離れて近づいて 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
影山有希
影山咲希
月島柊
以上4名


第17話 暴走

 俺は咲希の話を楽しいものに変えようとしていた。しかし、あまり変わらない。

 

「うっ……お兄ちゃん……」

 

さっきから何回も、咲希の魔力の暴走が続いている。有希も入ってきて、2人で抑えていた。

 

「咲希、深呼吸して」

 

効くか分からないことを俺は行う。

 

「咲希、落ち着いて。なにも考えないで」

 

有希も抑えようとしている。

咲希の魔力の暴走は3分に一回程度の発生だ。ただ、速いときは数十秒の時もある。

 

「うっ……うが……がぁあっ……」

 

咲希の体が段々おかしく動いてくる。ダメだ、動かしちゃ。

 

「がああっ!ふがっ!あああっ!」

 

咲希の身体に俺は抱きつく。もう動けないように今までにないほどのきつさで、

 

「があああああっっっっっっっっっ」

 

咲希は俺の身体を切り裂くように振り払い、付き飛ばした。

 

「いたっ……どうしたんだ、咲希──」

 

咲希は俺の目の前にいた。首から触覚のようなものが出ていて、その姿は、まるで人間ではなかった。

 

「…………っ」

 

咲希はその触覚を動かし、俺に向ける。

 

「咲希、落ち着け。ほら、焦ってるんだよ」

「うるさい!」

 

咲希はその触覚を俺に刺す。

 

「ぐはっ……」

「蒼くん!」

 

有希が叫ぶ声が聞こえる。一方の俺はというと、幸いにも、かろうじて意識はあった。

そのぼんやりとした視界に有希と咲希が入ってくる。今度の標的は有希だ。有希は刺されないようにそこら中に動き回る。それを咲希が追いかける。

しばらくすると追い付かれてしまい、有希は俺の上に倒れた。

 

「……うっ……うあぁ……」

 

咲希はその場で倒れた。それを確認すると、微かな意識の中、俺は立ち上がった。

 

「有希……咲希……」

 

俺は左記の近くに寄った。咲希の触覚も動かなくなっていて、切れそうだった。

 

「……」

 

しかし、俺は手を止めた。襲われる恐怖心より、切ったら咲希がどうなってしまうのかという恐怖心があったからだ。

 

「咲希……」

 

俺は服を着て、風呂場から出た。すぐに助けを呼ぶため、俺は柊に電話した。

 

「柊……」

 

すぐに柊は電話に出てくれた。

 

《あぁ、どうしたんだ》

「……咲希の……魔力が……」

《っ!どこだ、それ!》

「草津ホテル……」

 

電話は切れた。もう俺も限界が近づいていた。

 

「最後くらい、終わるんだったら、有希の近くで……」

 

俺は服を来たまま風呂場の中に入り、有希の近くに倒れた。最後は、有希の近くで迎えたい。ずっと一緒だから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつか、俺は目が覚めた。

 

 

 

 そこには有希がいて、俺は雲の上にいた。

 

 

 

 「蒼くん」

 

 

 

 「おう、有希……俺たち、どこにいるんだ」

 

 

 

 「……天国、かな」

 

 

 

 

 天国、か。ということは、俺たち、死んだのか。

 

 

 

 

 「有希、天国でも、一緒にいような」

 

 

 

 「うん。ずっと、一緒──」

 

 

 

 俺の視界が急に崩れる。ガラスが割れるようにヒビが入ったあと、割れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「っ!」

 

俺に意識が戻った。すぐとなりで有希が血を流して、全裸で座っている。風呂にいたままだったんだろう。俺は、傷口こそ見えないが血は出ている。

背中が相当濡れていて、風呂場の床で意識を失ったのが分かる。

 

「蒼くん……起きたんだね」

「あぁ……咲希は」

「まだ起きてないよ……もうすぐ、柊くんたち来ると思う」

 

有希も痛そうに話す。痛みしかない。

 

「咲希が悪いんじゃないと思うんだ……」

「うん……」

 

俺と有希は咲希の事を話していた。

すると、ドアが勢いよく開いた。

 

「咲希か、暴走したのは」

 

柊だった。柊はすぐに駆け寄った。

 

「これは……一定の量を超えたのか。普通、魔力は70%以上の使用を注意、80%以上は暴走危険範囲、85%以上は暴走確定範囲、90%以上は致死量ってなってる。それを、咲希は87%使用していた」

「自然に起こることなのか」

「魔法が使える人であれば、常に魔力は宿っている。測ってみるか」

 

俺は腕を出した。有希も一緒に出す。

 

「……」

 

計測器には、俺が16%、有希が17%、柊が40%と書かれていた。

 

「回数によって誤差があるから、俺は高いんだ」

 

柊でも40%ってことは、よっぽど多かったんだな。

 

「俺が最大で使ったことがあるのは89%。89%までいくと、慣れてる俺でも制御が効かなくなる」

「じゃあ、咲希は」

「1ミリも制御できていなかったはずだ」

 

柊は咲希の身体をロープで縛る。手も動かなくする。

 

「柊!」

「これしかないんだ。被害を広げてもらっても困る」

 

柊は咲希を縛った。

 

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