私と貴方のカデンツァ   作:秋月玲

6 / 6
エピソード 6

「貴方の要望通り、そちらに調と切歌を合流させます。万が一の時にはこの2人に対処させてください。しかし、あくまでも本来の目的は」

 

 

「ライブで高まるフォニックゲインを利用し、マリアにガングニールを呼び起こせること。わかっていますよ」

 

 

明日、行われるマリアの初となる単独ライブ。その最終打ち合わせとして、教授から連絡が入っている。

 

 

「それならよいのです。彼女にも頼みノイズが現れるように手配済みです。失敗は許されませんよ?」

 

 

フィーネとか言ったか。よくFISにも顔を出し、ドクターにシンフォギアの技術を提供したとも言われる人物。そんな彼女が持つ完全聖遺物『ソロモンの杖』でノイズを操り、会場に出現させるようだ。そう、初の単独ライブがノイズによって悲劇へとなれば、マリアへの同情も集まるだろうと計算されて。

 

 

「マリアがガングニールを纏えれば、他はどうなってもいいってことか。このことはマリアには言えないな」

 

 

教授との通話を終え、1人呟く。教授のやり方に反対するわけではないが、真実を知ればマリアは反対するだろうし、傷つくだろうと。

 

 

「あら? こんなところにいたのね。マムからはなんて?」

 

 

ライブ会場を視察していたマリアが、舞台裏へと戻り俺を見つけたからか話しかけてくる。

 

 

「月読と暁がこちらに合流するらしい。到着は明日だろうから迎えに行かなくてはな」

 

 

「調と切歌が? あの子たちになにをさせようって言うのよ?」

 

 

怒った顔で俺に詰め寄るマリア。

 

 

「ライブでは高いフォニックゲインが観測される。それに釣られてノイズが現れる現象は世界各地で報告されている。あの2人が来るのは万が一の場合を想定してだよ」

 

 

「そう。そんなことにならなければいいのだけど」

 

 

マリアにはなにも伝えていない。ライブのことだけを考えてもらいたいから。

 

 

「それに、マリアの初単独ライブなんだ。あの2人にも近くで聞かせてやりたいからな」

 

 

「信があの2人を呼んだの?」

 

 

マリアの頭に手を置いて、そうだと肯定する。

 

 

「あの2人には特等席を用意してもらっている」

 

 

「そう。それならいつも以上に頑張らないといけないわね。あの2人に無様な姿なんて見せられないもの」

 

 

さっきまでと変わって笑顔になるマリア。そうこれでいい。汚れ仕事は俺が全て引き受けよう。この笑顔を汚させないためにも。俺はどれだけ汚れても構わないから。

 

 

例えそれで隣に立たなくなってしまったとしても。マリアがこれからも笑顔でいられるなら。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。