離れて近づいて 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
影山有希
影山咲希
以上3名


第10話 風邪

 俺は有希と旅行することになり、今日から出かける……はずだった。

 

「ゲホッ、ゲホッ」

「大丈夫か、苦しくないか」

 

有希が風邪を引いてしまい、咲希と俺で看病していた。俺は有希に寄り添い、咲希は慣れない料理を作っていた。

 

「うぅ…蒼くん…移っちゃうから…」

「今は有希が1番だ」

 

俺は有希の手を握った。有希は苦しそうに笑った。

 

「ほっとする…」

「今は風邪を治すことに専念してくれ。それが1番いい」

 

すると、キッチンから咲希の声が聞こえた。普通の声じゃなくて、叫んでいるようだった。

 

「行かなくちゃ…」

「俺が行くよ。ゆっくり寝てて」

 

俺は咲希のところに向かった。咲希はキッチンで仰向けになっていた。

 

「何してるんだ、咲希」

「お兄ちゃん…夕飯できたから…」

 

咲希はその場にグーグーと眠った。なんでそんなギリギリで作る…俺は咲希をクッションの上に寝かせ、すぐに戻った。

 

「有希、夕飯出来たってよ。持ってくるから待ってて」

「うん…ありがとう…」

 

俺は有希と俺の分を持ってきた。お粥だった。まぁ、病人にはこれがいいだろう。

 

「有希、口開けて」

「え?いいよ…食べれる…」

「大丈夫だから。ほら、口開けて」

 

有希は口を開けた。俺はそのなかにお粥を入れた。

 

「んぐ…」

「無理するなよ」

「自分で、食べれるから…」

「そうか…?無理するなよ」

 

俺は有希の部屋から出た。俺も疲労が溜まっていて、休みたかった。俺はリビングの咲希から離れた位置に座った。咲希はクッションに仰向けで眠っていた。場所が変わってないから寝返りすらうってないんだろう。俺はテレビもつけず、静かなリビングでボーッとしていた。

 

「……有希……」

 

俺はそれだけ言ってヘッドフォンをつけた。静かだった部屋は音楽で掻き消された。

 

 俺が気付いたときにはもう20:00を過ぎていた。俺は有希の部屋に向かった。

 

「有希、どうだ」

 

有希はぐっすり寝ていた。汗もかいている。熱も下がっていることだろう。俺は氷枕を新しいものに取り替えた。冷えピタも新しいものにした。有希は起きない。

 

(そうだ、旅行の準備するか)

 

俺は今日行けなかった旅行の準備を進めた。といっても、今日行くつもりだったから大半は終わっている。スーツケースにも着替えは入ってるし、各自のリュックなどにも自分のものは入っている。

 

(あとは…もう全部入れたか?)

 

俺は全てを確認した。すると、ひとつ足りないのに気づいた。

 

「あれ…俺の長袖4着あるのに、ズボン3着しかねぇや」

 

俺は自分の部屋のたんすからズボンをもう1着持ってきた。そして、スーツケースにいれる。

 

「あれ、それだと有希のズボンも1着足りないな…」

 

俺はさらに確認した。すると、有希のパンツが足りなかった。

 

「…取ってくるべきか…」

 

俺は有希の部屋に向かい、こっそりドアを開けた。お粥は全て食べていて、ぐっすり寝ていた。俺はこっそり有希のたんすを開けた。そして、パンツを1つ持ち、急いで外に出た。俺は溜めていた息を一気に吐き出した。

 

「はあぁぁ…これで大丈夫だろ」

 

俺はスーツケースの中に入れた。すごい変態みたいなことしたな…

俺はソファに座った。

 

【影山有希視点】

 

 私が目を覚ましたのは日が明けた8:30くらい。私はベットから起き上がってみた。氷枕がまだ冷たく、冷えピタも冷たかった。

 

「あれ…だるくない…」

 

私は部屋の中をぐるぐる歩いてみた。

 

「歩くの、辛くない…あ、熱」

 

私はテーブルの上に置いてあった体温計を手に取り、体温を測った。音が鳴り、私は数字を見た。

 

「36.2…全然平熱…治ったのかな…」

 

私は部屋から出てリビングに入った。

 

「おはよう、蒼くん」

 

リビングは静かで、蒼くんはソファでスーツケースを前に寝ていた。咲希はクッションでうつ伏せになって寝ていた。

 

「…蒼くん、ありがとう」

 

私は朝ごはんを作り始めた。すると、蒼くんがむくりと起き上がった。

 

「あれ…俺寝てた?」

「うん。寝落ちしちゃった?」

「あぁ、多分そう」

 

蒼くんはゆっくり歩いていた。私は朝ごはんのサンドイッチを作り始めた。

その時、蒼くんが私の後ろから抱きついた。

 

「ちょっと、蒼くん…危ないよ…」

「有希が足りなかった。しばらく、このままいさせてくれ…」

 

蒼くんは私に密着して言った。

 

「うん。いいよ」

 

私は前にあった蒼くんの手を握った。

 

「今日旅行行く?」

「そうするか。けど、有希から多分離れないよ?」

「ふふっ、面白い。いいよ、ずっとくっついてても」

「じゃあずっとキスしてても」

 

私は嫌じゃなかった。素直に私は答えた。

 

「いいよ?」

 

すると、蒼くんは私の口に蒼くんの口を付けてきた。

 

「んっ」

 

キスだった。蒼くんは一向に離れようとしない。

 

「ぷはっ」

「いやじゃないか」

「嫌じゃ、ない」

 

私は蒼くんに抱きついた。

 

「蒼くん、大好き」

「俺も。大好き」

 

私と蒼くんはぎゅっと抱きついたままでいた。

 

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