とある科学の刀剣使い(ソードダンサー) S   作:Shin-メン

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ということで、第二部です。
頑張ります。。。


第1話 刀剣使い(ソードダンサー)S 前編

ここは学園都市、第七学区内のとある病院……

詩音は“乱雑解放(ポルターガイスト)事件”で主犯だったテレスティーナによって、重傷を負わされて入院していた。

 

詩音の負った傷は、常人なら完治するまでに二ヶ月以上掛かるが、この病院に所属するスーパードクターのカエル顔の医者と詩音自身が持つ異常な回復力により、わずか二週間足らずで退院することになった。

退院前の最後の検査を終わらせた詩音は、自前で用意していたラフな夏服を着る。

 

「フム、特別大きな異常はなし……相変わらず、凄い回復力だね?」

 

「お世話になりました。先生……別に普通でしょ?」

 

「いやいや、異常だよキミの回復力は……でも、退院したからと言ってもまだまだキミも本調子ではない。無理をするとまた病室に逆戻りだ?良いかね?」

 

「そのくらい分かってますよ……じゃあ、僕はこれで失礼します。」

 

カエル顔の医者に一礼して医務室をあとにした。

 

「やっと、退院かぁ~あ、一応、枝先さんの所にも顔出して行かないと……」

 

その後、詩音は枝先絆理の病室に行き一声を掛けてから、病院を出る。

病院を出た詩音は、その足でいつものファミレスに向かった。

そこで美琴たち四人と落ち合う予定だ。

ファミレスに着き、店内に入ると、店員に声を掛けられる。

 

「いらっしゃいませ!一名様でしょうか?」

 

「えっと……連れの友達がいると…………」

 

詩音は店内を見回したが、美琴たちの姿はまだない。

 

「と思ったけど、まだ来てないみたいです。あと四人来ますので………」

 

「かしこまりました。では、こちらにどうぞ……」

 

詩音は案内された席に座る。

 

「ったく、ルイコたち遅いな……」

 

そう言って詩音は携帯電話を取り出し、佐天の番号に掛けるのだった。

 

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詩音がファミレスに着いた頃、佐天は炎天下の中、不良数人に追われ、裏道を全速力で走っていた。

 

「ねぇー?待ってよー!」

 

「俺たちと楽しいことしようよー!」

 

「ハァハァ……早く来て!誰かァー!」

 

その時だった。

佐天は足が縺れ、盛大にコケてしまう。

 

「きゃあ!!?痛……ッ!」

 

「大丈夫~?」

 

「ほら~無理して逃げるから、ケガしちゃうんだよ~♪」

 

佐天にイタズラしようと、不良たちが迫るなか、彼女の電話が鳴った。

焦る手で相手を確認すると詩音からだった。

佐天は電話に慌てて出る。

 

『あ、ルイコ?まだ来ないの?ずっと待ってr…………』

 

彼の言葉を遮るように佐天は、詩音に助けを求めた。

 

「し、詩音くんッ!!?た、助け……あ、きゃッ!!?」

 

しかし彼女は、抵抗する暇も与えられず、不良に取り押さえられ、携帯電話も奪われてしまう。

 

「もしもし~?この女の子の彼氏さんですかァ~?」

 

佐天から携帯電話を奪った不良が、彼女に変わり電話口に出た。

 

『アンタ誰だ?』

 

詩音が電話越しの相手に聞く。

それに対して、不良はふざけ半分で答えた。

 

「俺ェは~この女の子のお友達で~す♪」

 

電話の向こうでは、数人の下品な笑い声が聞こえる。

 

「ちょっと今から、彼女と遊ぶからさァ~電話切るね♪」

 

そう言って不良は電話を一方的に切った。

佐天涙子、絶対絶命のピンチ……!

 

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電話を切られた詩音は、急いでファミレスを出た。

すぐに友人であり、風紀委員(ジャッジメント)の同僚の初春飾利に連絡する。

 

『もしもし!初春です!』

 

「あ、初春さんッ!!?」

 

『紅月くん!』

 

「えっと、ルイコが大変なんだ……ッ!」

 

『知ってます。佐天さんから通報がありましたから!』

 

詩音が彼女に話しを聞くと、すでに佐天は不良から逃げる途中に、初春に助けを求めていたようだ。

そして初春は、白井黒子と共に現場に向かっていた。

 

『もうすぐ、現場n………きゃう!!?、痛たたぁ~!白井さん!もう少し……!』

 

「初春さん!大丈夫ッ!!?」

 

『だ、大丈夫です……ちょっと、尻もちを付いただけですので……』

 

詩音は電話の向こうで起きている状況が、いまいち理解出来ていない。

だが、黒子の“ジャッジメントですの!”と言うセリフが聞こえたのを確認すると、佐天のもとに何とか着いたようだ。

 

『紅月くん、佐天さんのいる場所には着きました。白井さんが対処してくれてます!』

 

一先ずは安心と言うところか……ホッと胸を撫で下ろす詩音。

 

「僕もそっちに向かうから!」

 

『了解しました!場所は………』

 

初春から指示された場所を聞いた詩音は、電話を切り、急ぐのであった。

 

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場所は戻り、佐天がいる裏道の一角では……

黒子が起きている事の対処をしていた。

佐天を取り押さえている不良に、彼女はドロップキックを噛まし、さらに「ジャッジメントですの!」と腕章を見せ、他の不良たちを牽制する。

 

「初春!白井さん!」

 

「アナタがたを暴行の容疑で拘束します!」

 

「します!」

 

しかし、伸びた不良以外は動揺する素振りはない。

能力云々というより、数での差がこの余裕を生んでいる。

 

「珍しいな……テレポートか初めて見たよ。だけどな~?この人数相手するのは………」

 

「やれやれ……全く、身の程知らずも……」

 

そこにさらに別のイレギュラーが現れた。

 

「あ、いたいた~もう、みんな遅いと思ったら、こんな所で何しているのよ………」

 

「なんだお前?」

 

不良が現れた彼女を取り囲む。

 

「あ、ちょ………」

 

その少女の声と姿を見て黒子は、表情が凍りついた。

 

「テメェもコイツらの仲間か?邪魔するんなら、お前からやっちまおうかァッ?」

 

不良のリーダー各は、手の関節を鳴らし威嚇する。

次の瞬間、少女から青白い電流が走り………ドーーーン!と凄まじい音ととま不良たちは一掃された。

 

「ほら~早くしないと、詩音との約束に遅れちゃうよ~?」

 

「あ……あの~」

 

「えっと~」

 

唖然とし、言葉に詰まる佐天と初春……

 

「ところで、コイツら何なの?」

 

そう、不良たちを一撃で沈めた彼女は“御坂美琴”……学園都市に8人しかいない、レベル5の電撃姫だ。

まあ姫と呼ぶには、ちょっとガサツではあるが……

 

「やっちまってから、お尋ねになるのですね?お姉さま……」

 

黒子はそんな彼女に、完全に呆れていた。

 

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“学園都市”……東京都西部を切り開いて作られた大都市である。

そこでは“超能力開発”と云うものが学校のカリキュラムに組み込まれており、総人口230万人の実に約8割を占める学生達が日々『頭の開発』に取り込んでいる。

 

彼“紅月詩音”は、そんな学園都市の治安維持を預かるジャッジメントの長、すなわち風紀委員長であり、そのチカラは“警備員(アンチスキル)”すらも自由に動かせるほどだ。

 

その日の深夜、とある廃工場にて……

そこへ詩音は、昼間に逮捕した不良たちを連れて来ていた。

理由は単純、彼が大切に思っている佐天にヒドイことをしたからだ。

 

不良たちは、手足を拘束され、口には猿ぐつわをされている。

彼らも今の状況を把握出来ず、うめき声をあげるだけだ。

 

「さてと……なぜキミたちがここにいるか、分かるかい?」

 

怯える不良たち……

詩音は、不良のリーダー各の猿ぐつわを外した。

口が自由になったリーダーは、堰を切ったように暴言を吐く。

 

「おい!ここはどこだ!テメェ、許さねぇからな!」

 

「面白いこと言うねぇ~♪お兄さんたち、この状況を分かってないの?アンタらは、手足縛られて身動き一つ取れないんだよ?僕が圧倒的強者だってこと分からないの?」

 

「何だとッ!!?クソガキの分際で、イキがってんじゃねぇぞ!」

 

「はぁ~~」

 

呆れ果てた様子の詩音は、深いため息を吐き、愛刀“絶影”を抜く。

黒い刀身に、燃え盛る炎を連想させるような赤紫の波紋が特徴的な刃が、月明かりに照らされ妖艶に輝いていた。

 

「な、何、するつもりだ?」

 

「え?」

 

とぼけた表情の詩音は、絶影の切っ先を何のためらいもなく、取り巻き一人の腹に、ゆっくりと突き刺して行く。

絶影はブツっと衣服を突き破り、抵抗もなく皮膚を引き裂き、肉の内側に入っていった。

 

刺された取り巻きは、激痛からもがき苦しみ、より一層大きなうめき声を出す。

他の連中もその聞こえた声に呼応するように声を上げる。

 

「うるせぇぞ!黙ってろ!」

 

詩音が一括すると不良たちは静かになった。

そして、腹を刺された不良は絶命する。

己の末路を察した他の仲間たちは、絶望するしかなく、すすり泣くだけだった。

 

「さて、お兄さん?こうなりたくはないだろ?」

 

「あ、ああ……死にたくない!お、お願いだ!助けてくれ!」

 

リーダーの男は、必死になって命乞いをする。

 

「昼間のこと反省してる?」

 

「ああ!謝る!悪かった!」

 

リーダーの男は、深々と頭を下げた。

しかし、詩音は気に入らないのか、土下座する彼の頭を踏みつける。

 

「それで誠意を見せたつもりかい?僕の彼女の手を出しといて、土下座謝って終わるのかい?」

 

「じゃ、じゃあ、どうすれば良いんだよッ!!?」

 

リーダー各の不良の質問に詩音が行動で答えた。

 

「えっ………」

 

不良の首が飛ぶ。

なんと詩音は、リーダー各の不良の首を何の躊躇いもなく跳ねたのだ。

首と胴体が離れ、生暖かい血液が飛沫となって辺りに飛び散る。

 

「お前たちの出来る精一杯の謝罪は、その命を持って罪を償うだけだ……」

 

詩音は残った不良たちを全員処刑した。

 

「さてと……後片付けをしようかな?」

 

詩音は携帯電話を取り出し、どこかに電話を掛け始める。

 

「あ、モシモシ~?後片付けを頼みたいんだけど……」

 

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二日後……詩音たち柵川中組は、路線バスに乗って美琴と黒子の通う常盤台中学校へ向かっていた。

 

「もう!凄いんだよ!何て言うの?瞬殺ってヤツ?不良たちを一撃でドカーンって!」

 

一昨日の美琴の能力を間近で見た佐天は、興奮しながら春上に一部始終を話す。

 

「さすが、御坂さんなの~」

 

佐天の話しに目を輝かせる春上とは、逆に詩音と初春は終始呆れていた。

 

「もう、何言ってるんですか……」

 

「ルイコもルイコだよ?無闇に裏道使うから、不良に絡まれるんだよ?分かってる?幸いにも初春さんたちが間に合ったから良かったけど……」

 

「う~ん……それについては、この間、ちゃんと謝ったじゃん……あ、春上さん!もうすぐ着くよ~♪え~っと、招待状、招待状……♪」

 

「はぁ~」

 

「ほ~ら、そうやって、す~ぐ話しを逸らすんですから、佐天さんは……」

 

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一方、美琴とは言うと、一人で常盤台中学校の図書館で読書に勤しんでいる。

黒子は一昨日の佐天の件で報告書をまとめているので、美琴はそれを待っていた。

 

「あら~?御坂さんじゃありませんの。」

 

声を掛けて来たのは、同級生の婚后光子だった。

他にも二人の後輩に当たる湾内絹保に泡浮万彬もいる。

 

「あぁ、婚后さん!湾内さんに泡浮さんも……♪」

 

「こんにちは♪」

 

「ごきげんよう~♪」

 

「それって……」

 

美琴は三人がそれぞれ持っている数札の本に目が行く。

 

「ああ、これは夏休みの宿題の資料です。」

 

「ここの学校……ほら、宿題の量が膨大でしょう?もう、ウンザリですわ~」

 

「分かるわ~その気持ち……資料探しだけでも一苦労だもんね?」

 

「ならば、御坂さんも資料探しか何かしら?」

 

「え?私は黒子を待ってる間の暇潰し……夏休みの課題はもう終わったわ……」

 

「えッ!!?」

 

「「ですわよね~♪」」

 

「ワタクシだって、その気になれば、このくらい半日でぇ……」

 

負けず嫌いの婚后は愛用の扇子で口を元隠した。

しかし、その拍子に婚后の手から本が滑り落ちる。

 

「あ……あら、やだ。ワタクシとしたことが……」

 

「もう~大丈夫?」

 

婚后の落とした本たちを、みんなで集めた。

 

「ほら~コッチまで………」

 

美琴が机の下まで来た本を取ろうと手を伸ばした時に、とある人物に目が行く。

 

「ゲッ……Σ(・∀・|||)」

 

後ろ姿だがその人物は、常盤台中学の制服に、肩の辺りから2つに分けた蜂蜜色の長い髪、長身痩躯で、蜘蛛の巣に似たレース模様入りのハイソックスと手袋を着用しており、また星のマークが入った高級ブランドのバッグを常に下げていた。

そして、美琴が一番苦手としている人物でもある。

 

「まぁ♪食峰さまですわ♪」

 

湾内が美琴に続き食峰の存在に気づいた。

 

「本当ですわ♪派閥の方々を引き連れて……♪」

 

湾内の言葉に泡浮も、食峰とその取り巻き達に目を向ける。

 

「さすがは常盤台を代表するレベル5の一人ですわ。」

 

「そうでしょうか?ワタクシ、あの食峰操祈って方苦手ですわ。なんと言うか?虫が好かなくて…………」

 

憧れの視線を向ける湾内と泡浮とは逆に、婚后光子は不満を吐露した。

 

「あ、えっと……今のはッ!!?別に……………!」

 

しかし、すぐに回りの視線が気になったのか、自身の身を取り繕う。

 

「婚后さん大丈夫よ。私たち以外には、聞こえてないわよ。」

 

その後、何度か言葉を返した婚后たち三人は、美琴のもとから去って行った。

 

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その一部始終を薄ら笑いを浮かべながら、食峰は横目で見ている。

 

「ねえ?ちょっと、良いかしら?」

 

彼女は、取り巻き達から離れて美琴の方に向かって歩き出した。

 

「えっ?女王?どちらに?」

 

取り巻きの一人が、食峰に聞く。

 

「別に大したことじゃないわ~」

 

彼女は、取り巻きの少女にヒラヒラと手を振っていた。

美琴にだんだんと近づいて来る食峰……

そして、彼女は美琴の肩をツンツンとつつく。

 

「御坂さ~ん?御坂さぁ~ん♪」

 

そして食峰は、猫を被ったような間延び声で美琴の名前を呼んだ。

しかし、当の美琴はソッポを向いて無視を決めていた。

本当に美琴は彼女のことを嫌っている。

 

「図書館内は私語厳禁よ……」

 

しつこいくらいに絡んで来る食峰を冷たくあしらう美琴……

 

「何よ~さっきは、あんなに仲良さそうに話してたじゃない♪それともな~に?私とは、しゃべってくれないの?」

 

食峰は美琴の足下に置かれているバックに、ふと目がいく。

 

「あらぁ~ッ?コレって、何かしらぁ~?」

 

彼女は美琴のバックを勝手に手に持った。

 

「ちょっと!人の物を勝手に触らないでくれるッ!!?」

 

美琴は自分のバックを食峰から、強引に取り戻す。

 

「やだ~怖い♪あ、ひょっとして殿方へのプレゼントか何かぁ~?」

 

「アンタ?もしかして、私にケンカ売ってんのッ!!?」

 

凄む美琴……険悪な空気が二人を包む。

 

「まっさか~♪1対1じゃあ難しいモノ~♪」

 

そう言って食峰は、自身の肩掛けバックからリモコンを取り出し、美琴に向かってボタンを押した。

次の瞬間、美琴の側頭部に電流が流れた。

 

「イッつぅぅ……………」

 

食峰の能力から、自身の身を守る美琴……しかし、それなりのダメージはあるようだ。

 

「本当やっかいよね☆電磁バリア☆」

 

食峰の放ったその言葉に、美琴の堪忍袋の緒が切れてしまう。

 

「アンタねぇーーーッ!!!」

 

美琴は机を叩き、勢い良く立ち上がった。

椅子も倒れ、凄い音を発てる。

何事かと他の生徒たちも、二人から目が離せない。

まさしく、一触即発の雰囲気だった。

 

「でも~御坂さんをギャフンと言わせる手なr………」

 

食峰が再び能力を使おうとした時だった。

勢い良くバァン!と図書館の扉が開く。

 

「御坂さん!やっと見つけた!」

 

図書館の扉を開けたのはなんと詩音だった。

 

「え?誰?」

 

「どうして、こんな所に?」

 

「お、男よッ!!?」

 

回りからどよめきが上がる。

美琴も戸惑い、食峰も唖然としている。

 

「御坂さん!みんな待ち合わせ場所で待ってますよ!」

 

堂々とした態度で、美琴のもとへ歩み寄り、彼女の手を握ると仲間の所に連れて行こうした。

 

「ちょっ、詩音!どうしてアンタがここにいるの?」

 

「なんでって、迎えに来たんだよ?」

 

次回に続く。。。




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