放課後わたしはシンデレラ   作:クレナイハルハ

3 / 7
お茶会は放課後で

 

 

乙夜 玲ニside

 

 

授業終了と同時に速効で家に帰った僕は服を着替えてわたしになってバスケットに冷やしておいたフルーツサンドイッチとアップルパイを詰めていた

 

そして紅茶を入れた水筒とティーカップを二つ、レジャーシートを持つ

 

一人ならカップ1つで十分だけど、これで片方割れても飲めるし大丈夫だ

 

それにこんな大荷物でも、転移すれば全部片付けられるから便利だね

 

早速、駒王学園の人気の少ない旧校舎の方へ転移

 

誰もいないことを確認して、外に出て鼻唄を歌いながらレジャーシートを広げ持ってきたバスケットを置き、私自身も座る

 

そして家から持ってきたカップを………

 

「レイちゃん!」

 

「ッ!?」

 

突如として背後から声をかけられ、振り向くと兵藤一誠の姿があった

 

「ビックリした~前のお兄さん?どうしたの?」

 

一瞬悲鳴を上げそうになったがどうにか抑えることが出来た

 

「良かった。科学準備室に居なかったから………」

 

そう言ってやっと探していた何かを見付けたような様子の一誠くん

 

「変なの、今日はこっちでお茶会したかっただけだよ?」

 

「お茶会?」

 

「だって、ほら!」

 

そう言って花壇に咲く花を指差す

 

夕方、少し夏に入った時期だからか様々な花が咲いている

 

中でもユウガオとが綺麗に咲いていた

 

「こんなに綺麗に咲いてるんだから、ここのでのお茶会の方が楽しいでしょ」

 

「確かに科学準備室じゃあ台無しだな」

 

「でしょ。そう言えばユウガオの花言葉は、“儚い恋”確かにそんな意味だったかな?」

 

「ッ!?」

 

そう呟きながら2つティーカップを取り出す

 

2つ持ってきておいて良かった

 

そう思いながら水筒の中の紅茶を二つのソーサーに乗せられたティーカップに紅茶を入れる

 

兵藤一誠は僕の事を女の子だと信じてくれてるっぽいから別にバレなきゃ話してても問題ない

 

逆に話し相手になってくれて嬉しいと思う

 

でもその裏で彼を見殺しにしたわたしが楽しく話してもいいのかと罪悪感に押し潰される

 

「お兄さんも、どうぞ」

 

「お、おう…………」

 

一誠くんが私の隣に座ッたのを確認してソーサーに乗ったティーカップを渡して自分の分を手に取る

 

左手でソーサーを持って右手でカップの取っ手を掴んで持ち上げ目を閉じて口に含む

 

うん、やっぱり自分で作ったお茶は美味しいなぁ

 

そう思いながら目を開けるとお茶を飲まずにボーっとしている一誠くんがいた

 

「どうしたのお兄さん?もしかして紅茶、苦手なの?」

 

「い、いや!そんな事ないぞ!」

 

そう言って紅茶を飲む一誠くん

 

「上手い、紅茶ってこんなに美味しかったんだな…………」

 

「えへへ、頑張って練習したんだ」

 

美味しい紅茶が飲みたくて、一時期様々なネットのサイトを巡っては学ぶことを繰り返して自分流の入れ方を覚えたので、あまり自信がなかったのだけど

 

自分以外に飲ませたことが無かったので、これで自信が持てるよ

 

クラスじゃあんまり話せない

 

僕なら彼に罪悪感を感じて潰れてしまうから

 

でも私ならこんな風に話せるし笑えるのだ

 

「そうだ!お茶菓子にアップルパイとフルーツサンドを作ったの!良かったら食べる?」

 

「い、いいのか?」

 

「もちろん、お茶会は一人より二人の方が楽しいもの」

 

そう言って私は切ってあったアップルパイを差し出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵藤一誠side

 

 

放課後、俺は走っていた

 

昨日、夕麻ちゃんとデートして最後に腹を刺されて死んだ

 

今も鮮明に思い出す事が出来る、いや忘れるはずがない

 

でも朝起きたらいつも通り、自分の家

 

自分の部屋で寝ていた

 

変なことはそれだけじゃない

 

この学校のクラスが誰も、夕麻ちゃんを知らなかった

 

三日前、俺はクラスの奴等にあれだけ夕麻ちゃんの事を自慢していたのにだ

 

元浜達も、そんな女知らない

 

そう言われ、頭がごちゃごちゃになった

 

そして放課後まで答えが出なくて、そこでデートの前の日に会った女の子を思い出して

 

もしかしたらと科学準備室へと向かっていた

 

レイちゃんには彼女とのデートプランの相談をしたから覚えているはず

 

そう思い科学準備室の扉を開ける

 

そしてレイちゃんが前と同じように笑顔でそこに

 

いなかった

 

「嘘、だろ」

 

もしかしたら、彼女も夕麻ちゃんも俺が都合の良い夢を見ていただけだったのか?

 

そもそも本当に俺は死んだのか?

 

もし死んだなら、何故俺はいま学校に来ている?

 

思考が定まらないまま科学準備室を出て歩いていると、いつの間にか俺は旧校舎の方へと歩いてきていた

 

『~~♪』

 

すると旧校舎の庭の方から、鼻唄が聞こえてきた

 

凄く綺麗な鼻唄にまるでアイドルの歌声と変わらず

 

俺は吸い寄せられる用に鼻唄の聞こえる方へ歩くと、花壇の近くに敷かれたレジャーシートの上に一人の少女が座っていた

 

綺麗な白い髪を左右で赤いリボンで結びフリルのドレスを着た、まるでお姫様のような少女

 

「ッ!?」

 

思わず走って少女の元に近付くに連れて、はっきりと目に映ってくる

 

「レイちゃん!」

 

俺がそう言うと、少女は少しビクッと体を震わせてから此方を見る

 

「ビックリした~、前のお兄さん?どうしたの?」

 

そうして彼女はあの日見た何処か無邪気な笑顔を浮かべて俺の方を見た

 

「良かった。科学準備室に居なかったから………」

 

「変なの、今日はこっちでお茶会したかっただけだよ?」

 

「お茶会?」

 

改めてみるとレイちゃんは、レジャーシートの上に座っており近くにはバスケットが置いてあった

 

「だって、ほら!」

 

そう言ってレイちゃんは花壇に咲く花を指差す

 

見ると花壇に沢山の花が咲いていた

 

そう言えば、俺こう言うのちゃんと見たこと無かったな

 

何だろうか、美少女と花壇って凄く絵になるな

 

この子には何だろう、他の女子とは違って

 

ただ可愛い、エロイとか巨乳とか考えられなくて

 

何だろう、もし妹がいたらこんな感じになる気がする

 

「こんなに綺麗に咲いてるんだから、ここのでのお茶会の方が楽しいでしょ」

 

「確かに科学準備室じゃあ台無しだな」

 

あの部屋とレイちゃんは、何だろうか

 

今考えると、凄く変な組み合わせだったよな

 

「でしょ?」

 

そう言うとレイちゃんは思い出したように口を開いた

 

「そう言えばユウガオの花言葉は、“儚い恋”確かにそんな意味だったかな?」

 

「ッ!?」

 

儚い恋、その言葉を聞いた瞬間

 

頭のなかに夕麻の顔が浮かぶ

 

そう言えば、レイちゃんとあったことが現実なら

 

夕麻ちゃんの事は一体なんだったんだ?

 

「お兄さんも、どうぞ」

 

すると、いつの間にか紅茶の入ったティーカップが近くに置かれた

 

そしてレイちゃんは自分の近くにあるティーカップを持ち上げて飲む

 

何だろう、レイちゃんの後ろに花壇があってまるでアニメのお嬢様みたいに見える

 

すると、レイちゃんは俺の方を見て頭を傾げる

 

「どうしたのお兄さん?もしかして紅茶、苦手なの?」

 

「い、いや!そんな事ないぞ!」

 

思わず看取れてた、なんて言えずティーカップを傾けて紅茶を飲む

 

「上手い、紅茶ってこんなに美味しかったんだな…………」

 

家だと紅茶なんて飲まないからなぁ

 

自販機とかで買うとしても炭酸かお茶ぐらいしか買わないし

 

「えへへ、頑張って練習したんだ」

 

そう言って嬉しそうに笑顔になるレイちゃん、可愛い

 

可愛すぎる、マスコットで有名な小猫ちゃんをも越える可愛さだ

 

「そうだ!お茶菓子にアップルパイとフルーツサンドを作ったの!良かったら食べる?」

 

「い、いいのか?」

 

「もちろん、お茶会は一人より二人の方が楽しいもの」

 

そう言ってレイちゃんはバケットからアップルパイを取り出す

 

「うまそー!」

 

「えへへ、自信作なんだ」

 

そう言ってアップルパイを差し出され、直ぐに頬張る

 

「うまい、それに自信作ってことはこれ自分で作ったのか!?」

 

「そうだよ?他にもフルーツサンドもあるから遠慮せず食べてね!」

 

こうして、俺とレイちゃんのお茶会は続いた

 

結局なんで夕麻ちゃんの事を覚えてるのかは聞けなかったけど、レイちゃんの手作りお菓子が食べられて幸せだぜ!

 

でも、帰りにレイちゃんはまたあの表情を浮かべた

 

まるで何かに悲しんでいるかのような儚い表情を

 

その事が頭のなかに、妙に引っ掛かるのを感じた

 

 

 

 







ご愛読ありがとうございます

アンケートを次の話まで実施します

ご回答の程、お願いします

個人的なおすすめはゼロライナーです

感想、お気に入り登録、高評価

お待ちしています


????が仲間に成りたそうに此方を見ている

  • 英雄に憧れた冒険者
  • 軍艦を宿した少女達
  • 母を探す切り裂き少女
  • 竜と天使の少女

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。