ポンコツ魔術の青春活劇   作:ハレル家

4 / 6
 ちょっぱやで連日投稿。
 略して、連投ゥゥゥ!!

 反動は考えないッ!!


四話:芸術は難しいから芸術

 アトラス学園に存在する美術室。

 魔術を学ぶ学園だが、同時に学問も教える場でもある。

 各々が彫刻や模型を前に首をかしげたり、黙々と画材に筆を走らせていく。

 

「あー……どうすっかなぁ……」

 

 その中で星丸は首をかしげて頭を悩ませていた。その様子に十六夜が声をかける。

 

「美術は苦手なのか?」

「苦手って程じゃねぇけどよ……つい癖で目線を入ってしまうんだよ」

 

 そう言って自身が描いた絵を十六夜に見せた星丸。石膏で作られた白い男性の胸像が描かれており、一部を除いて特に目立った所はない。

 目の部分がニュース等で見る横に倒した黒い長方形で隠されている事を除けば……

 

「どこでつけたクセだよ」

「地元の交番辺りかな?」

 

 思わずツッコミを入れてしまった十六夜に星丸が答える。冗談なのか本気なのかわからないが、少なくとも冗談だと思いたい所である。

 

「では、他の者の腕を参考にしてみてはどうじゃ? ちなみに儂はこれじゃ」

 

 横から聞いていた鬼刃島が提案する。そして自身の絵を見せると、色彩がしっかりとした風景画がそこにあった。

 

「おぉ、ウマイな……」

「他人の作品を見るのも、勉強の一つじゃよ……それに儂よりもユキムラの方がスゴいぞ」

「……あ、あたし?」

 

 感嘆の声をあげる星丸に鬼刃島がユキムラの方に指を指す。突然の指命に驚くユキムラだったが、絵は鬼刃島と同じ風景画だが、鬼刃島よりも繊細で一枚の写真のような美しさが込められていた。

 

「す、すげぇ……美術に疎い己でも素晴らしい作品だとわかる……」

「……まぁ、それで仕事してるから……」

「ん? 何か言ったか?」

「……い、いや、どうしたら目線が入るんだろうと思って……」

 

 素直に感想を口にする星丸に対して何かを呟くユキムラ。あまり聞こえなかった十六夜が聞き返すも誤魔化される。

 

「コツとかあるか?」

「……やっぱり……描き続ける事を積み重ねるかな……星丸くんは……体力あるから、いけると思う……」

「……何で体力が必要なんだ?」

 

 星丸がユキムラにコツを聞くと、体育系なアドバイスに十六夜が首をかしげる。

 

「……絵描きは、モチーフを求めて何時間も歩き回り……絵筆と重いパレットを持って……長時間立ちっぱなしで描くから、かなりの体力が必要なんです……」

「ほう、意外じゃのう。となるとユキムラも……」

「……少しだけですけど……」

「うわ、硬っ!?」

「地道な努力か……」

 

 意外な事実に納得する鬼刃島。十六夜は差し出されたユキムラの右腕を触って予想外な感触に驚きを見せる。

 不意に星丸は呟きながら田沼の方に視線を向けていた。

 

「……田沼は普通だな」

「いきなりなんだよ!?」

 

 後ろから覗いた田沼の模写に感想を呟くと聞こえたのか田沼が反応する。理由を話し、理解すると田沼は眼を点にした。

 

「……何か予想外な一面を知ったなぁ……」

「話は聞かせてもらったぁ!!」

 

 クラスメイトの知らない一面に驚くと盗み聞きしてた雷道が声をかけてきた。

 

「雷道、お前もか?」

「おう! 俺も絵について教えて欲しいんだよ」

「成る程。本音は?」

「あわよくばアガサちゃんの二の腕を堪能したい」

 

 スッ【アガサが十六夜の後ろに隠れる】

 

「なぜ!?」

「当たり前だろ」

「それで、お前の腕はどんな……」

 

 不純な理由に呆れつつ、雷道の絵を確認する星丸。絵は石膏で作られた白い女性の胸像だが、星丸よりも繊細で本物のように見える。

 女性の胸像の周りが下手に描いてあるので余計に目立っていた。

 

「興味の対象が一発でわかるな」

「どうかしましたの?」

「ドーライズは絵は上手いか?」

「私は眷族に愛情を注いで描きましたわ」

 

 自信満々に絵を星丸達に見せるドーライズ。彼女が描いた眷族の絵は可もなく不可もなくだが、一生懸命に描いた事が眷族の絵から伝わってくる。

 眷族の毛が全身ストレートパーマによるサラサラヘアーになっているので、余計にわかった。

 

「こんな犬見たことある!」

「たてがみに愛情を注ぎすぎてヨークシャーテリアみたいになってる!!」

「何々、どしたの?」

 

 既知感(デジャヴ)に反応する星丸と田沼。二人の声を聞いた金松が駆け寄ってきた。

 

「なんか金松はお金の為に絵の方面にも手を出してそうだな」

「ふふふ、グッドモーニング略して愚問よ……確かに似顔絵を描いて稼ごうとしたことはあるわ……まぁ、あまり稼げなかったけど、絵に自信はありまくりですとも」

「自信満々だな」

 

 色々と金儲けに駆け回っている事を知っている彼女に指摘すると、金松は怪しく笑いながら自身の実力を胸にはる。

 

「みせらせ!! これが四季ちゃん画伯が描いた渾身の模型のブタさんだぁ!!」

 

 ドン、と力強く自身の絵を机に置いた金松。

 やけに自信ありげな彼女の絵を好奇心から見たくなった星丸達は覗くが、目にした途端に固まった。

 暫くして、処理が追い付いた田沼が大声で指摘した。

 

「加工前の姿が望ましいです画伯!!」

 

 それは、お歳暮に送られてきそうなハムの絵だった。

 

「あ、じゃあこっちか」

 

 そう言ってハムの絵を裏返すと、別の絵が描かれていた。

 具体的に、特殊な口枷を着けた下着だけの男性が四つん這いで興奮している絵だった。

 

「それはブタさんじゃねぇ! ただの豚野郎だ!!」

「プヒィィィップ!!」

「叫ぶな!!」

 

 金松の悪ノリにツッコミをいれた星丸と田沼。空気を変えようと少しだけ頬が赤いユキムラが同じように頬が赤い十六夜に声をかけた。

 

「あ、あの、十六夜さんは……どうですか?」

「私か? 上手いからつまんないぞ」

「つまんなくても良いからか描いてみろよ。落書きでイルカとかよ」

「ま、そんくらいなら……」

 

 ユキムラと星丸の頼みから渋々描き始める十六夜。少し気になった田沼がこっそり覗くが、女子らしい丸いタッチでイルカの東部を描いている所を見てホッとした。

 

「ほらよ。イルカだ」

 

 そう言いながら、十六夜は星丸達にイルカの絵を見せた。

 女の子らしい丸みを帯びたタッチと優しい画風から人懐こいイメージが頭から連想される。

 ただし、イルカは頭部だけで胴体は様々な動物の胴体が組合わさったキメラである事を除けばの話だが……

 

「モンタージュ写真っぽくすんな!!」 

 

 田沼は思わず大声でツッコミをいれたが、それは星丸達の心境でもあったのか誰も彼を注意しない。

 

「長いし何だコレ新幹線か!」

「星丸、駅を描き足してみてくれ」

「任せろ」

「目線はいいですわよ!」

 

 続けて指摘する田沼、鬼刃島は駅のホームを描くように星丸に頼むが、星丸は自然な手つきでイルカの目に黒の長方形を描き足してしまい、ドーライズに指摘される。

 

「ついクセで」

「私も」

「そんなクセどこでつけちゃったのお前ら!」

「中学時代に何かあったのでしょうか?」

 

 得たいの知れない二人の癖に謎の疑問を抱く田沼とドーライズ。

 

「お前ら、リハビリのつもりで色々描いてみろよ。合作しろ合作」

「何か良い題材はないかのう?」

「……そうですね……直角や曲線といった基本的なモノがある簡単なペンギンとかどうでしょうか……?」

「ホラ、ペンギンですわよ。目線やモンタージュも禁止ですわよ」

「「えぇ!?」」

 

 鬼刃島がユキムラに題材を思案すると比較的簡単に描けるペンギンを勧め、ドーライズは二人の癖を出さないように注意した。

 

「……参ったな……そうなると顔が書けない……」

「なんでだよ!!」

「体もモンタージュじゃねぇと無理だし……」

「普通に描けよ! 普通に!」

 

 二人の謎の弱音にツッコミを入れる田沼。十数分程、二人は考え込んでいたが、星丸が何かを閃いた。

 

「いや待て……こうすれば……」

「成る程……だったら……」

「なんか閃いたようですわね」

「あーあ、残念……代理で描いて稼ごうと思ったのに……」

「流石にアウトだろ」

「出来たぞ!」

「こうだな!!」

 

 さっきまでの弱音が嘘のように描き進んでいく二人に安心する鬼刃島達に星丸と十六夜が合作を見せた。

 題材のペンギンの(シルエット)が絵に描かれており、全身を黒く塗った事で二人は乗り越えたのか胸を張っている。

 何故かペンギンの横に濡れた包丁が置かれていなければ、完璧だったのだろう……

 

「事件現場にすんなァァァァァ!!」

 

 無駄にリアルな包丁を描いているのに自信満々な二人にドロップキックを放つ田沼。田沼のドロップキックが二人に直撃するも威力が強かったのか後ろにあった棚に当たり、棚の上に置いてあった水が入ったバケツが倒れ、下にいた金剛に頭から水を被ってしまった。

 

「きゃぁ!!」

「あ、ごめん!!」

「わ、悪い金剛! 十六夜ちゃん、タオル取ってきてくれ!」

「わかった!」

「わ、私もいきます!」

 

 水に濡れた金剛に気付いて素直に謝罪する星丸。雷道が十六夜にタオルを取ってくるように言うと、ユキムラも一緒に美術室を飛び出した。

 

「すまねぇ! わざとじゃなくて……」

「……し……」

「すまん金剛! 儂がしっかりしておけば……」

「……し……しな……」

 

 悪気が無くても迷惑をかけてしまった事に慌てる星丸と鬼刃島。

 ふと、金剛がかけていた眼鏡が床に落ちていた事に気付いた星丸が拾い、彼女に手渡す。 

 

「……え……金剛……その眼……」

 

 そして、見てしまった(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 彼女の目が怪しい紫色の光を帯びる上、髪の毛がゆらゆらと逆立つ。

 

「ア゛ァァァもういい加減にしなさいよアンタ達!」

 

 普段とは違う金剛の声が美術室に響くと同時に紫色の光が美術室を包み込んだ。暫くして光は収まり、遅れてタオルを持った十六夜とユキムラが現れた。

 

「タオル持ってきた! すぐ……に……」

「……ど、どうしました十六夜さ……ひっ!?」

 

 美術室の扉を開けた十六夜は目の前の光景に言葉を失った。十六夜の様子に気付いたユキムラが彼女の後ろから覗き込み、小さく悲鳴を漏らした。

 そこにあったのは、石にされた星丸達だった。

 

「……なんだ……これ……」

「み、みなさんが石に……」

「――なんでこうなっちゃうのよ……」

 

 全員がポーズをとった石像が美術室に置いてある異様な光景に言葉を失くす二人。最初はたちの悪いドッキリかと思ったが、あの状況の慌てようは違うと判断できた。

 周囲を見渡すと一人だけ無事な人物ーー金剛が悲痛な声色で呟いている姿を見つけ、十六夜は駆け寄ろうとして気付いた。

 彼女の瞳が紫色に輝いている。

 

「……魔眼……」

 

 その呟きは石像となったクラスメイトが並ぶ美術室の空気に溶けて、消えていった。




 短縮するかもしれないけど、なんとか年内に終わらせてみせる!!

 頑張れ自分! その後の反動が怖いけど!
 怖いけどッ!!(二回目)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。