銀河の片隅でジェダイを復興したい!   作:ひさなぽぴー

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ヒロアカ原作の、終盤(単行本34巻)で明らかになるかなり重要なネタバレが含まれています。
ここから先の物語は、その点をご理解の上でお読みください。


14.結果発表と見えてしまったもの

 試験終了が告げられ、フィールドから撤収したあと。制服に着替え、改めて一箇所に集められた我々受験者は、発表を待つ。

 

「こういう時間いっちばんヤダ」

 

 そのじれったい時間の中で、ジローがため息とともにこぼした。

 

 彼女に多くのものが同意する中、またしばし時間は流れ……ようやくそのときはやってくる。

 

『えー……結果発表の前に、まずは今回の採点方式について一言』

 

 壇上に立ったメラ氏は、場が鎮まるのを待ってからそう口火を切った。

 

『今回の試験は、我々ヒーロー公安委員会とHUCの皆さんによる二重の減点方式で皆さんを見させてもらいました』

 

 掲げた二本指に視線を集中させるように、彼は言う。

 つまり今回の試験は、切羽詰まった危機的な状況下でいかに間違いのない行動を取れたかを審査したというわけだ。

 

 それを言ったあとは、いよいよ結果発表である。メラ氏が横に手をかざすと、彼の背景に置かれていたモニターが起動して合格者の名前が一斉に表示された。

 

 ……見た限り、一次通過者のほぼすべてが合格しているのではないか、これ。つまり二次試験は、落とす試験ではなかったということか。あからさまに一次と二次では方針が違ったわけだ。

 

 そしてフォースによって高い空間認識能力を持つ私は、緊張を覚えるまでもなくヒミコの名前を発見する。次いで己の名前も即座に見つかり、さらにはクラスメイトの名前も次々に見つけていく。

 

 ……ふむ? これは、なんともまあ。

 

「アレ? これ……まさか」

「ええ……そのまさかよ、切島ちゃん」

「もしかして、もしかしなくても?」

「ぼ、俺たち全員、受かっているのか!?」

「うおおおおおーー!? やったじゃん!!」

 

 すぐ近くで、どっと歓声が上がる。

 

 そう、我々A組は、全員が合格していた。一次試験を通過できたのはわずか百名だが、その五分の一を占める私たちがそのまま合格したのだ。よくぞやり遂げたものである。

 

「ハッ! 朝飯前だこんなモン!」

 

 バクゴーは高らかに笑っていたが、しかしそんな彼でも心の中に多少なりとも安堵がある。この辺りは、彼もなんだかんだでまだ少年なのだろうな。

 もちろん、私がそれを指摘しても彼は頑として認めないだろうし、そもそも本当にその感覚を自認していなさそうでもあるが。

 

 だが彼よりも誰よりも、気にしなければならないものがいる。

 

「…………ッ」

 

 A組の面々から少し離れたところで、悄然とした顔をまっすぐモニターに向けたままの少年。

 合格しているにもかかわらず、顔色が悪い彼の名は――――アオヤマ・ユーガ。()()()()()()()私は、思わず彼のほうに顔を向けた。結構な勢いでだ。

 

 ああ、そうだ。彼は合格できたことに驚いているのではない。

 ……いや、驚いているには驚いているが、種類が違う。合格できると思っていなかったから驚いた、という枠組みは他の自信がなかったであろうものと同じだが、その根幹は。その心の内側に隠されていた想いは。

 

「……ヒミコ、見えたか?」

 

 隣で、似たような反応をしていたヒミコに問う。

 が、そうするまでもなく答えは決まっているはずだ。

 

「……はい。信じたく、ないですけど……」

「私もだ。まさか……まさか、彼が――」

 

 ――内通者だとは。

 

 私はその言葉を飲み込んで、こっそりとため息をついた。

 

『確認終わりましたか? えー、では続きましてプリントを配ります。採点内容が詳しく記載されていますので、しっかり目を通しておいてください』

 

 しかしそれについてあれこれ考えるより先に、メラ氏が話を次に進めた。

 彼に応じる形で、ヒーロー公安委員会の黒服たちが紙束を持って私たちの中へ入ってくる。名前を呼びながら、手にしていた紙をそれぞれへ配っていく。

 

「青山くん」

「…………」

「青山くん?」

「おい青山、呼ばれてるぞ?」

「……! ……ハハッ、ボクとしたことが、嬉しすぎて固まっちゃったよ☆」

「はい」

「メルスィ・ボークー☆」

 

 名前がア行で始まるゆえに、二番目に名前を呼ばれたアオヤマはすぐに動けなかった。が、それでもセロに軽く小突かれて、表面上は取り繕って見せた。

 

 一見するといつも通りの、マイペースな彼に戻ったように見えるが……まだだ。まだ彼の心は、ひび割れて今にも壊れそうだ。見ていられない。

 今までどれほど苦悩していたのだ、彼は。それでいて、そんな悩みを抑え込んで、隠していたのか。フォースセンシティブでもないものが、ここまでフォースの感知をすり抜けられるとは……。

 

 ハット一族のように、生物として先天的にフォースが効きにくい種族は銀河共和国にはそれなりにいたが、地球人にその手の種族的能力はない。ということは、それだけアオヤマは心を守る術に長けていたということになる。

 

 ただ、彼の今の心の様子を見る限り、それは望んで手に入れたものではないだろう。恐らくは、そうせざるを得なかったからこその……。

 

「増栄さん」

「はい」

 

 思考を続けながらも、採点用紙を受け取る。あまり読み込もうという気にはなれないが、それでもこれは無視できない。減点の理由が書かれているからだ。

 

「コトちゃん、何点でしたー?」

「97点だ。治療の際に一度共和国の感覚で動いてしまったからな、それで引かれている」

 

 具体的には、部位欠損を軽傷と言ってしまった。

 それだけならまだギリギリ減点にならなかったかもしれないが、共和国の感覚で「むしろ義手になったほうがやれることが増える」と励ましたのがいけなかった。あちらでは十分励ましになる言葉なのだが、この星の科学力ではとてもそうはいかないので失言と判断された。

 

 うん。生まれ変わって十一年が経ったが、それでもまだ私は銀河共和国人の感性や常識を完全には捨てられていないのだろう。元々決して本番に強いわけではないので、それがうっかり出てしまった形だ。

 

 もちろん前世のことを完全に捨てる必要はないし、私にとって大切なものもたくさんあるのだが、この星で生きている人々はそんな私の都合など知る由もない。この減点は甘んじて受け入れるしかないし、受け入れるべきである。

 ただそれを考えると、トリアージをすべて人任せにしたのは英断だったように思う。もっとヘマをしていた可能性を、私は否定できない。

 

 あとそれとは別に、他者を治療可能な“個性”という点でヒーロー公安委員会からの採点が少し甘くなっているようだ。用紙に明記されているわけでも、口頭で言われたわけでもではないが、黒服たちがそういうことを考えていた。

 つまり、私の“個性”が別のものだったら、もう少し点は低かっただろう。いかに治療系“個性”が希少か、そして重宝されているかが垣間見える。

 

 一方、私の点数を聞いたヒミコは、自分のことのように満面の笑みを浮かべる。

 

「あは、さすがコトちゃん。私のヒーローは今日も最高なのです」

「ふふ、ありがとう」

 

 彼女にそう言われるのは素直にとても嬉しい。

 

 なお、そう言うヒミコは84点なのだが、患者の血を見る顔と目つきが原因でHUCから10点も引かれている。彼女の両親が口うるさくあれこれ言うのも、あながち間違いではないのだろう。

 

「お二人さーん、どうだったー?」

「見せてー!」

 

 と、ここでウララカとハガクレがやってきたので、互いの用紙を交換する。

 

「「97!?」」

 

 そしてすぐさま驚きの声を上げる二人であった。そんな二人に対して、自慢げに胸を張るヒミコが微笑ましい。

 

「はぁー、被身子ちゃんも結構な高得点やなー」

「そっかー、これ減点要素になっちゃうのかー」

「ヒミコがそれをしないことはなかっただろうから、彼女は90点満点だったのと同じだな」

 

 その採点内容を見て、ハガクレが心底残念そうに言う。

 だが私や彼女のような感想を抱く人間のほうが、きっと世の中では少ないのだろう。特に、それを救う側の公安ではなく、救われる側の役をこなしたHUCからの評価となれば完全に無視するわけにもいかない。

 

 ただこれは彼女の性癖なので、こちらとしてもどうにかなることもない。私もヒミコにそういう目で見られることにある種の悦びを感じるようになっているため、本当にどうしようもない。

 そしてヒミコ自身も改める気もさらさらないだろうから、それ以外のところで挽回するしかないだろう。

 

 などと話しているうちに、どうやら全員に採点結果が行き渡ったらしい。壇上のメラ氏が、頃合いを見計らって話題を切り替えた。

 

『合格した皆さんは、これから緊急事態に限りヒーローと同等の権利を行使できる立場になります。すなわちヴィランとの戦闘、事件、事故からの救助など……ヒーローの指示がなくとも、君たちの判断で動けるようになります。しかしそれは、君たちの行動一つ一つにより大きな、社会的責任が生じるということでもあります』

 

 彼の言葉に、この場の全員が会話をとめて傾注する。誰もが改めて彼に目を向けていた。

 

『この世に永遠はありません。どんなに優れた英雄であっても、必ず表舞台を去るときが来る。必ず皆さん若者が、いずれは社会の中心になっていくのです。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。次は皆さんがヒーローとして人々の規範となり、抑制できるような存在にならねばなりません。ここにいる皆さんが、そうなってくれることを一社会人の先輩として期待していますよ。

 ――()()()()()()()()()()()

 

 そして締めくくりの言葉に、私はヒーロー公安委員会が正式にオールマイトの引退を視野に入れて動いていることを確信した。でなければ、あえて次の話などすまい。

 

 彼の言葉の意味を、今ここにいる人間のどれほどが百パーセント理解できていることだろう。それはわからないが、しかしオールマイトから力を託されたミドリヤは間違いなく、理解している。彼の表情は険しく、しかし決意に満ちていた。

 

 その後は、二次で不合格になった者への救済措置について説明があったが、それについては全員が受かったA組にはあまり関係がない。それでも説明は説明なので、誰もがまだ静かにしている。

 

 なので、私は今後について改めて考える。このあとどうすべきかをだ。

 黙って済ますことはない。それは私の矜持の上でも、実際に起きたことへの感情の上でも、してはならないことであるから。

 

 だがそれとは別に、彼と縁を繋いだクラスメイトとしての感情が、判断を鈍らせている。

 

『それは鈍っているんじゃないさ。君は今、かつてよりもより多角的に物事を捉えられるようになっただけだ』

 

 そこに、ふわりとフォースが満ちてアナキンが現れる。

 ものは言いようだと思ったが、これだけの人の前で彼と会話するわけにはいかない。なので視線をそちらに向ければ、彼はふっと笑った。

 

『表面的な問題をこうだと断じたらそれで全て解決、となるほど現実はシンプルじゃない。ともすれば、すべてが丸く収まることが絶対にできないことすらあるのが現実だ。その折り合いをどうつけるか……君の判断を期待しているよ』

 

 彼は言うだけ言って、虚空に溶けた。

 

 なるほど、正しい意味での試練というわけか……と、前世の私なら考えただろうな。そして一人で何とかしようとしただろう。相手の事情を深く考えることなく。

 

 もちろん、試練ではないとは言わない。だが今回に限っては、私個人のものではないと言うべきだろう。この問題は私一人だけが関わるものではなく、むしろ私一人でどうにかするべきではないはずなのだ。

 それは影響が及ぶ範囲が広すぎるから私の手に余るという意味でもあり、同時に私以外にも知る権利があるものがいるという意味でもある。

 

 ただ、初動が私に委ねられているということも事実だ。そういう意味も含む試練なのだろう。であれば、私がすべきことは……。

 

 そう考えながら、私は観客席に座っているイレイザーヘッドに目を向ける。

 

 それでいい、というアナキンの声が聞こえた気がした。

 




当初のプロットでは合格発表のあとはすぐに寮に戻って打ち上げパーティをして、最後は部屋で二人がいつものように幸せなキスをして、大人の時間(意味深)に突入しておしまい、という流れだったんですけど。
本誌のほうで内通者が発覚してしまったので、大慌てでプロットを変更した結果EP7が2話増えました。
ということで、もう少しだけEP7続きます。

それはともかく、現時点でのキャラクターの原作との違いについて。

・デクくん
最終章で使っているミッドガントレットを既に四肢に装備している。
OFAフルカウルの許容上限が現時点で8%までしっかり扱える。
シュートスタイルという蹴り特化のスタイルは持っておらず、普段の戦闘スタイルが既にパンチもキックもジャンプもなんでもアリと化している。
というか、OFAを使うことでフォースなしでガチにアタロができるようになってる。ヨーダみたいに跳ね回れる。理波はライトセーバー使ってくれないかなってずっと思ってる。
総じて、「原作より個性含めた技術はかなり高いが、実戦経験で少し劣る」。

・お茶子ちゃん
個性が成長しており、意識を集中させることで五指で触れているものに触れているものにも効果を及ぼせるようになっている。
ここにバンコも学生時代に使っていたアイテムを組み合わせることで、離れたものを無重力化する技「ゼロ・リップル」を習得。
また、サポートアイテムとして立体機動補助装置(理波が使っているものと同じ)を装備。これにより、空中での機動力が爆上がりしている。
ちなみに、バンコの個性「重力操作」の発動条件は直に触れていること。そんな彼が離れた相手に効果を及ぼせるのは、前述の補助アイテムを使って認識を強化する訓練を積んだから。お茶子ちゃんはこの練習用アイテムとアドバイスを受けた。

・かっちゃん
学生生活のしょっぱなから少しずつ原作と異なるイベントを積み重ねた結果、メンタル面では既に原作最終章並みのところに到達している。
特に、ハンデありとはいえオールマイトに勝ったことと、自分のせいでオールマイトが引退していない、という二点が非常に大きい。
加えて、少しずつ「目覚め」つつある。

・葉隠ちゃん
個性が成長して、触れているものを透明化することができるようになっている。
これに伴い、コスチュームが大幅に変わっている。
描写する機会が今までないのであれだけど、7代目OFAに近いイメージ。マントがかっこいい。

・上鳴くん
サポートアイテムのポインターの性能がクッソ上がってる。
主に理波が発目とハッスルしたせい。

・峰田
個性が成長しており、もぎもぎにくっつかないものを一つだけ任意で選択できるようになっている。
百合の間に挟まる男絶対許さないマン(重要

こうやって全体的に見ると、原作と比べた場合峰田が一番輝きを加算されてるのは間違いないですね!
ちなみにA組全体に共通する強化要素として、「予知、あるいは高精度の予測ができる相手との戦闘経験が豊富になっている」があります。誰のせいやろなぁ(すっとぼけ

スターウォーズメイン、ヒロアカサブの長編閑話って読みたいです?

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