離れて近づいて 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
影山有希
影山咲希
以上3名


第9話 日常

 俺は有希が持ってきた昼食を見ていた。すると、それは俺の予想のご飯系ではなく、麺類。

 

「お昼は焼きそばでーす!」

「あれ、焼きそばだったか」

「だって、ご飯系だって言われてその通りに作ったらつまんないじゃん」

 

そういう問題かよ。そんなことでもないと思うんだけど。

 

「蒼くんは嫌いなものとかある?」

「あんまりないかな。ただ、大葉とかは苦手かも」

「大葉かぁ、あんまり使わないから大丈夫かな」

 

有希は人差し指を顎に付けて、斜め上を見ながら言った。

 

「そうか、じゃあよかった」

「そんなに嫌いなの?」

「なんか生っぽくてさ…」

 

有希は「へぇー」と言って焼きそばをすすった。

 

「お姉ちゃんは嫌いな食べ物ないの?」

「嫌いな食べ物?えっとね…辛いものダメかも」

 

辛いものか。だったら七味とかもダメっぽい。

 

「七味もか?」

「あ、七味は無理。辛いもん」

「わさびは?」

 

咲希が食べながら聞いた。

 

「少しだったら。あんまり多いと食べれないかな」

「辛いものダメなんだ…」

 

俺は焼きそばを食べ終わると、有希の後ろに行った。

 

「熱いのは?」

「猫舌だよ?」

「…無理ってことか」

 

俺は有希が当然のことを言うかのように言っていたのに少し笑った。有希の知らないところ知れたから。

 

「蒼くん、今度どこか行かない?」

「どこかって、どこだよ」

「適当な場所。咲希も行く?」

「行く!」

 

どこかも分からないままみんな行く事になった。みんな食べ終わると有希は食器を片付けに行った。

 

「有希、手伝おうか」

「ううん、大丈夫。咲希と遊んでて」

 

咲希ってそんな子どもだっけ。俺たちより3つくらい下だろ。だったら21歳くらいなはずなんだけど。

 

「咲希、遊ぶぞ」

「んにゅ」

 

なんか変な声だしたな。

 

「なんだその声」

「返事ー」

 

どこが返事だよ。とも思っていたが、俺は咲希と遊んだ。咲希はまるで幼稚園児のように背中に乗ったりしていた。

 

「おにいちゃーん、抱っこ」

「はいよ。ほら」

 

俺は咲希を前に抱き抱えた。そういえば、有希遅くないか?なんか洗い物に時間かかりすぎじゃないか?

 

「お兄ちゃん?目怖いよ」

「なんで」

「目赤くなってる…」

 

充血かなんかか。俺は放っておくと、咲希が心配そうに聞いてくる。

 

「ねぇ、充血じゃなくて、黒目のところ、赤くなってる」

 

黒目のところ?あぁ、だったら多分何かに集中してたからだろう。集合しすぎると赤くなるし、俺は。

 

「集合しすぎてたかな」

 

俺は集合をなくした。

 

「あ、戻った…」

「キッチンの窓だけに集合してたから」

 

俺はまた集中し始めた。いや、出る気配もないけど、有希はあそこにいる。

 

「有希、何してるんだろ」

「ただ洗い物してるだけでしょ」

「いやだって、10分以上経ってるし、それに音しないぜ?」

 

俺は心配になって咲希を前に抱いたままキッチンに向かった。

キッチンで有希はマットの上に倒れていた。俺は咲希を降ろし、有希を揺さぶった。

 

「有希!」

「……蒼くん…?」

「どうしたんだよ、倒れててさ」

 

俺は有希の事が心配だった。急に有希は笑って言った。

 

「やだなぁ、寝てただけだよぉ」

「へ?寝てた?」

 

俺は何を言ってるのか分からなかった。

 

「あっちまで戻るの面倒でさぁ、ここで座ってたら寝落ちしちゃった」

 

「寝落ちしちゃった」じゃあないんだよ。かわいく言ってもどうにもならんぞ。

 

「はぁ…」

「にゃ、ため息ついたにゃ!」

「そりゃあつくだろ…心配した」

 

俺は呆れたように言った。

 

「でも」

 

有希は俺に抱きついて言った。

 

「ありがとう、心配してくれて」

 

その有希は俺を慰めるようだった。だが、俺も有希を撫でた。

 

「心配するさ、有希なんだから」

「私も!」

 

咲希が俺たち2人に抱きつく。みんなが密着して暖かい。

 

「これが1番暖かいかもな」

「うん…眠くなってくる…」

「有希はさんざん寝ただろ」

 

有希は首をかしげた。絶対分かってるだろ。

 

「とにかく寝るな」

「えーっ、じゃあ抱きついていい?」

「今してるじゃん」

「もっと!」

 

有希は俺の背中に手を当て、ぎゅっと引き寄せた。

 

「……」

 

俺はなぜか緊張した。これだけ密着してると、有希のいろいろなところが当たっている。

 

「有希…」

「ん?あ…」

 

有希も気付いたらしく、俺から少し離れた。

 

「お、お風呂入ってくる!」

 

有希は風呂に向かって走っていった。照れ隠しだろう。

 

「なんかあったの?」

「聞くな」

 

俺は咲希を連れて部屋に戻った。

 

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