銀河の片隅でジェダイを復興したい!   作:ひさなぽぴー

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スターウォーズシークエルトリロジー(EP7~9)における特大のネタバレがあります。
公開から何年も経ってるので今さらではありますが、念のためご注意ください。


17.真相

 スターキラー基地の戦いから続いたディカー撤退戦は、レジスタンスの勝利に終わりました。戦闘行為そのもので言えば完敗ですが、戦略目標をすべて達成したのはレジスタンス側なので、勝者はレジスタンスって言っていいでしょう。

 

 そんなレジスタンスの面々は一旦クレイトで集まって休息を取ったあと、仲間を募ってメンバーを増やしながらエイジャン・クロスに移りました。アウターリムにあるガス惑星エイジャラの衛星で、銀河帝国時代に発見されるも帝国側に報告されていなかった星です。

 ファーストオーダーは帝国の後継組織なので、エイジャン・クロスはファーストオーダーにも知られていない未知の星ということになります。つまり身を隠すにはうってつけってことですね。

 

 逆にファーストオーダーは、首都とも言えるスプレマシーがほとんど使い物にならなくなったこと、最高指導者スノークが死亡したことで動揺しているみたいで、今のところまったく動きがありません。

 

 いや、内輪もめしてるって意味では動きがないわけじゃないんですけど。後継者争いでもめてる分には時間稼ぎができるので、もっとやっててください。スパイからの情報だと、今のところ例のハックス将軍が一番優位に動いてるみたいです。

 

 ところで私たちと一緒にスプレマシーから逃げたベンくんですが、彼のフォースは結局完全には光には戻りませんでした。とはいえ光百パーセントのほうがトガ的に怖いので、それでいいんだと思います。

 実際、ベンくんのフォースには闇があるものの、光のほうが多い状態で安定していますしね。これは闇が多い状態で安定してる私とはちょうど真逆です。

 

 そんな彼の、ソロ一家の再会はなかなか感動的なものでした。

 家族水入らずってことで、すぐに私たちは席を外したので具体的にどんな会話があったのかは知りません。たぶん、知らなくっていいんだと思います。

 その後はまだちょっとぎこちないですけど、これから少しずつよくなってくんじゃないでしょうか。

 

 ……あ、ルークさんはハンさんから一発パンチをもらってました。

 ベンくんからも一発ひねりの入ったキックをもらってて、そのまま池に突き落とされてました。彼ら的には、それでルークさんの失敗はチャラってことみたいです。

 

 ソロ家男子の落とし前のつけ方が完全にアウトローのやつで、私は笑っちゃいました。レイアさんは呆れてました。

 

 まあそれはさておき。

 その後のレジスタンスはレイアさん指揮のもと、次の戦いに備えて基地の設営と訓練、武器や艦船の補充などにいそしむことになりました。

 

 それらの作業が急ピッチで進められてる中のことです。ディカー撤退戦から十日ほど経ったある日、私とレイちゃんはレイアさんに呼ばれて会議に参加することになりました。

 私たち以外にもフィンくんとベンくんも呼ばれていたので、多分フォースに関係した話をするんだろうなぁ……って思いながら出席してみれば、部屋にいたのはレイアさんとルークさんだったので、予想通りでした。

 

「結論から言おう。銀河帝国皇帝パルパティーンが生きている可能性が出てきた」

 

 全員が席について、ルークさんが開口一番にこう言いました。若手三人はこれに唖然とします。

 

 気持ちはわかります。何せ皇帝パルパティーン、つまりダース・シディアスはもう三十年近く前に死んでるはずなのです。ルークさんの目の前で、ますたぁに殺されてるはずなんです。今さら生きている可能性が、なんて言われても信じられないですよね。

 

 ちなみに私は驚いてません。この情報を提供したのは私だからです。

 

『たぶん間違いないのです。あの日、心の中でスノークを迎え撃った私の目の前で消える直前、彼の姿がシディアスのおじいちゃんに変わりましたから』

 

 なので、あの日私が見たものを説明しました。そう、あの日私が愕然としたのはこれを見てしまったからなのです。

 心の中で、じかに接した状態でそれを見た私にはわかります。スノークは、シディアスのおじいちゃんの操り人形に過ぎなかったってことが。

 

 もちろん生き物としては別の個体なんだと思います。フォースの質も違ってましたから。操られていたことにスノークが気づいていたかどうかはわかりませんが。

 

「で、でもやつは死んだんでしょう? そんなことがあり得るんです?」

 

 フィンくんの疑問はもっともですが、ここに魂だけで普通に行動してる私っていう例があるので、あり得るでしょう。

 

「やつは何らかの手段で、肉体から魂だけの状態で抜け出したのだろう。あるいは、肉体が滅びてもなお魂だけでこの世にすがりついたか。千年以上前の話だが、いずれも前例がある。

 その後、自らに合う肉体を用意できたかどうかはわからないが……少なくとも、生き延びて何かを企んでいるだろうことは想像に難くない」

「……つまり、何か。俺の今までの人生は、スノーク……ではなく、皇帝のせいだったということか」

 

 それを聞かされたベンくんのフォースが荒ぶってます。そりゃあそうでしょう。元凶をやっつけたと思ってたのに、全然そんなことなかったって知らされたら怒りもします。

 

 ただ、荒ぶるフォースの勢いに、まだフォース初心者なフィンくんが挙動不審になっているのでもう少し落ち着きましょう。レイちゃんがベンくんの手に手を重ねて、鎮めてましたが……フィンくんは災難でしたね。

 

「……でもルーク。生き延びていたとして、皇帝は今さら何を企んでいるのかしら? いくら最強のシスとは言っても、一度死んだことになった人にできることなんて……」

 

 ベンくんの手に手を重ねた状態のまま、レイちゃんが言います。それについては断言はできないですけど、推測はできます。

 

『そもそもの話、シディアスのおじいちゃんにとって一番重要なことはフォースの探求とシスとしての研鑽だったはずです。帝国を興したのはジェダイに対する復讐の一環で、あとは研究を進めるための環境を整えるためって意味のが大きかったはずなのです。彼にとって支配は手段であって、目的ではなかったはずなんですよね。

 だから統治に興味がなくって、そっち方面は部下にほとんどまかせっきりにしてたはずなのです』

「……その話は初耳です。言われてみれば確かに、皇帝には統治者としての気概や目的意識が希薄だったように思いますが……」

『私は事故起こしてこっちに来る前にも、この銀河の歴史を映像作品見るみたいに見続けてましたから。だからシディアスのおじいちゃんとますたぁが会話してるシーンとかも見てたのです。……もちろん、ルークさんたちの活躍も見てましたよ』

 

 レイアさんにそう答えると、実際に戦争を生き抜いてきた二人は複雑な表情を浮かべました。自分たちが死ぬ気で駆け抜けてきた日々が、娯楽みたいに消費されてるのは喜べないのでしょう。わからなくはないです。でも事実なので……。

 

「ふむ……そんな君から見て、皇帝の目的が何か想像はつくかね?」

『一応? えっと、シスとしての研鑽が彼の一番の目標だとするなら、今はそれに専念できない状態なわけですよね。ってことは、今の目の前の目標はたぶん、きちんとした身体を取り戻して復活することそのものじゃないでしょうか』

「やはりそうか……」

 

 私のこの答えは、ルークさんは予想していたみたいです。ため息交じりにそう言うと……それから、なぜかレイちゃんに顔を向けました。

 

 ? なんでしょ。

 

「……だとすると、やつの次の標的はレイだろう」

「え?」

「は?」

「え、私? なんで?」

 

 そこで私を見られても、私だってなんでも知ってるわけじゃないんですよレイちゃん。

 なので私も首を傾げて、ルークさんに改めて目を向けます。

 

「なぜなら……なぜなら、……それは、レイが。……君が……皇帝パルパティーンの……()、だから、だ……」

 

 そ……れ、は。

 ちょっと、想像してなかった、と言いますか。あまりに衝撃的すぎて、全員が言葉を失くしました。

 

 確かにちょっと前、レイちゃんはとんでもない血筋なのかもって思いましたけど……その予想はある意味で正しかったわけですか。正解したくなかったです。

 

「ど……どういうこと……!?」

 

 たっぷり時間を取ってから、かろうじてレイちゃんが絞り出すように声を出しました。

 

「……私は以前、オーチというシスカルトの信奉者を追っていた。やつがシスの聖地に繋がる何かを知っているという情報を得たからだ。だがその足跡を追って辿り着いた場所にあったのは、もぬけの殻になったスターシップだけ。

 しかしその中にあった記録には、オーチが所属するシスカルトの依頼で皇帝の息子一家を追っているというものがあった。そして夫婦を捕まえたという記録も……」

 

 ここでルークさんは言葉を切り、改めてレイちゃんと向かい合います。

 

「……そして、拷問の記録もあった。だがパルパティーン夫妻は、どんな責め苦を受けようと()()()()()()()()の行方だけは割らなかったという。そして業を煮やしたオーチは……加減を誤り、夫妻を殺めてしまった……」

 

 そして、絶望的な情報を口にしたのです。愕然として、真っ青になるレイちゃん。

 

 無理もありません。だってレイちゃんは、お父さんお母さんにいつかまた会うために、今までがんばってきたのです。それがもう、いないなんて。

 

 けれど同時に、納得もありました。彼女の脳裏にはタコダナで見たヴィジョンがよぎっています。

 そう、レイちゃんを守るために、あえてジャクーに置いていかざるを得なかっただろう両親の姿です。点と点が繋がって、線になった瞬間でした。

 

「……レイ、無理はしなくていい」

「ルーク、あんたは人の心がわからないのか。相変わらずだな!」

「必要なことだ、ベン。もはや知らずに置いておける状況ではなくなってしまったのだ」

「なんだと……!」

「え、ちょ、待っ、二人とも落ち着いて……!」

「……だ、い、じょうぶ。大丈夫……フィンも、ベンも、ありがとう……」

 

 喧嘩腰の二人を見て、レイアさんが頭を抱えてます。ハンさんがここにいなくてよかったですね?

 

 その一方で、「もう生きていないって思ったことがないわけじゃない」とつぶやく形で付け加えて、レイちゃんは深く、深く深呼吸しました。それを繰り返して、精神を集中させていきます。

 

 ……私が思ってた以上に、レイちゃんの立ち直りが早いです。心配してたんですけど、本当に大丈夫そうですね……?

 

「だからかな……覚悟は……正直、してなかったわけじゃないの……。それに……それに、私には義姉さんがいてくれたから。辛いときも、悲しいときも、ずっと……。あの日見たヴィジョンだって……だから」

 

 ――だから、大丈夫。

 

 ……そんなまっすぐ言われると、さすがにちょっと照れます。

 

 でも、そうですか。私も、ちゃんとヒーローできてるみたいで、それは、はい。

 ちょっと、いえ、結構……かなり? 嬉しいかも、しれません。

 

 ……と、とりあえず、話を戻しましょう。それがいいと思います。

 

『それで、レイちゃんがなんで狙われることになるんです? いえ、私はなんとなく想像はつくんですけど』

「……つまり、身体を乗っ取ろうとしているのだろう、ということだ」

 

 でしょうね。私だって実際、おんなじことできますししてますもん。

 

 でも私は相手の意識を永遠に奪って乗っ取るなんてしませんし、そもそもできません。状況だって選んでます。必要があるときしかしません。

 

 けどシスの暗黒卿が乗っ取りをするなら、まず間違いなく永遠に乗っ取るでしょうし、乗っ取られた人の意識は消されるでしょう。レイちゃんがターゲットなのは、レイちゃん自身のフォースの素養がとっても高いことと、血縁者だから取り込みやすいってのがあるんでしょうね。

 

 私のこの説明に、みんながなるほどって顔をしました。

 

「……目的がどうあれ、皇帝を殺す必要があることに変わりはないだろう」

 

 まあ、そうですね。ベンくんの言う通り、結局のところはそこに行きつきます。

 言い方は物騒ですが、事実なので。レイアさんもたしなめようと考えはしても口にはしませんでしたし。

 

「でも肝心の皇帝がどこにいるかわからないんじゃ、手出しできない!」

「ルーク、心当たりはあるのですか?」

 

 フィンくんに続いたレイアさんに、ルークさんが一応と言った感じで頷きました。

 

「先ほど少し触れたが、私はシスの聖地を調べたくてオーチを追っていた。それは銀河の外縁部、未知領域のどこかにあるという……。皇帝がいるとしたら、恐らくはそこだろう」

「……それはどこなんだ」

「……そこまでは」

「チッ」

 

 ベンくんってば、ルークさんに辛辣。そりゃあそうなる気持ちはわかりますけど。

 

 でも、シスの聖地ですか。だとしたら、それは。

 

『たぶんエクセゴルでしょうねぇ』

『!?』

「義姉さん、まさかこれも知ってるの?」

『はい、知ってます。視ましたからね』

「そんなことまで知ってるなんて……。もしかしてヒミコさんがこの銀河に飛ばされてきたのは、フォースの導きだったんじゃないです?」

『だとしたら私、一生フォースを恨みますけどね。こっちは恋人と引き裂かれてるんですよ?』

「アッ。す、すいません……」

 

 フォースに触れたばっかりのフィンくんがそう思うのも、無理はないんですけどね。悪気がなくっても、傷つくときは傷つくのです。

 

「それよりも。そのエクセゴルとやらはどこにある? どうやって行けばいい?」

『とんでもないルートを通る必要があるので、ガイドなしで行くのは自殺行為です。つまり、ウェイファインダーが必要なのです。

 で、ウェイファインダーは二個あって、正統なシスであるシディアスのおじいちゃんと、ますたぁが一個ずつ持ってました。二人が最後どこに置いてたかまでは知りませんが……少なくとも、ますたぁが一度ムスタファーに持ち込んだのは知ってます』

 

 なのでまずは、ムスタファーに行ってみるのがいいと思います。

 つまりベンくんにとっては、聖地巡礼ですね。何せムスタファーは、ますたぁのダース・ヴェイダーとしての城があった場所です。

 

 ああでも、ますたぁがオビ=ワンさんに負けた場所でもあるので、あんまり詳しくは言わないほうがいいでしょうか。それとも、この件は知ってるんでしょうか?

 

 ただ少なくとも、ムスタファーにシスとしての意味があることは十分知ってるんでしょう。

 

「……ならば、俺が取りに行く」

 

 はっきりとそう言ってくれましたからね。

 




ここまでが原作EP8に当たる範囲。次回からはEP9に該当する範囲です。
お察しの通り、EP9の前半部分を全部ぶった切っていくトガちゃんです。
全部ではないにせよ原作知識があるようなものなので、まあこうなるよねっていう。

ちなみにレイの出自ですが、補足すると孫という表現は実は正確ではないです。
レイの父親(名前は明らかになっていない)は皇帝パルパティーンの息子ではなくクローンです。
皇帝が後々のために用意していたクローンの一体がバグか何かで自我を持ってしまい、脱走したのがその正体になります。
なので血縁的には皇帝の娘と言ったほうが正解に近いわけですが、それを説明すると長くなるのでわかりやすく孫としております。原作でも映画の中ではそこまで細かく描写されてないしね!
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