──秘境内。旅人が微弱な元素を取り込むと共に、見知らぬ少年の記憶が流れてきた。
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今日は初めて冒険者を見た! 神の目っていう凄い力を持ってるみたい! 炎を使って魔物を蹴散らす姿はとってもかっこよかった! 僕もなりたいなぁ……。
神の目に選ばれた人は元素の力をより強く引き出すことができて、更に元素を『見る』ことだって出来るらしい。元素ってどんな色なんだろ? 僕にも手に入れることって出来るのかな?
神の目を手に入れるためにはまず神に認められなければならないってお父さんから教えてもらった。でも一体何をしたら神様は認めてくれるんだろう? 魔物を倒す? それともモラを稼ぐのかな? 何から始めていいかわからないな。だから形からだけでも入ることにしてみよう!
何事も形から! なんか英雄っぽい服にしてみた! お母さんとお父さんに頼んだら買ってくれた!! 特にこのマントはお気に入り! 英雄になった時に使うポーズだって考えたんだ! お母さんもお父さんも格好いいって褒めてくれた! でも残念。これだけじゃまだ神様は僕を認めてくれないみたい。
次の誕生日に剣を買ってもらった! まだ重くて持ち上げることも出来なかったから、今日からトレーニングを始めて早く使えるようになるんだ!
あれから何年も経っちゃった。でも、剣を振り回す事が出来るくらいにはなった! お母さんもお父さんも喜んでくれたけど、まだ神様は喜んでくれてないのかな?
初めて魔物と戦った。一番弱いスライムだったけど、いざ目の前に立つと緊張や恐怖で足が震えてまともに戦うことができなかった。あんなにトレーニングしたのに、こんなのじゃお母さんたちに顔向けできないよ。
初めて嘘を付いた。お母さんとお父さんにスライムを倒したって嘘を付いちゃった。これならこの村は安心だって、この剣は一生の宝物だって喜んでくれてたけど……ごめんね。
気をよくした両親が村のハンターに頼んで僕を狩りに連れて行ってくれた。イノシシの狩り方とかを教わった時に、ヒルチャールっていう怖い魔物の事も教えてもらった。そんな奴ら僕が蹴散らしてやる!
村に一体のヒルチャールが迷い込んできた。今こそ実力を試すべきだっていうのに、なんで僕は隠れているんだろう? このくらい簡単に対処できないと神様は認めてくれるはずがないのに。
あぁ、神様。僕をお許し下さい。僕は最低なやつです。村に大量のヒルチャールが襲ってきていたのに、僕は剣も持たず村に報告することなく一目散に逃げてしまいました。でも、こんな怖い思いをするくらいなら神の目なんてなくても……。
しばらく経ってから村に戻ると、そこには大量の血だけが残っていました。僕の友達も、その両親も、全員倒れて動くことはありませんでした。家に戻ると、僕の両親は僕の剣を大切に抱えながら亡くなっていました。これを守るためだけにこの場に残って亡くなったのかは今の僕でも理解することができました。なんでこんなものを守っていたんだ。こんな僕の剣なんて、スライム一匹倒せない価値のないものに。
僕は一人になった。教えてもらった狩りの仕方でイノシシくらいは狩れるようになったけど、まだまだ弓の扱いがなってない。こんなのじゃヒルチャールに勝てないよ。
スライムを始めて倒した。昔はあんなに怖かったのに、今は恐怖なんて微塵も感じることがなかった。今ならヒルチャールでも相手できそうだ。
親から貰った服を滅多に使うことのないタンスに片づけた。ついでに剣も片づけた。僕にはもう無理だ。これを見るだけで心が辛くなってしまう。
今の生活に慣れ始めたとき。僕が住む村にまたヒルチャールが襲ってきた。今度は大きな斧を持ったヒルチャールも居たけど、手に馴染む弓で撃退してやった。僕は成長している。これで暫くはここに来る事はないだろう。
次の日、もっと大きなヒルチャールが大量のヒルチャールを連れながら僕の元へと向かってきていた。弓を撃ってもまったく通る気配がしない。周りの奴らも盾を使って防いでくる。あぁくそ。成長なんてしていなかった。結局僕は、逃げる事しか出来ない最低な野郎なんだ。
追い詰められた。拠点にしていた実家まで逃げたものの、巨大なヒルチャールに壊されて絶体絶命の危機に陥った。これはもうどうしようもない。そう目を閉じようとしたときに、僕の手元に違和感を感じた。視線を下ろしてみると、そこには懐かしい古ぼけた鉄の剣が何故か握られていた。その手には母の手に包まれているかのような温もりが感じられた。
不思議と力が湧いてくる。あの時の情熱が僕を包み込んでくる。あぁそうか。今ではこんなにも軽く感じてしまうのか。
僕は試しに剣を振ってみた。とても手に馴染む。まるで、これが僕が使う為だけに作られた剣であるかのように思い通りに動いてくれる。
久しく思い出すことの無かった父の顔が頭に浮かんだ。その性格上、これが特注品である事はすぐに理解する事が出来た。
あぁ、今この姿を両親に見せてやりたい。笑顔で、拍手で褒めてほしい。そして謝りたい。本当はあの時にこうするべきであったのに、こんなにも長い長い時間を掛けてしまった事を。
僕は剣を握って構えて見せた。初めて剣を持てたとき、嬉しくて親に見せたポーズをとって。懐かしい感情になる。両親の笑う声とともに拍手される幻聴が僕を激励する。
刀身が反応するかのように淡い赤色に光りだした。それは徐々に熱を帯びて、僕の体に流れ込んできた。両親に買ってもらった英雄の服が炎で模られ、マントが生きているかのように躍動する。
――あぁ受けてみろヒルチャール。これがずっと憧れ続けてきた英雄の一撃だ。
マントを繋ぐボタンに『英雄の証』の存在を感じながら剣を振るうと、それは全てを燃やし尽くす巨大な炎となって、村全体を包み込んだ。
「今まで──守っていてくれてありがとう」
殆どがチリとなり燃えていく中、空で見守る両親に対し、僕は英雄のポーズを取ってみせた。
──ふと、風に意識を向けてみると、何処からともなく拍手の音が耳に入って来たような気がした。
原神はとても想像が膨らむ良いゲームですよね。過去にこんな事があったら格好いい! みたいな想像妄想止まりません。正直これも勢いで書いたので深い設定とかはありません。でもやっぱり、ゲームプレイ者、物書きとしてこういうものは書いておきたいですよね。