銀河の片隅でジェダイを復興したい!   作:ひさなぽぴー

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10.運命の闘い~少女と巨人~

 一方こちら、蛇訝山荘からお届けします。トガです。

 

 コトちゃんにギガントマキアが起きたことを伝えたあと、私とルクセリアさんは揃ってマキアに追いかけられていました。すっごくヤな鬼ごっこです。

 

 なんで追いかけられてるかっていうと、私たちが仁くんとマスタードくんを抱えてるから。

 どうやら弔くんのところに連れてこうとしてるみたいです。マキアの思考は単純なので、マインドプローブしなくってもよくわかります。弔くんからみんなでおいでって言われたんですね。

 

 なので私たちが仁くんたちを奪い返されないうちは足止めにはなるってわけなんですけど、こんな鬼ごっこやってたら命がいくつあっても足りません。マキアには周りに配慮するって発想がないので、全部轢き潰しながら追いかけてくるんですよね。

 せっかくなので解放戦線のほうに逃げて、解放戦線の人たちを吹き飛ばすのを二回やりましたけど、そろそろ限界です。何せこっちは意識のない人間を抱えながらなので。

 

 ちなみですけど、巨大化した状態のマウントレディが倒されても倒されても何度でも立ち上がって、そのたびにマキアにくらいついてくれているので、これでもだいぶマシです。本気で追いかけられてたら、さすがに私たちとっくに死んじゃってます。

 ありがとうございますマウントレディ。いつかお礼しないとですね。

 

『トランシィ! 準備ができましたわ!』

『こっちもようやく片付いた! 今からそっち行くよトランシィ、ルクセリア!』

「わぁい待ってました! 合図したらお願いしますね百ちゃん!」

『お任せください!』

 

 そこに、百ちゃんとホークスから通信です。これで、やぁっと反撃できますね。

 

「やっとですか! 私はもうギリギリですよ……ひぃー、息が上がる上がる! もう無理! 三十連勤のほうがまだ少しマシ!」

 

 ルクセリアさんがゼェハァ言ってます。正直私もかなりしんどいです。でもたぶん、三十連勤よりはマシだと思います。

 

 どっちにしても、ここで立ち止まるわけにはいきません。だからここはプルスウルトラなのです。

 

 と、そんな私たちの頭上に、空から人影が一つすごい勢いで降りてきました。

 

「ごめん待った?」

「はい、とっても待ちました! 遅いですよぉナンバーツー!」

「ははっ、そんなこと言われたの久しぶりだ!」

「ふぃ……彼らのことは頼みます、ホークス!」

「あいよ、ホークスの特急便確かにお預かりしましたってね!」

 

 木々の合間を抜けて私たちのすぐ真上に来たホークスに、仁くんとマスタードくんを任せます。

 

 ホークスでもさすがに二人同時に抱えるのは難しいですが、彼の”個性”なら同時に複数の人を高速で運搬できるのは九州の事件でわかってます。

 あのときみたく、複数の羽根を操って二人の身体を刺激どころかほとんど揺らすことなく、あっという間に予定していた方向の空の彼方へ連れ去っていきます。

 もちろん彼自身も一緒。これで私たちは自由になりました。

 

「同志!」

 

 もちろんマキアがホークスを追いかけようとしますが、遅いです。速すぎる男、なんて言われるホークスが本気で、しかもホームグラウンドである空で逃げに徹したら、さすがのマキアでも追いつけません。

 

 マキアの背中に乗ってる連合のみんなが、ホークスの行動に色んなリアクションをしているのがかすかに聞こえてきます。裏切り者、って叫んでるのはスピナーくんかな?

 

 そんな彼らを気にする余裕がないのかわかりませんが、ともかくマキアが思いっきりジャンプしようとしました。ホークスに持っていかれた仁くんたちを取り戻そうってことでしょう。

 

 ですが、マキアがジャンプすることはありませんでした。

 

「さ……せ、るッ! もん、ですっ、かああぁぁっっ!!」

「ぐおぉぉ!?」

 

 何度も投げ飛ばされて血まみれになりながらも、根性で追いついてきたマウントレディがその足につかみかかったからです。

 ギリギリのところで押しとどめられたマキアの身体が、思いっきり前に倒れます――が。

 

「うーん、さすが百ちゃんいい仕事なのです」

 

 その先には、百ちゃんが仕掛けていた罠が待っています。

 おかげで地面に顔から倒れ込んだマキアの身体が、そのまま地面に沈んでいきました。

 

 百ちゃんにはあらかじめ、特定の地点まで誘い込んだマキアを捕まえる罠をしかけてもらってました。私にはまったく思いつかなかったので、全部任せちゃいました。こういうのはできる人にお願いするのが一番なのです。

 この感じだと、どうやら百ちゃんの作戦はB組の骨抜くんが中心みたいですね。彼の”個性”は柔化、なんでも柔らかくしちゃうのです。きっと地面を柔らかくして、その中に沈めたんでしょう。さすが百ちゃんなのです!

 

 とはいえ、完全に沈み切ってはいないみたいです。これは単純にマキアが大きいせいですね。ちょっと深めの水たまりにはまったくらいの感じになってます。立ち上がられるのは時間の問題でしょう。

 なので、合図を送ります。

 

「百ちゃん、お願いします!」

『お安い御用ですわ!』

 

 するとこの群訝に配置されてた雄英のみんなが、後方に下がっていたみんなが、A組B組の垣根を超えてマキアに殺到しました。

 別にマキアを倒そうってわけじゃありません。あれは足止めをしてくれているのです。私が所定の場所に着くまでの時間稼ぎなんです。

 

 ……できればイライラさせてくれるともっといいです、とは言いましたけど、あんなに前に出なくてもいいんですけどね。やっぱりみんなヒーローなのです。

 本当、お友達がみんなあんなにもカッコいい! その事実に思わずにっこりしちゃいます。

 

 でも、心配は心配です。マキアがどれだけ強いか、ナイトアイの予知を聞いて知ってるだけに。

 

「……無理しないでくださいね。みんなでまた一緒にパーティするんですから」

『ええ、もちろん! でも大丈夫ですわ。だって私たち、トランシィがなんとかしてくれると信じておりますもの!』

「……えへへ。がんばります!」

 

 百ちゃんはこういうとき、ストレートに言ってくれるから私好きです。私もアケスケちゃんなので、おんなじなのです。嬉しいです。

 でも、信じてくれるのはもっと嬉しいです。

 

 コトちゃんがいなかったら、まず間違いなくこっちにはいない私。きっとマキアの背中に乗ってただろう私のことをただのトガとして、一人の女の子として扱ってくれることが、とっても嬉しいのです。

 

 だから私も。私を信じてくれるみんなのために、私も!

 

 そうでしょ、ますたぁ? そうでしょ、レイちゃん!

 

「コバエはキリがない……!」

 

 マキアが地面を耕しながら立ち上がります。周りにいたみんなが土砂に少し巻き込まれながらも、なんとか無事に退避していくのが見えました。よかったぁ。

 

 一方私はというと、マキアのいるところがまっすぐ見える、遮るものがほとんどない場所に一人到着していました。私はここを目指していたのです。

 

 そしてここで、コトちゃんに。私が愛する、この世で一番大切なヒーローに変身します。

 低くなる視点に構うことなく、変身で生み出されたコトちゃんのヒーローコスチュームから、ライトセーバーを左手に持ちます。右手には、自分のセーバーを。

 

 そうして展開した二振りのライトセーバーは、どっちもオレンジ色。私とコトちゃんの色です。

 

 ある人はこれを、闇に向かう夕焼けの色と言うかもしれません。それも正しいと思います。

 でも同時に、光に向かう朝焼けの色だとも思うのです。

 

 だからこそ、これほど私とコトちゃんに相応しい色はないのです。だからこそ、オレンジは私たち二人の色なのです。

 

「『増幅』発動。対象――」

 

 あんまりやったことがないジャーカイの動きをきちんと頭の中に思い浮かべながら、その場で動きながらコトちゃんの”個性”を使います。

 

 やることはもちろんこれ。

 

「――刀身! 伸びろセーバー!!」

 

 その瞬間、二つのオレンジ色が遠い遠い彼方にまで到達します。

 カイバークリスタルが増設されて出力が強化された輝きは、どんなものでも切り裂くプラズマの剣。二本のそれが、閃いて。

 

「うごおぉぉ……!?」

 

 ギガントマキアの、両腕両脚が。

 切り離されて、宙を舞いました。

 

 と同時に私はセーバーをどちらも収め、切り落とされた両腕両脚が被害を出さないように、フォースを使って落下速度を和らげます。

 

 私一人だと、絶対無理です。でもここにはもう一人、フォースユーザーがいます。二手に分かれたので一緒にはいませんけど、ルクセリアさんはルクセリアさんがやりやすい場所で、私と同じようにフォースを使っているはずです。

 私やコトちゃんに比べて足らない出力を、どんな”個性(妄想)”で補っているのかは考えたくないですけど。

 

 緩やかに落ちていくマキアの両腕と両脚。それに先んじて、マキアの身体が地面に倒れ込みました。

 

「確保ォ!!」

 

 誰かの声が聞こえてきました。たぶん、プロヒーローの誰か。

 

 続いて、マキアの背中に向けてたくさんの人影が殺到するのが見えました。連合のみんなを逮捕するために、プロヒーローたちが飛びかかったのでしょう。

 

「……みんな無事だといいんですけど」

 

 元に戻りながらつぶやきます。ヒーローとヴィランに分かれてはいても、やっぱり連合のみんなはお友達なので。

 マキア? あの人とは面識がないので、別に。

 

「……うん、私はこれ以上お手伝いしないことにしましょう」

 

 ということで、私は休憩することにします。収納用のポッケからコトちゃんとお揃い(相澤先生ともお揃いなのが気に喰わないですけど)のゼリー飲料を取り出して、栄養補給です。

 

 だって疲れました。結構な時間、ほとんど全力で走ってたんです。それも仁くんを抱えて。

 ここから大捕り物に参加するなんてしんどいこと、したくないです。ヤです。

 

 何より、コトちゃんのほうが心配です。一刻も早くコトちゃんのところに行きたいです。

 

「あ、蒼い火。荼毘くん……燈矢くん、相変わらず派手ですねぇ……」

 

 ヒーローのほうが数は多いですけど、荼毘くんとマグ姐はとっても強いですし、ミスターもなんだかんだでデキる人です。スピナーくんだって前よりは強くなってるらしいので、案外全員捕まらずに逃げきっちゃったりして。

 

 それはそれで、私は構いません。だってそれなら、みんなと会えますしね。

 

 でも今は、とりあえず……。

 

「おーい!」

「ことちゃーん!」

「トランシィ!」

「はーい! ここでーす!」

 

 退避してきた雄英のみんなと、お互いの無事を喜ぶことにしましょう。

 それから、ケガも治してあげないとです。

 

 だから私は大きく手を振って、駆け寄ってきたみんなに飛び込んだのです。

 

 まあ、マキアに対してやったことについてはちょびっと怒られましたけど。ヒーローとしてどうなの? って感じで。

 でも他に方法がないことはみんなも理解はしてるみたいなので、本当にちょびっとでした。

 

 どっちみちあれ、きちんと許可もらってやってますからね。他に方法はない、って偉い人たちも認めてるのです。だから私は何にも悪くないのです。

 やっぱりコトちゃんはすごいのです。きちんとお願いして、許可が下りれば何をしても大丈夫ですもんね! 最初に教えてくれたこと、私ちゃんと覚えてますよ!

 

「あ、ホークス」

「む、いずこに?」

 

 ということでひとしきりお互いの無事を喜びつつ、ケガの治療をしていると……頭上をホークスがすごいスピードで飛んでいくのが見えました。響香ちゃんが思わずつぶやけば、弟子の常闇くんがそわっとしながら聞きます。

 

 二人に少し遅れて、私たちも空を見上げます……が、そこは速すぎる男と言われるだけあって、もうどこにも姿は見えません。

 

「もう行っちゃったみたい」

「さすが速すぎる男……カッケェなぁ!」

 

 三奈ちゃんと切島くんの言葉に、色んな反応が起こります。大体はホークスを見れなくてがっかりだったり、さすがだなぁって感じの感想がほとんどです。

 

 けど、私は一人だけは違います。ホークスが向かったのが病院のほうってことに気づいてる私は、自分一人だけあっちに行くなんてズルい、って感想が最初に浮かびました。

 私だって早くあっちに行きたいです。コトちゃんと合流したいです。

 

 ということで、はいどーん! ブレスレット型の超圧縮収納装置を解放すれば、こんなこともあろうかと準備していたスピーダーバイクの登場です! しかも空を飛べる、エアスピーダーバイクなのです!

 

 なんであるかって言えば、もちろん私がファルコンに積んで地球に持ち込んだから。あるからには有効活用しないと、ってことで、私とコトちゃん共用のサポートアイテムとして登録済みなのです。一つしかないので、今回は私が持ってます。

 

 免許に関しても問題ないです。だって今の地球に、スピーダーを規制する法律なんてどこにもないですからね!

 

「……行くのか」

 

 エアスピーダーバイクにまたがる私に、障子くんが聞いてきます。

 返事は当然、「もちろん!」です。これを聞きつけて、みんなの視線が私に集中しました。

 

「……まあ、今ならトガが抜けても大丈夫か」

 

 瀬呂くんの言葉を皮切りに、みんながそれもそうだなと声を上げます。

 

「実際戦線側はもう壊滅状態っぽいしなー」

「あんな心臓に悪いトレイン、二度としてほしくねーけどな……」

「エグかったよね……そりゃ効率はよかったかもだけど、遠目に見てる私たちは気が気じゃなかったんだから! がんばって偉い! よしよししてあげちゃう!」

 

 上鳴くん、峰田くんに続いた透ちゃんが、飛び込んできてよしよししてくれました。

 えへへ、頑張りました。褒めてもらえると嬉しいです。心がふわふわします。思えば、こういう経験もみんなとお友達になるまでなかったですね。

 

 そんな私を見て、みんながしょうがないなぁ、って言いたげに苦笑しました。そのまま私に思い思いの形で行っていいよって示してくれます。

 

「ここはボクらに任せて、君は愛しのマドモアゼルのところに行きなよ☆」

「ええ。ギガントマキアが起きたということは、病院のほうでは死柄木弔が目覚めているということ。強力な戦力が必要ですわ。そしてトランシィは、そのお一人です」

「はい! みんなありがとうございます!」

 

 だから私は、みんなににっこり笑顔を返して。

 エンジンをかけたエアスピーダーバイクの頭を、空に向けるのです。

 

 コトちゃん! 今、会いに行きますからね!

 




Q.ギガントマキアが起きてしまいました。どうすればいいでしょうか?
A.刀身を伸ばしたライトセーバーで達磨にします。

数あるヒロアカ二次創作の中でも、ここまでゴリ押しな解決策を出した作品はなかなかないんじゃないでしょうか。
マキア、剛筋によって非常に硬い肉体をしてはいても耐熱能力はないですからね。
どんなに硬く強靭であっても、それだけではプラズマであるライトセーバーへの耐性を意味しないわけで。
おまけに理波の増幅はセーバーの長さを瞬時に伸ばせるので・・・正直なところ、EP5でウォルフラムにぶっ放したときからマキア戦はこれで行くと決めてました。約束された勝利の剣。

なお、達磨になってもマキアの巨体とパワーはもちろん脅威ですが、今に限ってはそこまで深刻な脅威になり得ません。
その理由は次話にて。
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