影山蒼
影山有希
影山咲希
月島柊
以上4名
意識が戻った咲希は縛られたためか抵抗し始める。柊は腕だけを出して縛っていた。
「離してっ!」
咲希が必死で抵抗する。
すると、柊が普通のとは少し刃先や色が違うナイフを取り出した。そして、咲希から出ている触手に向けた。
「柊!何しようとしてるんだ!」
「触手を切る」
柊は咲希の触手に特殊ナイフを近づける。
「神経は通ってるのか」
「……うん……」
通っているようで、柊は「そうか」と呟き、触手を1本切る。
「がああぁぁっ!」
柊は皮膚のギリギリで上手く切り、切った後は皮膚と一体化していた。しかし、切ったせいで血が大量に出ている。
「咲希!」
「うっ……あぁ……たす、け、て……」
咲希は力が入らないようで、ぐったりしていた。
「片方も切るからな」
俺はじっと咲希の触手が切られるところを見てしまっていた。
「……うっ……」
咲希はもう声もでなくなった。風呂場の床は血まみれになる。
「咲希……」
「おね、え、ちゃ、ん……ごめん、ね」
咲希は血が垂れたまま柊によって転移していった。
浴室には、俺と有希だけで、2人きりになる。いつもだったら嬉しいが、今は、違う。
「咲希……」
俺は思わず名前を呟く。有希は咲希が居た場所を触る。もう姿はない。
「……血、流すか」
「うん……」
俺と有希は協力して血を流した。
「……」
「……」
2人で黙り込んでいた。こんな状況で、何を話せばいいか分からなかったからだ。
「……」
「……何か、話そ?重い空気になってきたよ……」
「……今日、一緒に寝ようか……」
「……うん……」
分かってる。こんな早く終わる会話だって。だけど、何故だろう。言葉を選べない。「文節」どころか、「単語」も思い浮かばない。どうしたらいい。
「……流れたよな」
「うん……」
有希は1人で浴室から出た。俺が1人取り残された。俺は少し残っていた、咲希が抵抗した爪痕を見た。ロープで縛られたためか、流れなかった壁には、ロープの細かい糸がくっついていた。
なんて残酷な光景だっただろう。目の前で血を吐き、抵抗する姿は。
「……戻ろう」
俺も浴室から出た。
そこに有希の姿はなかった。しかし、泣く声だけが聞こえる。扉が閉まっているクローゼットの中で泣いているんだろう。
声をかけるのは悪いと思い、俺は1人でテーブルに向かった。
「なんで、よりによって咲希が……」
俺はそれだけ言って、眠ってしまう。
【月島柊視点】
俺は咲希を縛って、仮想世界に転移した。理由があって縛っているんだ。傷つけようだとか、そんな意図は一切ない。
「柊くん……何するの」
咲希が思いっきり俺を睨む。ふざけた睨みではなく、怒り狂っている睨みだった。その目の奥には、どんどん上がる魔力が分かる。目の色が紫や赤が混じった色に近づいてくる。
「傷つけたりはもうしないから。安心して」
そう言っても、咲希の魔力と怒りは増していくばかりだった。
「そう言って早速なんだけど、魔力の軽減を行いたい。あの装置の下に行って、白いやつを手の甲に付けてくれ」
咲希は警戒しながら言われた通りにした。
「動くなよ」
俺はその装置を作動させた。魔力が電気によって軽減させられる。
30秒ぐらいで終わり、咲希は俺の前に来て、手を合わせた。
「あ、ありがとう……」
「いいよ。蒼と有希の為だから」
俺は魔力値計測器を出し、咲希の手首に付けた。
「20%……一般人だと高いな……」
俺は自分の魔力値を確かめる。
「俺が15%だから、やっぱり高いな」
俺はさっきの機械でもう一回電気を発生させ、咲希の魔力を下げる。さっきより高電圧で、時間も長めだ。
「咲希、苦しいだろうけど、我慢してくれ」
俺は電気をかけ始める。
「あっ……」
咲希は声を漏らしたあと、もう一切動かなかった。電気によって気絶したか……?しかし、今触ることはできない。45秒待つことにした。
45秒経つと、俺はすぐに咲希を救った。どうなっているか心配だったから。
「咲希!」
「ふぅ、はぁ、はぁ……無理……」
咲希は苦しすぎて動けなかったらしい。
「測るからな」
俺は魔力値計測器を咲希の手首に付けた。
「……2%……大丈夫だろ。じゃあ、明日帰れるからな。今日は俺の家に泊まっていくといい」
「うん……そうする……」
咲希は俺の手を握って、一緒に転移した。