俺たちは名古屋城を見てから、名古屋駅に戻った。名古屋からはのぞみ35号博多行きに乗車。1駅だけだけど。
「1駅新幹線?」
やっぱり言われるとは思った。だけど、意味がない訳じゃない。
「24分だから結構あるぞ」
「そこからは?」
「鹿に会いに行く」
鹿で有名な奈良公園だ。京都からは近鉄。JR以外に弱い俺にはもうさっぱりだ。関東大手私鉄にも疎い俺には関西大手私鉄なんてもっての他だ。
京都には15:21。ここからは乗換案内にそって奈良公園へ向かう。15:31発近鉄京都線急行天理行きで大和西大寺に行き、大和西大寺から16:16発近鉄奈良線快速急行近鉄奈良行き、近鉄奈良から16:24発奈良交通62系統山村町行きで東大寺大仏殿・春日大社前、そこから歩きになる。
「あれ、名所だから混んでると思ったのに」
「まだ京都だからまだだよ」
天理行き急行は時刻通り出発した。思ったより短かったため驚いた。
「どこら辺から混む?」
「バスは混むだろうなぁ。近鉄奈良に着いたら走るよ」
近鉄奈良駅からバス停まで6分と書かれていたが、乗り換えは3分しか取っていない。急がないと乗れないのだ。
「大丈夫!頑張る!」
自信満々だった。
電車は大和西大寺に着く。同じホームから近鉄奈良行きが出発する。2駅ですぐに着き、16:21に近鉄奈良に到着した。俺たちは走り、バス停に向かった。
「まってぇ!」
有希が俺を呼ぶ。俺も疲れはてて、スピードが落ちる。
「ああっ!バス!」
結局、俺たちが遅くてバスは行ってしまった。
「次の…はぁ、はぁ、バスは…はぁ…?」
息を切らしながら咲希は言った。乗換案内を見ると、16:32発奈良交通2系統JR奈良駅行きらしい。もう結構待ってる人がいて、俺たちは後ろに並んだ。
「Excuseme.」
俺の後ろに並んだ人が話しかけてきた。女性の外国人で、訪ねていた。
「え、え、えっと…」
有希と咲希があたふたしていた。俺はすんなり答えた。
「OK」
「Thankyou very match.」
外国人は質問を続けた。
「I went to go to Nara Park, Should I take this bus?」
直訳すると、奈良公園に行きたいんですが、このバスに乗ればいいですか?と聞かれている。指差した方向には違うバス。俺は答えた。
「No, please take the bus departing at 16:32.」
外国人は驚いたようで俺の手を握った。
「Oh! It was another bus! Thank you very match!」
有希は俺のことを疑う目で見ていたが、俺は外国人の手を上下に揺らして、手を離した。
「Yuki, I'm sorry.」
「え、えっと…浮気しないでね?」
俺は有希の頭を撫でた。すると、さっきの外国人が言った。
「Are you your best friend?」
「That's wrong.This person is my wife.」
外国人は笑って言った。
「Oh!It's a very good couple!」
「Thank you」
有希も顔を赤くしていた。だってとてもよいカップルって言われたから。
俺はバスが来ると外国人を咲希に譲り、有希、咲希と一緒に乗った。バスは結構混んでいて、通勤ラッシュの山手線より混んでいた。
「有希、咲希、俺に抱きつけ」
「え!?ちょ、公共の場所で!?」
「違う、そういう意味じゃない。はぐれないようにだ」
そういうと、有希はにっこり笑って俺に抱きつき、咲希も俺に抱きついた。
「ぎゅーぎゅー」
有希が面白そうに言う。しかし、ここから地獄だ。
俺はバスに乗った。まだ空いている方だったため、中の方まで行けた。しかし、その後は後ろにいた人たちが押し寄せ、2人が抱きついているのも一苦労だった。
「蒼くん…離れないからねっ」
「お兄ちゃん…離れないよ」
2人は頑張って俺に抱きつく。俺はご褒美を言った。
「最後まで抱きついていられた人にはホテルでキスしてあげよう」
俺は2人の耳元で小さく言った。すると、有希はさっきより力強く抱きしめ、咲希は手をきつくした。
やがて全員が乗り、乗車率は多分200%を越えている。
「ぎゅうぎゅうだね」
有希はかわいく言った。下から目をうるうるさせて言ったから、かわいくてしょうがない。
「っ!」
「お兄ちゃん…」
咲希は離れないように手に力を入れて、しがみつこうとしている。
「分かった。離れるなよ」
俺は奈良公園まで離れるかどうかを見守っていた。
結局、奈良公園の最寄りバス停まで離れることはなかった。しかし、2人とも奈良公園までくっついていた。
「あれ、なんでずっとくっついてるんだ」
「だって、最後まで抱きついていられた人って言ってたから」
そういうことか。ずっと抱きついてたの。
「そうか。もう離れていいぞ」
そう言うと、咲希は少し遠ざかった。
「じゃあ、鹿に会いに行こうか」
俺たちは鹿に会いに行った。
鹿は有希と俺の間に入ろうとしていたが、結局咲希の方にみんな行ってしまった。俺たちも来たときに触ってたけど、意外と柔らかかった。
「じゃあ、ホテル行こうか」
俺たちは18:16発奈良交通72系統奈良県総合医療センター行きでJR奈良まで向かった。
18:30に奈良駅に入り、18:55発奈良線快速京都行きに乗って京都に帰った。41分発の京都行きに乗って、木津で新三田行き学研都市線、祝園から新祝園まで歩き、近鉄京都線急行京都行きで帰った方が早いが、乗り換えが面倒。
「蒼くん、やっぱりJRだよね」
俺が単純にJRで帰りたかったのもある。まだ親しみがあるから。
「19:47に着くから」
俺はその場で寝た。