仮面ライダーダブル&トリガー ~風都超常犯罪事件簿 ~   作:さじたりうす

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第6話 理不尽のF/汚れた欲望の牙

 唯は母親を半ば強引に奪い去っていったタケアキと知らずに、意気込んで接客していた。

 

 基本的なマッサージから始まり、これまで培ってきた今あるテクニックでもてなす。

 

「おお~……ゆいちゃん、いいねえ……おおっ、そこそこぉ~っぐお、いってぇ~、効くぅ……」

 

「相当お疲れのようですね☆ゆいが一生懸命ほぐしてあげますね☆」

 

「まぁねぇ……昨日は凄い運動したからかなぁ~??」

 

「えぇ~、どんな運動してたんですか??サーフィンとか??なんかお兄さん、感じ的にサーファーって感じですから~」

 

「そお??よく言われるよぉ~。実はえっちぃ~な運動してた!!ぎゃははは!!」

 

 タケアキのその発言に内心引く唯であったが、仕事時間中はそのような表情を出すわけにはいかず流すように対応する。

 

「ええ~?!もう、やだお兄さんたらぁ~☆」

 

「ギヒヒヒ~。でもそっち形のマッサージもしてんでしょ?そろそろしてよ!!」

 

「気が早いですよぉ~、お兄さぁん。でも、いいですよ。全力奉仕しちゃいます!!」

 

「んほほ♪たのむぜぇ、ゆいちゃん。俺をもっと満足させてくれたら『イイもの』あげる!!」

 

 

 

 

 一方、翔太郎達は作戦通りに市内のラブホテルの部屋を押さえ、ここで唯を説得するよう身構えていた。

 

 翔太郎達の予約はタケアキの次と言う形になっていた。

 

 だがそれ以前に、翔太郎とフィリップに加え蓮子とメリーの二組がラブホテルの一室にいる状況が成り立ってしまっていた。

 

 無論、傍から見ても本人達の脳内でもそっち方向の要素の想像が廻ってしまう。

 

 (いいか?翔太郎。これは晶君の悲しみを拭う為の作戦だ!!決して蓮子ちゃんと……ってわけじゃない!!!)

 

 (翔太郎さんにフィリップさんに、メリー……見事に男女二組づつの状況じゃない……やっぱり想像しちゃう……うぅっ、蓮子、これは探偵のお仕事上なのよ……)

 

 (フィリップさんとこの部屋に……きゃああああっ!!!そんな想像しちゃダメ、私!!)

 

 勝手に盛り上がる三人をよそにフィリップはしれっと話した。

 

「君達、さっきから妙な想像力を働かせてしまってはいない??彼もいることを忘れてしまう程もりあがっているのかい??」

 

 フィリップがそう言うと今回の件で晶少年も同行していることを一同は思い出した。

 

『あ』

 

「どういうことなの??」

 

 不思議そうに尋ねる晶少年にフィリップは優しく答えた。

 

「いや、お兄さんとお姉さん達が色々考え事をしていたってことさ。お姉さんとお母さんが帰ってくるようにね」

 

 フィリップは晶少年の頭を優しく撫でると、翔太郎を改めて呼ぶ。

 

「翔太郎、彼女を……唯ちゃんを待っている間にお母さんの方の調査を進めよう。もちろん『地球(ほし)の本棚』でね。ある程度のキーワードは揃っているんだろ?」

 

「まあな。だがこの件に纏わる知りたい調査項目が多いんだよな……」

 

「仕方がない。一つ一つあぶり出していこう」

 

 二人の会話を聞いていた蓮子が翔太郎に質問した。

 

「何??ほしのほんだなって??」

 

 翔太郎は左手で蓮子を指さしながら答えた。

 

「その質問、バイトである後輩、あ、候補だからこそ特別に答えてやるぜ。フィリップには膨大な地球の記憶があるんだ。その思考がフィリップの脳内で本棚のイメージとなって現れているんだ」

 

「え……思考上で、ですか?!」

 

「ああ。事件の調査で得た幾つかのキーワードをフィリップに伝えて絞り込んでいく……そこから真実を導き出すんだ。単純なキーワード、例えば『晶君のお母さんはどこ?』だけじゃ情報が大雑把で絞り込めないんだ……じゃ、フィリップ、まずは晶君の母親の居場所から始めてくれ」

 

「ああ」

 

 フィリップは精神を集中させ、精神を地球の本棚にアクセスさせた。

 

 超高速で本棚が行き交い、精神体のフィリップの周囲に立ち並ぶ。

 

「検索項目、青山晶くんの母親の居場所。翔太郎、キーワード」

 

「一つ目、『青山真知子』」

 

 高速で本棚が動き、埋め尽くしていた本が一気に減るものの、流石に該当本の数はまだ多い。

 

 翔太郎は得ていたキーワードを順々に言っていく。

 

「二つ目、『風都市』……三つ目……『人妻』……四つ目、『かけおち』……五つ目『田中武明』」

 

 この間で見る見るうちにフィリップの周囲の本棚は減っていった。

 

 そして五つ目のキーワードを翔太郎が言った時、フィリップが驚愕した。

 

「うああ?!!」

 

「?!!どうしたフィリップ?!!」

 

 フィリップが驚愕した理由とは、彼の背後に息を切らせたメリーがいたからだった。

 

 ハッキリ言って在り得ない状況だった。

 

「な、何故メリーが星の本棚に?!!一体どういうことなんだ?!!」

 

「はあ?!!」

 

 前代未聞の状況にフィリップと翔太郎がパニックに近い驚愕ぶりの声を上げながら横を見ると、メリーも瞳を閉じて佇んでいた。

 

地球の本棚内のメリーがフィリップに答える。

 

 

「私も手伝おうと思って……」

 

「いや、もっと根本的な理由を……あああっ!!!」

 

 フィリップは襲い掛かるかのような勢いでメリーの両肩を掴んだ。

 

「きゃあああ?!!こ、困ります、急にだなんて!!!」

 

 メリーは赤面しながら驚いていたが、まんざらでもないようだ。

 

「なんて興味深いっっ!!!君をもっと知りたいっ!!!」

 

「フィリップさん、まだ私は心の準備がぁ~!!!」

 

 訳が分からない状況の中、翔太郎は蓮子に問いただした。

 

「おいおい、おいおいおいおい!!一体どういうことなんだぁ?!!」

 

「翔太郎さん……実はメリーは『次元の境界に干渉できる程度の能力』があって、異次元は勿論、夢といった思考上の境界にも干渉できちゃうんです。だからきっと地球の本棚っていうのにも……なんか色々混乱させてしまってごめんなさい!!」

 

「(話が飛びすぎて、もーわけわからんぜ?!!)いや……ま、とにかくだな……みんなっ、落ち着こうぜっっ!!!」

 

 ダラララララン♪という効果音で展開が変わるように仕切り直しになり、とりあえず皆が落ち着いた状況になった。

 

「すまない……余りにも驚愕的で取り乱し過ぎてしまった。じゃあ、この状況なら今までできなかった二つの検索項目を同時に追えるようになったわけだ!!やはり、メリーと僕の出会いは只事じゃなかった!!!」

 

「そんな……なんか恥ずかしいです……でも、まさか私の特殊能力が役立つなんて……」

 

「これはもう採用じゃないのかい?翔太郎??彼女の能力は素晴らしいに尽きるよ!!!」

 

「うるせーな……じゃ、最初からだな。蓮子さんは俺が書いたその検索項目をメリーさん……わたし、メリーさ……」

 

「翔太郎さん、ふざけないで続けてくれます??ぜったい都市伝説のメリーさんネタ言おうとしたでしょ??文字数無駄になります」

 

 レールガンのごとき冷たい蓮子のツッコミが翔太郎のボケを相殺した。

 

「はい、すいません……で、その検索項目とキーワードをメリーさんに伝えてってくれ」

 

「了解です。それじゃメリー、いくわよ。検索項目、JKヒャッハーが関与するガイアメモリ組織の人物」

 

 翔太郎とフィリップが先ほどの検索をやり直す中、蓮子とメリーの二人で別の検索項目を割り出しを始める。

 

「一つ目のキーワード、『風葵区・両替町』……二つ目『JKヒャッハー』……三つ目……」

 

 メリーの周囲の本も蓮子の言う検索キーワードと連動するように、高速で絞られていく。

 

「……『バレット』……四つ目『格恫喝也』」

 

 その直後、メリーの目の前に一冊の本が現れた。

 

「判った……JKヒャッハーが関与するガイアメモリ組織の人物……田中武明!!!」

 

 フィリップの方のキーワードにあった人物がメリー達に割り出され、そしてフィリップの方も答えが導かれた。

 

「そうか、彼が関与していたか。こっちもそのキーワードで導いたよ。青山晶君のお母さんはここにいる……風都市内のマンション・ルージュ・ウィンド809号室!!」

 

 フィリップが導き出した答えに翔太郎はヨシと言わんばかりに掌に拳を打ち込む。

 

「シャっ……後、検索項目、バレットのアジト、青山唯ちゃんがいる場所を導いたら晶君を連れていこうぜ!!!」

 

 翔太郎のその言葉にフィリップとメリー、蓮子が頷く。

 

「メリー、もう一検索いこう!!」

 

「はい!!」

 

 翔太郎は晶少年の両肩を掴みながらこの朗報を言い聞かせた。

 

「今日にでもお母さんに会えるぞ!!市内のマンションにいる!!」

 

「本当に?!!お母さんにも会えるの?!!」

 

「ああ!!だから、もう少しがんばろうぜ!!」

 

 翔太郎は笑みで頷く晶少年の頭を強く撫でて励ました。

 

 

 

 だがその一方で、唯は危機に立たされていた。

 

「いやあッ!!やめて!!!こんなサービスまではして無い!!!」

 

 タケアキは強引に唯を押し倒し、抵抗する彼女を力尽くで事を通そうとしていたのだ。

 

「何言ってんだよ、ゆいちゃん!!!特別メニューってこういうことなのを知らなかったのかいっっ……!!!」

 

「え?!!」

 

「君自身を俺が買い、これをすることで君は真のトップ嬢として君臨できるんだ!!!君のその若い体をくれよ!!!観念しなぁ!!!」

 

「そんな……!!!じゃあ、代表の格恫喝也や袋田は……!!!」

 

「当然招致に決まってんだろ?!!ひゃはははは、はああああ!!!」

 

「いやああああああ!!!」

 

 タケアキは息を荒げながら唯の制服タイプのコスプレ衣装をやぶり脱がすと、ベット上にあるガイアメモリ・コネクト端子を刻印する機器を彼女に打ち込み、そこへ串刺すようにハイメモリを装填させた。

 

「はうぅっ?!!あはぁああっ……?!!」

 

「最高にキマッタだろ?!!さらにこの後、更にガイアメモリを一本プレゼントするよ……じっくり選んでね?!!いただきますっ!!!これぞJKヒャッハーだっっ!!!」

 

 ハイメモリに快楽支配されてしまった唯に対して、タケアキは彼女の残りの衣服を激しく剥ぎ取る音と共に、生々しく情事を始めようとする。

 

その光景がシルエットとして壁に映っていた。

 

 

 

 その頃、翔太郎達はバレットのアジトも突き止め、その情報を照井に共有する。

 

「バレットのアジトが判った?!!本当か左!!?」

 

「ああ。今受け持っている依頼が関与してたんだ。地球の本棚でわかった。奴らのアジトは……」

 

 電話越しにバレットのアジトを聞かされた照井はふっと笑った。

 

「……そうか。感謝する。先日捕まえたバレットの刺原という男と他の連中なんだが、一向に口を割らなかった。故に今まで捜査が息詰まっていた所だった。これで事が動かせる」

 

「それともう一つ。アジトとは別にガイアメモリの密造場所もわかった。けどこっちは場所が場所だ。ガサ入れに反発してドーパントになる連中が複数いるはずだ。警察としてより、仮面ライダーとして乱入した方が賢明だぜ?」

 

 翔太郎が懸念的な言葉を伝えるが、照井はまたふっと笑う。

 

「そうか……ならばそこは俺とあの男で潰す」

 

「あの男……??あ、大道か!!風都の仮面ライダー二人がかりなら、況してや大道なら無双で完膚なきまでに潰せるな……そっか、了解したぜ。その件は任せるぜ。じゃあな」

 

「あぁ」

 

「あ!!!待った!!もう一つあった!!あのよー……」

 

 

 

 翔太郎が照井との通話を終えて二ッと口元に笑みを浮かべてスタッグフォンを閉じた直後、またもスタッグフォンに電話が入る。

 

 開いた液晶に「JKヒャッハー」と表示された。

 

「JKヒャッハーから?!何だぁ??もしもし??」

 

「JKヒャッハーですぅ。本日ご予約の左様でよろしかったでしょうか?!」

 

 声は袋田のようであった。

 

「そうすけど何かありましたか?」

 

「大変申し訳ありませんが、ご指名の子なんですけど、ちょっと急な都合で来れなくなったもので~……」

 

この瞬間、昇太郎の長年の探偵の勘で腑に落ちないもやついたモノを感じ取った。

 

「……!!はあはあ、ハイハイハイハイ……ちなみに急な用って、なんです?」

 

「いや、流石にそれはプライバシー上お答えできません。よろしければ別の女の子をご用意しますが……」

 

無論、当たり前の解答が来る。

 

「そーすね。じゃあ、他のオススメのコお願いしまーす」

 

翔太郎のその判断に蓮子とメリーは「え」となるが、フィリップは「ふっ」と見通すような反応をした。

 

翔太郎が他のJK嬢を指名した事に当然のごとく、蓮子とメリーは疑問を投げた。

 

「え?!!え?!!いいんですか?!!別の子で?!!」

 

「それだと唯さんを説得する本来の目的が……」

 

「いいんだ。臨機応変ってやつさ……勘が示すなら、唯ちゃんに何かあった。それに、唯ちゃん以外の嬢の視点の情報も得られるチャンスだ」

 

そう言い聞かせながら翔太郎はホテルに用意されているコーヒーを作り始めた。

 

「確かに翔太郎の言うことに一理ある。けど君の事だ。そうとわかればコーヒーを作ってるのは誤魔化しで、本当はじっとはしてられず、地球の本棚でわかればこのまま彼女の所へ行くつもりなんだろ?」

 

「っーくぅー~っっ!!!」

 

フィリップに図星を突かれた翔太郎は、妙な唸りを上げながら動揺するが、感情をセーブするように帽子を目深に被り直して舌打ちをする。

 

「っ……流石、おみとーしかフィリップ……」

 

「どれだけの付き合いだと思ってるんだい?」

 

「しゃーねーな……少しは落ち着くさ」

 

「別に引き止めている訳じゃない。代わりに来るマッサージ嬢は僕達に任せて、君は君で行動すればいいさ」

 

「相手は同じ女の子ですし、任せてください!!翔太郎さん!!」

 

「今回の事件で私達が一番活躍できそうな所です!!最善を尽くしますから!!!」

 

 蓮子とメリーもフィリップに続くように翔太郎に自身の持てる力をアピールする。

 

翔太郎はフッと軽く笑いながら帽子を目深に被り直し、度重なる仕草にフィリップはツッコミを入れた。

 

「翔太郎、何度帽子被り直すんだい??何度もやるとカッコつけのハーフボイルドになる」

 

「やかましい!!あー……晶君。やっぱり危険を伴うかもしれねー。お母さんとお姉ちゃんは必ず連れ戻してやるから、安心して待っててくれ!!」

 

「うん!!わかった!!」

 

「よしっ……じゃ、行ってくるぜ!!フィリップ!!!今の状況の唯ちゃんの検索、頼む!!」

 

「無論さ、翔太郎……」

今ある情報と翔太郎の風都地理力に、唯の居場所の手がかりはかかった。

 

 

 

一方その頃、風都駅では例の連絡ボードをチェックする銃斗の姿があった。

 

銃斗の超常犯罪の依頼は警察からの依頼以外にも、某街の狩人よろしく、ガイアメモリ犯罪をはじめとする超常犯罪に悩みを抱く者達がボードに待ち合わせ場所と時間を書き込んでいるのだ。

 

決して「XYZ」とは書いてはいない。

 

風都署も動きに限界があり、実質引き起こる超常犯罪全てには手が回らないのが現実だった。

 

故にそのような人達は翔太郎や銃斗達のような裏社会の超常犯罪専門の賞金稼ぎを頼るのだ。

 

「連絡ボード……依頼があるな!!今日の午後イチか……しゃっ、行きますか!!風都の悩みが呼んでるぜっっ!!!」

 

因みに依頼が重複する場合は改めての日時変更の為に○改とつづるのだ。

 

 銃斗が向かった待ち合わせ場所は風都内のカフェの店・カフェ&バーTOHOだった。

 

 カウンター越しに店主の八雲紫が他のバイトと共にメニューを用意している。

 

奇しくも蓮子とメリーがバイトしている店である。

 

ジャズ風アレンジのBGMが流れる中に待ち合わせたのは眼鏡をかけたサラリーマン風の男性だった。

 

いかにも銀行マンや営業マンと言ったスタンダードな感じに見える。

 

銃斗はコーヒーを何度か口にすると早速本題に入った。

 

「あ~……と、草加部さん?」

 

「はい……」

 

「それじゃ……早速依頼内容を確認したいのですが、どういったご用件か教えて下さい」

 

サラリーマン風の男は悔し気かつ歯がゆさそうな表情をにじみ出しながら答えた。

 

「はいっ……妻を奪い去った男を始末して頂きたいっ!!!奴は、私と息子から彼女を奪い去り、それまでの家庭を破壊しやがった……!!!それもっ……ただ破壊したんじゃない!!!私と息子の目の前で堂々とネトル様を見せつけやがたたんだっ……!!!」

 

話内容からして銃斗はえげつないモノを感じ、その光景を想像してしまう。

 

当事者からしてみれば体を抉られるに等しい苦痛だろう。

 

依頼者の男性はプルプルと握りしめた拳を震わせ黙ってしまう。

 

加害者に対する恨む気持ちはわからなくもないが銃斗はガイアメモリ絡み等の超常犯罪の始末屋である。

 

即ち専門外の内容だ。

 

無論依頼内容のジャンル違いはよくある事でもあり、銃斗は頭を控えめにかきながら依頼を断ろうとした。

 

「お気持ちはわかりますが……自分は超常犯罪専門なので~……」

 

「だからです!!!だから、連絡板に書いたんです!!!」

 

「はい?!!」

「話は最後まで聞いて下さいよ……そいつはっ、なんだかわからないガイアメモリを妻に挿しながら奴自身のを挿しやがりっ……!!!」

 

(おいおい!!!表現ギリっギリすけど?!!大丈夫か?!!)

 

「その間、私と息子は奴の仲間に脅されながらなにもできずにいたんです!!!ガイアメモリで変貌した怪物の奴らにね!!!そして最後までやりきるとっ『この女はもう俺のモノしか受け付けない。あんたの嫁はもらう。俺は美女コレクターだからな』『警察に言ったらどうなるか??手段はえらばないからな。怖じけ続けろ。平凡な父子家庭を送りたいのならな』と……!!!」

 

エグいカオスな内容の胸くそさが銃斗を誘う。

 

「そして奴自らもガイアメモリの化け物に変異し、その姿と力で私と息子に畏怖させました!!!巨大な長い指でね……!!!」

 

「長い……巨大な指……!!!」

 

「私は成す術なく、奴は妻をその手で掴みながら去って行きました……!!!その時の嘆く息子が悲痛でたまらなかった……!!!そしてっ、不甲斐なさ過ぎる私自身が憎かったっ……!!!」

 

聞いていた銃斗も感情移入し、苛立ちが沸騰する想いを懐いた。

 

「奴はっ、最早人間じゃない!!!どうかっ……この男を……あなたの手で撃ち砕いて頂きたいっ!!!」

 

彼がテーブルに置いた写真には部屋に配置したと思われる監視カメラの拡大画像だった。

 

そこには武明と思われし男の姿が写っていた。

 

銃斗はテーブルに置かれたそれを手に取ると、依頼者に武明に関する質問を投げ掛ける。

 

「なるほど……承知致しました。それでこいつの居場所等はご存知なんですか?」

 

依頼者はコップのコーヒーを一度口に含みながら答えた。

 

「ウインドカルチャースイミング。息子を通わせていた風都のスイミングスクールです。妻が送り迎えした際に目をつけられたのでしょう……!!!夫の私が言うのも恐縮ですが、妻は……美人でしたから……!!!」

 

 

 

その情報を得た銃斗はウインドカルチャースイミングを訪れ、武明の写真を手に受け付けに尋ねた。

 

だが事はスムーズにはいかない。

 

「田中インストラクターは本日は休みでして、こちらにはいません。どういった関係で?」

 

「かくかくしかじか……」

 

「はい??かくかくしかじかって、何を言ってるんですか?!!失礼ですがちゃんとお答えして下さい!!」

 

「かくかくしかじか省略が通用しない!!!?」

 

当然ながら得る情報もなく、銃斗はウインドカルチャースイミングを後にさせられ、路地をトボトボと歩くはめになった。

 

無論非は武明にあるが、内容が内容だけに公に言う訳にはいかない。

 

攻めの姿勢対応しても営業妨害にもなりかねない。

 

「何でこっちが肩身せめー思いしなきゃいけねーんだっつーの!!」

 

銃斗は文句を垂れこぼしながら武明の写真を見ると更に不機嫌な表情になる。

 

「いかにもイケイケDOQなやつだな……よくインストラクター勤まってんなぁ。やらかしてる内容も踏まえて見てると、余計ムカつくな……」

 

銃斗はタケアキの写真をデコピンで弾くと、偶然スイミングスクールに入ろうとしていた一人のインストラクターに声をかけた。

 

「あー、すいません。田中インストラクターの事でちょっとお伺いしたいんすけどもー……」

 

 

 一方の当事者は唯に最低な行動をしつくした後に、半ば強引にガイアメモリを装填させようとしていた。

 

 力に押さえ付けられ何もしようがない彼女はただただ理不尽に晒される。

 

「くっひひははは!!たのしかったなぁ!!!やっぱり若い身体は文句無い!!!礼だ!!!特別にガイアメモリをプレゼントしてやるよ……!!!」

 

「い、いやぁ!!!やめてっっ!!!」

 

 

『バード!!』

 

 

 タケアキはバードメモリを起動させ、半ば強引に唯をドーパントへと変貌させる。

 

「いやぁああああああ!!!」

 

 悲鳴と共に彼女はその身体をバードドーパントにさせられるや否や、羽をバタつかせてドーパントの力で一気に振り切る。

 

「ああああぁっ!!!」

 

「あぁっ、クソガキぃ!!!逃げるなぁ!!!」

 

 唯は不器用に羽をバタつかせて飛び交い、ホテルの一室のあちこちの壁に激突する。

 

 ガイアメモリの力に慣れていないのか、その様は飛行練習を始めた雛鳥のようだった。

 

 壁はたちまち壊れていき、最早使用者の弁償は免れない有り様となっていく。

 

「糞が!!!」

 

 

『フィンガー!!』

 

 

 武明はフィンガーメモリを起動させ、フィンガードーパントに変身する。

 

 いわば、テレビ版ライアーゲームのレロニラに酷似した顔とピエロのような出で立ち、空中に浮く巨大な両手に異様なまでの長い指を生やしたドーパントだ。

 

「うぁっぅっ……あたし、今飛んでた?!!なら……!!!」

 

 唯扮するバードドーパントがうつ伏せになった状態から体勢を整えて飛ぼうとする。

 

 だが、フィンガードーパントはそれを防ぐ為に、浮遊する両手指を伸ばし攻撃をかけた。

 

「させるかよ!!!ほらぁ!!!」

 

 ムチのように伸びた指が縦横無尽に打ちにかかり、飛び立ったバードドーパントを叩き落とす。

 

「きゃああっ!!!」

 

「下手くそに飛び交ってたくせにマトモに飛べると思ったか?!おしおきが必要だな!!!」

 

 更にフィンガードーパントの攻撃はバードドーパントを打ちのめしにかかり、瞬く間に彼女の身体にダメージを蓄積させていく。

 

「ぁっ、くぁっ、ぁあっ、はぁっ、あ、あ、ああぅっ、かはっ……!!!」

 

「はっははははは!!!いいなぁ!!!!テキトーなドーパントに仕立ててこうやってぶちのめす……飽きた女にしつこくされたときよくやるのさー!!!」

 

 段々と攻撃ペースを上げ、その攻撃の反動でバードドーパントの身体を舞い上がらせていく。

 

「うっあっ……!!!」

 

「しゃあああっ!!!」

 

 そしてフィンガードーパントは長い指でデコピンをしてバードドーパントをぶっ飛ばし、もう一方の指で彼女の身体を縛り捕った。

 

 フィンガードーパントはこの状況のまま起用に指でスマホを操作する。

 

「……もしもーし。武明だが、こいつはクレームだ!!!オタクの嬢が、唯ちゃんがサービス放棄したあげく、おいたしてホテルの壁めちゃくちゃにしやがった……!!!責任とってよぉ!!!格恫喝也きゅーん!!!」

 

 電話の相手は格恫喝也であり、彼はお得意様に失態が及んだ事に嫌な汗を走らせた。

 

 しかもただのお得意様ではなく、裏でガイアメモリのやり取りをする関係だ。

 

「何!!?それは大変申し訳ありませんでした!!!直ちに行って対応いたします!!!」

 

「なんなら……あんたのメモリの力も見てみたい。メモリ持参でね」

 

「……わかりました。不届きな嬢は直接お客様の前で指導いたします……!!!」

 

「頼むよ……ま、不快と愉快が同時に楽しめそうでなによりだよ……」

 

 武明扮するフィンガードーパントはニヤニヤしながら通話を切り、強力な指でより強く唯の身体を押さえながら告げる。

 

「怖い上司が来てくれるってよ……楽しみぃ……!!」

 

「うっく……ふうっ……!!!」

 

 

 その頃「風都の仮面ライダー」をBGMに翔太郎はハードボイルダーに、銃斗はハーフボイルダーことメタリックブルーのXR100に又借り街を走る。

 

「この街は俺の庭だ……場所さえ解りゃこっちのもんだ……!!!待ってなぁ!!DQN田中ぁ~!!!」

 

 

 銃斗の回想・武明の同僚証言

 

 

「……あいつは裏ではガイアメモリ関係や女関係の厄介事をやってましてね。一部のインストラクターは知ってますが、表向きにはとても言えない……あいつのやってることは個人的にもどーかと思ってます。ムカつきますが、何せガイアメモリ……下手に正義ぶったらこっちがやられますし、業務自体にも悪影響が出る恐れがあって……。あいつは今日一日、ウインドー夢っていうホテルでやりちらかすとか言ってました」

 

 

「唯ちゃん……待ってろ!!!」

 

 

 翔太郎の回想からのフィリップからの連絡

 

 

「翔太郎!!彼女は今、ウインドー夢(む)というホテルの205号室に監禁状態に晒されている!!!彼女はバードメモリを挿された上で武明扮する新手のドーパントに暴行されている!!!そして間もなく格恫喝也も加わる!!!部下も連れているようだ。恐らく複数体のドーパントと戦う可能性がある!!!」

 

 

「ゆ・る・さねぇっ!!!田中とかいうヤロウ!!!」

 

 二人の風都の仮面ライダーの男達がそれぞれの手にした情報を持ちながら風都の街を駆け抜ける。

 

 非常に様になるカッコいいシーンであることに違いない。

 

 風薙球場の通りを駆け抜ける翔太郎と東風都駅近くの地下道を駆け抜ける銃斗。

 

 ハードボイルダーとハーフボイルダーが街を駆け抜ける様は正に仮面ライダーの男相応のものである。

 

 

 

 その頃、蓮子とメリーに本日の活躍場が到来していた。

 

「こんにちは~JKヒャッハーのコマチでーすっ……あれ?!部屋、間違えました?!」

 

「コマチ」と名乗る少女は蓮子とメリーの姿に部屋を見るや否や、やはり部屋を間違えたと認識した。

 

 蓮子は、案の定の反応で去ろうとするコマチを引き留める。

 

「いえいえ!!合ってますよ♪頼んでた人が急用で出ちゃってー……せっかくだからやってもらおかなって!」

 

「どうぞ遠慮なく入って!」

 

 コマチが蓮子とメリーに案内されながら部屋に入った後は、通常の流れでコマチが蓮子のマッサージをする形になっていた。

 

「あたし、一瞬、女子が好きなレ○な女性達かと……それに、三人同時だなんてこんなケース、初めてかも」

 

「あたし達も女の子のこういったマッサージ初めてだなー……あふー……コマチちゃん、マッサージさすがだね~」

 

 蓮子はとろけそうな表情でコマチのマッサージに身を任せていた。

 

「蓮子、本題忘れたフラグ立ってるわよ!!まったく!!」

 

「だってきもちーんだもーん……」

 

「だってって、蓮子……もー!!とりあえずコマチちゃん、マッサージは彼女だけで大丈夫よ」

 

「あぁ。僕と彼女は気にしないでマッサージしててくれたまえ」

 

 普通であれば、フィリップだけがマッサージのシチュエーションだが、蓮子一人が客の状況に男女が見届けている異様な状況だ。

 

 コマチもたじろきながら答えざるをえない。

 

「あはは……わかりましたー……(コレ、どんな状況??)」

 

「ふぇ~……ところで~、JKヒャッハーって働いててどんな感じのところなのー??」

 

「え?!あ、あぁ……まぁ……やっぱり働いてみると色々……大変ですよ……本当に……正直オススメ、できない……」

 

 蓮子の本題スルーフラグ崩しの質問を皮切りに、コマチは苦笑いからやや深刻な表情に変わる。

 

 普通、初対面相手に、しかも店の事情を正直に話すことはせず、嘘も方便で濁すはずである。

 

 もう既に彼女はSOSを発していた。

 

 メリーは彼女の表情と深刻な感じの雰囲気を逃さず、かつ付け入らないよう、共感を促しながら問い掛ける。

 

「……コマチちゃん、やっぱりこういった業種だから色々あるわよね……辛そうならせめて今日ぐらいあたし達が聞いてあげるよ?」

 

「うんうん……聞いたげる~……あり??」

 

 蓮子をマッサージしていたコマチの手が止まり、彼女は涙をにじませながら唇を噛みしめはじめていた。

 

「うっ……ううっ……ぐすっ……」

 

「コマチちゃん……?」

 

 蓮子が彼女の名を呟くと、コマチは

 

「ぐすっ……話っ、聞いてもらって……いいんですかっ?」

 

 涙を拭いながら言うコマチに、蓮子とメリーは表情を合わせて返事を返した。

 

「……うん」

 

「うっ……ううっ、わぁあああああっ……!!!」

 

 コマチはメリーに泣きつくように抱きつき、メリーも優しく彼女の頭を撫でる。

 

 蓮子も上体を起こしてふぅっと笑みを浮かべた。

 

 その様子を見ていたフィリップは、女性の共感性の力を垣間見、それと彼女達を強く評価していた。

 

 (やはり、女の子は共感性が長けている……!!!今度改めて女子の共感力を検索してみよう!!!翔太郎、彼女達はいい仕事してくれているよ!!)

 

 蓮子とメリーはコマチを落ち着かせ、コマチもまた事情を話し始める。

 

「……実はね……この店っ……上位の嬢になると、高額なお金と引き換えにビップクラスの常連に身体を売らなきゃならなくなるのっ……あたしもその一人で……最近じゃ、ガイアメモリの密売やってるビップ客に、ガイアメモリを挿されて……」

 

「なんだって!!!?」

 

 店の嬢にガイアメモリを挿し込んだという証言には、フィリップも度の過ぎた悪質さに驚きを隠せなかった。

 

 その頃、時を同じくした格恫喝也が、ウインドー夢205号室に入室する。

 

 格恫喝也はダメージを負って床に這いつくばるバードドーパントの唯を見下げるようにして、自らのガイアメモリを起動させた。

 

 

『ファイター!!』

 

 

 続く

 

 

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