レミリアがカリスマなVR幻想郷に飛び込んでしまった件   作:mazuton

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明日投稿の予定でしたが、気分が乗って本日に前倒しで投稿。

明日も投稿するかも。


3・勧誘へ

「さて、げんたろうの処遇だが」

 

目の前がチカチカするのを感じる。

 

そこからすぐに自分の現状を認識した。

たった今、自分の生殺与奪は目の前にいる幼女が握っているのだ。

 

「そうだな。執事として働いてもらおうか」

「えっ。執事、ですか」

「なんだ、この場でいきなり殺されるとでも思ったのか?」

 

可笑しくて仕方がない、といったように笑う様子は可愛らしくはあるがこちらとしては気が気でない。しかも執事。話が全然みえてこない。

 

「意外に人手が足りていなくてね。特に、この紅魔館においては」

 

彼女曰く、この館を取り仕切る人材がまだまだ足りていないらしい。

こんなにでかければ、そうなるだろう。

 

「私に忠誠を尽くす優秀な者が数人いれば、それであらゆることは回るものだ。しかし、マンパワーが必要な場面では外様にも頼る必要が出てくる。そして、そいつらを束ねる役割もまた必要になる」

 

私だけで全て済めば楽なのだがね、とレミリアは愚痴をこぼしたあとに続ける。

 

「そこでお前だよ。げんたろう。高等な教育を受けていて、こちらの世情をある程度は認識している存在だ。そしてお前は私に従う」

「つまり、自分はここに連れてこられた、その、奴隷のようなものだと?」

 

そして、何かのきっかけで失敗を押し付けられ、死よりも耐えがたい拷問に合うのだと。

最悪の未来を想像してしまう。

 

「それは違う」

 

その考えを、レミリアがきっぱりと否定する。

 

「私は、家来はともかく奴隷などいらん。奴らは思考を持たぬ人形だ。忠誠の有無にかかわらず、私が求めるのは自ら選択する意志のあるもの」

 

奴隷を持った経験があるのだろうか。500年も生きていれば不思議ではないか。

ここがゲームの世界ではあるが、現実でもあるという事実を受け入れ始める。

 

「なぁ、げんたろう。人間は面白いんだ。余りにも愚かな選択しかとらぬ者もいれば、我ら吸血鬼に一矢報いる勇気とそれに見合う実力を持つ者もいる」

 

いままでの微笑みを一切失くし、こちらの目をしっかりと見てきた。

その姿はこの場にはそぐわず、とても綺麗だと感じた。

 

「お前がどちらになるかな。まぁ、断るのであれば」

「こ、断るのであれば、どうなるのでしょうか?」

「別に、どうもしないさ」

 

あっけらかんと、レミリアはそういった。

 

「どうもしない?」

「嫌なら、現世に五体満足で返してやるさ。だが、宣言しよう。お前はここで働くのを選ぶ。それは必然ともいえる」

「それはこんな強制的なやり方すれば、自分に選択する余地なんて」

「阿呆か。私がそんな器の小さいことをすると思ったか」

「お嬢様ならしそうですし、今もほぼしてますねー」

「美鈴、黙れ」

 

今日一番の紅く鋭い眼光が美鈴さんを貫く。こちらに向けられているわけでもないのに、その殺気に膝が震えてくる。

ずっと黙ってたと思ったら、いきなり何を言っているんだこの人は。

 

「すいません。私の認識と齟齬がありましたもんで」

 

だが、レミリアの殺気を気に止めることもなく、両手を頭の後ろで組みながら彼女は答える。

 

「ふん。運命が決まったとき、どんな出来事が起きようともそこに収束する。結果には原因があるようにな」

「そして私は即決、即断することを求める。だが、確かにお前にとってこの状況は、強制に近いと言わんこともない」

「やっぱり。レミリア様も思ってたんですね」

 

美鈴さん、頼むから茶化すのをやめて欲しい。目で訴えるが全く届かない。

居心地の悪さで息が詰まる。

 

「げんたろう、自分で決めろ。一日だけやる」

 

そういうと、レミリアは、美鈴さんに部屋へ案内するよう指示を出した。

部屋まで案内され、歩いているなか、自分の中には色々な考えが頭に浮かんでいた。

 

現世に戻るのが最高だ、そう自分には言い切れなかった。

 

今の生き方に迷いを隠せない自分がいたのだ。

好きなことで生きていける時代が実現した今になっても。

 

今、単純労働は大体が機械に置き換えられてしまい、多くの者が失業した。

ベーシックインカムの導入により、働かなくとも生きていける最低限度の金額は保証されている。但し、今のところは、であり未来の保証はない。

 

学校教育も見直され、AIを扱う側の人間を育てるために、AIが人間に最適な勉強法を教えるという、よくわからない現象すら起きている。

 

また、昔は仕事として認められなかったゲームなどの娯楽を極めるものがもてはやされるようになった。

 

好きなことで生きていけるものが生き残る。聞こえはいいが、逆にいうと、好きなものを見つけられなかった者はとことん落ちぶれるのだ。

 

昔は、学校教育に従って勉強ができればいい大学、いい会社に入り、それなりにお金を稼ぐことが出来ていい暮らしができた。

 

今はとっくにモノは溢れかえり、ホームレスだろうが餓死することなどありえない、恵まれた時代だ。

 

なんだかんだ、頑張らなくても生きていける。しかし、何もかも得られるわけでもない。他者の作ったコンテンツを消費することへの欲求は満たされている。だが、自分が何者でもないことにむなしさを覚えていた。

 

自分には誇れるものがない。だが、ここでなら、彼女たちの元で自分を変えられるのではないかと考えた。

 

要は、彼女のいう通り答えは決まっていたのだ。

 

「やります。なんでも、やらせてください」

「そうか。これからよろしく頼む、げんたろう」

 

次の日。自分はあっさりと承諾の意志を伝えていた。

レミリア様は微笑み、こちらをあの紅い瞳で見下ろしていた。




都合のいい話には注意しましょう。

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