【鬼滅の刃】かすみそうの花束を君に   作:@れんか

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頭鬼の旅館編
5話 鬼狩りとの出会い


 

 

 私達はそれから沢山の鬼を狩っていった。戦いにもいつしか慣れて、鬼を狩る時も冷静に刀を振り下ろせる様になっていた。

 

 実弥と出会って、もう5度目の冬が終わり、暖かい風が吹く季節になった。実弥はこの5年のうちに、背が随分と伸びて、私もそれなりに身長は伸びた筈なのに、実弥の肩くらいしか届かない。

 

 体も随分とたくましくなって、元々あった筋肉が更に多くなったという感じだ。私は、筋肉が付きにくい体なのか、華奢で刀なんて振れるのか、と疑問を持たれるくらいだ。

 

 でも、もちろん刀は振れるし、3年前と比べて見違える程戦闘技術は身に付いていた。鬼を仕留めるのも手慣れたもので、随分と早い時間で仕留めることができるようになっていた。

 

 

 

ある日のことであった。この日も、いつもと同じ様に町へ行っては聞き込みをして鬼の情報を集めていた。

 

 最近、私たちは必ずと言って良いほど、新しい町へいけばその都度色んな甘味処へと足を運んでいた。実弥は随分な甘党だけど、私も相当な様で、二人して色んな店のおはぎを食べ比べすることにはまっていた。

 

「ん~!ここのおはぎもおいしいけれど、私はやっぱり前の町の、“舟橋屋”のおはぎがいいかなぁ」

「ははっ、お前も随分分かるようになってきたじゃねェか。始めは何食べても、美味しいしか言わなかったのによァ」

 

「だって、美味しいものは美味しいんだもん。でも、実弥と色んな町へ行って食べ比べしてたら、私も随分おはぎの舌が肥えてきたみたい。そこらの評論家にだって負けないかも?」

 

「ハっ、俺を超えてから言えよ」

「ん~、実弥を超えるのは難しそうだなぁ」

 

なんて会話をしていると、随分と疲れた顔をして店主が抹茶を運んできた。店は広くないが、従業員が後1人はいても可笑しくないのに、どうやらこの店はこの店主だけの様だ。

 

「大丈夫ですか?」

 声をかけると、店主の男は「あぁ、すみません。ご心配をおかけてして…。大丈夫ですよ」と力なく答えて、また店の奥へと姿を消すのであった。

 

 一人で店を回すのに疲れたのか、目の下にできたくまと、店主の表情が気になった。

「実弥、どう思う?」

「あァ?お前なぁ、何でも鬼と結びつけるのはやめておけ」

「でも、話を聞くくらいならいいでしょ?」

 

そう言って席を立つ私の後ろから、実弥のため息が聞こえてきた。

―分かってるよ実弥。全部鬼と結びつけてたら時間がいくらあっても足りないからね。でも、あんな顔してる人を放ってはおけないよ。

 

「あの、すみません」

 声をかけると、店主は「なんでしょう?」と出てきてくれた。

 

「最近、何か困ったことはありませんか?例えば、……誰かがいなくなったり。怪物をみたりとか」

 

普通ならば、何を言っているんだ、と言われ兼ねない内容だったのに、この店主にはどうやら心当たりがあったようで、どんどんとその顔が青ざめていく。

 

「何か、あったんですね?」

 震える口で、店主は口元を押さえる。

 

「言えない……、言えないんです!!!!」

 そう言って、小さく悲鳴を上げながら店主は店の奥へと入っていってしまった。

 

「あァ?なんだありゃ。何かあるな」

「うん。もう少し、この町のこと探ってみよう」

 

手当たり次第に同じ質問を、町の人に尋ねると、皆あの店主と同じように、声を揃えて「言えない」の一点張りであった。この町で、何か起きていることは間違いなかった。だが、情報が全くと言って良いほどに集まらず、私たちは手をこまねいていた。

 

「ったく、何なんだよこの町の連中はよァ」

「何かに口止めされている様だね」

「鬼が口止めなんかするかァ?」

「……ここにいる鬼が、特別だから、とか?ほら、鬼にも色んなのがいたじゃない?頭が回る鬼もいても不思議じゃないよ」

「にしても、ここまで情報がねェとなるとなァ」

 

すると、すぐ真後ろから「君たち」と声をかけられた。人の気配ならすぐに気づくのに、声をかけられるまでそこに立っているのに気が付かなくて、肩がビクッと跳ね上がった。

 

 後ろを振り向くと、黒い服を着た大柄な男が手を合わせて立っていた。首には赤い数珠の様なものをつけていて、白目を向いている。

 

「は、はい」

 恐る恐る返事をすると「この町から直ぐに出なさい」と忠告された。

 

―この人!!この町が可笑しいことに気付いている!!まさか、鬼について知っている人なのかな。

 

「俺たちは鬼を狩っているんだ。この町には恐らくやつらがいる。それも、普通の鬼とは違う、何か異質な鬼だ。俺たちはそいつを狩るまではこの町からは出て行かない」

 

「なんと!!たった二人で鬼を狩っていると!まだ幼い子供なのになんと哀れな。悪いことは言わない。この町に巣くう鬼は、君たちが手に負える相手ではない。さぁ、今すぐ出ていきなさい」

 

「あの、貴方は一体何者なんですか?」

「私もまた、鬼を狩る者」

 

―私達と同じように鬼を狩る人がいたんだ!!!

 

「さぁ、早く」

 あまりの剣幕に、私と実弥は背を向けて歩き出した。

 

「なんだァあの人。俺たちには出ていけというのに、自分なら問題なく倒せれるってか?ゆず、もちろん行くよな?」

「当たり前!私達もこの町の鬼を狩りに行こう!!」

 

 

 

そう、これが間違えだったんだ。この時、素直にあの人の言う事を聞いておけばよかったんだ。この町から手を引けば、ゆずに傷をつけずに済んだのに。

 

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