Another DragonRoad   作:名無しの骸骨

10 / 10
年明けから諸々忙しかったですが、久し振りの投稿です。
そろそろオーバーロードの15巻も出るんですかね。後、書いてて思ったんですが竜王国関連の設定が本当によくわからない


謁見

「今回の戦働き、誠に大儀であったのじゃ!」

 

 竜王ツアーとの邂逅というイレギュラーは発生したもののそれ以外は凡そスムーズに事を運んだ。防衛線における働きは十分以上で、ヘラクレイノスを筆頭とした主要なビーストマンは無事に天空城まで輸送。語るべき事もなく数日の復興作業を手伝った後に王都に帰った俺達は女王ドラウディロン・オーリウクルスに謁見の機会を与えられていた。

 

 見た目は8歳~11歳程、天真爛漫で無邪気で如何にも庇護欲をそそられるであろう彼女だが、本来の姿は別にであり、年齢も200歳を超える。聞けば前線に何十枚もの手紙を送っているとの事で、女王もとい国のアイドルとして彼女の努力には涙ぐましい物を感じてやまない。そんな所で女王の隣に居る宰相が口を開いた

 

「ビーストマンの指揮官であるヘラクレイノスを討ち取り、本陣を崩壊させた上で民の誘導及び治療活動等……今回の防衛は他の冒険者の協力も不可欠ですが、貴方方3人が居なければ都市は守り切れなかったでしょう。私からも心よりの感謝を申し上げます。しかし、本来ならばアダマンタイト級へ昇格が妥当である筈ですが、宜しいのでしょうか?」

 

「我々は冒険者になってまだ1週間程しか経っていません。いくら実力があろうと、この短期間に階級を上げ過ぎてしまえば組合の基準が崩れてしまいます。ですので、オリハルコン級が今の我々には相応という物でしょう」

 

 今回の働きにより俺達の階級はオリハルコンへ昇格。実力も十分で国家存亡の危機という情勢の関係上、アダマンタイト級まで一気に上げるのはどうかという話もあったが、まだまだ若輩者であるという理由で此方から取り下げて貰った。概ねこれ以上目立ちなくないというのが本音である。ちなみにオリハルコン級への昇格と共にPT名を決めていなかったので、PT名は【ドラグーン】とさせてもらった。我ながら凄い安直だなと思う

 

 その後も今回の戦いにおける竜王国からの特別報酬の件について宰相より話があったが、その報酬の価値の高さから我々ドラグーンをこの国に縛り付けておきたいという意図は何となく伝わった。冒険者は軍人でも兵士でもない、対モンスター専門の傭兵或いは名前そのまま未踏の地を冒険をする者或いは便利屋という立ち位置である。国同士の戦いには基本的に干渉することが許されず、国が冒険者を縛る事も本来ならば許されない筈だが何事にも建前は存在するという事なのだろう

 

 竜王国のアダマンタイト級冒険者チームのクリスタル・ティアはその辺とても分かり易い。リーダーであるセラブレイトは女王との謁見を度々行っているらしく、彼が女王に向ける視線には何処か卑俗な物を感じる。女王もそれを分かって彼に色々譲歩しており、だからこそクリスタル・ティアも竜王国側の要請を基本的には断らずに対ビーストマンの最前線で戦ってくれている

 

 が、彼らが幾ら優秀だとしても軍隊としては近隣国家でも最弱の竜王国。さらなる戦力を求めるのは自明の理であり、ドラグーンもまた何とかして竜王国に引き止めておきたいのだ。

 

「俺から望むべき物は左程ありません。ただ、今後の防衛戦に関して宰相殿と話し合う機会を欲します。ビーストマンの勢力は未だに強大。この身はまだまだ若輩ではありますが、今後も彼らの対処を主軸として活動を行っていきたいと考えています」

 

「うむ…此方としても新たなオリハルコン級冒険者の意見を聞けるのはとても有難い。宰相はどう思う?」

 

「少し意外ではありますが、私としては問題ありません。むしろ、助かります」

 

「ではその申し出を受け入れよう。必要な時に城の者に声を掛けよ、日時は追って伝えるのじゃ」

 

「はっ、申し出を受け入れて頂き、恐縮に存じます」

 

 

 

「宰相。あの冒険者、どう思った?」

 

「ドラグーン…いえ、リュウジ殿の事でしょうか」

 

「うむ」

 

 女王ドラウディロンと宰相は不安と期待を抱いていた。今回の戦いにおいて頭角を現したチーム:ドラグーン、特にそのリーダーであるリュウジに対してである

 

「冒険者となる以前の経歴は不明です。調査を行いましたが、まるで分からず……少なくともメンバーの二人は第四階位の魔法を行使できる事、リーダーであるリュウジは防衛戦で単騎でヘラクレイノスを討伐しています。……確かに我々は助かりましたが、実力の高さと反比例に知名度が全くない。個人的には不気味にすら感じます」

 

「……セラブライトでも第三階位までだったな。クリスタル・ティアに一人だけ第四階位を使える者は居るが、彼らは全員複数の第四階位の魔法を使用していたと」

 

「はい。まぁ正直実力だけならばクリスタル・ティアを超えているでしょう」

 

 竜王国内に突如として出現したチームであるドラグーン。冒険者になってから凡そ1週間程でゴールドまで昇格、今回の戦いでは劣勢を覆し、逆にビーストマンの大将を討ち取るという英雄が如き働きをしている。竜王国からも特別に恩赦しなければ立場が保てず謁見の機会を設けた訳だが、此方から提示した恩賞のみを受け取り、要望があると言ったかと思えばそれもまた対ビーストマンについて話し合うといった内容だ。セラブライトのように女王に一種執着している訳でもなく、淡々と冒険者として為すべきことを成す竜王国側としてもあまりに理想的な人員だった

 

「助かったのは事実だし、セラブライトのように色目を使わなくて済むという点ではとても楽なんだけど……」

 

「何かご不満が?」

 

「不満というよりは、そうだな……あまり信じられないかもしれないが、私はあの冒険者、リュウジに危うく膝を折りかけた」

 

「…?。どういう事でしょうか」

 

「そのままの意味よ。私は謁見の間に会ったその時、玉座から飛び出て臣下の礼をしたいという欲求に襲われた。恐らく、私の中に眠る竜の血が反応したのだろう」

 

 私も困惑していると窓の外を見上げ、頭を掻くドラウディロン。信じられない物を見るような視線を向ける宰相を流し目で見て、話を続けた。

 

「あの冒険者……いや、ドラグーンのメンバー全てに竜の血が流れている可能性が高い。確信もないし、証明しようもないが」

 

「まさか……竜と人が結ばれ、子を成した一族は竜王国の王族のみの筈です」

 

「そうだ。だが、そうではない可能性も出てきた……何にせよ今は静観してほしい。あの者達が何者であれ、今は竜王国の救世主なのは間違いないのだから」

 

 国を守るのは何も冒険者と竜王国内の兵士だけではない。軍事費を寄進して法国からの援軍も最近までは来ていた。そう、最近までは来ていた。先日の都市防衛戦において援軍として来るはずだった陽光聖典の壊滅。法国は引退した漆黒法典の助力を求めているらしいが、それもいつ来るかは分からない。兎にも角にも、現状としてドラグーンを欠けば竜王国に未来はない。正体に関する不安、そしてこの状況を打開してくれるかもしれないという期待を抱き、竜王国はドラグーンという新たな希望を受け入れた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。