11月7日は立冬。
冬の訪れを感じる天津風。

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冬のはじまり

寒い。十六駆の4人で外の掃除をしているものの、木枯らしが吹いていてとにかく寒い。いい風ね、なんて言ってられない寒さ。

 

「う〜…最近は寒くて艤装を持つのも辛いです…」

 

そう言ったのは、しょっちゅう出撃している雪風。

 

「わかるよ〜。最近は外に出るのも億劫だよね〜。」

 

そう言ったのは、秘書艦業務で基本室内にいる時津風。

 

「まったく…カイロ持ってきてあげるわよ…」

 

そう言ったのは、さっきから掃除をサボるタイミングを見計らっていた初風。さっと暖かい室内に行った。

 

「はやく持ってきて!島風よりもはやくね!」

 

そう言って急かす時津風。雪風と似たような服装ではあるけど、タイツを履いている分時津風の方がまだマシと思えるのだけれど。

 

「あ、そう言えば、」

 

ふと、思い立ったように時津風が言う。

 

「天津風って体温高そうだよね〜。」

 

「あ!わかります!」

 

時津風に続いて雪風が言う。そう言い、にじりよってくるふたり。

…嫌な予感がする。

 

「レッツ、湯たんぽ!」

 

次の瞬間、左右から冷えっ冷えの体の時津風と雪風の体にサンドされた。

 

「はふ〜、暖かいです〜。」

 

雪風。代わりに私の体温が奪われてるんだけど。一旦引き剥がそうとしたが、ダブルでサンドされているため身動きが取れない。どうしようかと思っていると、

 

「ん?天津風達何してるの?」

 

陽炎達がいた。どうやら遠征帰りらしい。

 

「ほう。ずいぶん仲が良いようですね。」

 

そういうのじゃない。ちょっと助けてほしい。

 

「ちょ…ちょっとこの二人引き剥がして…」

 

「あ!さてはおしくらまんじゅうしてるんやな?!」

 

…ん?

 

「寒かったから丁度いいですね。」

 

デジャヴュを感じたときにはもう、時すでに遅し。

次の瞬間、さっきの倍の威力でサンドされる衝撃が走った。

 

 

◇

 

 

カイロを求めて鎮守府を歩く。外に比べれば中は寒くはないが、廊下は別に暖かいわけではない。

 

…そういえばカイロどこにあるのか知らないわね、私。

まあ、明石さんのとこに行けばあるかな。そう思い、歩みを進める。

 

 木枯らしが吹き、窓が少し揺れる。

しかし、この寒さの中で北方海域にいく出撃メンバーの皆は気の毒ね。雪風が出撃から帰ってきて、寒そうにしているのを見るたびに、下を穿けばいいのでは?、と思う。まあ、アイデンティティ的なものなのかしら。

 

 考え事をしながら歩いていると注意は散漫になるもので、曲がり角から歩いてきている人に、出会い頭にぶつかりそうになった。それでも間一髪のところで避けられたのは、相手が妙高姉さんだったからだと思う。

 

妙高姉さんにカイロは何処にあるかを聞いて、妙高姉さんとは別れた。

ちなみに、なぜこんなにも説明がざっくりとしているのかというと、ぶつかりそうになった瞬間、トラウマが蘇り、恐怖であまり、どういった状況だったかを覚えていないからである。

カイロはやっぱり、明石さんのとこにあるらしい。

 

道中、暁型姉妹が手をつないで歩いていたり、北上さんが大井さんの背中と服の間に手を突っ込んでいたり、綾波が敷波のほっぺたを手で挟んでいたり、三隈さんが最上さんにくまりんこしていたりするのを見かけた。

皆、姉妹と仲がいいな…、と思いながら明石さんのところで、一応余分にカイロを貰った。

 

 

 

カイロを持って、掃除場所に戻ってくると、そこには雪風と時津風と、姉達が塊になっていた。よく見ると、真ん中に天津風の吹き流しが見えた。

 

…。

 

他のみんなはもう暖まってるっぽいし、カイロは自分で使おう。

 

どこか疎外感と肌寒さを覚える初風であった。


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