その後もマリアの活躍は留まることを知らず、デビューして1ヶ月後には全米ヒットチャートで一位を取るほどに人気は加速していた。
「それではマリア、今日の分です」
そんなマリアのもう一つの役割。緑の液体を注射で体内へと流し込まれる。その度に苦痛で地を転がるがこれも必要なことだった。打ち込まれた薬品はLINKER。体内にあるフォニックゲインを高める薬だ、
「どうです? 聖詠は聞こえませんか?」
FG式回天特機装束、通称シンフォギア。それを纏うためにもこれは必要なことだった。マリアの妹であるセレナは潜在的にフォニックゲインが高かったらしく、薬物投与なしでこのシンフォギアを纏えていたが、マリアはそうはいかない。
「無理よ。私にはセレナのようにはいかないのよ」
「弱音を吐いている時間はありません。なんとしてもあなたにはシンフォギアを纏ってもらう必要があります」
今回もマリアには難しいようだ。
「マリア。立てるか?」
教授もドクターもいなくなったことで今日の実験は終わりを意味している。だから俺はマリアを部屋まで送ることにしたのだ。
「駄目ね。私じゃセレナの代わりにはなれない」
「そんなことはない。だんだんと適合回数は上昇しているんだ。このまま続けていけば必ず纏える日が来る」
マリアがまだフラついているため、肩を貸して歩く。マリアの弱音を受け止め、排除してやるのも俺の役目だ。
「それにセレナの代わりにというより、どうしてもシンフォギアを纏わないといけない気持ちが足りないのかもしれない。月読や暁が纏ったことで焦りもあるのかもしれないが、ゆっくり頑張ろう」
「調や切歌は関係ないわ。でも私が纏えない以上、なにかあればあの子たちに戦わせることになる。それだけはさせてはいけないのよ。あの2人をセレナのようにはなってほしくない」
マリアより一足早く、月読調と暁切歌の2人はシンフォギアを纏うことに成功していた。他にも沢山いるレセプターチルドレンの中で、適合の可能性がある者のはいない。だからマリアが焦る気持ちもわかる。
「あの2人なら大丈夫だ。信じてやれ」
「そうね。それでも万が一のときはあの2人のことはお願いよ?」
マリアの言うことは俺も同じ気持ちだ。俺もあの2人とは付き合いも長く、妹のように接してきている。マリアに頼まれるまでもなく、その時がくればそのつもりだ。
そう、守れなかったセレナのようにはするつもりはない。それでも、なにより優先するのはマリアだが。