入隊して数ヶ月が経過した羅衣は少しずつ基地内での仕事に慣れていった。そして無ツ木との関係も深まり、気がつけば噂されるほどの名コンビとも言われるようになった。
時折、2人でトレーニングをすることもあった。
「………はぁー…」
羅衣は隙間時間の合間にさらに強くなるためにトレーニングをすることがあるが、汗をかきながら椅子に座って深く溜息を吐いた。
「よォー……大丈夫かァ?」
無ツ木優作。
宇ツ木優作の並行同位体である。
「……いいえ、その…何故、僕はこんなにトレーニングに励んでも強くなれないんだろうと思いました」
この悩みは光の国にいた頃からの悩みであった。師匠であるエースの特訓に耐えられたのも奇跡と思えるくらいに力が多少少ないのだ。強いているのならば、筋力が少ないのだ。怪獣や超獣を倒すための握力や腕力はあるが…筋力が低いのは昔からであった。
「……あー、まぁなあ。少しづつ強くなりゃいいんじゃあないか?」
「……少しずつ、ですか…そうですね。今から一気に強くなっても急かしてるのと同じですもんね」
そう言いながら羅衣は笑いながら無ツ木と顔を合わせた。
「焦らず、じっくりだ」
「はい…頑張ります…!」
羅衣は元気よく言いながらトレーニングに再会をした。一瞬フラついたことに関しては見なかったことにしてあげよう。
無ツ木はプロテインを飲んだ。
羅衣は汗をかき続けながらトレーニングに励んだ。
そんな2人の後ろから声がした。
「お疲れ様。副隊長、芥川君。これ、2人の報告書だよ」
キャスだった。2人とはかなり歳が離れているが羅衣にとっては先輩でもあり、小さい身とは正反対に強いのは確かである。
「あ。ありがとうございます…キャスさん」
「いつも頑張っているね。副隊長も付き添っているのも優しいですねww」
「黙れよクソガキ」
無慈悲。
「いつも通り…まぁ、慣れたもんだよ」
「慣れたんですか…」
人間の慣れは恐ろしいと知った羅衣であったが、ふとキャスの何か違和感に気づいた。人間である無ツ木なら気づけない。ウルトラマンの羅衣なら気づいた、違和感を感じたのだ。
「報告書はちゃんと読んでおいてね。トレーニングの邪魔してすみません」
そう言ってキャスはトレーニング室を立ち去ろうとした瞬間、フラついて壁に激突した。
「キャスさん!」
羅衣が駆けつけるも、キャスは何も言わず糸が切れた操り人形のようにその場に倒れた。
「おいクソガキ……!……まだ脈はある!おい木村ァ!救護班を呼べ!谷岡は念の為にAED取ってこい!鈴木は木村と同行しろ!羅衣は……状況報告!いいな!?」
冷静沈着である。
「は、はい!」
羅衣は焦りながら返事をしたが、キャスの異変に再び気づいた。
息はしているが死んだように寝ているキャスの髪色が少しずつ白くなっていたのだ。毛先から少しずつ、黒髪から白髪へと変化していた。だが周りの人は気づいていないのか、キャスをそのまま医務室に運んで行ったのだった。
「……まさかなぁ。救護班!……」
救護班。
ある服を着た医療の戦士たちがそこにいた。
「キャスさんは…大丈夫ですか?」
羅衣は不安げにそう言った。
キャス自身は医務室のベットの上で熟睡しているかのように眠っていた。部屋が暗くされているのでキャスの異変に気づくものは誰もいなかった。
「……そちらの副隊長殿から伝令を頂いております。『消して近づくな』と」
「………近づくな?な、何故ですか?」
「……そこまでは。ただ」
「ただ…?」
「……嫌な予感がします。多くの死と向き合った我々だからわかる死の予感が」
「………死…」
不安がさらに増し、長く生きるウルトラマンでありながらも、死を感じるように恐怖心が増した。
羅衣は言われた通りにキャスに近づくことはしないことにし、部屋へ戻り、報告書の作成に励むことにした。だが羅心配が増し続けて作成に励むことが出来なかった。
「……」
時間は刻々と過ぎていく。
羅衣は流石に我慢がならないのか、ついに立ち上がりキャスが眠る医務室に向かい出した。止められることを分かっていながらも向かった。
「うわ…?!」
羅衣は驚いてその場に尻もちをついた。何かと思い、顔を上げて見てみた。
……しかし、誰もいなかった。
「な、何が起きて…キャスさん…ッ」
即座に立ち上がり、医務室に慌てて向かった。
着いた瞬間、事件は起きた。医務室の扉が蹴り飛ばされて壁に激突した。
「ッ!!?キャ、キャスさ、ん……ッ!?」
医務室から異臭を感じるかのような嫌な雰囲気を感じた。恐る恐ると医務室に入ったが、羅衣は顔が真っ青になった。慌てて無ツ木を無線で呼び出そうとしたが、不可能だった。
「グルルルル……グルル…」
黒髪から白髪になり、頭からツノが生えていた。口は牙が生えていて、犬のように威嚇していた。
キャスが……《鬼化》したのだ。
「キャスさんッ!?」
「ガァァァァァッ!!!」
キャスは吠えながら羅衣に襲いかかった。
「ッ…!た、隊長!副隊長!!キャスさんがぁ!」無線がキャスの爪攻撃のせいで切断されてしまい、呼ぶことが出来ないがために叫んで助けを求めるしかなかったのだ。
「俺はここにいるよ」
「俺もだ」
片方は無ツ木。もう片方は。
「……よう」
それはぬらぬらとした緋色と銀色の四肢を持ち、爛々と輝く金色の大きな目は全てを見通すかのようで、細長くしかししなやかな指は太陽のように熱く深海のように冷たい。
すらりとした体躯には引き締まった筋肉が付いていて、ときおり緋色が炎を噴き出している。
羅衣は声に出さずに驚いた。だがキャスに襲われそうになりながらもなんとか踏ん張りキャスを飛ばして壁に激突させた。
「ガァ…!グルルルルル…グルルルル……」
「キャスさん……どうして鬼なんかに…無ツ木さん…ご存知でしたか?」
「ああ。本能が言っていたのさ。……ケッ、だから嫌だってのに」
『そんなことよりも行くぞ』
「おうともよ、人ひとりぶっ殺せるチャンスだ」
「い、以前もキャスさん鬼になったのですか…!?本能とは?」
「ガゥウウウ……ガァァァァァ!!」
キャスは勢いよく突進し、羅衣に襲いかかった。
羅衣も負けずに蹴り合いを繰り広げた。何故か羅衣だけを襲っていた。
「ッ…ふっ!デリャッ!」
「ガァァ!ガァッ!」
そして状況はさらに悪化した。警告音が基地内に響き始めたのだ。
「なっ……!?ッ、フッ!」
「ガゥ!グルルルル…」
「見てらんねぇな、おらよ」
鎌の重く鋭い一撃がキャスの体を裂いた。
「ギャァ…!」
「あ、ま、待ってください無ツ木さん!キャスさんを殺してはいけません!」
羅衣は無ツ木を止めながらキャスを抑えていた。
斬られた部分は既に回復されていた。
『動くな、【旧神】』
その銀と緋色の戦士のこえには強制力があった。
「ッ……キャスさんは、キャスさんは僕に止めさせてくださいッ!」
キャスが羅衣に向けて爪で攻撃を続けた。羅衣は避けながらキャスを死なせいない程度に殴り続けた。
「キャスさん!お願いです!僕の声聞こえますか!?」
そんな声とはさらに大きくサイレンが鳴り響いた。
超獣が現れたサインである。タイミングが悪すぎる。
「なっ!?こんな時に…ヤプールめ…ッ」
キャスに攻撃を続けながらも超獣を倒しに向かわなければない。選択肢は二つ、超獣か仲間を救うか、羅衣の思考回路が破裂しそうになった。
「ッ……2人は、超獣をお願いしますッ!僕がキャスさんを元に戻します!!!」
『……行ってこい、エースの弟子』
「よっしゃぁ!殺人タイムだぁああ!!」
「キュイイイ!!」
大蟻超獣 アリブンタのエントリーだ。アリブンタの蟻酸は非常に強力である。
「え…?(今、あの人…僕の名前を……本当の名で…)」
「ガァァァッ!ガァァァァァ!」
キャスは無我夢中で羅衣に襲い続けた。それでも羅衣はキャスを殺さない程度に攻撃を続けた。
「おいさっさと行けダボ!死にてぇのかアァン!?」
無ツ木が吼えた。てめぇ何してんだと。さっさといけ、話が進まねえぞと。いっそテメェの首切って打ち切りにしてもいいんだぞと。そんな怒りが込められていた。
「ッ……キャスさ、んは…僕は止めてくれと命令されたからするんですよぉ!!!」
羅衣はそう叫んだ瞬間、右手を強く拳を作った。
ふと、羅衣の脳裏に地球に来る前にあるウーマンから頼まれたことを思い出した。
光の国から地球へ向かう際、ヴィクロスはブルー族のウーマンに呼び止められ、ある約束を頼まれた。
「ヴィクロス、ボクからのお願いだ。もし、君が向かう地球に白髪の少女がいたら、君が止めてほしい」
「白髪の…少女?」
「その子は慈悲深く、誰でも問わずに優しく接するの。例え怪獣であろうとも…その子がもし、暴走した場合、必ず止めて。あの子は……《鬼子》なの」
その言葉が頭の中で木霊し、そしてキャスを右腕の拳で吹き飛ばした。
「ダァァァァァァァァァァァァァッ!!!!良い加減に!目を!覚ませェェェェェェ!!!!!」
「ッ……!?ギャァァァァァァッ!!?」
キャスは勢いよく吹き飛んで壁に激突し、そのまま気を失った。
「ふぅぅぅ………押忍…」
羅衣は小声でそう呟き、2人のことは目にせず外へ駆け足で向かった。
キャスはその場で気を失ったまま、髪の色が少しずつ黒く戻っていた。
「よし……今のうちに捕縛だ!」
どこからともなく荒縄を取りだし───────無論、異能封じの力があるとんでもない荒縄である───────キャスを縛り上げた。
『それでは私は向こうへ向かう』
「おうよ、任せた」
『ショウワッ!!』
戦士は炎へと変化し、残像を残して消えていった。
「超獣……ヤプールめッ」
羅衣はそう言い、ヴィクロスへと変身した
ヴィクロスは地上に足をつけ、アリブンタに拳を構えて攻撃を始めた。
『キュイイイ!!』
先手はアリブンタ。爆発音のような音ともにヴィクロスをぶっ飛ばす。
「グァッ!ッ…クッ……なんて強さ…負けませんから!」
ヴィクロスは諦めずにアリブンタを殴り続けた。だが状況は変わらず、ヴィクロスが押されていた。
『キュイイイ♪』
楽しそうに蹴りを放つアリブンタ。
楽しんでる。いたぶることを楽しんでる。
「グァッ!グッ…ッ……負けてたまるかぁ!デリャッ!リャアッ!!」
ヴィクロスは諦めずにアリブンタを殴り続けてきた。
「ウルトラギロチン!」
殴るのがダメならギロチンなどの光線技も放ち続けた。
しかし、アリブンタは地底へと潜った。大蟻超獣たる所以である。
「なにっ…!」
ヴィクロスは拳を構えながらどこから湧いて出てくるのか辺りを見渡した。焦らずに、微動だにせずにその場で待ち続けた。
狙うは足。
ヴィクロスの足元から超高速で飛び出たアリブンタは、ヴィクロスの巨体を吹き飛ばした。
「ッ…グワァァァァ!!?」
勢いよく地面に倒れる。気がつけばカラータイマーが鳴りだし、絶体絶命的であった。
「はぁ…はぁ…はぁ…(どうすれば…ッ)」
場所は変わり、基地内で拘束されたまま気を失っているキャスの容態を確認しながらヴィクロスの状況を確認していた。基地内からの映像から観ても分かる通り、ヴィクロスは悪戦苦闘していた。だが機体で倒そうにも今の状態では超獣を怯ませることが不可能である。そしてキャスが再び起き上がり、襲いかかる可能性があるため、援護に向かうことが不可能状態であった。
「ッ……ッッ…」
キャスが呻きながら少しずつ意識を取り戻してきたのに無ツ木達は気づいた。
正確に言えば無ツ木と
その
「仲間だったのさ。暴走したんで縛り上げたがな」
「ほう、それで俺を呼んだと」
イケオジはニヤリと笑った。
「おう、コイツが変に暴走しねーようにな」
そんな声が聞こえたキャスは少しずつ目を開き始めた。ふと、キャスの脳内に誰かの声が響いた。その声は…キャスにとって大切な親友の声であった。
『キャス…君が鬼なのは分かる。君の家系は鬼と《ウルトラ族》の間に産まれたウーマンだ。だけど、君はそれでも前向きに生きて悪党から人々を救っている。どんな君でも誰かを救うことはできる。鬼の力を利用しても救える。だから…立ちなさい。そしてヴィクロスを助けなさい。《ウルトラウーマンルリ》』
その言葉にキャスは目をカァッと開き出して齢14とは思えぬ力で拘束を破壊して立ち上がった。無言のまま、直立しながら立ちすくんでいた。
「……起きたか」
無ツ木は鎌を握り締めた。
「処分させてもらうぜ、忌み子」
その男はウルトラゼットライザーと長ドスを取りだし構えた。
だがキャスはピクリとも動かなかった。何もしてこないのだ。
「……おい、話が違うぞ」
「………ようやく、見せることが出来る。…私だって……」
そう呟きながら服の中に手を突っ込み隠しながら身につけていたネックレスを取り出した。ひし形で中心には赤色のヘマタイトが付いていた。条痕が赤いヘマタイトは「血」に由来している。キャスにとっては自分にピッタリのものであり、それを強く握りしめながら自らガラスを割りながら窓から飛び降りた。
これには無ツ木と男は驚愕した。
キャスは真っ先に落ちながらも覚悟を決めてネックレスの宝石の一部を強く押して叫んだ。
「赤い惑星…青い私に力を……ルリッ!!!」
その瞬間、キャスは青い閃光に包まれた。
「……ハハハ!殺さなきゃ(使命感)」
「はぁー…はぁー…はぁー…クッ…ソ」
ヴィクロスへと視点は戻り、ヴィクロスは既に膝をついてしまっていた。カラータイマーの点滅が早くなり、もうすぐで光粒子となって羅衣に戻ってしまう時間ギリギリだった。
よろめきながらもヴィクロスは立ち上がるが、すぐに膝をついてしまう。
アリブンタはヴィクロスにトドメを刺そうとした。
『デェアアアッ!!』
爆発音。
アリブンタが吹き飛んだ。
『……シュアッ』
それはぬらぬらとした緋色と銀色の四肢を持ち、爛々と輝く金色の大きな目は全てを見通すかのようで、細長くしかししなやかな指は太陽のように熱く深海のように冷たい。
すらりとした体躯には引き締まった筋肉が付いていて、ときおり緋色が炎を噴き出している。
胸部には燦々と輝く緑の光が携えられている。
「あ、あなた、は…?」
ヴィクロスは膝を地面につけたまま問いかけた。
『……星の戦士 ネビモス』
「ネビモス…?」
ヴィクロスはカラータイマーの点滅音を聞きながら小声で呟いた。
アリブンタが怒りに任せてヴィクロスに近づき始めた、が…
「喰らいなさぁい!!」
アリブンタが顔面を蹴飛ばされて地面を滑るように吹き飛んだ。
「え!?」
「ごめんね、ヴィクロス…ようやく覚悟を決めたから援護をするよ。そして…ありがとう」
目の前に立つブルー族のウーマンの声には聞き覚えがあった。
「あ……あなたは?」
「私はウルトラウーマンルリ。ブルー族のウーマンだよ。よろしく」
ウルトラウーマンルリ。ヴィクロスより先に地球での活動を命じられてやってきたが、ルリは鬼とウルトラ族の間から誕生したウーマンであり、時折鬼の力が暴走してしまい、容赦なく人を襲ってしまうため、本来の姿と力を隠すために地球に来た頃から長年人間のふりを続けた。
ルリはヴィクロスに向けて光エネルギーを分け与えるとヴィクロスは無事に回復をした。
ここから本当の戦いだ。
「私も久々にこの姿で戦うから準備運動にちょうど良いね…♪」
ルリが余裕あるように伸びをしながらそう言った。
「まぁ、あんな蟻ならすぐに踏み潰されるよw」
「煽り力高いですねルリさん…」
『キュイイイ!!』
フラグ回収。
アリブンタの渾身のドロップキックがルリを何キロメートルも先へぶっ飛ばした。
「わぁっ!!」
「ルリさんッ!!」
「………フフッ♪よいしよぉぉ!!!!」
吹き飛ばされた瞬間、空中で体制を変えて勢いよくアリブンタの胴体を両膝で貫いた。
「えぐっ…」
ヴィクロスは顔を真っ青にしながら小声で呟いた。
「ふぅ……膝だけでやられるの?まだまだだね♪」
ルリの身体能力は通常のウルトラマンとは正反対に倍数高く、見かけによらずとても攻撃力が高いのだ。これも、《鬼の力》である。
しかし、超獣はその先を往く。
ルリの腹にハサミを突き刺すと、その顔目掛けてなんでも溶かす蟻酸をぶちまけたのだ。
「ッ……これ、蟻酸?!」
「デリャァ!!」
ヴィクロスが馬乗りになってアリブンタを殴り続けた。
「女に手を出すとは、愚の骨頂ですよ!アリブンタ…いや、ヤプール!!」
「ッ…!(蟻酸は痛みや腫れが起きると言われているけど…この姿だと激痛が通る…!)」
その時だ。
『ジャア!』
ルリを聖なる炎が包んだのだ。
『フハハハハハ!!死ねぇ!死ね、ウルトラマン!!滅びよ!滅びよォオアアッハハハハハハハハハハハ!!!』
虚空からヤプールは挑発し、あるいは罵る。
「ヤプールゥゥ!!薄汚いブサイク化け物風情が!勝ち誇るのも良い加減にしてほしいですっね!!」
怒りに任せてヴィクロスはアリブンタの胴体をまさかの分裂させた。
「熱…ッ……くない?」
炎に包まれたルリは不思議に思いながら、蟻酸が盛られた腹部に触れてみた。
聖なる炎、それ即ち
ルリは聖なる存在ウルトラマン、故に邪を祓えたのだ。
『キュイ』
そう一声鳴いて、アリブンタの生命活動は停止した。
「……消えた…よしっ!」
ルリは勢いよく立ち上がってアリブンタの胴体の半分を蹴り上げた。
「ハァッ!」
「ヤプール!!お前はエース師匠に負けた!なら、お前は再び僕に負ける!!」
そう叫びながら胴体の半分を空中に放り投げた。
そして2人のウルトラ族の息が合うようにトドメを刺した。
「タイマー光線!」
「炎炎放射!!」
ヴィクロスのカラータイマーから光線が放たれ、ルリは炎を纏った光線を放ち、アリブンタは爆散したのだった。
「ヤプール……お前はいつか死ぬ。これ、僕からの忠告です」
ヴィクロスは空を見上げながらそう言って、ルリと一緒に大空へ飛び立った。
『ヌハハハハハ!!抜かせ、邪道共!アリブンタは我々の捨て駒よォオアアッハハハハハハハハハハハ!!!』
そんな声がしていた。
ネビモスは聖なる炎で街を焼く。それは死者に生の活力を与え、街を復活させていった。
『ショウワッ!』
ネビモスは一際大きな炎の渦へと変化し、消えた。
その日。
「……ヤプールめ…ッ」
羅衣は椅子に座りながらいつもの涼しい顔とは正反対に珍しく怒りの顔になっていた。
「彼は一体何の目的が…ッ」
「まぁまぁ落ち着いて。ヤプールなんか今は忘れなよ」
「ですがキャスさん…!」
「私達が、ちゃんとサポートするから」
羅衣にコーヒーを渡して隣に座って笑いながらそう語りかけた。いつものキャスがそこにいた。
「……しかし驚きました。君がウルトラウーマンとは…」
「驚いた?」
「とっても…」
遠くから見ればリア充に見られてしまうほど、2人は話を続けた。キャスがヤプールに目をつけられたのも知らずに…
『あの鬼子、使えるな……我々の復讐のために……!!』
キャスの身の危険と地球の危険を感じるが、羅衣達はその危険を感じてなかった。ヤプールの復讐に闇の炎が燃えつつある。そしてヤプールに映るのは、ヴィクロスとエースに対する復讐心であった。