今回の登場人物
影山有希
影山蒼
以上2名
有希と一緒に病院に行き、診断された内容は、骨折だった。ドミノ倒しによって、膝に強い衝撃が当たり、骨折してしまったらしい。
俺が自分を責め始めると、病院の人と有希は「あなたのせいじゃない。渋谷の輩のせいだ」と言ってくれた。
有希は車椅子か、松葉杖どちらがいいか選ばされた。有希は、「車椅子だと蒼くんとハグできない」という理由で、松葉杖の生活を送ることになった。
全治約5ヶ月。しかし、有希はもう折らないと言わんばかりに、カルシウムを多く含むものを食べたり、毎朝牛乳を飲んだりして、骨を強くしていった。
「有希、ごめん」
「いいよ、蒼くんのせいじゃないんだし」
有希は松葉杖を付いて上にあがっていく。俺はその姿を見ると心がきつく締め付けられるようだった。
「有希、手伝う」
「……蒼くん…」
俺は有希の松葉杖を持ち、肩を貸す。
「ふぅ、はぁ、蒼くんのお陰ですぐ上れそう」
「そうか。良かった」
俺は有希の体を支えて歩いていく。
2階に着くと、また有希は松葉杖を持とうとする。
「待て」
「はいっ!」
俺は有希に不意打ちのキスをした。そして、何も言わずにリモートの仕事に戻った。
「すいません、遅れました」
《ああ、いいんだ。怪我をされたんだって?お嫁さんが》
「はい……明日、有給とってもいいですか」
《いいよ、ゆっくり看病してあげなさい》
「ありがとうございます」
こんな会話から、会議は始まった。
《それでは、画面のPDF2ページをご覧ください。こちらには、今年度発生した大きな輸送障害について載っています。ここの件について、影山さん、お願いします》
俺はお願いされて参加する。
「はい。影山です」
名前を言って始めないと、リモートの人が分からない可能性があった。
「今年度発生した主な輸送障害について、ATOSが導入されている線区で調査を行いました。こちらが関係していることですと、9月に発生した、総武線中野駅信号装置故障、同月の高崎線電気回路ショート、7月の京浜東北線東神奈川駅ホームドア故障、4月の総武線錦糸町駅信号装置故障です。マーカーでの確認お願いします」
俺は少し間を空けて、再び話し始める。
「4月と7月の信号装置故障では、2つの関連はないとされています。9月の中野の件ですと、三鷹~水道橋駅間で運転を見合せ、4月の件ですと、水道橋~西船橋駅間で運転を見合せました。総武線では、信号関連電気設備を強化していきます」
俺が言い終わっても、仕事は続いた。
終わると、すぐに有希の隣に行った。1階に降りてきていて、寝る準備をしていた、
「蒼くん、一緒に寝たい……」
「いいよ。なんでもする」
俺は有希の隣に行った。有希は膝を付けないようにハグする。
「蒼くん……ごめん、膝治ったらたくさん遊ぼうね。ゲームとか」
「楽しみだな。早く治るといいのに」
「せっかちだなぁ。すぐ治るよ」
有希は笑って言った。だけど、いつも一緒にいるから分かっている。いつもは芯まで楽しそうな有希だが、今回は、奥の方が暗闇にあるようだった。
「有希、治ったら、VRMMOやろう」
「ブイアールエムエムオー?」
「仮想現実みたいなやつ。来月からなんだ」
「うん!やりたい!」
俺は有希の興味を掴んだ。楽しそうにしたい。
有希の骨折が治るまであと140日
翌日、俺は有希の手伝いのために仕事を休んだ。会社も許可してくれて、5ヶ月休むことにした。
「有希、昼ごはん何食いたい」
「いいよぉ、そのくらい」
「大丈夫。有希は座ってて」
俺は有希を座らせた。
「なんでもいいよ?作れるのだったら」
「あぁ、分かった……チャーハンでいいか」
「いいよ」
俺は約10年ぶりの料理だったが、結構自信を持って作った。
出来上がると、有希に渡す。
「わぁ……美味しそう。いただきます」
有希は「はむっ」と声えを上げて食べた。有希は美味しそうに食べる。
「おいし~……最高!」
「よかった。不安だったからさ」
有希は一瞬で全部食べ終わる。有希は食べ終わって俺にすりつく。
「ふふ~ん」
「調子いいな」
「もちろん!」
夕食は咲希が作ることになり、2日目が終わった。
有希の骨折が治るまであと139日
2週間後、なれてきてしまったのか。有希は松葉杖も使いこなしていた。
「有希、慣れちゃったか」
「うん。蒼くんに心配かけてもしょうがないから」
俺は有希の介護もやめた。有希だけでかなり行けてしまっている。俺は要らないかな。
「有希、俺を使わないか」
「使う!キスでしょ、ハグに、一緒に寝たり!」
ずいぶん使いそうだな。
こうして、21日目まで終わった。
有希の骨折が治るまであと119日