離れて近づいて 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
影山有希
影山咲希
新メンバー1名
以上4名


第12話 名古屋

 新幹線に乗ると、A、B、C席に3人が座った。新幹線の切符は今回の新横浜→名古屋のぞみ225号、名古屋→京都のぞみ35号。あとは翌日京都→東京のぞみ200号、東京→高崎はくたか555号。結構少なくしたつもり。最初は名古屋→奈良在来線考えたが、18:00近くなるからやめた。

俺は有希の隣に座り、手を繋いで静岡まで来ていた。

 

「むぅ…お兄ちゃん、お姉ちゃんとベッタリ…」

 

ベッタリって言うほどくっついてない気がするが。もうこれでくっついてる内に入るのかな。

 

「にぎにぎっ♪」

「やっぱり…届かないのをいいことに…」

「いや、違う!そうじゃなくて…ほら、妻だったら当然だろ?手を繋ぐのは」

 

俺は少し焦り気味に言った。咲希は泣きそうにこっちを見た。

 

「…じゃあ俺真ん中行くよ。そうすれば両方手繋げるだろ」

 

俺は真ん中にいた有希と場所を交代した。右側に有希、左側に咲希で、それぞれ手を繋いでいる。

 

「お兄ちゃんの手あったかい…」

「そうか?」

 

俺は咲希の手を包むように咲希の手の甲と手の平に手を添えた。

 

「……」

 

咲希は黙ってしまった。俺が心配そうに見ると、咲希は俺の手に頬を擦らせてきた。

 

「しばらく、このままでいたい…」

「はぁ…しょうがないな」

 

俺は咲希の顔を動かさないように背もたれに体重をかけた。

 

 俺は名古屋に着くとまずみんなが楽しみにしていた小倉トーストの店に向かった。店は名古屋駅構内にあり、近場のため結構すぐ行けそうだった。

有希は咲希の手を繋いで、俺は先頭を歩いていた。後ろに有希たちがいて、お供のように付いてきていた。

 

「ここだよ」

 

俺は店の前に着くと有希たちに言った。

 

「いい匂いするっ」

 

有希は匂いを嗅いで言った。俺にはそんな匂いしないけど、有希にはするのかな。

 

「じゃあ食べよっか」

「うん!」

 

俺たちは小倉トーストの店に入った。

小倉トーストが来ると、有希は早速食べ始めた。咲希もそれに続いて食べ始め、2人同時にうっとりとした顔になった。

 

「おいし~…」

「よかった。君もよかったろ?」

 

俺は近くで見ていた店員に言った。

 

「あぁ。よかった」

 

この人は俺が以前名古屋に来たときに俺と連絡先を交換し、俺がサインした人で、蒼井(あおい)壮太(そうた)。俺と同じ漢字が入ってたり、「そう」が名前に入っていることから俺と結構仲良くなった。連絡も含めて話したのは4年ぶりくらい。

 

「あの、これって家で簡単にできますか?」

「あ、えっと、フレンチトーストに小倉をかけて頂ければ家でも作れますよ」

「折角だったら俺が作ってやろうか?」

 

俺は有希に聞いた。しかし、有希は首を横に振った。

 

「ううん、自分で作りたい。蒼くんは、私の作った小倉トースト食べて?」

 

有希はニコッと笑って言った。

咲希は俺たちの横でうっとりしたような顔をしていた。咲希は美味しそうに食べていて、壮太も嬉しそうだった。

 

「あ、そうだ。蒼に伝えておくことがあったんだった」

「伝えておくこと?なんだ」

「昔話したじゃないか。5年くらい前かな。『124K2455834U』のこと」

 

『124K2455834U』?そんな番号あったかな。人違いかもしれないし。けど、124Kは聞いたことあるな。なんだったかな。えっと、なんかの暗証番号だったかな?もう覚えてないな。

 

「なんだっけ」

「はぁ!?忘れたのかよ!?あれほど命に関わることだって言ったのに」

 

そんな重要なことだったか。

俺は必死に思い出した。5年前は22歳で、運転士はまだやっていた。124K2455834U…

その時、俺の中にふと1つ思い浮かんだ。そう、英語の前の数字たちを足すことだ。

 

「7K31U?」

「もう分かったろ」

 

俺は7K31Uが指す言葉を思い出した。7K31U…あ!

 

「5年前の爆破予告」

「そう。高崎駅前ビル爆破予告」

 

高崎駅前ビル爆破予告なんて、もう爆発物は撤去されて、それに実際爆発はしなかった。

 

「爆発しなかったんだろ?」

「あぁ。しなかった」

 

こう言うってことは、何かあるんだろう。俺は有希と咲希を先に名古屋城へ向かわせた。

 

「有希、咲希を連れて先に名古屋城にいってなさい」

「うん。咲希、行くよ」

 

有希もなんとなく察したらしく、すんなり出ていった。俺は店の裏で話した。

 

「それで、しなかったのに何の問題があるんだ」

「報道されてたろ、爆発物は撤去されたって」

「あぁ。だから、爆発しないんだろ?」

「爆発するもの。爆弾、ダイナマイト以外に何がある」

 

爆発物ってことだよな?化学物質を使うと、塩酸、水素、過酸化水素…金属片を塩酸で溶かし、水素を発生させ、火をつける。すると、小さな爆発が起こる。あとは、先述の物質を全て混ぜる。

 

「塩酸、水素とか」

「だろ?爆発物が撤去された。じゃあ、そのあとタイマーですべての物質を入れ、加熱すれば」

 

そうすれば、建物全体が崩壊してもおかしくはない。

 

「まさか…」

「設定時刻は、明日16:00。±10分で爆発するだろう」

 

明日、か。ちょうど行くけど、爆発しないといいな。

 

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