が出来ず、なんとか立ち上がろうと足掻き続けた。

だがヴィクロスは諦めず、エースから教わったウルトラギロチンを放った。

「ギャグルルラルゥ!?」

『なにィ!?まさか貴様!』

「ヤプール…これだけは言っておきます。僕は、ウルトラマンエースの弟子なんです!!これだけはよーく覚えてくださいね!!」

ヴィクロスは叫びながらギロチンを放ち続けた。体内に付いた武器を全て切り落としながら攻撃をした。

『なるほど……貴様がか!殺す……殺してやる……!滅びよ……ウルトラマンエース!!!』

「僕の名前はウルトラマンヴィクロス!!ウルトラマンエースの弟子だぁ!!」

そう告げた瞬間、ヴィクロスのカラータイマーが鳴り始める。それでもなお、ヴィクロスはトドメを刺そうと腕をL字に構えた。

「ギャグルルラルゥ……!」

ベロクロンはミサイルを放とうとした。しかし……。

 

ザァーーーーッ!!

 

地上からの援護射撃に気を取られ、ベロクロンのチャージが止まった!

「……!?」

ヴィクロスもこれには驚き、光線を放とうとした瞬間足元の地上を見た。

「今だァ!!撃て、ウルトラマン!!」

隊長の声が、ヴィクロスの耳に届く。

ヴィクロスは頷き、そしてベロクロンにトドメの光線を放った。

「フロージウム光線!」

それはベロクロンに直撃すると、ベロクロンの身体を硬直させ始めていく。

ヴィクロスは右手に拳を強く作り、凍結したベロクロンに向かって一撃の拳で殴った。そしてベロクロンは氷のように砕けて散った。

ヴィクロスはそれを確認しながらヤプールの声はもうしないか、と思いながら辺りを見渡した。

……もう、周りには瓦礫しかない。

「……はぁ…ヤプールめ…好き勝手に…ッ」

そう呟きながら大空に向かって飛んで行った。カラータイマーの点滅がさらに速くなる音が破壊された街中に響いたがそれは空に向かって少しずつ消えていった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…む、無ツ木さん…!無ツ木副隊長!どこですか!?」

ヴィクロスから人間に戻った羅衣は駆け回りながら無ツ木のことを探し回っていた。

「……よう」

「無ツ木さん…!良かった、ご無事で…お怪我はございませんか?」

「見ての通りよ、五体満足さ」

「そうですか!それなら良かったです。ですが…この破壊した街の後処理は無ツ木さんが責任としてやってくださいね?」

「ヘイヘイ」

どこか呆れている無ツ木。テメェも壊したろうが、と言いたげだ。

「とはいえ…上層部に叱られるのは、お互い様ですよ。説教を喰らい、始末書と報告書を提出したら…一緒にお食事でもしませんか?」

羅衣は笑み見せながらそう言った。今では、無ツ木のウザイ絡みなどはもう気にしてなかった。寧ろ、信頼できるBuddy(相棒)と感じていた。

「ああ……そうだな」

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