成人式から5年経った25歳のとき、俺は有希に招かれて、日暮里の家に久しぶりに行った。何年ぶりだろう。俺は運転免許はもってるが、運転士は緊急時を除いて辞めた。だって、あの人と一緒にいたいから。
俺が家の前につくと、有希がドアを開けてひょこっと体を出した。
「入って、蒼くん」
「失礼します」
有希の方が1つ年下。しかし、有希にも妹がいて、その妹は有希の3つ下。俺の4つ下だ。今は21歳で、大学に行っていないからバイトをしている。
「あ、蒼くん。こんにちは」
「こんにちは。
妹の名前は桃内咲希。姉妹揃ってかわいくて、今月みたいな暑い月でもファッションにこだわっている。
「蒼くん、私が言いたいことは一つ」
俺もこの場で言おうか。俺は言うべきことを頭の中で整理して、言う準備をした。
「俺もいいかな」
「じゃあ蒼くんから」
まずい、俺が先だとは思わなかった。どうしよう、あれを言っていいんだよな。
「有希、単刀直入に言う」
俺は勇気を振り絞って言った。フラれてもいい。思いを伝えたいだけだ。
「好きだ、付き合ってくれ」
「っ!」
有希は驚いたような顔をした。やっぱり、拒否されるかな。
「私も言うね」
フラれる覚悟はある。告白したんだからあるに決まってる。
「蒼くん、結婚しよ?」
「え…いいのか?」
「蒼くんっ!」
有希は俺に抱きついた。有希は高校の頃とは見違えるほどにきれいだった。
「お姉ちゃん、結婚成立した?」
「うん!蒼くん♪」
有希は俺に向けて笑った。俺も有希に笑い返した。咲希は横で安堵の表情を浮かべていた。
俺は有希の家にしばらくいることにした。1人暮らしの家に帰りたくないっていうのもあったけど。俺と有希は結婚したみたいにべったり。
「蒼くん、いつぐらいに帰る?」
「あと1時間したら帰ろうかな。寂しいけど」
有希は「ありゃりゃ」と言って、俺に後ろから抱きついた。
「寂しいなんて言っちゃダーメ。いつか同居するから、それまでの辛抱だよ」
「それもそうか」
俺は有希に自分から抱きついた。初めてかもしれない。初めて抱きついたのは。
「もうお兄ちゃんだもんね」
咲希が言った。そうだ、俺と有希が結婚したら姉の有希の妹が咲希なんだから、俺は咲希の義理の兄になるのか。
「そうだね。義理だけど」
「お兄ちゃんが出来たからいいのっ」
咲希は自慢するようだった。兄がよっぽど欲しかったんだろう。
俺は大体14時くらいに有希の家を出た。咲希から「次いつ来るの」と聞かれたから俺は「今週中には来る」と言って家を出た。
「蒼くん、家まで送る」
「え、結構距離あるぞ?」
「高校の時に送ってもらったから。お返し」
有希は俺についてきた。東大宮から変わってないから有希は分かるはずだ。
「上野まで行くの?」
「ちょっと待って」
俺は乗換検索で調べた。14:10の山手線に乗って上野まで行けば、上野を14:25に出発する宇都宮行きに乗れる。あれ、けど1590Eって、確か…
「どうだった?」
「ああ、14:10で上野まで行く」
俺はその事を伝えると、早速有希は俺の手を引いて山手線の10番線へ。1590Eってなんか運転したことあるな。あれ、14:08が10両だよな?さすがに次がすぐ10両なのは…いやけど、間が17分空いてると間に湘南新宿ラインがいるから、10両かも。というかその可能性が高い。
山手線は上野に14:14。乗り換えは11分ある。
「5番線からだっけ」
「あぁ。なんか飲み物買うか」
俺は5番線に行く途中にあるコンビニで飲み物を買った。そして5番線のホームに上がる。
「あと4分か」
「10両だって」
やっぱりそうか。俺は5番線で1590Eを待った。
やってくると、すぐに抑止の表示が出た。そして、救急隊員が運転席の運転士を運ぶ。車内では、車掌が言った。
「誰か運転士の方は!」
運転士を探しているそうだ。急病だろうか。
「俺が行くしかないよな」
「行くの?」
俺は返事代わりに手を挙げた。周りの視線が一気に集まる。
「俺が運転します。どこまでですか」
「大宮に代わりの人を手配したので、大宮までです」
大宮までだったらすぐ終わる。けど、こんなことをしている間に時間は過ぎていく。
「分かりました」
俺は運転席に入った。10両のU520編成。俺は運転指令に連絡した。
「こちら代わりに入りました
《了解です》
俺は時刻を確認した。14時25分15秒出発が、今は14時29分45秒。4分30秒の遅延だ。
すべての確認が終わった時には14時30分35秒。俺は車掌に連絡した。
「機器点検終了。運転再開します。どうぞ」
《了解です。車内放送終わり次第ブザー鳴らします。どうぞ》
「了解です。終話します」
俺はブザーが鳴るまで待った。
ブーッ
ブザーが鳴って俺はブレーキの緩解試験をして、出発した。14時32分45秒出発。7分30秒延発だ。大宮までには5分遅れ程度にしておきたい。
尾久には7分15秒延着。停車時間は20秒程度にして、7分5秒延発。
赤羽には7分0秒延着。停車時間は5秒短くして6分55秒延発。
浦和までの間は制限速度ギリギリで走行し、入線速度も今までで1番速かった。その結果、浦和には5分45秒延着。その後、5分40秒延発した。
さいたま新都心には5分25秒延着。5分20秒延発した。
大宮には5分15秒延着。5分台には持ってこれたが、ここで2分停車だから、戻ってしまう。
「異常無しです。すみません、5分15秒延着です」
「えぇっ!?上野から2分15秒も回復したんですか!すごいですよ。あそこは回復しづらいのに」
結構運転したから分かっただけだ。俺はそのまま客室に戻り、東大宮まで乗った。
「蒼くんの電車乗ったのはじめてー」
「よく言うさ。覚えてるからな、2年前、1546Eで乗ってたの」
有希は覚えてないそうだけど、俺は2年前の平日、品川から上野まで乗ってたのを覚えている。運転席の後ろのガラスにべったりくっついてたんだから。
「あのときは蒼くんに会えないかなーって思って全部の電車乗ってたんだもん」
俺のためにそこまでしたのか。
「ありがとう、有希」
宇都宮線の信号は、上野から
5番出発信号
第3閉塞
第2閉塞
第1閉塞
第1場内
第2場内
高架出発
第1場内
第2場内 尾久駅構内
出発信号
第9閉塞
第8閉塞
第7閉塞
第6閉塞
第5閉塞
第4閉塞 赤羽駅
第3閉塞
第2閉塞
第1閉塞
場内信号
第18閉塞
第17閉塞
第16閉塞
第15閉塞
第14閉塞
第13閉塞
第12閉塞
第11閉塞
第10閉塞
第9閉塞 浦和駅構内
第8閉塞
第7閉塞
第6閉塞
第5閉塞
第4閉塞
第3閉塞
第2閉塞 さいたま新都心駅構内
第1閉塞
9番場内
場内信号 大宮駅構内
9番東北出発
以上が大宮駅までの信号です。中継信号もあるけどね