離れて近づいて 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
影山有希
影山咲希
月島柊
以上4名


第19話 咲希!

 俺は翌日、咲希に転移場所の候補を聞いた。やはり、蒼の家がいいらしい。俺は転移先をそこにして、魔方陣を作った。

 

「咲希、いっぱい遊んであげろよ」

「うん!じゃあね!」

 

咲希が転移しいていった。これで、咲希もひと安心だろう。

 

【影山蒼視点】

 

 俺と有希は帰ることにした。ホテルを後にして、もう暗くなった20:00、長野原草津口駅に到着した。20:33発、吾妻線普通、高崎行き最終電車に乗車し、高崎まで移動する。その後、22:08発あさま632号東京行きで東京まで移動する。

 

「有希、今は、帰ろう」

「……うん……」

 

有希は寂しそうだった。実の妹を失ったのだから。

 

「ご乗車ありがとうございます。この電車は、吾妻線、上越線直通の、高崎行きです。この電車、新前橋まで最終電車として運転いたします」

 

最終電車という言葉が、俺と有希をこの世界に引きずり戻す。

 

「主な駅の到着時刻、ご案内いたします。途中、中之条には21:01、渋川21:30、新前橋21:45、終点、高崎には21:55、午後9:55の到着です」

 

車掌からのアナウンスが誰もいない車内に響く。

 

「有希、俺も気持ちは同じだから」

「そうだよね……ありがとう……」

 

 

 俺は高崎に着くと、急いであさま632号の切符を取る。指定席は長野からの乗客で満席だったため、自由席にした。

自由席は窓側全てが埋まっていたが、幸いにも、通路側は空いていた。

あさま632号は、22:08に高崎を出発。停車駅と到着時刻は、

大宮22:36

上野22:55

東京23:00

だ。

 

 東京まで座れることができただけでいいが、有希と俺の感情はどんより沈んだままだった。

 

「蒼くん……次は……」

「23:22発普通国府津行き……」

 

俺たちは元気を失ったまま電車に乗った。9番線からの当駅始発で、席は全て空いていた。俺たちはクロスシートに腰を掛けた。

 

「ご乗車ありがとうございます。この電車は東海道線、国府津行きです。1号車を先頭に、1番後ろが15号車です。終点国府津まで長い15両で運転いたします。お手洗いは1番先頭1号車、中ほど6号車と11号車、グリーン車のお手洗いは5号車にございます。主な駅の到着時刻をご案内いたします。品川には、23:31、横浜23:49、大船0:04、茅ヶ崎0:16、終点国府津には0:36、明日午前0:36に到着いたします。また、車内のマナーにつきましても、ご協力をお願い致します。次は、新橋です」

 

長いアナウンスが終わり、ジョイント音と、インバーターの音しか聞こえなくなった。

 

「有希、今日は早く寝よう」

「うん……」

 

俺と有希は家に帰ってからの事を話した。

 

 藤沢には0:09。スーツケースを開けると、今日咲希が着る予定だった服があった……

 

「……寝るか」

「うん……」

 

俺たちはベットで寝た。

 

 俺が仕事に行くと、会社の社員たちから心配された。

 

「どうした、元気ないぞ」

「え、あぁ、なんでもない。昨日旅行したからかな……」

 

俺はテーブルに向かった。

 

 仕事が終わって、疲れ果てて帰ってきた旅行翌日。もうクタクタだ。

そんな俺の目の前に、突如水色の光が見えた。幻覚かと思い、もう一度見ても、消えていない。

 

「なんだ──」

 

その時、俺の上に急にのっかってくるものがあった。

 

「お兄ちゃん!」

 

お兄ちゃんと呼ぶその女性。よく見ると、見慣れた姿。

 

「お兄ちゃんっ!」

 

もう一度呼ぶ女性。それは、あの日、居なくなった咲希だった。俺は信じられず、夢ではないのかと疑った。その証明を自分にするため、咲希であろう女性を抱く。

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

 

確かに抱いている感触がある。ちゃんと人の感触で、呼ぶ声も咲希と同じだ。髪の色、長さ全て咲希だ。俺の疑いは全て晴れた。

 

「咲希!咲希!」

 

俺はひたすらに咲希の名前を呼ぶ。

 

「蒼くん、咲希は──」

 

有希がキッチンから出てくる。有希は咲希に気付く。

 

「お姉ちゃん!」

 

有希は咲希に聞く。疑っているらしい。

 

「咲希、血液型は」

「何言ってるの?お姉ちゃん」

 

咲希は有希に抱きついて言う。

 

「Bでしょ、お姉ちゃんと同じ!」

「やっぱり咲希だっ!」

 

有希も嬉しそうにハグする。

 

「お姉ちゃん!ただいまっ!」

「おかえりっ!咲希!」

「おかえり、咲希!」

 

2人で歓迎した、

咲希がいるだけで、こんなに空気が変わるんだ。重要な存在だ。

 

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