離れて近づいて 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
影山有希
影山咲希
以上3名


第8話 寒い

 俺は咲希とみかんを食べながら話していた。

 

「みかん食べてると上半身寒いよね」

「そうだな。カイロとか貼るか?」

「室内でカイロ?」

 

それもそうか。普通外で使うものを中で使うのはおかしいな。

 

「じゃあどうする」

「寝ながら食べる?」

「行儀悪いだろ」

 

どうしようかなぁ、カイロもダメで寝ることもダメになると、あと何があるんだ。

 

「そうだ!柊くん今暖かい?」

「え?まぁ、普通」

 

何をする気なんだ。俺が暖かいかを聞くとか普通はないだろ。咲希はみかんを置いて、俺に近づいた。

 

「ぎゅっ」

 

そう言って咲希は俺に抱きつく。

 

「こうしてるとあったかいでしょ?」

「あぁ、そういうことか」

 

咲希は抱きついたままみかんを取って食べた。後ろから手だけを前に出していた。

 

「ねぇ、私の事っていつから知ってた?」

「え?俺が高三の時かな…どうして」

「ううん。お姉ちゃん、お兄ちゃんが休んでる時泣きながら帰ってきてたの思い出して」

 

お姉ちゃんって事は有希か。でもどうして泣いて…あ、そうか。

 

「有希が泣いてたか…」

「ちょっと話す?お姉ちゃんの事」

 

俺は小さく頷いた。返事もしなかったが、事柄的に多分これでいい。

 

      咲希が知る有希の過去 

     Yuki's past that Saki knows

 

 お姉ちゃん…こと有希は高校二年生の頃は彼氏ができたと喜んで家に帰ってきていた。まぁ、それがお兄ちゃんなんだけど。私は以外だった。それまで有希には彼氏もいなかったし、友達も女友達しかいなかったから。それで、有希は毎日毎日家に帰ってくるとお兄ちゃんの話してたんだ。その時が1番楽しそうで、笑顔だった。

けど、ある日を境に有希から笑顔が消えた。最初の方は笑顔が消えただけで、なんか悩んでるだけかなって思ってたけど、やがて帰ってくるのも遅くなった。さらには泣いて帰ってくることもあった。有希に聞いても何も答えなかったし、なんかあったんだって思った。でも、なんとなく思ってたの。別にお兄ちゃんが悪いって訳じゃないけど、彼氏と有希の間になんかあったんだって。前に話してくれたじゃん?休んでた理由。あれを聞いてから本当の有希に戻ったの。それまで、お兄ちゃんに再開してからも心の奥になんか穴が空いてたみたいだったんだけど、それから笑顔が戻ってきた。お兄ちゃんも感じてたと思うけど、あれが本当の有希。

有希は人に話すのが何かと苦手だったの。あの時は私にも話さなかったからなぁ。あ、お兄ちゃんが悪い訳じゃないよ。

 

 有希が昔こういうことになってたのか…俺は有希を守りたいというか気持ちが強まった。

 

「咲希、有希は俺の事話してくれたのか」

「うん。結構細かくね」

「そうか…」

 

俺は有希の高校生時代を思い出していた。たしか、友達もそんないなかったはず。俺とも最初は仲良くしてくれなかったし、傘で相合傘したのが最初かもしれない。

 

「有希には上書きしてもらわないとな」

「今の生活を?」

「あぁ。頑張るさ」

 

俺は抱きつかれている咲希の手を握って言った。有希には高校生の時よりももっとたくさんの事をしてあげよう。俺はそう決心した。

 

 有希が起きてきたのは11:40過ぎ。俺と咲希はもう飽きていた。有希がいないと俺たち何もすることないから。

 

「どしたの?咲希、蒼くん」

「暇でさ」

「寝てるしかなくて」

『はぁーっ』

 

俺と咲希は同時にため息をついた。有希は俺たちに呆れて言った。

 

「そんな人たちにはお昼ごはん、なしかなっ」

 

俺はその言葉に反応した。咲希も腹筋を使って起き上がった。

 

『それは嫌』

 

また同時に言った。有希はニッコリと笑ってキッチンへ向かった。

 

「ふふっ、じゃああと20分だけ待っててねー」

 

有希は昼ご飯を作り始めた。今日のお昼ごはんは何かなぁ。俺は楽しみにして待っていた。

 

「お昼なにかなー」

「なんでもいいけどな。美味しいし」

 

有希はキッチンから「嬉しいっ」と言っていた。俺は少し笑うと、テーブルのところに移動した。

 

「さむーい」

「あったかいものじゃないんだよねぇ、お昼」

「じゃあご飯系だよ、きっと」

 

なんとなく予想がついてしまう。俺は有希の笑った顔を見ていた。

 

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