銀河の片隅でジェダイを復興したい!   作:ひさなぽぴー

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9.両家の顔合わせ

 クリスマスの日は、なんというか、やりすぎた。

 

 いや、別に夜通しまぐわい続けていたとか、そういうわけではない。確かにそうしたかったことは事実だし、総括すれば一日中そういうことをしていた、となるのだろうが……しかし、以前触れた通りヒミコはまだ身体が本調子ではない。身体を思った通りに動かすにはフォースが不可欠な状態なのだ。

 そしてフォースを使うには、しっかりとした集中が必要になる。性交の最中に、そこまでの集中は容易なことではない。

 

 また体力も戻っていないため、以前のように延々と回数をこなせる状態でもなかった。そのため休憩をかなりの回数、それなりの時間を都度費やしたので、直接的な行為に割いた時間自体はそこまで長くないというわけだ。

 

 まあ、そんな状態のヒミコに対して私は体力が落ちているわけではないので、私のほうが性欲を抑えられなくて大変だったわけだが。

 後半はほとんど私から攻めてばかりで……いやそれはそれでよかったし、へろへろになっているヒミコの艶姿はとても新鮮だったが、やはり私はどちらかというと滅茶苦茶にされるほうが好きだ。

 

 ……このこと自体に後悔はしていないのだから、私はもう手遅れなのだろうな。本当、自分がこんなにも快楽に弱かったなんて思っても見なかった……。

 

 ただ、部屋に籠ってひたすらまぐわい続けていようものなら、お節介な我がクラスメイトたちが心配しないはずがない。

 けれど今回ばかりは余計なお節介というか……。彼ら彼女らが訪ねてくれたときは大体そういうことをしていたので……出るわけにはいかなかったので……。

 

 これについては、「愛し合う二人にはまだ二人きりの時間が必要なんだ……そっとしておいてやろうぜ……」と周りを説き伏せて隠し通してくれたミノルがいなかったら、もっと大事になっていたと思う。

 14Oだけではたぶんごまかしきれなかった。だから彼には感謝するしかない。相変わらず、私たち二人に対してだけはやけに察しのいい男である。

 

 ただ、食事や飲み物まで差し入れてくれたのは大変ありがたいのだが、()()()の道具も一緒というのはさすがにどうかと思うんだ。クリスマスプレゼントです、じゃあないんだよ。

 

 いやまあ、その、そういうものを使った行為も、悪いものではなかった、けれど。

 それとこれは別というか……結局はどれも高分子化合物というか……やはり私としては、ヒミコを直接感じたいというか……(感謝ついでにそう感想を伝えたらミノルはまた死んだ)。

 

 ……と、ともかく。

 

 そんなわけで、私たちの冬休みは少々爛れた形でスタートした。その後も毎晩似たようなものだったので、少々と言うと語弊がある気もするが。

 

 しかし我々雄英ヒーロー科は、冬休みの半分以上をインターンで消費することになっている。元日からはすべてがインターンに充てられるのだ。なので、性交ばかりしているわけにもいかない。

 

 なおインターンについてだが、あまりにも突然だったので不審に思い調べさせたら、どうやらヒーロー公安委員会からの指示らしい。あまりにも胡散臭いので、現在I-2Oに目下調査させているところだ。

 

 とはいえこの時期は地球では年末年始ということで、諸々ある時期。学校側も色々と考えたようで、生徒は大晦日の日だけは帰省することが許可された。

 

 私とヒミコは同郷なので、言うまでもなく一緒である。

 だが、まだ少し補助が必要なヒミコを支えながらバスを降りた私は、出迎えにやって来ていた我々の両親が四人全員複雑な顔をしている様を見て、思わず顔を背けてしまった。事情を理解していないおかげで、一人だけ満面の笑みで私に飛びついてきた妹だけが癒しであった。

 

 そんな状況で我々はひとまず私の実家に送られたのだが、到着するまでの無言の空間(これも妹以外だが)がものすごく息苦しかった。針の筵とはああいうことを言うのだろう。

 

 だが、針の筵は家に着いてからも続いた。応接間でテーブルをはさんで、マスエ家とトガ家の面々が対峙した――母上はここに同席させると話がややこしくなりかねない妹の相手で不在――のだが、どちらもどう切り出していいのか迷っていて、無言のままだったのだ。

 

 このままでは埒が明かない。それは全員わかっていたが、だからと言って簡単に動けたら人間苦労しないものだ。

 だからこそ、全員が黙り込んだまま互いの顔色を窺う時間だけが過ぎることになった。端的に言って修羅場である。

 

 ただ、そんな中でも率先して動ける人間というのも、間違いなくいるものだ。この中では、ずはりヒミコがそれに該当する。

 

「お義父さん。コトちゃんを私にください」

 

 ただし、行動の仕方がたまにおかしな方向に飛んでいるのが彼女という人である。何段階もワープした突然の発言に、私も含めた全員が吹き出すなり咽るなりしたのは、仕方ないことだろう。

 

 停滞は打破されたので、良しと思うしかない。これでされていなかったら、まったくいたたまれない。

 

「ひ、ひ、被身子……! おま、お前という子は本当に……!!」

「すいませんすいません、うちの子が本当に……!!」

「やー!」

 

 そんな彼女の頭に手を置いて、強引に下げさせようとするご両親。

 しかし、当然のようにヒミコはそれを拒否して、私の隣に移って来た。あまつさえ、私をぎゅっと抱きしめて悦に浸る始末である。

 

 これを見て、ますます表情を悪くさせるご両親。どうやら、せっかく更生したはずの娘が十一歳の子供に手を出していたということに、心底ショックだったらしい。ここまで来ると、さすがに少し気の毒だ。

 

 何が気の毒って、私を抱きかかえているヒミコが「もうえっちなことまでたっぷりしちゃってますけど、それ言ったらどんな反応してくれるんでしょ?」などと、他人事のように考えていることだ。

 多少関係が改善しようと、やはり彼女にはまだ隔意があるのだろうなぁ。千二百年ぶりにもかかわらず、ご両親よりクラスメイトに再会したときのほうがあからさまに反応が劇的だったし……。

 

 とりあえず、絶対に言うなよとテレパシーを送っておく。フリではない。本気だ。

 

 実際問題、今うちの両親が訴えたらヒミコ側に勝てる要素はほぼない。法律によって保護されるべきとされている年齢の人間に手を出すとは、そういうことだ。だからこそ私もずっと伏せていたのだから。

 

 ただ、我が父上が相手側の言い分を無視することなどあり得ない。必ず事情を理解しようと努める方であるからな。だからあまり心配しなくてもいいとは思う。

 

 とはいえ、ことがことだけに、結婚そのものには反対されるだろうなとも思う。父上は私も妹も溺愛しているから、その辺りはシビアであるはずなのだ。

 

 ……妹のときも同じような問答があるのかと思うと、少しげんなりするな。

 いやまあ、妹が私と同じく同性を好きになるかどうかはまだわからないわけだが。人間という動物の半数程度は、状況次第で同性異性関係なく愛の対象になり得るものだしなぁ……。

 

 と、そんな少しズレたことを考えながら、横目にちらりと父上の顔を窺う。禿頭の下にある顔は、苦笑していた。

 

「……お顔を上げてください。これでは話もままなりません」

「で、ですが……!」

「いいんですよ。私も家内も、正直これはそうなんだろうなと思っておりましたので……」

「そ、そうなんですか……?」

 

 ここでようやく顔を上げたご両親に、父上は改めてきちんと笑う。

 

「ええ。寮に入る前も入った後も、理波とはよく通話していましたがね。明らかに娘さんに対する態度が常のものと違いましたから。我々もそこまで長く生きたわけではないですが、身に覚えのある顔をしていれば察せると言うものです」

 

 そんなに違っただろうか……とは思ったが、どうやら私は感情が表に出やすい性質らしいので、出ていたのだろう。恥ずかしい話だが、仕方あるまい。

 

「確かにこの子はまだ幼い年齢ですが……精神は十分成熟していますしね。なので、私は許すつもりでいます。こんなに早く親離れされるのは寂しくもありますが」

「「エッ、ほ、本当にいいんですか!?」」

「わーい! コトちゃん、結婚していいって!」

「被身子はちょっと黙ってなさい!」

「そうよ! 話がややこしくなるでしょう!」

「えぇー」

「ははは、いいんですよ。今の時代、同性愛も珍しいものでもないですしね」

「父上……」

 

 ここまで寛容だとは思わず、私は父上を改めて仰ぎ見る。父上は、にんまりと笑っていた。

 

 が、その笑みが次の瞬間、にやりと意地悪くなる。

 

「ええ、私は許そう。だがこいつ(法律)が許すかな!?」

「父上!?」

 

 ここで不意に突き付けられたものは、六法全書である。

 これ、本心ではちっとも許していないやつだな? そうでなかったら、こんな対応するはずがない!

 

 いやしかし、待てよ? 法律?

 

「え、そうなんです?」

「被身子ちゃん、残念だが日本ではまだ同性婚は認められていないのだよ……。そういう話が出始めた頃に超常黎明期が来てしまったから、議論がとまってしまったまま今に至るんだ……」

 

 まさか、と思ってすぐさまスマートフォンで調べる。

 

 が、どうやら事実らしい。I-2Oにも電子データをさらわせたが、そういう規定はないようだ。

 

 愕然とする。私としては、結婚できる年齢になったらすぐにでも婚姻契約を結んで、一生添い遂げるつもりだったのに……。

 

「……コトちゃん……」

 

 そんな私に、ヒミコが心配そうに声をかけてきた。

 

 私は思わず、すがるように彼女の顔を見る。優しい手が、私の頭をなでた。

 

「……そういうことなら、安心して宇宙に出れますね!」

 

 その状態で、彼女は相も変わらず突拍子もないことを言い出した。

 

『えっ』「ヒミコ!?」

「前に言いましたよね? 二人の愛の巣は誰にも邪魔されない宇宙がいいって。あのときはさすがに無理でしたけど、()()()ちょっとがんばれば行けますし。ね?」

 

 だが、続きはきちんと理解できた。私にとっては突拍子のない発言ではなかったのである。

 

 何せ過去に遡ったヒミコが地球に戻って来た際、様々なものを持ち込んでいるのだ。

 そしてファルコンを回収したあの日、それらはすべて回収している。船内の貨物室にまとめられていたからな。

 そう、ファルコンことYT-1300シリーズは貨物船。その面目躍如である。

 

 まだ目録を確認しただけで整理が終わっていないからすぐは無理だが、解析なり用いるなりできさえすれば、さほど時間をかけることなく月面基地も作れてしまうだろう。

 何なら、資材さえ揃えばデススターのような人工衛星型の基地すら不可能ではないかもしれない。この星の建築技術は、それだけ常軌を逸した部分がある。

 

 ()()()この事実に気づいたとき、私は――迷うことなくうんと頷いていた。

 

「そうだな、その手があったな。そうするか」

「はい!」

 

 言い出しっぺのヒミコが嬉しそうに、大きく頷く。なので私も頷き返して、二人で仲良く計画を練り始めた。

 

 これには父上も、慌てて止めに入ってくる。私が想定していたよりも、十倍は激しい慌てぶりであった。

 

「待った待った待った、二人ともその話一旦ストップ! いやマジでやめよう! なっ!?」

「そうだぞ被身子! なんてことを言うんだ!」

「理波ちゃんもどうしちゃったの!? うちの子の悪影響受けすぎじゃないかしら!?」

「いじわるした俺が悪かったから! お父さん成人までにどうにかして法律変えさせるから、外国どころか宇宙に愛の逃避行だけはやめてくれ!!」

「「重雄さん!!??」」

 

 そして、あんなにも張りつめていた話し合いの場は、グダグダのままうやむやになって終わったのだった。

 




※クリスマスの夜にあったことの一端は、R18の幕間のほうに昨夜投稿してあります。

正直両家の顔合わせまでやるつもりはなかった(やるにしても完結後のおまけくらいかなって思ってた)んだけど、トガちゃんがこっちの意見無視して公衆の面前で盛大にキスかましてくれたので、やらざるを得なくなったっていう。
でもおかげで「だがこいつ(法律)が許すかな!?」みたいな、書きたいとは思ってたけど本編中には盛り込めないと思ってたネタが思う存分使えたので、満足してます。

ヒロアカ世界が同性婚とかについてどう議論されているのかとかは、原作からは読み解けないんですけども、本作では何度か描写した通り「2010年代前半くらいに超常が始まった」としているので、同性婚とかの議論も停滞したままということになってます。
いや本当、原作だとそこらへんどうなんですかねぇ。マグネとその友達が世間から浮いてる的な描写あったし、現実とそこまで変わらないんじゃないかなとは思ってるんですけども。

でもそれはそれとして、ヒロアカ原作のGL作品もっと増えて(直球
みんなも書こうぜ!?
可能ならガチなトガ茶とか誰か書いてみないかい!?(強欲
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