銀河の片隅でジェダイを復興したい!   作:ひさなぽぴー

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本編の更新再開ではなく、息抜きに書いた単発の短編です。


閑話 11月11日の小話

「ポッキーゲームをしましょう」

 

 ある日の夜。作業中にいきなりそう話しかけられた私は、とりあえず振り向いた。

 するとそこには、チョコレート菓子の箱と取り出した菓子を一本手にしたヒミコがいる。

 

 状況的にまったく脈絡のない提案だったが、意味することは十分にわかる。私とて、この星で十一年生きてきたのだ。ポッキーゲームが何かを知らない、ということはない。

 世俗に疎い生き方をしている自覚はあるが、前世よりは確実に世俗に寄った生き方をしている自覚もあるのだ。知識としてはちゃんと知っているとも。

 

 そもそもの話、私たちは常時の繋がりがあるフォースの一対。言葉遣いがふわふわしているのはいつものヒミコだが、この至近距離で彼女の意図を読み間違えるはずもない。また随分唐突に言い出したなぁ、と思うくらいだ。

 

 まあ、カレンダーを見れば今日は十一月十一日。何かと話題にもあることが多いし、ミネタがここ最近したいしたいとさんざん喚いては女性陣の顰蹙を買っていたので、予想はできたか。この時間、二人きりになるまで待っていたのだろうな。

 

「構わないが、私たちがそれをしたところで結果は見えていると思うが?」

「ふぁい、ろうぞ」

 

 そして彼女が、一度言い始めたことを簡単に引っ込めるタチではないことも知っているので。

 私の言葉がさらりと流され、ずいと菓子を差し出されたとしても驚くことは何もない。

 

 あと、食べ物をくわえた状態で話すなと言うのは野暮なのだろうな。フォースで伝えられるのだからそんなことをしなくともと私は思うのだが、こうやって、言葉でやり取りをすることに意味があるのだろうから。だからこそ、私も直接告白しようと思ったのだし。

 

 ただ、何もかも思い通りになると思われるのも少々癪だ。なので肩をすくめる程度には軽く抗議をしつつ、私はヒミコに正面から向き直った。

 そして、向き合ってから改めて思う。

 

「……チョコレートがかかっているほうがいい」

「らめれす、こっひはわらひのものれす」

 

 せめてと思い提案するが、にべもない。

 

 まあヒミコの意図は火を見るよりも明らかで、どういう結果になるかも一目瞭然なので、断られたところで最後は同じではあるのだが。それでも一口目は、チョコレートを味わいたかったなぁ。

 

 とはいえ私も受け入れられるとは思っていなかったので、それ以上は何も言わず、差し出されていた菓子の先端をぱくりと口にした。

 

 と、同時にヒミコが動き出した。猛然と菓子を食べ進め始めたのだ。

 元よりさして大きくもない菓子である。私が動く余地はほとんどなく、十秒も経たずに私は唇を奪われた。フォースに頼るまでもなく、見えていた未来であった。

 

 しかし、勝負の余地がないゲームは果たしてゲームとして成立し得るのだろうか? と言うより、これは本当にポッキーゲームだったのだろうか?

 

 そんな益体もないことを考えながら、私は口の中を蹂躙されるままに任せる。まだ咀嚼されきっておらず、固形を保っているビスケット生地とチョコレートの味が、愛しい人の唾液と共に口内を満たす。

 

 混じり合う複数の味は、どれも私好みだ。好きなものがいくつも掛け合わされて大好きになり、さらには際限なく膨らみ続ける。

 すると私の心身はあっという間に幸福を大量に注ぎ込まれて、溺れてしまいそうになるのだ。

 

「ちゅっ……ん……っ♡」

「んんん……っ♡」

「んちゅっ、ちゅ……ッ♡」

「ちゅむ……っ、んん……ッ♡」

 

 ぼんやりとしていく思考の隅で、深い口づけと唾液がぶつかり合う淫靡な音が重なり合って聞こえてくる。菓子などとっくになくなっていた。

 いつの間にか背中には両腕が回されているし、私も同様の態勢で。

 

 それは勢いのままに押し倒されるまで続いた。

 

「ぷはぁ。……んふふ、今日のコトちゃんはチョコ味なのです」

「あ。ふ、はぁ、はぁ……。……そう言う君こそ」

 

 ゆるゆると上半身を起こしたヒミコが、妖艶に微笑んだ。

 

 ぺろりと口周りをなでる舌が、実に情欲を誘う。明かりで逆光になっているはずのその姿を、仕草を、はっきりと認識してしまった私の下腹部が、明確な熱を帯び始めた。

 

「……ね、コトちゃん。チウチウするね?」

「うん……いいよ」

「いただきまぁす」

「ん……ッ♡」

 

 そうして、たちまち首筋に走る痛みに快感を覚えながら。全身を駆け巡る気持ちよさに身を委ねながら。

 

 弛緩し始めた頭で、何となく思う。

 今日はする予定はなかったけれど。たぶん、することになるのだろうな、と。

 

 後々何かしら悔いることになるのだろう、という予感もあるのだが。それはそれである。

 

「はふぅ……。コトちゃん……好きぃ……♡」

「んッ、んん、私も……私も、好きだよ……」

 

 何せ、私とヒミコは互いに好き合う伴侶なのだから。

 

 だから、まあ。

 

 こんな日も、ある。

 今日はそういう日だった。それだけのことだ。

 

 それだけの、私たちの日常である。

 




本編を鋭意執筆中ですが、現状トガちゃんが不在で一向にイチャイチャさせられずフラストレーションがたまったので、濃いめのイチャイチャが書きたくなりました。
なので書きました(などと供述しており
まあうん、ちょうど折よくポッキー&プリッツの日だったのでね。じゃあやるしかないだろと。
本番はないです。本当に突発的に書きたくなって発狂した結果なので・・・。

本編は11月中の更新再開を目指してるんですが、ポケモンの新作が迫ってるのでどうかな・・・行けるかな・・・って感じです。
もうちょっと待ってね・・・。
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