離れて近づいて 完結   作:月島柊

14 / 26
第13話 京都→奈良→京都

 俺たちは名古屋城を見てから、名古屋駅に戻った。名古屋からはのぞみ35号博多行きに乗車。1駅だけだけど。

 

「1駅新幹線?」

 

やっぱり言われるとは思った。だけど、意味がない訳じゃない。

 

「24分だから結構あるぞ」

「そこからは?」

「鹿に会いに行く」

 

鹿で有名な奈良公園だ。京都からは近鉄。JR以外に弱い俺にはもうさっぱりだ。関東大手私鉄にも疎い俺には関西大手私鉄なんてもっての他だ。

 

 京都には15:21。ここからは乗換案内にそって奈良公園へ向かう。15:31発近鉄京都線急行天理行きで大和西大寺に行き、大和西大寺から16:16発近鉄奈良線快速急行近鉄奈良行き、近鉄奈良から16:24発奈良交通62系統山村町行きで東大寺大仏殿・春日大社前、そこから歩きになる。

 

「あれ、名所だから混んでると思ったのに」

「まだ京都だからまだだよ」

 

天理行き急行は時刻通り出発した。思ったより短かったため驚いた。

 

「どこら辺から混む?」

「バスは混むだろうなぁ。近鉄奈良に着いたら走るよ」

 

近鉄奈良駅からバス停まで6分と書かれていたが、乗り換えは3分しか取っていない。急がないと乗れないのだ。

 

「大丈夫!頑張る!」

 

自信満々だった。

 

 電車は大和西大寺に着く。同じホームから近鉄奈良行きが出発する。2駅ですぐに着き、16:21に近鉄奈良に到着した。俺たちは走り、バス停に向かった。

 

「まってぇ!」

 

有希が俺を呼ぶ。俺も疲れはてて、スピードが落ちる。

 

「ああっ!バス!」

 

結局、俺たちが遅くてバスは行ってしまった。

 

「次の…はぁ、はぁ、バスは…はぁ…?」

 

息を切らしながら咲希は言った。乗換案内を見ると、16:32発奈良交通2系統JR奈良駅行きらしい。もう結構待ってる人がいて、俺たちは後ろに並んだ。

 

「Excuseme.」

 

俺の後ろに並んだ人が話しかけてきた。女性の外国人で、訪ねていた。

 

「え、え、えっと…」

 

有希と咲希があたふたしていた。俺はすんなり答えた。

 

「OK」

「Thankyou very match.」

 

外国人は質問を続けた。

 

「I went to go to Nara Park, Should I take this bus?」

 

直訳すると、奈良公園に行きたいんですが、このバスに乗ればいいですか?と聞かれている。指差した方向には違うバス。俺は答えた。

 

「No, please take the bus departing at 16:32.」

 

外国人は驚いたようで俺の手を握った。

 

「Oh! It was another bus! Thank you very match!」

 

有希は俺のことを疑う目で見ていたが、俺は外国人の手を上下に揺らして、手を離した。

 

「Yuki, I'm sorry.」

「え、えっと…浮気しないでね?」

 

俺は有希の頭を撫でた。すると、さっきの外国人が言った。

 

「Are you your best friend?」

「That's wrong.This person is my wife.」

 

外国人は笑って言った。

 

「Oh!It's a very good couple!」

「Thank you」

 

有希も顔を赤くしていた。だってとてもよいカップルって言われたから。

 

 俺はバスが来ると外国人を咲希に譲り、有希、咲希と一緒に乗った。バスは結構混んでいて、通勤ラッシュの山手線より混んでいた。

 

「有希、咲希、俺に抱きつけ」

「え!?ちょ、公共の場所で!?」

「違う、そういう意味じゃない。はぐれないようにだ」

 

そういうと、有希はにっこり笑って俺に抱きつき、咲希も俺に抱きついた。

 

「ぎゅーぎゅー」

 

有希が面白そうに言う。しかし、ここから地獄だ。

俺はバスに乗った。まだ空いている方だったため、中の方まで行けた。しかし、その後は後ろにいた人たちが押し寄せ、2人が抱きついているのも一苦労だった。

 

「蒼くん…離れないからねっ」

「お兄ちゃん…離れないよ」

 

2人は頑張って俺に抱きつく。俺はご褒美を言った。

 

「最後まで抱きついていられた人にはホテルでキスしてあげよう」

 

俺は2人の耳元で小さく言った。すると、有希はさっきより力強く抱きしめ、咲希は手をきつくした。

やがて全員が乗り、乗車率は多分200%を越えている。

 

「ぎゅうぎゅうだね」

 

有希はかわいく言った。下から目をうるうるさせて言ったから、かわいくてしょうがない。

 

「っ!」

「お兄ちゃん…」

 

咲希は離れないように手に力を入れて、しがみつこうとしている。

 

「分かった。離れるなよ」

 

俺は奈良公園まで離れるかどうかを見守っていた。

 

 結局、奈良公園の最寄りバス停まで離れることはなかった。しかし、2人とも奈良公園までくっついていた。

 

「あれ、なんでずっとくっついてるんだ」

「だって、最後まで抱きついていられた人って言ってたから」

 

そういうことか。ずっと抱きついてたの。

 

「そうか。もう離れていいぞ」

 

そう言うと、咲希は少し遠ざかった。

 

「じゃあ、鹿に会いに行こうか」

 

俺たちは鹿に会いに行った。

鹿は有希と俺の間に入ろうとしていたが、結局咲希の方にみんな行ってしまった。俺たちも来たときに触ってたけど、意外と柔らかかった。

 

「じゃあ、ホテル行こうか」

 

俺たちは18:16発奈良交通72系統奈良県総合医療センター行きでJR奈良まで向かった。

 

 18:30に奈良駅に入り、18:55発奈良線快速京都行きに乗って京都に帰った。41分発の京都行きに乗って、木津で新三田行き学研都市線、祝園から新祝園まで歩き、近鉄京都線急行京都行きで帰った方が早いが、乗り換えが面倒。

 

「蒼くん、やっぱりJRだよね」

 

俺が単純にJRで帰りたかったのもある。まだ親しみがあるから。

 

「19:47に着くから」

 

俺はその場で寝た。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。