仮面ライダーダブル&トリガー ~風都超常犯罪事件簿 ~ 作:さじたりうす
風都大学のサークル秘封俱楽部の二人、蓮子とメリー(本名はマエリベリー)が鳴海探偵事務所にバイト志望で訪れてしばらく時間が経過した。
事務所からは亜樹子の笑い声や蓮子の盛り上がる声等が聞こえてくる。
入り口のドア付近には依頼志望の少年が佇んでいた。
(来たのはいいけど……やっぱり勇気いるなぁ……お金いっぱい必要なんだろなー……やめよかな……只でさえお金ないのに……でも……)
鳴海探偵事務所を目の前にして少年はあれこれ考え、改めて躊躇していた。
そんな来客が来ている一方、ドアの向こうからは何やら賑やかなトークが聞こえてくる。
「へぇ~!そんなカフェあったんだ!!あたし聞いてなーい!!きゃは☆(てか、どーでもいいけど、前回作者の奴オモイッキリあたしの名前、亜『希』子って間違えてやがったわね……挙げ句にガイアメモリをメモリーって書いて、コレまた指摘受けてたわ……はぁ……)」
「先月姉妹店と同時オープンしたばかりで、よく大学の帰りによるんですよー。もう常連になってて、店長さんとも仲良しになってっバイトまでさせてもらってます!!」
「じゃあ、マエる……マエリ……ベリーさんもよく一緒にいくの?」
「はい。いつも二人セットで動いてる感じなんで……あ、名前呼ぶ時はメリーでいいですよ……(半ば強引にあたしの名前を愛称で呼ぶ流れ創ったわね。作者)きゃ?!」
蓮子はメリーに腕を組んで引き寄せ、仲の良さを自慢するように笑いながら言った。
「あたし達二人で一つの秘封倶楽部ですから!!」
「もー、ちょっと蓮子、恥ずかしいってば!!」
「うふふー、本当に仲いいんだねぇ~。二人で一つって本当にうちの二人の探偵みたい!」
亜樹子がそういうと、蓮子はあらぬ想像をしたのか、顔をやや赤くさせて亜樹子の耳元で声のトーンを落として聞いた。
「え……?!!ごくっ……あの、その二人で一人って……まさか、失礼を承知でお聞きしますが、その、ホ○……なんですか?」
「は?!!いやいやいやいや!!流石にそういったのじゃないよー(え?!!ふ、二人ってレ○なの?!!)!!」
最早面接ではなく女子会のようになっていた。
事務所に女子三人がこうも女子会ムードを放っては翔太郎も入りづらくなっていた。
(あのー……面接なんだよね?面接に来たんだよね?女子会そのもの~になっちゃってるよ??それになんで俺は肩身狭くなってんの??ここのメインの探偵だぞ、探偵!!風都探偵の一話でも俺が主軸で接客してたろーが!!!ま、まぁっ、こー眺めて見てても悪くないな。やっぱり……蓮子ってコ、俺の超ストライクだ……ジョーカーのような運命の感じだぜ……ってー!!違うぜ、俺!!!亜樹子に本題に移らせねーとっっ!!!)
翔太郎が脳内で盛り上がってノリ突っ込みしていたその時、亜樹子が手を挙げた。
「ん?!!」
「翔太郎くーん、なんかデザート持ってきて!!ちょっとしたやつでいいから!!それじゃーコレ終わったらそのカフェみんなで行こっか?!」
「え?!いいんですか?!」
やはり面接ではなく、女子会……思わず大概にしろと翔太郎は怒鳴りそうになるが、こちらを見る蓮子とメリーの眼差しにハードボイルドがとろけ、ハーフボイルドになる。
「ぐうっ……!!!う?!!はいはいはーい(あ~!!何やってんだ俺は~?!!もう一回言うが、俺はここの探偵だろうがぁ~!!!だが、あの目で見られると……もてなさずにはいられんよな~……ん?!なんか、さっきとデジャヴしてねーか?!!)!!」
結局、翔太郎がおもてなしを進めて冷蔵庫をあさっていると、鳴海探偵事務所のチャイムが鳴った。
(お?!新たな風が舞い込んだか?助かったぜ~、ここから蓮子ちゃん……だっけ?蓮子ちゃん達の模範を見せてやんねーとな!!)
翔太郎は帽子をサッと目深にかぶり、出入り口のドアに向かいながら亜樹子に面接の進行を促した。
だが、蓮子とメリーの手前、口調はオブラートに包む。
「……お楽しみのところ悪いケド、お客さんが来た。亜樹子、丁度いい。なんなら探偵志望のお嬢様のお二人に様子を見学しながら仕事を見てもらおうぜ」
「あ、そ、そうね!!じゃあ、そうしてもらおうかしら!!!」
「え?!!いいんですか?!!」
「あぁ(あまり見つめるな……惚れちまうぜー!!!)。まずはお客の依頼に耳を傾けることからさ、ツーレディーズ??」
そう言いながら颯爽と翔太郎がドアを開けると、そこには小さなお客が佇んでいた。
「こ、こんにちは!!」
「おー……っと。君、一人かい?」
「うん……出て行っちゃったお母さんとお姉ちゃん、探して欲しくて……来ました!!」
ぱっと彼の言葉から聞いた内容からして複雑な家庭が背景にあるようだった。
「そうか……とりあえず入んな?そのお話し、詳しく聞かせてくれ。鳴海探偵事務所にようこそ!」
翔太郎は事務所内に小さな依頼主を招き入れ、亜樹子に対応を促す。
「亜樹子、席のし何かジュース頼む。小さなお客さんだからなー」
「はーい!!あら~、君、可愛い~!!待っててねー、ジュース出してあげるから!」
亜樹子が依頼主の少年を撫でると、便乗するように蓮子とメリーも近いて少年を撫でた。
「きゃあ~、可愛い~!!」
「可愛い~……ボク、いくつ~?」
「じ、じゅっ、十歳……」
鳴海探偵事務所に入って早々から美女達にちやほやされる依頼主の少年。
表情も照れており、翔太郎も内心少年としての立ち位置が羨ましくも感じていた。
(あ~……少年の視点でありゃ、たまらんだろーな~……俺もガキに戻ってちやほやされてーよー)
そして蓮子とメリーも交えながら接客準備が整い、依頼内容の話が始まる。
「……それじゃ、ボーイ。名前ともう一度依頼内容を聞かせてくれないか?」
「青山晶です。お母さんは出て行っちゃって二ヶ月くらい、お姉ちゃんも帰らなくなって二週間……お父さんもお仕事転々してて、時々しか帰って来なくて……帰って来たら来たらで、いつもお母さんにお酒飲む度にケンカして暴力したり……お母さんも知らない男の人呼んでて……」
晶少年が経緯を話し始めると、彼が吐露する内容からたちまち蓮子とメリーや亜樹子の表情が曇り気味になっていく。
改めて探して欲しいと言いたいはずの少年の口からは、結論を話す前から溜め込んでいたモノを吐き出すようにこれまでの事を話し始めた。
翔太郎は頷きながらその小さな背中に背負う哀しみに耳を傾けて聞く……翔太郎の心情であり鳴海探偵事務所の基本中のモットーだ。
「……」
晶少年が溜めこんだ話しを話し切った。
すっかり空気は重くなっていた。
出て行った母親・真知子には既に男の存在があり、家で母親と男の性的行為を見てしまった事(晶少年視点の証言上では「目を覚ました時、お母さんが大きな声を上げながら何故か裸で男に何かをされていて、怖くて目を瞑ってねたふりで過ごしていた」とのこと)。
母親が最終的にはその男に半ば強引に連れ出されて出ていった事。
家には多額の借金があり、連日恐い人(借金取り)がくる事。
もう一方の姉・唯は逼迫する家庭を見かね、高校を辞めて働きに出た事。
姉が働いてお金を入れてくれるようになるうちに様子がおかしくなっていき、同時期から彼女の年齢では考えられない金額を稼ぎ始めていた事を話していた事。
それから次第に家に帰らなくなり、現在に至った事。
小学生の少年が背負わされるには余りにも過酷なエピソードの数々だった。
話し切った晶少年の目には涙が浮かんでおり、ぐすぐすと涙を落としていた。
残酷だが、ビジネス的には金払いが非常に悪いことが伺え、話を聞くまでに止めてしまうのが無難な選択だ。
ビジネスもはらんでいる以上、他の探偵事務所ならそうせざるを得ないだろうし、酷い所ならば軽くあしらわれ門前払いされていただろう。
だが、鳴海探偵事務所は違う。
翔太郎は晶少年の頭にポンポンと手を添える。
「そうか……こんな幼い内からそんな現実背負わされて……辛かったな。だが、俺達の所へ来てくれたからには安心しろ。俺達は君の味方さ。話はいくらでも聞いてやるし、恐い人からも匿ってやる。まだまだ親の存在が必要だし、第一、晶君はお母さんとお姉ちゃんの帰りを望んでいる。二人を探してやるさ。この街は俺の庭だ。今日は気のすむまでここにいてもいいぜ」
晶少年は腕で涙をぬぐいながら頷いた。
蓮子はこのやり取りの中で翔太郎から感じる何かに惹かれるような感覚を覚えた。
(ッ……なんか、キュンときちゃった……って、違う違う!!集中なさい、あたし!!耳を傾ける……か。不思議な事件の依頼期待してたけど、初めからいきなり重い現実の依頼か……)
調査が始まった。
「その時、不思議な事が起こった!!」
「はい??」
「あ、いや、調査の開始の時、よく風都探偵じゃ『調査が始まった』で始まるから肖ったのさ。懐かしいヒーローと掛け合わせて。いやー俺もガチ世代だからさ……ブラックとRX……」
「いきなり何の話を言い始めてるんですか?!てかさっきの重い空気の後にこれ?!既に『?』が駆け巡ってます!!謎です、謎!!」
「謎は探偵に付きまとうワードだからな。俺が月曜の夜見てた頃、あの探偵の主題歌タイトルだったしな。踊ってるライトを見つめながら忘れなきゃ、謎が解けるんだよ、謎が!!」
「あの、面識間も無いしで恐縮ですけど……それも一体何の話ですか?!!早々からツッコミばかりですよ!!翔太郎さん!!」
「あー……そこはもっとこう……新八的にキレとノリをスピーディーに突っ込んでくれてもいいぜ?レディーズ?あ、新八、フィリップだったな!!実写!!あ、この二次小説が実写か二次かは……読み手のあなた方にゆだねますよ?」
(誰に言ってるの?!!更に話が見えない……大丈夫なの?!!ここの探偵?!!)
「……とまぁ、メタなノリはここまでにして……少しでも重い空気をほぐしたかったんだよ。初心者にはキツめのヘビーな依頼の風が舞い込んじまったもんだからさ」
「っ?!そ、それでわざわざメタい事を??ごめんなさい、初対面から、しかもこれから雇って下さるか否かの状況で色々突っ込んでしまって!!」
「お気遣いありがとうございます……」
「いやいやそこまでかしこまらなくてもいいって!!で、まずは俺と一緒に調査に出る前に、もう一人の探偵事務所のメンバーを紹介していきたい。俺の相棒だ」
「相棒?」
「あぁ。うちの探偵事務所には地下倉庫もあってな。相棒は普段そこで検索に明け暮れてるんだ」
翔太郎は二人を地下倉庫に案内し、フィリップと二人を対面させようとした。
だが、地下室への階段を下りた先のドアには「検索中」の札がドアノブにかけられていた。
「あちゃー……間が悪かったか!ゴメン、また時間変えて紹介するわ。あいつ、何か強く興味深いことに惹かれるとそっちのけで『検索』に没頭しちまうんだ。この札がかけられてるときは深い検索に浸ってる時で、まず出てこない。ま、久々だけどな……」
「はぁ……さいですか」
「どんな人なんだろ??」
再び階段を上りながらメリーがぽろっと言うとまたもや翔太郎のメタ節がさりげなく出た。
「ん?実写の新八or風都探偵版のアレ」
「はい??!」
風都の街は翔太郎にとって基本的には庭であり、調査の基本としては愛機のバイク・ハードボイルダーで街を駆け巡る。
だが今回はバイト志望の二人を連れての行動となるので基本中の基本の徒歩での調査になる。
しかしながら徒歩の調査は徒歩ならではのメリットもあり、ましてや初心者や初心回帰にはもってこいの調査方法だ。
徒歩でしか確認できなかったり、見ることのできない街の表情を見れるからだ。
鳴海探偵事務所が車も所有してないわけではないが、有事の際に出撃する場合がある四軸大型特殊車両マシン・リボルギャリーになってしまうので、車両での移動は基本的にできない。
メタ的に言えば作者がダブルにハマった根本ファクターだ。
そこから色々な経緯を経て本二次小説がスタートしたのだ。
決して「なら早くガンダム書けや」と突っ込んではならない。
作者、二次小説候補が山積みになり数多くのモチベーションが飛び交ってしまう苦悩の時期があった。
TV版海猿形式でメカゴジラ・機龍の戦記を書きたくなったり、鉄血のオルフェンズとソラノヲトのクロスオーバーを書きたくなったり、プルツーをメインヒロインにしたガンダムエックスの二次をやりたくなったり、バイオレット・エヴァ―ガーデンのバイオレットの究極の萌えの美に衝撃したり……各二次小説を断念し続け、ようやく此処へきて仮面ライダーWとガンダムWの二つのモチベーションを行き交えるようになったのだ。
って何を書いている、作者。
どんだけメタい文章に文字数費やしている!??
本編に戻れや。
調査が徒歩であるが故に会話も弾み、特に翔太郎と蓮子のオシャレの趣味がウインドスケールとドンピシャであることがより先程の重い空気を解消させていた。
「……で、このハットは街中の風服町通り店で買ったやつで限定モデルなんですよ!!」
「お!!俺も良くいくぜ!!てか、常連だソコ!!」
「そうなんですか?!もしかして知らず知らずの間に会って(見かけて)たかもですね!!」
「……いやっ、もし会ってたら当に出会いの衝撃が俺に走っていたはずだ。行き違いが重なっていたんだろうな……じゃなきゃ、今日感じたもんを知っていたはず……」
「え―――?!!」
翔太郎からの思いもよらない発言に蓮子は戸惑いを覚えてしまうが、まんざらでもないように困っている様子だった。
翔太郎はハッとなり、慌ててまた褒め倒しに走った。
「っ……(やべっっ、ふつーにダイレクトにさり気なく言っちまった!!?)しかしイイなぁ!!ウインドスケールに対するイイ情熱具合が!!イイ趣味してるぜ。それに君みたいに帽子が似合う女子ってのはかっこよくも可愛い!!うん!!(あ?!!また……!!!)」
「えへへ……そんな、あたしなんか~……でもありがとうございますっ!あと、この肩のケープも限定モデルですよ♪バイトで頑張って買ったんですから~」
出会ったのはつい先程ばかりにも関わらず、昔からの先輩後輩の勢いで会話を弾ませる二人に、メリーは歩きながら仄かなジェラシーを芽生えさせていた。
(もぉ……蓮子ったら。私がまるで放置されてるみたいじゃない。当初の目的忘れちゃってるんじゃないでしょうね?!まだ正式に雇ってもらってないのよ?!)
「バイトってさっき亜樹子と話してた所?」
「そうです。メリーも一緒にバイトしてるカフェバーです!!雰囲気も最っ高なんですから!!もしよかったら調査後に寄って行きません?!メリーも行こ?!あたし達、シフト明日だからさ」
「え?!えぇ……いいけど、蓮子!!所長さんも行くって言ってたでしょ?!一旦戻ってからに決まってるでしょ?!それに、あなたさっきから羽目外しかけてない?!初対面の人に対してちょっと失礼だよ?!仮にもまだ体験バイトで実際に雇ってもらえてる段階じゃないんだから!!」
「え?!そんな盛り上がってた?!!あはは~……ゴメン、メリー……」
クドクドと説教じみたやり取りが蓮子とメリーの間で発生する。
その二人を見て、翔太郎は指摘して来たフィリップとのやり取りを連想させ、更にはどことなくメリーが置いてけぼりにされてしまった事へのヤキモチも含んでいるようにも思えていた。
「(おー……なんか色々言って来る時のフィリップみたいなやり取りだなー。もしかしてヤキモチ妬かせてしまったか??って、二人はレ○?!!まさかな~……だからといって俺もホ〇じゃねーが)イヤ、俺は全然問題ない!!ノープログレム!!調査の帰りがてら寄るのもイイな!!もしかしたら風都イレギュラーズの新たな憩いの場になるかもな~」
翔太郎の口から「風都イレギュラーズ」という聞き慣れない単語が出て、蓮子とメリーは声を重ねて質問した。
『風都イレギュラーズ??あ……くすっ』
笑うタイミングまで同じな二人に半ばホッコリしたものを感じながら翔太郎は答えた。
「仲いーなぁ。風都イレギュラーズっていうのは一重に言えば俺の情報屋仲間さ。先代の師匠が情報屋仲間をそう呼んでいたからそう言ってるんだけどな。事件の過程で知り合ったメンバーもいて、一時はその中のメンバーの喫茶店を情報基地にしていたんだが、その店主が高齢で店を畳んじゃってな」
「じゃあ、ちょうどいいかもしれない!!カフェ&バーTOHO!!」
「バーも入っているのか?!いいね!!カフェとバーは探偵に必需品だからな。また風都イレギュラーズに言っとくか。メンバーは」まぁ色々と濃いキャラばかりだが……」
ネットジャンキー・ウォッチャマン。
ペットショップ店長。
女子高生・博麗霊夢・霧雨魔理沙(アーティスト・芸能界デビューして上京していったクイーン&エリザベス経由の後輩・後がま)。
喫茶白銀の元マスター・白銀(喫茶店・白銀を経営していたが、数年前に自身の高齢を考慮して店を畳み、孫娘リリィもまた結婚して風都を去った)。
風都警察署刑事・刃野刑事。
メインのイレギュラーズ以外に他にも珈琲店店長や先代・荘吉のよしみの的屋・尾藤勇、屋台ラーメン風麺から店を構えた麵屋「風亭」店主、そして元・ミュージアムのメンバーであり、フィリップの姉でもある風都のラジオパーソナリティー・園咲若菜など様々な繋がりがあり、翔太郎は口頭で紹介していった。
「えぇ~?!!フィリップって人、若菜姫の弟だったの?!!すっごい!!!」
「やっぱ誰もそう言うよなぁ~。俺も当初ビックリしたぜ。勿論他言無用だぞ。後々めんどくさい事になるからさ」
「でも何故わざわざ私達に?まだ正式にバイト採用して頂いたわけじゃないのに……」
メリーの質問に対し、翔太郎は穏やかな表情で答えた。
「……確かにまだ決まったわけじゃないが、もう俺の勘は二人が俺達の仲間になってくれる風を感じているのさ……」
「え?!!」
「でも私達、まだ仕事らしい仕事できてませんが……」
翔太郎は戸惑いや謙遜を交えて言うメリーに帽子をさりげなく目深にし、口元笑みを見せながら続けた。
「確かにそうだけど……この街は色々な風向きの風を運んでくる。美味しいカフェを見つけた小さな幸せも、晶君の家族のような大きな不幸も風が運んでくる。二人が尋ねてきてくれた時から、新たな仲間ができそうな気配の風を感じているのさ。風都に長年住み続ければ何となく事の風向きを感じれる。探偵はその中の不幸の風向きが生み出す悲しみを拭ってやるのが役目なのさ……」
つい先ほどまでメタ要素マシンだった翔太郎が背中で語るようなハードボイルドっぽさを見せながら蓮子とメリーに諭し振り向く。
蓮子は当初のハーフボイルドっぷりとのギャップを感じ、何か心にクルものを感じてしまっていた。
(あ……何かさっきと違う)
「さっ……改まった所で、調査開始だ!!」
改めて調査が始まり、その過程で今回の調査対象の要になる情報網(青山家の近所関係は勿論、風都警察の刃野の警察経由の情報、市内情報通ウォッチャマンの情報網による未成年者を雇っている夜の店情報等)に情報提供のジャブを打ち、風都の様々な場所を渡り歩いたりしていった。
真知子と唯を同時進行で調査していく為だ。
翔太郎がその間に色々と探偵のあれこれをレクチャーを蓮子とメリーにしていく。
目を輝かせながら聞く蓮子や真剣な眼差しで聞くメリーの姿勢からも、超初心者でも気持ちの面は眉唾ではないことも確信していた。
調査の最中、霊夢と魔理沙に情報を当たると、唯に関する有力情報を得る。
「青山唯?!彼女でしたら最近まで私達とバイト先で働いてましたよ、翔太郎さん!!」
「本当か?!!」
霊夢は実家が風都から県外内外に至るまでに有名な博麗浅間大社であり、今回の調査内容に驚きながらも清楚かつ清らかな物腰で語った。
「はい。というか正確には来なくなってしまって。二週間前から。それに幾つか掛け持ちのバイトをしているとは聞いていたけど、どうも危ないバイトしてたみたいで……」
二週間前……彼女が家に戻らなくなった時期と一致し、危ないバイトと極めて年齢不相応な高額を稼いだ事も符合する。
「だから今、バイト先の店長からも言われて店のバイト仲間で探そうとしていたんだのぜ。店長の八雲蘭さんは店員想いな所あってな……」
魔理沙がそう言うとメリーと蓮子が食いついた。
「え?!!八雲蘭?!!蓮子、それって!?」
「うん!!あたし達のバイト先の店長の妹の名前じゃない!!あたし達は八雲紫店長のカフェ&バーTOHOでバイトしてるのよ!!」
「えぇ?!そうなんですか?!」
「姉妹店なんだぜ?!!あたしらは洋食レストランの蘭・RAN亭でバイトしてるのぜ!!」
これまた思いもよらないところで二組の共通点がつながり、たちまち女子トークが開始するムードになってしまう。
翔太郎はこれをなだめるように本題に戻した。
「これまたすげー偶然だな!!まぁ……盛り上がる会話は後の楽しみにとって置いて……話を元に戻すが……魔理沙、唯ちゃんがその危ないバイトに行き始めたのはいつ頃からなんだ?」
「そのバイト自体には一か月前くらいからやり始めてる傾向があったんだぜ。店のみんなに対する態度も見下したりケンカ越しになっていってな……遂には家にも戻らなくなって……絶対ヤバい事に巻き込まれたんだぜ。だから説得したのによ……」
霊夢に対し魔理沙はサバついた態度や物言いをするが根は善く、曲がった事が嫌いな性分の持ち主であり、彼女こそがクイーン&エリザベスの系列の後輩だ。
ちなみに霊夢とは幼馴染である。
「頑張って働いていた頃の彼女はとてもそんな人じゃなかった。何が彼女を変えてしまったのか……やっぱり翔太郎さんの所に来た弟さんが言ったように家庭環境が……」
「それも含め、色々ありそうだけどな……『人を変えてしまう要素』が……」
翔太郎は探偵の勘から単に家庭環境ではなくそれ以外にも何かある。
あくまで勘の範囲を出ないが、幾度も関わってきた悪い勘を感じていた。
(そう……この風都でその要素を持った最も黒い存在……違法ガイアメモリがな)
夕暮れが広がる時刻の風都港の一角で弾丸が飛び交うような戦闘行為が起こっていた。
それはハチ型の怪人・ワスプドーパントが原付バイク・ズーマーに跨る青年を追いながら腹先にあたる部分から針を弾丸のように飛ばす光景だった。
「これ以上深入りされたらめんどくさい!!!関わってしまったからには死んでもらう!!!」
幾度も針を弾丸のように飛ばすワスプドーパントだが、追いかけられている青年は蛇行運転でかわしていく。
「ったく……まだ時間が浅いってのに堂々とドーパントになりやがって……!!!」
「原付風情がちょこまかとおおお!!!ならばぁ!!!」
ワスプドーパントは高周波振動を響かせながら自身を加速させる。
ズーマーの青年の頭上を通過すると同時にこの高周波の影響を与え、走行バランスを崩させた。
「おわ?!!なんだっ、コレ?!!バカ空気が重い?!!鼓膜もド痛ぇーし!!!」
ワスプドーパントはなんとかバランスを持ちこたえて走行する青年の先回りをし、ホバリングしながら腹先の針を構えた。
「ちぃっ……?!!」
「死ね!!!」
針が連続で撃ち出され、幾つもの箇所のコンクリートを穿つ。
ズーマーに直撃すればソッコー廃車は免れない。
すると青年は身に隠していたメカニカルな銃を取り出し、正面のワスプドーパントに向けて素早く撃ち放った。
ダダダダダダンッ!!!
ドォドドドドドォキャアンッ!!!
「ガァあああああ?!!」
ワントリガーで五発の高速エネルギー弾を撃ち出し、全弾がワスプドーパントに命中した。
青年は、ワスプドーパントが怯んだ一瞬の隙にズーマーに急ブレーキをかけて降りると、ヘルメットを外し、ズーマーの収納ボックスを開けてもう一つの機械的なアイテムを取り出した。
それは仮面ライダーエターナルと同様の変身用機器・ロストドライバーだった。
彼もまた風都の仮面ライダーのようだった。
だが、ロストドライバーを装着する前にワスプドーパントは再び針を放って攻撃を仕掛けてきた。
「うお?!!ちょッ、タンマ!!!」
アスファルトや近くのコンテナに直撃し、派手に破壊していく。
ズーマーへの被弾は奇跡的に免れていた。
だが、ワスプドーパントは一気に青年に向かって行き、背後を捉えるようにその体を羽交い締めした。
「しまった……ちっくしょッ!!!」
人間とドーパント化した人間とではパワーの差が野生の猛獣級に違う。
背中には鋭利な毒針が直に突き付けられていた。
「初めからこうすりゃよかったんだ……直にぶっ刺してやんぜ!!!」
ダダダダダダンッ!!!
「ギャがああああ?!!」
青年は背後のワスプドーパントにメカニカルな銃を向け、零距離で銃撃を浴びせた。
「ッつ……ったくよ、馬鹿だなおめーは。俺はまだコイツ持ってるっつーの!!ま、俺もバカでノーミソ悪いけどな。そのバカに撃たれたテメーは更にバカってか?!!」
羽交い締めを崩させながら自らをディスりつつ、青年はメカニカルな銃をクルクルさせながらワスプドーパントを挑発した。
「貴様ぁああああ―――!!!フツーの銃じゃねぇな?!!」
「あぁ。対超常怪人用の武器、トリガーマグナムだ。そして俺は……ってのォおおお?!!」
青年の股間スレスレにワスプドーパントの針が通過した。
怒り狂ったワスプドーパントは縦横無尽に針を発射し始めた。
「ここまで馬鹿にしくさってぇええ?!!」
「うおおおおお!!?そこまで怒ることかぁあああああ?!!俺はバカでハーフボイルドって認識してるんだぜぇ?!!」
ドォオオオオオンッ!!!
「がぁあああ?!!ちっくしょ、今度はなんだぁあああ?!!」
その時、強烈な突風がワスプドーパントを吹っ飛ばして怯ます。
すると殺伐したこの状況に似合わない女性の声が響いた。
「変身は黙って見届ける……ライダーも戦隊ヒーローも、メタルヒーローだって共通の鉄則ですよ?」
その言葉の直後、黒い翼を生やした黒髪ショートボブの女子が青年の前に降り立った。
風貌からして明らかに普通の女性ではないのは確かだ。
「全く……また当然のようにご自身をディスって……大丈夫ですか?」
彼女は尻もちをついていた青年の手を取って立ち上がらせてやると、彼の衣服のチリやホコリもパンパンと掃った。
「うん、サンキュー、文!!いやー危なかった……やっぱりミッドナイトに動くべきだった。ホントバカだよなぁ、俺。ハードボイルドになれねーハーフボイルダ―のクソだよ~」
「だから、ディスらないでください!!銃斗(じゅうと)さんはバカじゃないです!!想う人が自らをディスる私の気持ちになってくだい!!仮にバカだとしても私はそんなおバカさんなあなたが……」
「文……」
「何イチャついてやがんの?!!清水港みたいな風都港をバックにしてさ?!!ねえ、ねえ、ねえ?!!怒り沸騰だぞ、こっちは?!!あー……なんか向こうの夜景の感じ……白目のゴジラが出てきそう……って違うわ!!!よくもバカにした上にガイアメモ『リ』!!!の裏取引を妨害しやがってぇ……」
「いや、アホみたいにノリツッコミしてるの、そっちだから。それになんで今ガイアメモリの語尾強調した??」
「作者が指摘受けたからだ!!!間違ってリーって打ってたんだ!!!」
「後、清水のゴジラの件……確かにGMKゴジラは清水横断して熱戦吐いて街を壊滅させてましたが……あくまで極めて清水に似た風都の情景ですから。確かに実際の富士市に該当する夜景の方面にランドマークタワーが小っちゃく見えますが……」
「そっちこそ何言ってだ?!!バカップルめ!!!もう今度こそ殺すっ!!!なんなんだ、てめーら?!!」
「射命丸文……烏天狗の末裔。風都の情報雑誌記者」
「獲牙(とりが)銃斗……ニートっ」
「ダメじゃん!!!ヒモかよ?!!カッコわるっっ!!!」
ワスプドーパントがツッコミを入れるも今度はさりげなくかわす。
「ま、否定しない……だが、あくまでそれは表向き。本当の俺は……俺達は風都のバウンティーハンター。賞金稼ぎのスイーパーさ」
「スイーパー?!!シティーハンターじゃねーんだぞ?!!」
「肖っただけさ。NIWAKAだが、好きなんじゃい!!!彼女もご覧の通り普通の人とは違う。幽白で言う所の魔族大隔世って奴だっ!!!」
「ホント、幽白ネタ好きなんですから、もう……ケドあながち間違いじゃありません。私の先祖……申した通り烏天狗ですからね。私のこの力は先祖返りってやつですよ。そしてダーリンも生身のスイーパーじゃない」
文が銃斗の肩に手を置きながらそう言うと、銃斗はロストドライバーを自らの腹部に装備させ、青いガイアメモリを取り出した。
『トリガー!!』
マダオのようなガイアメモリの音声が響く。
「なんだよ、上の文章!!!事実だけど歯切れわりーぞ!!!ったく……いくぜ。変身!!!」
銃斗はトリガーメモリをロストドライバーに挿し込み、スロットルジョイントを倒す。
『トリガー!!』
そして、変身サウンドと共に銃斗は仮面ライダートリガーに変身した。
青い銃撃主の力を宿した仮面ライダーだ。
銃斗が変身した仮面ライダートリガーは、トリガーマグナムの銃口をワスプドーパントへと向けて言い放つ。
「その罪……狙い撃つぜ!!!って……だめだ、00のロックオンになっちまう。もう一回……」
「ホント、かっこわりーなぁ、おい!!!リアルによ!!!仮にも仮面ライダーだろが?!!その内『俺の後ろに立つな』とか言い始めんのか?!!」
「言わねーよ。ゴルゴ13ネタってことくらいしかわからんからよ。ま、そのリアリティーがいいんだ。リアリティーが。それじゃ、その罪……撃ち砕くぜ!!!」
To Be Next Continued