スターキラー基地から戻って来た私たちは、大歓声で出迎えられました。
とはいえ、のんびりしてる時間はありません。フォースがずっと嫌な予感を伝えてきているのです。なので、ディカーから早く撤収するように伝えます。
出発前にもレイアさんに伝えていたので、一応それなりに準備は進んでるみたいでしたけどね。この件については、早ければ早いほどいいと思うので。
一方ハンさんは、すぐに医務室に運ばれて集中治療を受けることになりました。リカバリーガールみたいな力を持ってる人は当然この銀河にはいないので、すぐに治ることはないですが……それはそれとして、バクタタンクのような治療ポッドはあるので、何とかなると思います。
お医者さんの見立ても十分治るってことだったので、大丈夫でしょう。これにはみんながほっと息をつきました。
実を言うとレイちゃんはフォースヒーリングを使えるんですけど、ハンさんは見た目外傷がなかったので、対処が難しかったんですよね。
ところで、慌ただしさが消えないディカーの基地に戻ってきて少ししてから、R2が再起動しました。ドロイドの電子音声は相変わらずわからないので、会話相手の反応から推測するしかないんですけど、どうやらR2は自分のデータベースの中から地図データをずぅっと探してたみたいなのです。
それだけでそんな何年もかかるのかって疑問に思われるかもですが、R2のデータはそれこそパドメさんとますたぁが出会う前から一度も初期化されていませんし、なんならデータを消されたことすらありません。
なので、彼の中にあるデータの総量がどれくらいなのか、誰も把握してないんですよね。ましてや彼はアストロメクドロイドなので、地図データこそデータベースの大半を占めてるでしょうし。だから多く時間がかかるのも、仕方ないのです。
で、なんの地図データを探してたのかって話ですけど。どうやらそれは、BB-8が持っていた地図の欠片が当てはまる、銀河系の星図みたいです。
R2が空中に投影した地図のホログラムに、ぽっかりと浮かぶ空白の空間。そこに、BB-8が投影した地図のホログラムが、ぴったりとあてはまりました。
そうして示された場所には、目的地の星の名前がはっきりと記載されています。
「……嘘。本当にオク=トーだ……」
それはいつだったか、私がレイちゃんに言った場所でした。なのでレイちゃんはびっくりしています。
隣にいたフィンくんが、この反応に小さく首を傾げました。
「知っているのか、レイ?」
「……名前だけ。義姉さんから、最古のジェダイテンプルがある星だって……ジェダイ発祥の地候補の一つって聞いてるわ」
「……そりゃびっくりだな」
そんな会話がされてる中で、レイアさんがぽつりと「ルーク……」とつぶやきました。どことなく、安心するような声でした。
けれどそんな雰囲気は一瞬だけ。レイアさんはすぐに気を取り直すと、レイちゃんに顔を向けました。
「私はここを離れるわけにはいきません。しかしルークの、何よりジェダイのことを思えば、人選は限られます。……レイ、お願いしてしまっていいかしら」
「任せてください」
なので、そういうことになりました。これが吉と出るか凶と出るかはまだわかりませんけどね。
「俺もついていっていいかい?」
「もちろん。でもフォースのことは……」
「俺、君のお義姉さんが見えたんだ。だから、そう。たぶんだけど、行けるんじゃないかって」
「義姉さんが? 嘘、本当に?」
『ホントですよぉ。おかげで色々と捗ったのです。嬉しい誤算ってやつですね』
「そういうこと。……それで、その。差し出がましいことを言うようなんだけど……もし君のお義姉さんがよければ、俺にもフォースを教えてくれないか」
『……まあいいですけど。これから本物のジェダイに会いに行くんですから、とりあえずは触りだけですよ?』
「ぃよっし! やった!」
ということで、オク=トー行きにフィンくんも一緒に来ることになりました。
足になるのは、ミレニアムファルコン。ハンさんはまだ目が覚めないんですけど、それはそれとしてファルコンを遊ばせておくのももったいないよねってことでそうなりました。他に空いてる船がなかったとも言います。
それでもファルコンで行くということで、チューイくんも一緒に来てくれることになりました。ファルコンの副操縦士である彼がいれば、大体のことは何とかなるでしょう。せっかくなので、ファルコンの正確な使い方も教えてもらいましょう。
それとR2も一緒です。どうやら彼は、ルークさんに色々とモノ申したいことがあるようです。もちろん拒否なんてありません。
で、眠っているハンさんにみんなで挨拶をして。それからすぐに、私たちはディカーを出発しました。スターキラー基地から戻ってきて六時間も経っていませんでした。
道中の大半は、ハイパースペースです。地図がはっきりしたので、航路もばっちり。事故が起こる可能性はほとんどありません。
なので、比較的暇でした。
もちろんスターキラー基地でのあれこれから一日も経っていないので、とりあえずは休息に充てましたけど、それを含めても多少時間は余ったのです。
「……あの? これ、本当にやるんです?」
『あのルーク・スカイウォーカーもやった、伝統ある訓練ですよぉ』
そんな暇を有効活用しないなんてもったいないってことで、早速フィンくんにはフォースの訓練を受けてもらうことにしました。
周囲を飛び回るドローンから放たれる弱いレーザーを、視界を完全にふさぐヘルメットをかぶったままライトセーバーで防ぐという訓練です。タトゥイーンから旅立った直後のルークくんが、オビ=ワンさんにさせられたヤツですね。
「ホントかな……」
これを、半信半疑ながらも受け入れるフィンくん。スターキラー基地で持たされたままなますたぁのライトセーバーを起動し、構えています。
……妙に鋭いですね。この訓練、確かにジェダイイニシエイトが受けるものですけど、最初にやるものでもないです。基礎中の基礎をすっ飛ばしてやってるので、すぐにどうにかなるとは思ってなかったりします。
それはつまり、ルークくんにいきなりこれをやらせたオビ=ワンさんのやり方がエグイってことでもあるんですけど。
でもルークくんはあのますたぁの息子ですから、できると踏んだんでしょうね。基礎からじっくりやってる時間もありませんでしたし。何より実際にルークさんはこなしちゃいましたし。
「ぁ痛っ! い、ちょ、ま、待って待って! 痛い!」
なお、フィンくんはダメそうです。やっぱり、ルークさんには飛びぬけて才能があったんですねぇ。
でも、これが普通の人のリアクションなんでしょう。なんだかしみじみしちゃいます。
「ねえちょっと!? これ本当にできる訓練なんだろうな!?」
しみじみトガをしてる私に、フィンくんが吠えます。ワンちゃんみたいでカァイイね。
でもできるはずないって思われても困るので、レイちゃんにバトンタッチです。
「……できる訓練なのか……」
実演するレイちゃんは、最高難易度に設定したドローンから次々に放たれるレーザーを、自前の緑のセーバーでことごとく弾いて防いでいます。うんうん、上出来ですね。
フィンくんも今は唖然としてるみたいですけど、いつかできるようになりますよ。たぶん。
そう思ってると、チューイくんが軽く声を上げました。相変わらず言葉としては何を言ってるのかわかりませんが、彼はドロイドじゃないので何を言ったのかはフォースでわかります。
そうですね、ルークさんがこれをやってるとき、チューイくんもその場にいましたもんね。そりゃあ懐かしさもあるでしょう。
……本当、ハンさんも一緒に来てほしかったですねぇ。
***
さて、オク=トーに到着です。宇宙から見る限り、どうやら大半が海に覆われた星みたいですね。
タコダナも地球っぽい雰囲気がありましたが、オク=トーはもっと地球っぽいです。とっても青くて、神秘的なのです。
うんうん。やっぱり地球って、水の星ですもんね。だからか、なんだか妙に懐かしくて、切ない気持ち。
でも地球に比べると、陸地がほとんどありません。島がちょこちょこっと各地に点在してる感じで、居住に適してるかっていうとちょっと微妙な気がします。
だからやっぱり、ここは地球ではないんですよね。違うのです。
ああ……早くコトちゃんに、みんなに会いたいなぁ。今何をしてるんでしょう……。
「……この星のどこかに、あのルーク・スカイウォーカーが……」
「チューイ、あっちに。なんとなくだけど、あっちからフォースの気配がする」
「そんなことまでわかんの?」
レイちゃんの先導で、ファルコンがオク=トーの空を飛びます。大海原を乗り越えて、見えてきた小さな島。岩でできたその島に、私たちは降り立ちました。
うん、しっかりフォースを感じます。個人の気配もなくはないですが、それはそれとしてこの島はとってもフォースが濃いのです。
コトちゃんは地球を、とってもフォースが薄い星って言ってました。生まれも育ちも地球な私は他をあんまり知らないんですけど、それでも納得してるくらいにはこっちの銀河ってフォースが濃いのです。
だけどこの星の、しかもこの場所はそれよりも格段に濃くて結構驚いてます。
そですねぇ、水の中にいるような、って言えばいいんでしょうか。何かに包まれているような感じがします。
もちろん水中ほど過酷ってわけではなくて、むしろ調子はいつも以上にいいくらいなんですけどね。
まあそれはともかく、レイちゃんとフィンくんで島を進むことにしました。未知の場所でファルコンを放置するわけにはいかないので、チューイくんにはお留守番をしてもらいます。R2も一緒にです。
「……こうして見ると、確かに人がいた痕跡はあるんだな」
島を上に向かって歩けば、フィンくんが言う通り痕跡があちこちにあります。石を組み上げた階段がそこかしこにあって、簡単にですけど道らしきものもあります。家っぽいものも。
「生き物もあちこちにいるわ。ジャクーと違って、ここも豊かな星なのね」
海原から、小さいけれど確かにたくさんの生き物の気配を感じます。逆に空を仰げば、海鳥が何羽も飛び交っています。
もちろんそのどれも、地球の生き物とはだいぶ違うんでしょう。それでも確かに、ここはいのちが息づく星でした。
そんな星の中の、小さな島の岩山を登って行って。
ようやく辿り着いた、山のほとんど頂上に近い場所。そこにその人はいました。
「……レイ……!」
「ええ……彼だわ。そうよね、義姉さん?」
『はい、間違いないです。あのフォースの形、色、見間違えようがないです』
そう、彼が。
ジェダイローブを身にまとい、こちらに振り返りながらフードを外したその人が。
ルーク・スカイウォーカー、その人なのです。
そんな彼に、万感の想いを込めて。
レイちゃんは、フィンくんから改めて受け取ったますたぁのライトセーバーを、さらにルークくん……もとい、ルークさんに向けて差し出しました。持つべき人に、あるべき場所に、帰すために。
ルークさんは、そのライトセーバーを目にした瞬間、とっても複雑な表情をしました。辛いとか、苦しいとか、悲しいとか、そんなあまりよくない気持ちが混ざったような。心の中もそんな感じ。
だから動く気になれないのか、そのまま無言で私たちは見つめ合います。彼が動かないことには、私たちも動くに動けないですし……。
と、思ったときでした。ルークさんの目の色が変わりました。鋭い、それこそジェダイの目です。
視線はまっすぐ、レイちゃんに移ります。……いえ、正確には私のペンダントに、でしょうか?
「「『えっ?』」」
私がそう認識した、その瞬間でした。
ルークさんは目にもとまらぬ速さでライトセーバーを引き抜いて、いつでも攻撃ができる態勢になったのです。取った型は、ますたぁのによく似たシエン。感じる気配も、どう見たって戦闘態勢です。
つまり、彼は明らかに私たちに敵対しようとしてるってことで……えっと、何がどうしてそうなったんですか?
ルーク・スカイウォーカーは元々衝動的かつ向こう見ず(公式設定
彼がなんでこんなことしたかは、次の更新で。
ということで、原作でいうEP7が終わり、ここからはEP8に該当する範囲です。
ですがここからは、原作との乖離がどんどん大きくなっていきます。
実に十話も原作沿いをしてきましたが、ようやく原作沿いから離れ始めていきます。