離れて近づいて 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
影山有希
(影山咲希)
以上2(3)名


第22話 出張

 もうかなり経っただろうか。もう12月になろうとしているし、日の移り変わりは早い。

会社にも復帰し始めたし、有希もリモートではあるが、仕事を始めていた。

そんなある土曜日のことだった。俺は泊まり込みの仕事で家にはいなかったが、有希と咲希は休みだったらしく、度々チャットで楽しんでいる写真が送られてくる。俺はその度に「いいなぁ」と返信していた。botみたいだが、ちゃんと見て返信している。おっと、また来た。

 

有〈蒼くん、辻堂のテラスモール来てるよ!咲希が迷子になりそうだった 笑〉11:10

写真 11:11

 

その写真は広いテラスモールの中だった。右下にピースがあり、ピースしてる指はおそらく有希だろう。爪の綺麗さが咲希じゃない。もちろん汚いといっている訳じゃないが。どっちも綺麗だ。

 

蒼〈迷子になるなよ~、咲希〉11:13

咲〈なってないもん!〉11:13

有〈でもなりかけてたよ〉11:14

蒼〈今度そっち戻ったら行こうかな〉11:15

有〈3人で?〉11:15

蒼〈1人で 笑〉11:17

咲〈ずる!〉11:18

有〈私たちと行こうよ~〉11:19

蒼〈冗談だ。3人で行こう〉11:21

咲〈やった!〉11:22

 

「影山さん、いいすか」

 

後輩から話しかけられて、俺はチャットを閉じた。

 

「なんだ」

「ここの駅って、なんて読むんですか?」

 

日光線の文挾駅だった。難読だからね。だけど、覚えておかないとあとで苦労する。

 

「ふばさみだよ」

「ありがとうございます、あと、東大宮変電所工事終わりました」

「ああ、オッケー。大宮変電所までの高圧線入れた?」

「繋げてあります」

 

俺は仕事の口頭での確認が終わると、PCで仕事を確認した。東大宮変電所の工事、確かに終わっている。

 

「オッケー。そうだ、御茶ノ水ホームドア工事、電気追加した?」

「それ、多分影山さんの仕事ですよ」

「あ、嘘」

 

俺は自分の仕事の内容を確認した。確かに俺の仕事だ。うわぁ、あと3割か……

 

「ごめん。あんがと」

「いいっすよ。俺、戻りますね」

 

後輩は戻っていった。俺は仕事を始めた。

 

 仕事が終わったのは13:00を過ぎた辺り。俺はチャットを確認した。

 

有〈じゃあいつ行く?〉11:23

咲〈私は来週の土曜がいい〉11:24

有〈蒼くんは?〉11:25

咲〈お兄ちゃ~ん〉11:27

有〈お仕事始めちゃった?〉11:30

咲〈そうっぽい〉11:31

有〈というか、咲希どこにいるの〉11:32

咲〈3階の潮凪キッチンってとこ〉11:34

有〈え、今1階のユニクロ前なんだけど〉11:35

咲〈へ?うそ〉11:36

有〈今行く!〉11:37

 

有〈蒼くん、お仕事終わった?〉12:50

咲〈返事こな~い〉12:53

有〈まだ終わってないかも〉12:54

 

蒼〈ごめん、今仕事終わった〉13:02

咲〈そうなんだ。で、いつがいい?〉13:30

有〈ドキドキ〉13:32

蒼〈来週の土曜でいいよ〉13:32

蒼〈あとなんでドキドキしてるの〉13:34

有〈なんとな~く〉13:35

咲〈土曜ね!〉13:36

有〈咲希、今度はどこにいるの、もう帰るのに。先帰れないでしょ〉13:38

咲〈もう辻堂駅いるよ〉13:41

有〈わぁ!〉13:42

 

もう呆れてるな、きっと。迷子になりすぎだろ。

 

蒼〈今日迎えに来る?〉13:44

有〈どこまで?〉13:44

蒼〈今日大甕で泊まりだったから、上野〉13:45

有〈うん!行く!〉13:46

蒼〈分かった。乗る電車分かったら連絡するから、それまで咲希と遊んでて〉13:47

有〈はーい〉13:47

 

もうそろそろ帰れそうだけどな。許可もらって帰ろうかな。

 

「あの、俺ってもう帰っていいですか?」

 

上司に聞いてみた。許可が出れば次の特急で帰れる。

 

「あぁ、いいよ。お疲れ」

「お疲れ様です」

 

俺は挨拶をして会社をあとにした。

しかし、途中で会社の訪問があり、結局会社から出たのは18:45過ぎだった。

 

 スマホでひたち26号の指定席を取り、大甕駅に向かう。ひたち26号品川行きには上野まで乗車する。

 

蒼〈ひたち26号〉19:00

有〈20:36のやつ?〉19:02

蒼〈そう。来る?〉19:03

有〈行く!19:26で行く〉19:04

蒼〈オッケー。気をつけてね〉19:05

 

俺はチャットを閉じた。19:09、時刻通り出発した。

 

 藤代駅を通過した辺りで、急に減速を始めた。取手駅通過時は40km/hまで落ちていた。そうかと思うと、天王台駅は10km/hで通過。その時、放送が入った。

 

「ただいま、常磐快速電車、異音の確認の影響で、遅延が発生しています。先行電車、20分ほど遅れているため、減速しております。上野駅到着、多少遅れる場合がございます。申し訳ございません」

 

我孫子駅で1本追い抜き、速度が上がっていく。

 

 日暮里駅手前でまた減速運転が始まった。もう追い抜きできないため、減速している。20:36、通常上野駅に到着しているが、今は日暮里駅も通過していない。すると、チャットが来た。

 

有〈遅れてるね〉20:36

蒼〈今日暮里。ごめん〉20:36

有〈何号車だっけだっけ〉20:37

蒼〈1〉20:37

有〈そこで待ってる〉20:38

 

有希からはもう来なかった。待ってるんだろう。俺はデッキに移動した。

 

【影山有希視点】

 

 20:22、上野駅に着き、ひたち26号の到着を待った。

 

「9番線到着のひたち26号は、ただいま6分遅れて運転しています」

 

遅れてるらしい。なんで遅れてるの……蒼くんに早く会いたいのに。

 

有〈遅れてるね〉20:36

蒼〈今日暮里。ごめん〉20:36

有〈何号車だっけだっけ〉20:37

蒼〈1〉20:37

有〈そこで待ってる〉20:38

 

私は1号車のドアの少し横で待った。蒼くんが来るはずだ。

 

 約10分後、ひたち26号は8分遅れて上野に到着。蒼くんが降りてきたのは1番最初。

 

「蒼くんっ」

「ただいま、有希」

 

私は蒼くんの手を握った。

 

  有希の骨折が治るまであと10日

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