銀河の片隅でジェダイを復興したい!   作:ひさなぽぴー

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遠い昔、遥か彼方の銀河系で……。













トガ・ヒミコ/スター・ウォーズ・ストーリー














地球から消えたトガ・ヒミコは魂のみの状態で過去、
新銀河共和国はウェスタン・リーチの惑星ジャクーに流れ着いていた。

そこで両親に置き去りにされた少女、レイを救けた彼女は、
未来の地球に帰る手段を探すためその身体に間借りすることになる。

だが辺境の星であり、不毛の砂漠ばかり広がるジャクーでは満足な支度が整えられるはずはなく、
レイもまた両親を待つために星を離れたがらなかったため、
なかなか地球に向かうことはできないでいた。



一方その頃銀河では、銀河帝国の残党組織ファーストオーダーと
新たに興った新銀河共和国との間で冷戦が続いていた。

にもかかわらず、新共和国の中にはファーストオーダーを
ことさらに問題視するものはいなかった。レイア・オーガナを除いて。

なぜなら、ファーストオーダーは旧帝国敗戦時に締結された協定の範囲を、
表向き守っていたからである。

しかし彼らは裏では戦力と勢力を拡充させており、レイアもまたこれを察して
私設軍隊をレジスタンスとして創設していた。



両者間の緊張は高まり続けている。ときは既に、開戦前夜であった。

だがファーストオーダーとレイアのレジスタンス、双方が鍵とみなす人物――最後のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの行方はようとして知れない。

レジスタンスは腕利きのパイロット、ポー・ダメロンを。
ファーストオーダーは闇の騎士団を率いるカイロ・レンを
それぞれ遣わし、ルークの捜索を続けている。

そんな歴史の濁流は、まさに二人の少女が過ごす砂漠の星をも飲み込もうとしていた……。





幕間 トガ・ヒミコ/スター・ウォーズ・ストーリー
1.オープニングクロール~ジャクー


 見渡す限りの砂漠の大地。本当、まさかこんなところに来るなんてちっとも思わなかったのです。

 

 でも、これが現実。冴え冴えとした夜の闇の中で、地平線の向こうまで一面に広がる砂の景色は夢でもなんでもなくて……。

 それを見てると、どうしても考えちゃうのです。普段はあんまり考えないようにしてるけど、それでもやっぱり、夜になると……心が弱くなるんですかね。闇に呑まれそうになるのです。私、どっちかって言うと闇寄りのはずなんですけど。

 

 それでも、あれやこれやを考えちゃうのです。

 ああ、早く帰りたい。早くコトちゃんに会いたい。A組のみんなに会いたい、って。

 

 もうあれから、銀河共和国の基準で十年以上が経ってます。それが地球で言う何年なのかはわかんないですけど、でもそれだけ時間が経っちゃうと、どうしても忘れちゃうこともあるのです。

 

 コトちゃんのことは、ペンダントをなぜか持ち込めてるので、写真があります。でもクラスのみんなのはないので……もう、あんなに好きになれたはずのお茶子ちゃんたちの顔が、あんまり思い出せません。声なんて、もっと。

 それが、どうしてもつらいのです。今は幽霊さんの私ですが、それでも。

 みんなのことも大好きなのに。それでも忘れちゃうなんて、人間はなんて弱い生き物なんでしょう……。

 

「……義姉さん?」

 

 どうしてもくよくよしちゃう私の背中に、声がかかりました。

 色々と抑え込んで振り返れば、ハッチから顔を出すレイちゃん。抜け出てこちらに近づいてくるところでした。

 

『今日の分は終わったんです?』

「ええ。日記も書き終わったし、あとはもう寝るだけ」

『そですか。最初の頃に比べると、あっという間ですねぇ。もう私が教えることはホントに何にもなさそうです』

 

 子供の成長って、あっという間ですね。出会ったときなんて、コトちゃんくらいの身長で……ってのは言い過ぎですね。いやま、コトちゃんよりは少し年下だったのは本当なんですけど。

 ともかく、子供だったはずなんですけど。

 

 そんな風にらしくない感慨にふけってると、隣にレイちゃんが並びました。そのまま空へ顔を向けます。

 

「……やっぱり、故郷に帰りたい?」

 

 レイちゃんが聞いて来ました。

 ここ最近はレイちゃんのほうからこれを言ってくることなんてなかったので、ちょっとびっくりして顔を向けます。

 

『そりゃあ、そうですよ。早くコトちゃんに会いたいです……。コトちゃんの隣が、私の居場所なんです。コトちゃんが……私の』

 

 それでも、今さら取り繕う関係でもないので、正直に答えます。

 少し前までは、私もお姉ちゃんの見栄があったのであんまり出さないようにしてましたけど。元々メッキはだいぶ剥がれてましたし、今はもう隠す必要もないのです。

 

「……そっか。そう、よね……」

『……ねえレイちゃん。そろそろこの星出ましょうよ。もう何年待ったんです? ここで待ってるより、こっちから探しに行ったほうが絶対、絶対絶対、再会できる確率は高いですよ』

 

 けど、それっきり口をつぐんじゃったので、ならばとばかりに私からも言います。

 こちらはもう、何年も続けてきたやり取りです。回数で言えば、どれだけ繰り返したのかさっぱりなのです。

 

 ……レイちゃんは、お父さんお母さんに置き去りにされた子です。こんな砂漠と荒野しかない不毛の星に、小さい頃に置いて行かれたのです。

 それでもいつか。いつの日か、迎えに来てくれるんだと信じて、この星で生き抜いてきた子です。そんな約束、してないのに。

 

 私はそんなレイちゃんが置き去りにされた日、この星に来ました。そこで一人で泣いていたレイちゃんを見捨てられなくて……それで、それからずっと一緒にいます。正確に言うと順番は逆なんですけど、ともかく一緒にいます。

 なので、レイちゃんは私が育てたようなものですね。それは生活の面でもそうですし、フォースとかそっち方面でもそう。

 

 けど、それでもレイちゃんは、やっぱりお父さんお母さんに会いたいのです。待っていたいのです。自分は捨てられたんじゃないんだって、そう信じたくて。

 

 それは、そこだけは、どうしても私とは相容れないのでした。

 

 でも、だからってレイちゃんを嫌ってるわけではなくて……そりゃあ複雑な心境ではありますけど、今となってはコトちゃんと一緒にいた時間よりも長い間、一緒にいますからね。それだけの愛着はどうしても湧くものです。

 だからこそ、操ったり強制するんじゃなくって、説得しようとしてるんですけどね。ああ、私はいつになったらコトちゃんたちに会えるんでしょう?

 

 もちろん二人ともお互いの事情はわかっているので、この話については実のところ妥協はとっくに済んでて、とりあえずの納得がいく結論も出てるのです。

 なのでこのやりとり、実はほとんど意味がなかったりするんですが……こんなに寂しい夜は、どうしても二人とも弱いところが出ちゃうんですね。それだってわかってるからこそ、最終的には二人とも黙っちゃうのです。

 

「……私、ヴィジョンを見たの」

 

 けど、この日はちょっと違いました。レイちゃんが、迷いながらも口を開きます。こちらに顔を向けて。

 

 栗色の瞳が私をまっすぐ見つめています。私は黙ったまま、視線で続きを促しました。

 

「お父さんらしき人と、宇宙のどこかを旅するヴィジョンよ。背中をずっと追いかけてたから、他に誰かいたかまでははっきりとはわからないんだけど……あ、もちろん義姉さんはちゃんといたわ」

『……へえ? 話していた内容までは「視」えましたか?』

「ちょっとだけ。ほとんどわからなかったんだけど、『よし、それじゃあ行くか。チキュウとやらに向かってな』って……そう、言われたのだけははっきり覚えてる」

 

 それは。

 それは、どうやらしっかり考えないといけない案件のようです。

 

 レイちゃんは、フォースの感応能力がすっごく高い子です。”個性”で後天的に引き上げたコトちゃんや、ダイアドだから勝手にその域に引き上げられた私と違って、たぶん生まれつき。

 

 だからか、ヴィジョンを見る頻度が結構高くって……でも、ここまではっきりとしたヴィジョンを見るのは初めてだと思います。

 それがここまで鮮明で、ましてや地球の単語が出て来るなんて普通じゃないです。これはコトちゃんも何度か悩まされてた、予言的なアレですね。

 

「だから……その、たぶん。たぶんなんだけど! きっと、きっとお父さんだけでも迎えに来てくれるんじゃないかって……」

 

 思わず考え込んじゃった私をよそに、レイちゃんが言葉を続けました。その口調は、尻すぼみでしたけど。

 

 私を気遣ってくれてるのはわかりますけど、それならそれはできれば言わないでほしかったです。

 そう思って、私が口を開こうとした瞬間でした。

 

「『……!』」

 

 私たちは強い暗黒面のフォースを感じて、同時に同じ方角に顔を向けました。

 

「……義姉さん? もしかして」

『間違いないです。シスに匹敵するレベルのフォースですね』

「これが本物の暗黒面のフォース……!」

 

 幽霊ではありますけど、フォースが関わってるからか今の私もフォースにはだいぶ親しんでます。だからわかりますけど、この強さのフォースはこっち来てから感じたことがないですね。

 

 でもヘンですねぇ。こんな辺境の星で、そんな実力者が一体何をしようって言うんでしょ。まあ、実力者とはいってもシディアスのおじいちゃんには全然届かないくらいだとは思いますけど……。

 

「……ッ!」

 

 けど、呑気に考えていられたのはそこまで。

 直後、大量の命が失われる衝撃をフォースから感じ取っちゃったレイちゃんが、胸を抑えてうずくまっちゃったのです。私も似たようなものを感じましたが、痛いのには慣れてるので耐えられました。

 

「ね、義姉さん、これって……」

『……たぶん、誰かが大量虐殺してますね。そうじゃないと、こんな感じ方しないはずです』

 

 まあ私もこれは初体験で、今言ったのはますたぁとコトちゃんの受け売りなんですけど。

 

 って、そんなこと言ってる場合じゃなかったですね。初めて感じる、距離を無視して届く心身への痛みに耐えようと震えてるレイちゃんを抱きしめて、いい子いい子します。

 

 久しぶりですね、これ。レイちゃんが小っちゃい頃はよくやりましたねぇ。

 あの頃のレイちゃんはカァイかったです。今ももちろんカァイイんですけど、今はどっちかって言うとカッコいい女の子なので。やっぱり、小っちゃい子のほうがカァイくて素敵です。

 

 ……私がロリコンってことは、断じてないと思います。ないはずなんです。たまたま好きになった子が年下の女の子だっただけで。

 

『大丈夫、私がいます。だから、何も怖いことなんてないですからね』

 

 なんて、言ってる場合じゃなかったですね。

 

 むかーし雄英で教えられたヒーロー基礎学のことを思い出しながら、レイちゃんをよしよしします。効果がどれほどのものかは知りません。

 でも、あることは間違いないです。なのでやるのです。

 

 だって、今のトガはヒーロー志望のトガなのです。それに、もしもコトちゃんがここにいたら、きっと自分の痛みより人の痛みに寄り添うと思うので。

 

「……ありがとう、もう大丈夫……」

 

 そうやってる間にも、命が消える気配は続いていましたが。

 さすがに続けば嫌でも人間慣れるものですね。レイちゃんも持ち直して、とりあえずは普通に会話できるくらいになりました。

 

 とはいえ、さっきまでの会話を再開する気分にはもうなれそうにないです。今日はもうこの話はおしまいです。

 それに、今はこの闇の気配のが大事なのです。

 

『……明日は情報集めですね』

「うん。知ったからには、このまま放っておくなんてできないわ」

 

 そう答えたレイちゃんの目は、力強く輝いていました。その腰には、二人で造ったライトセーバーが吊られていて、大丈夫だと自分に言い聞かせるように手が触れています。

 

 ……ああもう、そんな風に育てるつもりも育てたつもりもなかったんですけど。なんでこう、ヒーローできそうな性格に育っちゃったんでしょ。

 私、コトちゃんとかクラスのみんなのことはともかく、ヒーローのことはそんなにいい方向に話してないはずなんですけど。やっぱりオールマイトの話までしたのはまずかったです?

 

 全部? それは、まあ、そうかもです。

 

 ……その、なんていうか、アレです。コトちゃんはもちろん、お茶子ちゃんや透ちゃんたちは間違いなくヒーローにちゃんと向いてましたから。カッコよかったですから、仕方ないってことにしといてください。

 私のお友達は、みんなとってもすごいのです。オールマイトもまあ、私を見つけてくれた人ではないですけど……すごいヒーローなのは間違いなかったですし。

 

 だからでしょうか。

 みんなのことが、見える気がするんです。レイちゃんを通して、みんなのことが。

 

 だから、そう。

 

 私はこの子のことが、やっぱり見捨てられないのですよね。

 




※今回は前書き部分にも小説・・・というかオープニングクロール(つまりこれまでのあらすじ)を書きこんでありますので、設定で非表示にしている方はお気を付けください。

ということで改めまして・・・ルーモス!(挨拶
すいませんね、ちょっと19世紀末のスコットランドのほうで魔法を勉強してまして、なかなか執筆の時間が取れず・・・。
いえその、他にもいくつか・・・ええ、はい、というわけでお待たせしました。スターウォーズの日なのでようやく更新再開です。
誰がなんと言おうと今日は5月4日で、スターウォーズの日です(ぐるぐる目

今章は前々からちらほら触れてたお話で、全編通しての幕間。
遠い昔、遥か彼方の銀河系に飛ばされたトガちゃんを主人公にした、スターウォーズ側のお話を全20話でお送りいたします。
シークエルトリロジー(原作EP7~9)に該当する時期のお話であり、前章で触れた通りこの時代はヒロアカ本編の千年以上昔の時代になりますので、ヒロアカ側からはトガちゃんしか出ません。名前だけは何人か出ますが、基本それだけです。
なので出だしもそれに合わせて、ちょっと凝ってみました。特殊タグってすごい。そう思った。

なお原作を知ってる人には早くもお察しいただけるかと思いますが、かなり早い時点でトガちゃんが介入した結果、シークエルトリロジーの主人公レイの性格が原作と異なりかなりヒロアカナイズされてます。
その点はお気をつけください。
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