オニデルビとの悪戦苦闘の末、先輩ウルトラマン4人に助けられたヴィクロスこと羅衣は重傷を負っていたが予定より早く復帰することができ、トレーニングに励んでいたが…
現在、羅衣は最近開店した定食屋に来ていた。助太刀に来てくれた4人のウルトラマンと共に。そして羅衣は…
「………わぁ…」
とある3人の食欲に驚いていた。
「………許してあげて。ここに来て全然食事してなかったから空腹が限界突破だったんだよね…」
そういう黒髪に赤のメッシュがかけられた紗和は水一杯で満足していた。重度の少食なのである。
「はぐ、っ……くぅー、うめぇー!」
「二週間ぶりのまともな飯だ……」
「…………」
無心で食らいつく男たちである。
「………腹の量…どうなっているんですか…」
なお、前回の謝礼として羅衣が全て奢るようだ。
「久しぶりの飯だ……うめえ……」
「……そんなに食べてなかったのですか?」
「ボクは別に食べなくても大丈夫だけどね…」
「っくー、すみません!追加でチキン南蛮二人前お願いします!」
慎太郎の胃袋は未だに満たない様子。
「それで何枚目ですか!?」
「いつも通り…」
そして何も食わない紗和である。紗和も同様、何も食べてはいないはずが…
「んな事言ってお前も食ってんじゃねえか3杯目」
場の空気に飲まれて食う羽目になっているようで。
「素直に言うともう満腹だよ…食害か。君たちの食欲の圧には勝てん」
少しずつ顔が真っ青になり始めた紗和であった。
そんな紗和を見て羅衣は不安げだった。そして一番の不安なのが…支払額であった。
「サイッコーにうめえ」
「もう……勘弁して…」
「(僕の財布の中身はどうなってしまうんですか〜!?)」
「(タルタリストとしては心にメモだ)」
慎太郎は後でまた来ようと思っているようだ。
数分後、ようやく満腹になり、腹ごしらえとして歩くことになった。紗和に至っては嘔吐寸前だった。
「う………っぷ……」
「む、無理しなくても大丈夫ですからね!?休んでも良いんですよ!?そ、それと…何故、皆さんも基地に行こうとするのですか?」
羅衣が最も疑問に思っていることである。許可を得れば普通に入ることは出来るが、特に理由もなくついて来たらしい。流石にここまでなら話してほしいと思い問いかけたようだ。
「う、うーーん……まぁ、ここである調査をエースさんから頼まれたのもあるけど……君のためでもあるんだよ?」
「僕のため…ですか?」
理由は至ってシンプルではあったが…慎太郎と肇、そしてシュンにはもの凄く怒られた。特にシュンに関しては大層愚痴を言われた。
そしてその愚痴などは基地に着くまでしばらく言われた。
「お前ほんと雑魚いんよ」
「よく主役できたな」
「オレでも闘えるんやぞMother Fxxker」
「ウォルスでもまだまともに戦えるぞお前」
「フィジカルクソザコナメクジやめてください」
「ざーこざーこ」
「最後の雑魚はいじめじゃないか…同感はするけど」
「し、しないでくださいよ!!!」
羅衣のメンタルはもう限界でボロボロになっていた。
「そ……そもそも…皆さんは僕に文句を言うために一緒に基地に向かっているのですか?基地内にもちゃんとトレーニングルームがありますし、そこで毎日筋トレなどしているのですが…」
「それだけじゃあダメなのさ」
「ダメ…なのですか?」
「羅衣はなんで強くなりたいの?」
「………エース師匠のように…強くなりたいからです」
その言葉を聞いて紗和は少し考え込む仕草をした。
「……エースさんがボクらをこの地球に派遣させた理由は2つあるんだ。歩きながら説明するよ」
無機質な足音が響く。
M78星雲 光の国———
4人はいつも通りに任務を遂行していた。
偶然にも、4人は任務休み中に出会った。
「……ん?」
ラピスが報告書を手にしながら3人と出会った。
「げ、ゴミじゃん(直球)」
無慈悲なる男である。
「おい…」
なお、このブルー族のウーマン。15徹夜していた。
「そろそろ寝ろって大隊長からの通告だ、寝ないなら親衛隊権限で殺す」
「やめろっ!?後で寝るから!!」
ツッコミを入れた瞬間、エース直々のウルトラサインが届いた。
ウルトラマンアバドン、ヴェラム、ビータ
そしてウルトラウーマンラピス
至急エースの元へ来たり
「……アレってエースさんのウルトラサインだよね?」
「マジか」
「後であいつに飯食わせてもらおか」
「ひとり暮らしの為に教えてもらうかなぁ」
「何する気だよ3人とも…」
色々とありながらも、4人はエースの元へ着いた。
「すまないな4人共。お前達にしか頼めない頼みなんだ」
「頼み…ですか?」
「何させる気なん?」
「単刀直入に言う。私の弟子が今現在活動している地球に向かってほしい」
「は?」
「と…申しますと?」
「ヴィクロスが活動している地球での調査と強化を頼みたいんだ。お前達はヴィクロスとは知り合いだろ?」
「たしかにそうですが…」
「だけどあのガキに稽古をつける理由にはならんやろ」
「ちゃんと理由はある。だがもう一つ理由もあるのだ」
「派遣される理由は二つですか?」
「そうだ」
深く息を呑み、エースは言った。
「ヴィクロスがいる地球には、私たち《ウルトラ族の国宝》とも呼ばれる物が眠っているのだ」
「……ウルトラ族の国宝?」
ラピスは首を傾げる。長く生きているアバドン、ヴェラム、ビータも首を傾げていた。
「なんだそりゃ」
「私もウルトラの父に聞いて知ったから詳しくは分からないが…ウルトラ大戦争で活躍されし、怪獣や星人を一瞬にして斬り倒す刀のようだ。そしてヴィクロスがいる地球に眠っているという噂が入り、お前達にその調査を頼みたい。地球に派遣する理由の二つ目だ」
「ボクら発掘隊じゃないんですから…」
「ちゃんと謝礼は用意する。ヴィクロスは賢く、優しく誠実だ。だが戦い方は…少しな。お前達にしか頼めない事だ。頼む」
「………どうする?」
「ちなみに謝礼は俺の奢りで高級寿司屋に行くことだ」
ラピスは少し無心だったが、高級寿司と聞いてアバドン達をチラ見してみた。
「寿司よりも肉で頼みたい」
「……なら高級焼肉店の奢りが謝礼としてどうだ?」
「それで」
「……まだ、何か謝礼してほしいのか?」
「(おいなんかエースさん怒ってないか…!?)」
ラピスがエースの顔色を見て察したようだ。
「違うさ、感謝してんのさ」
「ああ…そうか。受けてくれるなら、嬉しい限りだ」
「焼肉に吊られるおっさん達…」
ラピスは小声で呟いたのだった。
「あとこっちからも少し提案だ、向こうで食材をいくつか取ってこようか?」
「!……ああ、頼みたい」
「食いしん坊おっさん達…」
小声でつぶやく事をやめる気は無いのかこのウーマンは…
「よし、行くか」
「すまないな。よろしく頼むぞ4人とも」
「はい、エースさん」
「つまり焼肉に釣られて来た、と…」
「半分当たりでもう半分は任務のためでもあるからね」
道中を歩きながら全てを説明した紗和。いつの間にか基地の入り口まで着いていた。
「……で、その…強化とは…」
「そのまま。慎太郎、肇、シュンに君のために強化訓練してくれるの」
「……えぇ〜…」
嫌々そうに羅衣はそう言った。
「ボクも強化訓練の指導する」
「全力で取り組みます!!!」
一瞬にして明るくなった羅衣。何を隠そう、羅衣は紗和に片想いしているのだ。紗和本人は気づいてないが、他3人は呆れてしまうほど知っていた。マジで溜息を吐いてしまうほど見てられない片想いでベタ惚れだ。
「うわキツ」
「ま、まぁまぁまぁ………ん?」
ふと、紗和は足を止めて後ろを振り向いた。
「どうしました?」
「いや…誰かに見られていたような気がして…」
だが後ろには誰もいなかった。気のせいと判断し、基地内に入った。紗和達は客人として迎え入れてくれたようだ。
羅衣は重傷を負って身体が動けなかった分、トレーニングに励みだした。無論、4人もトレーニングルームにやって来て羅衣のトレーニングを見ていた。
「せやっ!!ギャッ!?」
サンドバッグを蹴り飛ばしていたが、何故か後ろに向かって倒れ転んだ。
「えぇ……」
これは流石に4人も引き顔になる。
「はぁ…はぁ…はぁ…オラァ!!アレェ!?」
「2回も倒れ転んだよ…」
「ザコ」
「彼はいつもあんな感じだよ」
そう声をかけたのはキャスだった。白髪鬼のキャスでは無く、いつものキャスだった。
「いつも副隊長の無ツ木と一緒にトレーニングしているらしいけど、何故か体幹などが良くないんだよね…」
「ふーん…?」
紗和とキャスはそう会話をしていた直後、羅衣はサンドバッグを殴っていたらしく、たった15回殴っただけで疲れ果てたのかその場で膝をついて呼吸を整えた。
「……羅衣のことをお願いしてもらっても良い?彼、才能はあるんだ。でも…羅衣の力はまるで《本当の力》のために溜めてあるからあんなに強くないのかもしれない」
「どういう意味?」
「そのままの意味だよ。私もよく分からないけどねw」
そう言ってキャスは去って行った。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ………(どうして僕は…すぐに疲れて…すぐに膝をついてしまうんですか…)」
汗をかいて呼吸を整えていた羅衣は地面を見ながら上の空だった。
「……うわっ」
「はぁ…はぁ…はぁ…ど、どうでした!?」
「いや、そんな顔を明るくさせながら言われても……」
「ゴミじゃん」
「これはひどい」
「うわっ」
「皆さん辛辣です!!紗和さ〜ん!!」
「うおぅ!?」
汗だくの状態で紗和に抱きついた羅衣。片想いの人には甘えたいようだ。よく分からないまま頭を撫でた紗和。そして隣にいる3人はドン引きしていた。
「ウルトラ気持ち悪い」
それが三人の総意だった。
「な、なんですかぁ!?僕の美学に文句あります!?」
「そうだった美学バカだったの忘れてた…」
「ちょっ…!?」
なお、羅衣が常に持ち歩くスケッチブックの数枚はラピスと紗和が書かれている事を知っているのはキャスと相棒である無ツ木のみだが、見るだけでガチでドン引きものだ。
「はぁー…羅衣、ただ強くさせては意味ないの。強くなる理由はあっても足りないなら強くはなれないよ。そこのおじさん達もそうだったし」
「……そうなんですか。な、なら…お願いします!僕に稽古をつけてください!!!頑張りますから!!」
「わかったよ、ただし厳しいぞ」
「は、はい…!」
こうして厳しい強化訓練が始まったのである。
一抹の不安を抱きながら。
「……どうした!まだ正拳突き296本だぞ!あと4本頑張れ!」
空手着を着た慎太郎がマンツーマンで教えている。
「ぜぇー…ぜぇー…ぜぇー…は、はい!!!」
慣れてない動きをするせいか、羅衣の疲労は増え続けていた。それでも最後までやり通してはいた。
「……300本!OK!」
「はぁ…はぁ…はぁ………は、はい…!あ、ありがとうございま…した…はぁ…はぁ…」
「顎カバー用意!」
「は、はい…!!」
顎に手をやるかのように構えを取る。慎太郎のそれは洗練されていた。
「タ、タイミングが…合わない…」
「前蹴り上げ開始!」
四本の合わせの後、気合を入れて再度行う。
「ハァッ!」
羅衣は言われた通りに前蹴り上げを行なった。動きは良い。それでも欠点というのはまだあった。
「(軸がぶれているな。それに……)ガードは両方下げてはいけない!」
「えぇ…!?はぁ…はぁ…はぁ…りょ、両方だとダメなのですか…?」
「片方の手でガードができる」
「片腕……だけなの、ですか?」
「無論だ!両方下げると……」
慎太郎の前蹴りが顔の前で寸止めされる。
「……蹴られるぞ」
「ッ……」
羅衣はその場で腰を落としてしまった。
「わかり……ました…」
「このようにガードは大切だ」
「はい……参考になりました…ありがとう、ございまし、た…」
「まだ終わってないぞ」
地獄の稽古は続く。
「ぜぇー…はぁー…ぜぇー…はぁー…ぜぇー…はぁー…」
立つので限界で羅衣はいつの間にか膝をついて動こうとしても不可能だった。
「はぁ…はぁ…はぁ……(立てない…どうして…?)」
「……雑魚いな」
「はぁ…はぁ…はぁ…慎太郎さ、ん……僕は、どうすれば…強くなれるのですか?」
「とにかく稽古あるのみだ」
稽古…だけ、なの、ですか?」
「そして毎日のトレーニングだ。このメニューをやれ」
「……な…なんですかこのメニューの量…!?」
「ん?五つだが?」
「ふぇ……そうですが…」
「バーピー20回、腕立て20回、腹筋20回、膝蹴り20回、ワンツーパンチ20回。これを5セットやる。簡単だろ?」
「てことは……合計500回ですよね!?20×5+5!!」
何故に突然計算式を言ったのかは不明である。
「バーカ、各100回でカウントはべつだろ」
「別ですけど…勘弁してください……これでも勤務時間を犠牲にしてまで稽古していますし…」
ふと、水が入ったペットボトル片手に入ってきた紗和が来た。
「お疲れ様。キャス曰く、今は怪獣が現れてないからまだやって良いって」
「マジで勘弁してください…」
「え?」
「よし、じゃあやってみようか(暗黒微笑)」
「ヒィ〜〜〜そろそろ休ませてください!!!」
「あらら……」
地獄の稽古は二時間近く続いた。
「よし稽古終了」
「はぁー…はぁー…はぁー…はぁー…はぁー………ありがとう…ございました…」
地面に倒れ込んで大量の汗をかいて呼吸を整えていた。
「やっぱキミあれだねえ、基礎がダメだ」
「基礎…ですか?しかし、基礎とかはエース師匠の特訓で…ちゃんと最後までやり通しました。それなのに…ダメなのですか?」
「アイツの場合は土壇場の閃きが必要なんだよ」
「土壇場の…閃き?」
「タックルしてから怒涛のチョップとかだろ」
「次の行動を考えろって事ですか…?」
「まあそういう事だ」
「そうですか…分かりました。参考にします」
笑いながらそう言った羅衣の横から、ノックをする音がした。
「まだやっていたんだ。お疲れ様」
「キャスさん…ご用事でしょうか?」
「そんな感じかな?新しく入った子を紹介するために連れて来たの」
「新入りが入ったのですか?」
「ほーう」
「なんか…エースロボットを作ることができるって噂があるの…」
「エース師匠のロボットをですか!?え、ヤプールが作ったエースロボットですか!?」
「当たり」
「えぇ…!?」
疲れ果てているのに声の大きさだけは変わらずうるさかった。
「へえ」
「え…?人間ですよね?」
「見た目は人間だよ?まぁ…《噂》の星人共の1人じゃなければ良いよ」
「失礼します」
「あ、来た来た。彼だよ」
「は、はぁ…初めまして。すみません、汗まみれで…僕も数ヶ月前にここに入隊した芥川羅衣と言います。よろしくお願いします」
深々とお辞儀をした。
「りゅーどだ、よろしく」
「りゅーどさん…よろしくお願いします」
「同期なんだから気軽にすれば良いんじゃない?」
「そ、そんな…僕の方が1番未熟ですから無理ですよ。あ、りゅーどさんはエースロボットを作成したって聞きましたが…本当なんですか?」
「まあそうだね」
「凄いですね!師匠のロボットを作れるなんてしかもあのヤプールが作成したエースロボットを本物みたいに再現したのですか!?見てみたいです!あのロボのようなフォルムとそっくりな動き!!それn」
羅衣がエースのことを長時間話すので割愛。キャスと慎太郎はいつの間にか消えていた。
「……ということです!はぁー…エース師匠…我が師匠でありながらあの強さと超獣を倒す力…僕の美学を震わせる程の凄さ……はぁ…美しいです…」
ようやく終わったようだが、りゅーどは長時間話を聞いていたせいか目が死んでしまった。
「おー……よろしくな……はー、めんどくせー」
無慈悲。
「めんどくさいってどういうことですか!?」
そしてこちらは長話したことに無自覚。
「……まあいいか」
「え?な、なんですか…?」
いつの間にか外は夕日が沈み出し、夜になろうとしていた。
「あ……も、もう…夜になりそうですね。いつの間に…」
無自覚にも程がある。
「……嫁様のとこに帰りてえ」
「え?奥さんいるのですか…?」
「既婚者だ」
「ヘェ〜、そうなんですか!羨ましい限りです。僕にも片想いしている人がいるのですが…羨ましい限りです。ちなみに片想いの人の名前は…」
止めないとまた長時間話を始めてしまうので止めた方が良い。
「黙れ」
膝蹴り一閃。
「ッ!?」
瞬時に慎太郎に教わったガードを使って止めた。
その瞬間、基地内にコールが流れた。
「……?」
『世田谷区にて怪獣2体出現!同時に空が2つ割れた!』
「超獣2体…ッ!!?」
羅衣は咄嗟にりゅーどを押して全員の元へ向かった。
「……頑張れ」
りゅーどは不敵に笑った。
一足先に外へ出ていた紗和、慎太郎と肇とシュンは超獣を眺めていた。
「あれって…オニデビルだよね?ボクら、倒したはずだよね?」
「……そのハズだろなあ」
「2体目を出して意味あるかなぁ?」
紗和が首を傾げながらそう言った瞬間、4人の気配に気づいたのかオニデビルが近づき、炎を放った。
「えぇ…!?」
予想外の展開に4人はなんとか回避した。
「オ、オニデビルって炎を放つことできたっけ!?」
「たぶんねぇぞ」
「うわぁ〜……どうやって炎の力を手に入れたのやら…ッ!?」
紗和は何かに気がついたのか後ろを振り返った。
「……コオクスだ!」
「……エグイなこれ」
「ギシャアアアアッ!」
「クゥエーーーーン」
「……わァ、なんだこれ」
「……羅衣を入れたら5人で戦えるけど、骨が折れる可能性あるかもね」
「み、皆さん…!ここにいたんですね…!」
ヘルメットなど装備した状態で駆け足でやって来た羅衣は呼吸を荒くしていた。それもそのはず、慎太郎との稽古後、休まずにここまで来たのだ。体力などまだ回復していなかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…あのオニデビル……恐らくキャスさんの鬼の力を注入させられた強化されたオニデビルです…!」
「うわぁ…マジか」
「キャスさんが分析してくれたおかげで分かりました。ですが1番強いのはオニデビルです。皆さんはオニデビルをお願いします。オニデビルは大人数で戦わないと厳しいです。僕はコオクスをやります。良いですか?」
「おー、わかった」
慎太郎は面倒だと思っている。
「面倒って思ったら焼肉が無くなるかもよ?」
紗和はそういうと前へ出てスマホを取り出した。紗和の変身アイテムのスマホである。コード入力をすると、青い光に包まれた。
「ラピスゥ!!」
「紗和さん…いや、ラピスさん……青いそのフォルムが美しいです。そして美形の体つきや細い身体……美しいです」
誰かこの美学バカを殴れ。美学に溺れ始め、さらには片想い人を見る目がまるでヤンデレだった。
「ウオオオオォーッ!アバドン!!」
そこにいたは、ウルトラマンアバドンであった。
「はっ…!い、いけないいけない…我を忘れてました。ヴ…ヴィクロスゥ!!!」
右腕に付けたブレスレットであるヴィクロスリングが黄色く光輝いた瞬間、光の閃光を中心に赤い光に照らされた。アバドンの隣には我らが主人公、ヴィクロスがやってきた。
「コオクス、そしてオニデビル……ヤプールめ、2体現して何がしたいんですか…ッ」
ヴィクロスは怒りながらそう言った。だが他の4人は至って冷静だった。
「考えてる暇は無いよ。超獣が出たのなら、倒す他ないからね」
「クゥエーーーーン」
コオクスは閃光弾を放った。
「ッ…おっと。オニデビルをお願いします!」
「オーケー」
そう言ったラピスは先手を取るようにオニデビルの顔面を殴った。
ヴィクロスはコオクスに向かって回し蹴りを放った。
コオクスはそれを受け流し、赤い光で狂わせる。
「グアッ…!?なんの…これしきぃ!!」
ヴィクロスは瞬時にコオクスの顎を蹴り上げた。
コオクスはもんどりうってぶっ倒れた。
「デリャァ!!ダァッ!」
ヴィクロスは馬乗りとなり、コオクスを殴り続けた。何故かエースから教わったウルトラリンチだ。
コオクスは指先からガトリングガンを放った。
「グッ…!ハァッ!」
ヴィクロスはコオクスから降りるとウルトラギロチンを放ち、両手の指を切り落とした。
コオクスの弱点は指先。
根元からバッサリ行った
「もう終わりですかコオクス?なら…トドメを喰らいなさい!!」
そう言った瞬間、両手をL字に構え必殺技のフロージウム光線を放った。瞬時にコオクスを氷結にし、氷と共に砕け散った。
「ふぅー………コオクスは終わりましたか…」
「ヴィクロス!伏せろぉ!!」
「ッ……うわっ!?」
ヴィクロスが伏せた瞬間、オニデビルがヴィクロスに向かって炎を放った。周りの木々と家が燃えた。
「………マ、マグマなのかぐらい溶けましたね…」
「君がコオクスと戦っている時にヴェラムの頭が燃えていたよ」
「えぇー!?」
「まあこれで焼き払えばいいか」
拳まで燃やしている。
「こ、焦げません…?」
「大丈夫だよ。アバドンがゾフィー隊長みたいなファイヤーヘッドよりかはマシだから」
「ファイヤーヘッドになったのですか!?」
漫才やってる場合か。
「とりあえずファイヤーヘッドになったアバドンは置いといて全員で一気に攻めよう!」
アバドンに超失礼なことを言ってオニデビルを殴り続けた。
「オラァッ!ショウジョウヒマグマ・シンクマントルフラッシュ!!」
吹き上がるはマグマ。
ウルトラマンアバドンは炎の力でショウジョウヒマグマへと変身した。
「うぉぉぉぉーーーッ!!かっこいいです!!!なんですかそれぇぇぇぇ!!」
「興奮してる場合じゃないでしょ!?」
アバドンの姿を見て興奮してるヴィクロスの真横にオニデビルが殴ろうとした。
「そうらぁ!」
アバドンの放つマグマが龍へと変化した。
「えーちゃんから教わった魔力操作の応用だ!!」
不本意ながら、と言いつつヴィクロスを吹っ飛ばす。
その時、アバドンとビータは何かを察した。
ヴェラムに至っては既にどこかに消えている。
「……すまんメスガキ!任せた!」
「え、ちょ!?」
「ッ……ぐっ…!」
ヴィクロスは慎太郎、いやアバドンとの稽古で教わったことをこの場で応用してなんとか回避した。
オニデビルの強さはほぼ鬼した時のルリと互角であり、さらには炎を放つことが出来る強化されたオニデビルに一同は大人数でも苦戦し続けた。
「……おー、オニデビルさんは強えなあ」
地上で呑気に見ているりゅーどである。
エースロボットたちは避難誘導にあたらせている。
「ッ……デリャ!ハァッ!」
ヴィクロスは教わった回し蹴りなどを炸裂し攻撃を続けていた。
「アメシスト!」
紫の光に包まれたラピスはアメイジングアメシストとなり、腰に付けた刀を手にしてオニデビルを斬り倒し続けた。
「グゥウッ」
オニデビルは二人にラリアートをかました。
「……あ…」
ヴィクロスは何か思いついたかのように声を出した。
「どうしたの…?」
「そ、その…あのオニデビルは今炎を放つことが出来るので……もしかしたら…氷とか凍結系は…弱いのではないかと思いまして」
「グゥウッ……」
口から炎を漏らすオニデビル。
「ッ…一か八か!!フロージウム光線!」
ヴィクロスの光線は凍結系で無論、相手の怪獣に直撃すれば凍る可能性もある。そして炎と氷、確率的には氷が溶けるが光線となれば威力により相手を凍らせることが出来る可能性があった。
「グ」
そう残し、オニデビルは凍りついた。
「よし…!今です!粉々にしてください!!」
氷塊を前にラピスは精神統一を行う。
「ふぅー……アクアマリン・スラッシュ!!」
刃が海のように青く染まった瞬間、オニデビルを3枚切りにした。その瞬間、オニデビルは氷塊と共に爆散したのだった。
「……わぁ〜〜〜〜♪」
ヴィクロスは瞳を輝かせながらラピスを見ていた。
「ん?どうかした?」
「な、なんて美しいんですか!?ぜひその姿を絵に描かせてください!!!僕の美学魂が疼く!疼きます!!」
「うぉ…!?」
ヴィクロスの美学魂が出てラピスを困惑させながら両手を掴んだ。ヴィクロスの美学を止めるために物理的に止めるしかない。
「……エースロボット」
無言でエースロボットはヴィクロスのカラータイマーを撃った。
「グァッ!?」
「ッ…ヴィクロス!?」
ヴィクロスはそのまま強制的に羅衣に戻されて地面に倒れた。
「ッ……い、今の、は…一体…」
「おまえ気持ち悪かったぞ」
りゅーどの辛辣な発言が光る。
「え…!?りゅーどさん……い、いや理不尽ですよぉ!!いきなりやめてくださいよぉ!!」
羅衣は起き上がりながら怒鳴り続けた。
「はぁ、テメーさぁ(困惑)」
「な、なんですか!?僕の美学に邪魔をしないでくださいよぉ!」
2人の言い合いはしばらく、続いた。
遅れて人間に戻った紗和はりゅーどのことを隠れながら見て何か考え込む仕草をしていた。
「……ったく」
「酷いじゃないですか〜!」
「あのりゅーど……何かが…違う」
紗和は小声でそう呟き、その場を去った。
「あれ?そういえば慎太郎達どこに行ったの…?」
「さあ、どうだか……」
りゅーどは踵を返し、聞こえぬ声でこう呟いた。
『カレカレータ』
りゅーどは笑った。