銀河の片隅でジェダイを復興したい!   作:ひさなぽぴー

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19.最後の戦い

 戦いは、シディアスが仕掛けてきたとんでもない規模のフォースグリップから始まりました。四人全員の身体が拘束され、同時にライトセーバーも叩き落されてしまいます。

 

「くっ!」

「以前より強くなっている……!」

「まずはそなたたちの命をいただくとしようか……」

 

 そこを狙って、生命力を吸収するフォースが放たれました。今のシディアスはボロボロの身体をしていて、全身に繋がれた機械がかろうじて肉体を維持しているにすぎません。それを回復させようってことなのでしょう。

 

 でも、そうはさせません。まだ私がいます。拘束されていない私が。

 

 私はレイちゃんの身体から飛び出しながら、自分のフォースを闇に染めてフォースライトニングを放ちます。

 狙うのは、シディアス本人じゃなくって生命維持装置です。どんなに彼が強くっても、肉体の維持を機械に頼ってる以上は壊されるにはいかないはずです。

 

 それに、私程度のライトニングじゃシディアスに向けて撃っても効果は上げられないでしょう。昔に比べれば上手くなったとは思いますが、それでもまだかなりの力量差があることはわかっています。

 

「ちっ!」

 

 もちろん、本人を狙わなくとも有効打を与えられるとは思っていません。実際、シディアスはフォースライトニングで迎撃し、完全に防いで見せました。

 

 けれどこれは想定内。というより、そう動いてもらうのが本命でした。

 だって、さすがのシディアスでもシスの奥義とも言えるフォースライトニングを、これまた奥義に匹敵するだろう難易度の生命力吸収と同時並行するのは難しいでしょうから。

 

 その予想は当たり、レイちゃんたちを拘束していたフォースグリップは解除されました。改めて戦闘態勢に入りつつ、散開するレイちゃんたち。

 

 まあ、それでもなお一人……ルークさんを拘束しておける辺り、シディアスの技量の高さがうかがえるわけですけどね。

 

 と、そこに赤い格好の人たちが乱入してきました。スノークの護衛によく似ています。

 そういえば帝国時代もシディアスの護衛は赤い人たちでしたが、何かそういう伝統とかでもあるんでしょうか。

 

 それにしても、ただでさえ強敵を相手にしてるのに、ここで他に敵が来るのは困りますね。できるだけシディアスが余計な力を使わないようにしておきたいんですけど。

 

「……ここは俺に任せろ」

「フィン!?」

 

 けれどそれを見て、フィンくんが一人赤い人たちの前に立ちはだかりました。

 

「悔しいけど、俺の力じゃ皇帝の相手はできそうにない。だったらせめて、こいつらは俺がやる!」

「貴様……」

「……わかった。フォースと共に!」

「ああ、フォースと共に! うおおおお!!」

 

 驚くベンくんとレイちゃんと短く言葉を交わして、フィンくんが赤い人たちに跳びかかります。

 その動きは、フォースは、オク=トーで修行を始めた頃とは雲泥の差です。たった数か月で成長しましたねぇ。

 

 これなら任せられると判断して、レイちゃんとベンくんはシディアスに向き直ります。シディアスを中心にして、常に二人が対角線上になるような位置取りです。これならシディアスの広範囲攻撃……は難しくても、フォースグリップでの拘束は同時に受けずに済むでしょう。

 

「健気なことをする……だが、たった三人で余をどうこうできると思われているとは心外だな……!」

 

 掲げられたシディアスの片手から、フォースライトニングが巻き起こります。上じゃなく、彼の周りに。これでスノークのライトニングより威力が高いってどうなってるんでしょうね。

 

 当然これを受けるわけにはいかないので、防御するしかない私たちです。それでも防御一辺倒で勝てるはずはないので、リスクは負わないとですね。

 

 なので両手が使える私は、防御を片手でどうにかこうにか受け持ち、空いた片手で周辺の瓦礫をテレキネシスで投げ飛ばします。片手だけの防御でこのフォースライトニングを完全に防ぐことはできませんが、それでも少しの間は凌げます。攻撃する時間を捻出できればひとまずはいいのです。

 

「甘い、甘い」

 

 しかしその攻撃も、一斉じゃなくて時間差のあるものになってしまったので、片手間に一つずつ対処されてしまいました。うーん、本当に呆れるくらい強いですね……。

 

「義姉さん!」

「やれ!」

 

 と、ここでレイちゃんとベンくんが動きました。ライトセーバーをベンくんが私に、レイちゃんがベンくんに向けて投げたのです。

 

『任されました!』

 

 私に向かって飛んできた赤いライトセーバーを、私はテレキネシスでシディアスに向かわせます。

 空中を縦横無尽に飛び回る赤いライトセーバーは、それだけでかなりの脅威でしょう。ベンくんのセーバーはジェダイのじゃないので、スイッチから離したら刀身が消えるような安全装置はありません。遠慮なくセーバーを暴れさせられます。

 

 そこに、レイちゃんが投げたセーバーも一回だけですが加わるので、さすがに片手間での対処は難しいらしく、フォースライトニングが少しだけ途絶えました。

 

 そしてレイちゃんが投げたセーバーは、刀身が消えるタイミングでベンくんの手の中に納まり再起動されます。

 これと同時に、レイちゃんが持っていたもう一つのセーバー――レイアさんのセーバーです――を起動し、シディアスに向けて飛びかかりました。

 

 正反対からの二つの斬撃と、私が繰り出す斬撃の乱舞に、さすがのシディアスも一旦防御に回ります。両手をベンくんとレイちゃんに向けて吹き飛ばし、次いで上からのセーバーにもフォースプッシュで対処します。最短での素晴らしい対応でした。

 

 けれど、まだまだ攻撃は続きます。吹き飛ばされながらも、ベンくんがフォースライトニングを放ったのです。一瞬遅れて私もフォースライトニングを合わせます。

 

「小癪な……!」

 

 二点からのライトニングを防ぐシディアス。その頭上で、天井がきしみ始めました。

 

「小癪で結構。力で劣るからには工夫をしないとな」

 

 フォースグリップから解放されたルークさんが、天井に向けてフォースを放っていました。

 轟音を立てて崩れ始める天井……いえ、これはもう地面でしょう。大量の瓦礫と土砂が、シディアスに向かって落下し始めます。ちょうどみんな吹き飛ばされた直後なので、巻き込まれる人はいません。

 

 そしてシディアスは、二方向から飛んでくるライトニングに対処しながらこれに対処しないといけないわけです。

 

 ……あ、訂正。態勢を立て直したレイちゃんがテレキネシスで拘束しようとしているので、対処しないといけないのは二つのライトニングと土砂瓦礫とテレキネシスで合計四つですね。これはさすがにキャパオーバーでしょう。

 

 実際、シディアスの顔が憎しみと怒りで歪みました。邪悪なフォースが今までにも増してさらに大きくなります……が。

 それに比例して、シディアスの身体もひび割れ、爛れ、崩れていきます。あまりにも強すぎる闇の力に、元からボロボロだった彼の身体は耐え切れないのでしょう。だからレイちゃんの身体を乗っ取ろうとしてたんですかね。

 

 そんな状態でも、すべての攻撃に対処し切った――降り注ぐ土砂をものともしなかったのはさすがにどうかしてると思います――のはさすがとしか言いようがないわけですが……。

 

「おのれ小童ども……! 余の玉体を傷つけた罪は大きいぞ……!」

 

 骨が露出するくらいに崩れかけているので、消耗はだいぶ大きいはずです。

 その状態で普通に動いてる上に、崩れて穴が開いた天井から降り注ぐ薄暗い光に照らされてるっていうシチュエーションは、なんていうかSFじゃなくて完全にホラーなんですが、まあ闇の力なのでそういうこともあるでしょう。

 

 ちなみに天井に穴が開いたことで艦隊戦の様子も見えるようになりましたが、どうやら拮抗しているようです。

 ナビゲートタワーの破壊は……ん、どうやらナビシステムを旗艦に移されたみたいでまだ達成できてないようです。なるほど、それでてこずってるんですね。

 

「醜いな……。そんな身体になってまで、お前は生き続けたいのか?」

「理解する気のない口でほざくでない……所詮ジェダイはその程度……黙っていた方が賢く見えるぞ……!」

 

 ルークさんの言葉を、シディアスは切り捨てます。でも身体がひどいことになってるので、正直何言ってるのかすごくわかりづらいです。

 

 と、ここで周りで行われていたフィンくんの戦いが終わりました。あちこちに切り傷やあざができていて。息もすごく上がっています、とりあえず手足は無事のようです。

 

「……はっ、どうだ……俺だってやりゃできるんだ……!」

「見事だ、フィン。君ももう立派なジェダイだな」

 

 ルークさんの言葉に、フィンくんは誇らしげに頷きます。

 

 ただ、さすがにこれ以上の戦闘は難しいようで、その場にどっかと座り込んでしまいました。

 

「……はあ、ふう……悪い、これ以上はちょっと無理そうだ……」

「大丈夫、あとは任せて!」

「フン……」

「ああ、君は休んでいるといい」

 

 素直じゃないベンくんはさておき、みんなに言われてフィンくんはセーバーを収めました。

 

「役立たずどもめ……」

 

 イラついた声が響きます。見ればシディアスは、渾身の力を込めてフォースを練り上げているところでした。とんでもない規模のいかづちが、彼の身体にまとい始めています。

 

 咄嗟に身構えるレイちゃんたち。

 

「茶番は終わりだ……! シスの力の前にひれ伏すがいい!!」

 

 そしてそのライトニングが放たれる――直前。

 

 頭上から。

 天井に空いた穴から、大量のレーザーキャノンが降り注いできました。大半がシディアスの身体に直撃するコースでした。

 

 直後に放たれたライトニングによって、いずれも直撃にまでは至りませんでしたが……。

 

「なん……だと……?」

 

 それでも、歩兵の持つ武装に比べると格段に強力なレーザーキャノンの雨は、間違いなくシディアスに致命的なスキを与えていたのです。フォースの集中が乱れ、迸る稲妻の収束がほどけます。

 

 空を仰げばそこには、至近距離で二列に並ぶという離れ業をするXウィングとミレニアムファルコンの姿がありました。

 

「……あれは、ポー? ポー! ははっ、やってくれるぜポー!」

「それに、ハンとチューイだな。デススターを思い出すな……」

 

 そう、アレに乗っているのはレジスタンス一の戦闘機乗り、ポー・ダメロンさんと銀河を股に駆ける伝説のアウトロー、ハン・ソロさんです。彼らが天井に空いた穴から空襲をしかけてくれたのです。

 

 なんで彼らがこっちに来たかって?

 決まってるじゃないですか。私がテレパシーで呼んだんですよ。天井が崩れる直前から、狙っていました。

 

 正確には、レイアさんにテレパシーで合図して彼女から通信で知らせてもらいました。さすがに、戦闘中にこの距離でフォースセンシティブじゃない人にテレパシーを繋げるのはムリなので。

 

 あと、こんな至近距離でそこまで細かくテレパシーしてたらまず間違いなく読まれると思われたので、この件についてはここに突入する前に作戦としてルークさんやレイアさんにだけ話してありました。

 ルークさんが天井を崩すのも含めて、作戦通りってわけです。ルークさんには、空が見えるくらい思いっきり天井を崩してくださいとしか言ってなかったですけどね。

 

 もちろん、シディアスほどの達人なら、未来視で全部読めていたかもしれません。だけど、どんなフォースの達人でも結局は人なのです。一人でできることには限度があるのです。

 

 ちなみにこの件で、私――つまり、たぶんコトちゃんも――のテレパシーと読心が他の追随を許さないレベルでやたら高いことが発覚しています。単に得意不得意ありますよねって思ってましたが、私たちのやってることは頭のおかしいことだったみたいです。

 

「おのれ……おのれ……! 余が……! この余が……! ただの……ただの航空機ごときに……!」

 

 話を戻しましょう。

 

 凄腕二人の空襲で致命的なスキを作ってしまったシディアスの生命維持装置に、ライトセーバーが突き刺さりました。荒れ狂うフォースライトニングに生じた、センチ単位の間隙を縫って飛来したルークさんのライトセーバーが、シディアスの身体をかろうじて保っていた機械を完全に破壊したのです。

 

 唖然とするシディアスに、ルークさんがにんまりと笑いました。

 

「……貴……様……!」

 

 これによって、シディアスの身体は遂に本当の本当に限界を迎えました。結果、制御を失った闇のいかづちが荒れ狂い、一番近くにいた人……つまりシディアスを襲います。闇に満ちた破壊の力が、その身を滅ぼしていきます。

 

 ただでさえ、とんでもない規模のライトニングを放とうとしていたのです。そんなものが逆流してたった一人を襲ったとあれば、その威力は想像を絶するものでしょう。シディアスの身体が、比喩抜きに文字通り消し飛んでいきます。

 

「……フォースはこの宇宙のどこにでもある。確かにものによって、多寡はある……それでも、確かにすべてはフォースと共にある」

 

 そんな中、ルークさんが静かに言い放ちます。かざした両手にフォースバリアが渦巻き、私たちを守ってくれています。

 

「お前もまた、フォースの一部。さあ宇宙に還るのだ……父が始めた物語も、ようやく終わるときが来た」

「お……おお……おおぉぉぉ゛ぉ゛……、…………!!」

 

 恨みのこもった低い声が、尾を引いて消えていきます。

 

 ですが暴走したフォースライトニングは、射手を滅ぼしてなお有り余るほどエネルギーを残していて、シディアスが完全に消滅したことで爆発するように周囲に勢いよく拡散しました。

 私たちはフォースでかろうじて防御できましたが、それができない周りの観客や、この場所そのものはほとんど無防備に暴走する電撃を受けました。

 

 結果、シスエターナルの人々はその場で死亡するか、崩れた客席から地下深くまで落ちて死亡するかしたようです。同時に、この空間がどんどん崩壊していきます。

 

 とそこに、ファルコンが天井の穴から下りてきました。いまだに荒れ狂うフォースと、この場が崩壊する中でもよどみなく、ほとんど衝撃もなく華麗に着陸したファルコンのハッチが開き、ハンさんが現れます。

 

「ようお前ら! やったな! とっととこんなところずらかろうぜ!」

「賛成ね」

「ああ、賛成だ。行こう、みんな」

 

 かくして私たちは、エクセゴルの深層から無事に脱出したのでした。

 

 ……まあ、まだ艦隊戦が終わってなかったので、そっちを終わらせる必要があったんですけど。

 

 幽霊なのに全力で戦った私は疲れ切っていたので、あとは任せてレイちゃんの中で眠ることにしました。今さらここで負けるなんてまったく思えないので、私一人くらい別にいいでしょう。

 みんなも勝利を請け負ってくれたので、私は心置きなく寝ちゃいます。

 

 それでは、おやすみなさい。

 




知ってはいたけど、戦闘シーンを書こうとして改めて見直すとシディアスが強すぎるんよ。こんなやつにどうやって勝てばいいんだ。
なので対フォースユーザー戦の原点に立ち返って、数の暴力と威力の暴力に訴えることにしました。力こそパワー。

幸いというか、EP9時におけるシディアスは闇のフォースの使い過ぎで肉体が崩壊寸前になっています。
つまり攻撃力と技量はクッソ高くても、それ以外のステータスは低い状態だろうと考えられます。
また、その状態でライトセーバーを振り回しての大立ち回りは難しいだろうと思われ、であれば生命吸収による回復をされないようにすれば、飽和戦術で押し切れるんじゃないかと考えた次第であります。
結果としてポーとハンがおいしいところを持っていくことになりましたが、そこはデススター戦のオマージュということで。
なにより、フォースにこだわり続けた男が、そのフォースとは関係のない力で敗北する展開はなかなか皮肉が利いてるんじゃないでしょうか。

ちなみにしれっとトガちゃんと理波のテレパシーと読心がやべーやつだと発覚しましたが、これはアヴタスの頃は持っていなかったものです。
アナキンの苦悩や闇を見抜けなかった後悔が、理波のそっち方面の技術を無意識に伸ばした結果、こうなりました
ちなみついでにフォースにまつわる技で二人の得意なものに順位をつけると、同率一位でテレパシーと読心が入り、次いでフォースハック、そこから少し劣る形でマインドプローブがランクインします。
つまるところ、二人は他者の心や気持ちに触れること、繋がることに長けているわけですね。アナキンが「とても情の深い人間」と評しただけのことはあるということです。
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