Another DragonRoad   作:名無しの骸骨

7 / 10
何か書こうとしましたが、何書こうか困ったので前書きには特に何も書きません


金の証と伝言と

『村の件の後、銀(シルバー)に。そして現在は金(ゴールド)に昇格されたと』

 

『ビーストマンの襲撃が相次いだ結果だが、あまりに急すぎて悪目立ちしてしまっている節はあるよ』

 

『ふふっ、有名税という訳ですね。私としましては御主人様の勇名が増すのは喜ばしい事です』

 

『本来はもっと緩やかに行きたかったんだが、まぁ仕方ないな……城の方にもビーストマンの侵攻が一度落ち着いたら帰還しよう』

 

 宿屋の一部屋の中、《伝言/メッセージ》にて天空城の統括役であるハスキーと連絡を取り合っている。念話でも問題なかったとの事だが、他メイドも含めて実際に会話したいという事でこのような形での連絡となった訳だ

 

 あの村での一件の後、俺達は依頼達成とビーストマン13体の討伐により銀(シルバー)に2段階昇格する事となった。竜王国側も人手が足りないという点、倒したのがビーストマンという点、村を救った点などなど探せば幾らでも理由は見つかるが、シルバーになった事で受けれる仕事が増えたのは喜ばしい事だ

 

 しかし、シルバーとなってから受ける依頼でもビーストマンの襲撃に巻き込まれる事が多かった。それ程ビーストマンの影響が竜王国に及んでいるという事なのだろう

 当然俺達は迎撃、討伐も完遂。その甲斐あってというのも少しばかり罪悪感を覚えるが、再び適性審査の後にシルバーより1階級上のゴールドに昇格となった。

 

 付近の冒険者の様子も含めてこの昇格スピードが異常である事は馬鹿でも分かる。竜王国が置かれている状況も踏まえれば、少しでも上級の冒険者が欲しいのだろう。

 

 竜王国の単純な武力は冒険者では王国に、軍隊としては帝国に劣っていた。法国に関しては言わずもがなであり、竜王国の人材不足ひいては消耗具合を物語っている。

 

 そういう事でビーストマンによって竜王国は冗談抜きで滅亡の危機に瀕しているの明白であり、現在此方に来ているメンバーだけでは今回の事態に対応するのは難しいと判断。

 

 現在は他古老竜3体に支援を要請し、ダイダルによる完全不可視化などの隠密魔法をありったけに掛けつつ、竜王国の上空よりビーストマンの動向を監視及びビーストマンの発見を彼らに任せている

 

 発見した場合は報告できる状況なら先んじて此方に報告。襲撃中だった場合、隠密を優先させつつ、ビーストマンを撃破するように伝えていた

 

『場合に寄ってはギルド総出で掛からないと駄目か?……それと、そろそろ竜王国以外の地域の調査も行いたい物だな。色々と頭が痛くなる事が多い……』

 

『何故この世界でユグドラシルの魔法が此処まで流通しているか、武技・タレントと呼ばれる我々の知らない力、ですね』

 

 現在はシルバーとなってから5日後で、様々な依頼を受けつつ情報収集を行っている。その中でこの世界の常識の大半を知った訳だが、思わず頭を抱えるような事が多かった。武技やタレント、これらはユグドラシルで存在しなかった物だ。武技はこの世界固有の身体強化或いは物理攻撃の技術であり、現段階で確認した限りでは脅威度自体はそれ程高くない

 

 タレントは……正直よく分からないというのが本音だ。人によって振れ幅があまり大きすぎており、場合に寄って脅威度は高くなるだろう。ユグドラシルの魔法が何故此処まで広まっているのかも不明だ。伝承によれば八欲王が怪しいが根拠と呼べる物をまだ発見出来てない為、今後も調査は必須だろう

 

『此方から人化できる者を送るとしてだが、王国・帝国・聖王国。送るならその3か国だな』

 

『法国と評議国はどうなのでしょう?』

 

『法国及び評議国に関しては慎重に行くべきだろう。前者は人間至上主義で裏に特殊部隊を抱えているらしい、評議国はどうも竜王が居るとの事だ。双方、王国や帝国・聖王国に比べて不明な点やヤバそうな点が多い』

 

『評議国はある意味此方に近い可能性はあるが現状は見送り、法国に関してももっと情報が集まってからだな。プレイヤーが我々以外にも居るというのなら100レベルが数人……いや、数十人居る可能性も場合も考慮しなければならない』

 

『そして送る人選だが…完全人化できるのが確か竜剣士・ドラグニティしか居ないか。カルマも中立~極善だし、バランス良く人員を配置すれば問題ないだろう』

 

 ドラグニティは種族がバードマンでドラゴンライダーに特化しているNPC達であり、竜剣士は種族が竜人で4体のレベル100のドラゴンナイト達だ。ドラグニティが第二階層の守護者、竜剣士が第三階層守護者を担当している。特に竜剣士はギルド内NPCでもトップクラスの装備とビルド構成をしているNPCであり、実質的に第一階層を守護しているブラスター・テンペストといった古老竜『征竜』にも強さは匹敵する

 

『よし、竜剣士からはマスターPを王国、イグニスターPを帝国、マスターPを聖王国に数日後送る。彼らの活動の補佐に第二階層のドラグニティから何人か派遣。その間に注意・命令事項に関しては此方が説明しようか。その際は確認の為に他メイド達も呼んでくれ』

 

 ダイナスターPは見た目がごつ過ぎる為に留守番させ、その間の第三階層は念のために第四階層及び第五階層より増員を送る事となった。その後は情報の再確認や天空城の現状などを聞き、ある程度は把握した為に通信を切ろうと思ったのだが

 

『ご主人様、少し宜しいでしょうか?』

 

『ナサリー……という事は隣にラドリーも居るか?』

 

『ご主人様―! あたししっかり御留守番してましたよー! お掃除もお洗濯もちゃんとしました!』

 

『偉いぞラドリー。そして、ナサリーも明確な役割を与えられずにすまないな』

 

 ナサリーとラドリーには特定の役割を与えておらず、天空城の管理や防衛状態のチェックなどをさせてもらっている。ラドリーは前にも言った通り、設定通り精神面が幼く、性根も優しすぎる節がある為にとてもではないが天空城の外部に出すのは危険と判断し、ナサリーと共に過ごしてもらっている

 

『いえいえ、そのような事はお気になさらないで下さい。ラドリーに関しては私が責任を持って過ごさせて頂きます』

 

『うぅ……やっぱりラドリーはお荷物なんでしょうか? お役に立てずに……ごめんなさい』

 

『ん? ああ、いやいやそういうつもりじゃない。お前含めた皆に何かあったらあいつらに怒られてしまいそうだからな』

 

『俺個人の心配だから無理にそうさせてるんだ。お前は何も悪くないよ』

 

『ただ、そうだな。状況が落ち着いたら、ナサリーと共に一緒にこっちに来てもらう事にする。今はその約束だけしかできないが、納得してほしい』

 

『!……ありがとうございます! ご主人様!』

 

 声からも大いに喜色が感じられ、姿こそ見えない物の可憐に喜んでいる様子は頭に浮かんでくる。ふと空を見上げると妹がサムズアップしつつキメ顔をしているのを幻視した気がするが、それはさておき

 

『報告内容としては以上だな。竜剣士派遣の方の準備は進めておいてくれ』

 

『承知しました。何かあり次第、報告させて頂きます』

 

 

 天空城組への報告後、ティルル達と合流した俺はそのままギルドのカウンターに向かった。色々と奇異の目線を向けられる事が多かった俺達だが、それなりに依頼を熟していった事で相応の信頼を得る事に成功し、今では期待のルーキーとして扱われている

 

「さて、依頼だが……ついにこの時が来たというべきか」

 

「首都から10㎞先の都市にビーストマンの大軍が迫っているとの報告を受け、竜王国側も大規模な徴兵を行うらしい」

 

「私達も其処に向かう、って事でしょうか?」

 

「ああ、俺達もゴールドになったし、最前線で戦う事になるだろう」

 

「他古老竜3体も上空で監視している。何か発生したら此方に報告する手筈だ」

 

「我々としてもこの戦いは重要になってくる。今までのビーストマンは左程知性がある連中じゃなかったが、今回は違うだろう」

 

 この世界におけるビーストマンの知性はこれまでの襲撃から凡そゴブリン並みである事は確認が取れている。しかし、竜王国内の情報によれば階級制度が存在し、将軍級の存在も居るという話だ。ユグドラシル内では身体能力では人間種に勝るものの、知能面では劣るという設定だったが、将軍や魔術師・技術者に位置する者達は知能が人間並みとされている。将軍のレベルは50程であり、様々な冒険者のレベルを確認した現状では竜王国内のアダマンタイト級冒険者『クリスタル・ティア』に奴らの対処を任せるのは些か危険だ

 

「ビーストマンの将軍級……ビーストチャンピオン・ビーストジェネラルが居た場合は竜王国では対処は難しいだろう。もし噂に聞く将軍がそのクラスだった場合は我々で対処するぞ」

 

「はいはーい、詠唱していい魔法は第四階位まででしたよね?」

 

「第五階位以上はこの国の英雄と呼ばれる存在でも発動が出来んレベルだ。其処も状況によるが、基本は禁止とする。隠密魔法に関しては可だが」

 

「何にせよ、この戦いは俺達がこの竜王国で地位を確保する機会としては持って来いの状況でもある」

 

「此方から述べるべきことは述べた。後は各々の行動に期待する」

 

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