離れて近づいて 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
影山有希
影山咲希
以上3名


第7話 仲良し

 グリーン車では平屋席のため、貸し切り状態だった。有希は酒にものすごく弱く、俺は逆にとてつもなく強い。有希は前に、理科の実験でエタノール採取の実験をやったところ、ワインのエタノールの匂いだけで酔ってしまったらしい。俺はというと、今日酒をジョッキ3杯ほど飲んだ(飲みすぎたと思う)が、全く意識もあるし、それにふらつきも一切なかった。さすがに運転するのは自分からダメだと思うが、バレないようで逆に怖い。

俺は有希を寝かせて、デッキに行った。一応咲希に電話しておこうと思ったから。俺は咲希に電話をかけ、しばらく待った。

 

「もしもし、咲希──」

《お兄ちゃん!あと何分!》

 

咲希は大声で言った。今は武蔵小杉。あと35分ほどで藤沢。

 

「どうしたんだよ、あと35分だけど」

《35分?分かった!》

「咲希、どうかした──」

 

電話は切れてしまった。何があったんだよ。

 

「……有希はまだ寝てるか」

 

俺は有希の隣に座った。次は横浜。

 

(何があったんだろう。あんなに焦ってる咲希、始めてだけど)

 

普段は焦ることなく、どちらかというとマイペースみたいな感じ。そんな咲希が焦ってるということは、ただ事じゃない。

 

「んー?どうしたの?蒼くん」

「起きたか。何でもないよ」

 

とりあえず急いで帰ることにしよう。

 

 23:53、定刻通り藤沢に着くと、俺は有希をお姫様抱っこで抱え、走り出した。

 

「え?え?蒼くん?」

「ごめん、急ぐぞ」

 

俺はいつもより明らかに速く家に向かった。

家の少し前にある曲がり角に咲希はいた。俺は有希をおろした。一方の咲希は何かに絶望したかのように立っていた。

 

「どうした、咲希──」

 

咲希は俺に向けて風魔法を放ってきた。俺は吹き飛ばされ、背中を強く打ち付けた。

 

「咲希?」

「…どうしたんだよ、咲希」

 

俺は立ち上がって咲希のところに立った。

 

「咲希。魔力か、原因は」

「多分…?あんまり分かんない」

 

魔力の暴走かなんかだろう。一定の数値を超えたのか。

 

「そっか。咲希、おいで」

 

有希は「むーっ」と口を尖らせているが、咲希は少し考えたあと、すぐに来た。

 

「あっ…」

 

咲希は猫耳フードを被った。

 

「近かった…」

「そうか?じゃあ有希、おいで」

「にゃーっ」

 

有希は俺のバランスが崩れるほど強く抱きついてくる。

 

「有希はこんなんだけど、咲希は?」

「うぐぐ…」

 

咲希も有希と同じように抱きつくが、少し遠慮がちだった。

 

「もっと遠慮なしにくっついちゃっていいんだよ」

「だって私、妻じゃないし…」

「いいよ?別に私の浮気相手じゃあるまいし」

 

有希もフォローしてくれたことから、咲希の抱く力が少し強くなった。

 

「よぉし、帰るぞ!咲希!」

「うん!」

 

咲希は先に家に帰っていった。だじゃれ?ちがうちがう。たまたま出ちゃっただけだ。

 

「蒼くん、行こ?」

「あぁ、行こうか」

 

俺は有希と手をつないで家に帰った。

 

 日は飛んで12月。神奈川は雪も降らないからただ寒いだけ。今日の最高気温は10℃。咲希は家に籠り、有希は布団から出てこようとしない。俺も放っておいてるけど。一方の俺はというと、寒いのに耐えれずにこたつの中に肩まで入れて休んでいた。

 

「あぁ、蒼くんずるーい!」

「寒いし。外出たくないっす」

「だーめ!出て!」

「嫌だ。俺は出ない」

 

子どもっぽいやり取りをしていると、咲希が言った。

 

「じゃあ私も入る!」

「それだったらいい」

 

咲希はこたつの中に入ってくる。暖かいかいからこれでいい。

 

「あったかいねー」

「お前は猫耳フードあるから暖かいだろ」

「これはファッション!暖をとる為じゃない!」

 

フードは普通暖かくするためのものだろ。上着だし。

 

「ここで寝たらどうなるかね」

「出れなくなる?」

「やっぱり?」

 

出れなくなるよなぁ、こんな暖かかったら。出る方が難しい。

 

「お姉ちゃんも暖かそう」

「寝てるけどな」

「出れなくなってるのかな」

「寒くてね」

 

俺と咲希は笑いあっていた。有希は夢の中でどんなことしてるんだろうなぁ。草原をスキップしてそう。

 

「みかん!」

「じゃあ取ってくるからキャッチして」

 

俺はのそのそとこたつから出て、みかんを14個咲希に投げた。全てキャッチすると、俺はこたつに戻った。座って食べるように2人とも正座かあぐらをかいている。

 

「こたつにはみかんだねー」

「そうだな」

 

2人でみかんを食べていると、有希に申し訳なく思えてくるけど、起きてくるだろ、いつか。起きてこないと俺カップラーメン生活になるし。俺はみかんを食べながら考えていた。有希のことも心配だったし。

 

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