「これ面白そうだな…」
そう言って俺が開いたのはとある都市伝説が書かれたサイト。
その内容は、13階以上あるエレベーターで一定の手順を踏むことで、異世界に行けるというものだった。
なぜ異世界に行こうと思ったかって?
別に今の生活に不満がある訳では無い。
親には大学に行かせてもらい、一人暮らしまでさせてもらっている。
周りからみたら十分な生活だろう。
しかし、どうもやる気が起きないというか、生きる目標みたいなものがないのだ。
ただ毎日を過ごすだけで、なにもしてない。
気づいたら大学2年生の半ばまで来てしまっている。
そうして、将来に対する漠然とした不安感を抱きながら日々を過ごしていると、逃げ出したくなってしまった。
ただ、親や兄弟、友達には惨めな思いをしたくない。
いっその事異世界にでも行ければと思って、ということである。
そんなわけで、俺はその概要を知るやいなや、試さずには居られなくなり、13階以上あるエレベーターを探して外に飛び出した。
幸いその都市伝説の条件に当てはまるエレベーターはすぐ見つかった。
知り合いのマンションである。
矢野という。
矢野とは大学に入り知り合ったのだが、それこそ初めのうちは少し喋ったが、今はあっても挨拶程度の仲だ。
わざわざ呼び出すのは忍びないが、試したい衝動が抑えられないので、電話する。
2コールの後、矢野は電話に応答してくれた。
「もしもし、矢野か?」
「おー、急にどうした?」
「あー、いや、久しぶりに会いたくなって、電話したわ」
何だこの好きな女の子に対する電話は。
「なんだよ急に。」
そういって矢野は笑う。
「今さ、お前ん家のマンションの前まで来てるんだ。開けてくれよー。」
俺は笑いながらそういうと、矢野は快く承諾してくれた。
優しい男だ。俺なら絶対に入れない。
矢野は「チャイム押してくれ」と言うと電話を切った。
言われた通りにチャイムを押すと、自動ドアが開く。
俺は急いでエレベーターに向かい、件のサイトで調べた都市伝説の方法を試す。
この都市伝説によると人が途中で乗ってきてはならない。
誰も乗ってきてこないでくれと、願いながら手順を進める。
興奮が収まらない。
これが成功したらどうなるんだ。
俺は一体どこへ行ってしまうんだ。
成功しないと思っているが、それでも少しだけ期待してしまう。
手順通りに進め、最後に13階のボタンを押す。
それで開いた先は異世界だと言うのだ。
心臓が鳴り響く。
一階一階と上がっていくエレベーターに徐々に恐怖がせり上がってくるが、それでも途中でやめるわけにはいかない。
バクバクなる心臓を押さえつけて、13階に到着した。
そして扉が開いた。
扉の先にあったのは
そこにあったのは色が赤だったり、黒だったり、おかしな世界であった。